第3章 主な医薬品とその作用90主な医薬品とその作用(ビタミン個別・横断テーマ)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問90:主な医薬品とその作用(ビタミン個別・横断テーマ)

ビタミンDに関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • ビタミンDは脂溶性ビタミンであり、体内(主に肝臓・腎臓)で活性型に変換されてカルシウムおよびリンの腸管からの吸収を促進し、骨や歯の形成に関与する。
  • ビタミンDは皮膚で紫外線(UVB)を受けて体内で合成されるほか、食事(魚・キノコ類等)からも摂取できる。
  • ビタミンDを過剰に摂取すると高カルシウム血症が生じ、食欲不振・嘔吐・頭痛・倦怠感・腎障害等の症状が現れることがある。
  • ビタミンDは水溶性ビタミンであるため体内に蓄積されず、大量に摂取しても過剰症は生じない。正答
  • ビタミンDが欠乏すると、小児ではくる病(骨の石灰化障害)、成人では骨軟化症が生じる。
正答:ビタミンDは水溶性ビタミンであるため体内に蓄積されず、大量に摂取しても過剰症は生じない。

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正答はエ(誤っているもの)です。

ビタミンDは脂溶性ビタミンであり、「水溶性で蓄積されない・過剰症が生じない」は誤りです。ビタミンDは脂肪組織・肝臓に蓄積し、過剰摂取すると高カルシウム血症(血液中のカルシウム濃度が過剰になる状態)を引き起こします。

脂溶性ビタミンDの基本整理:

  • 機能:腸管からのカルシウム・リン吸収促進・骨形成
  • 合成:皮膚で紫外線(UVB)により産生
  • 欠乏症:くる病(小児)・骨軟化症(成人)・骨粗鬆症促進
  • 過剰症:高カルシウム血症→食欲不振・嘔吐・腎障害

ゴロ:「ビタミンD=カルシウムDリート(吸収を助ける)・過ぎると高カルシウムで障害

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ビタミンDの基本情報:

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 種類 | 脂溶性ビタミン(D₂:エルゴカルシフェロール・D₃:コレカルシフェロール) |

| 体内での活性化経路 | コレカルシフェロール(D₃)→肝臓(25-水酸化)→腎臓(1α-水酸化)→1,25(OH)₂D₃(カルシトリオール:活性型) |

| 主な機能 | ①腸管でのCa・P吸収促進②腎臓でのCa再吸収促進③骨代謝調節④免疫調節 |

| 欠乏症 | 小児:くる病(骨の石灰化不全・O脚・X脚)、成人:骨軟化症・骨粗鬆症促進 |

| 過剰症 | 高カルシウム血症→食欲不振・嘔吐・頭痛・倦怠感・多尿・腎結石・腎障害・異所性石灰化 |

| 主な食事源 | 魚(サーモン・マグロ・サンマ等)・魚肝油・キノコ類(干しシイタケ等) |

| 皮膚合成 | 皮膚の7-デヒドロコレステロール+UVB→コレカルシフェロール(D₃)|

各選択肢の解説:

  • ア(正): ビタミンD(D₃)は肝臓で25-OH-D₃に、腎臓で1,25(OH)₂D₃(活性型・カルシトリオール)に変換されます。活性型は腸管上皮の核内受容体(VDR)に結合してカルシウム結合タンパク(カルビンジン)の発現を誘導し、腸管からのカルシウムおよびリンの吸収を促進します。正しい記述です。
  • イ(正): ビタミンDは皮膚でUVB照射により合成されるほか、魚(特に脂の多い魚)・魚肝油・キノコ類(UVB照射により増加)等の食品からも摂取できます。正しい記述です。
  • ウ(正): ビタミンD過剰摂取→腸管からのカルシウム吸収過剰・骨からのカルシウム遊離促進→高カルシウム血症。症状として食欲不振・悪心嘔吐・頭痛・倦怠感・多尿・腎障害(腎結石・腎石灰沈着)が現れます。正しい記述です。
  • エ(誤・正答): ビタミンDは脂溶性ビタミンであり、過剰摂取で体内(主に脂肪組織・肝臓)に蓄積します。水溶性ビタミン(B群・C)と異なり余剰分が尿中に排泄されないため、高用量・長期のサプリメント等の使用で高カルシウム血症等の過剰症が生じます。「水溶性・蓄積されない・過剰症がない」は誤りです。
  • オ(正): ビタミンD欠乏により、カルシウム・リンの腸管吸収が低下→骨の石灰化(ミネラル沈着)が不十分になります。小児では骨の成長板での石灰化障害→くる病(O脚・X脚・前頭部膨隆等)、成人では既形成骨の石灰化障害→骨軟化症が生じます。正しい記述です。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【ビタミンDの代謝・作用・過剰症の分子機序と現代的意義】

ビタミンDの代謝経路(詳細):

```

食事(D₂・D₃)または皮膚合成(D₃)

肝臓:ビタミンD 25-ヒドロキシラーゼ(CYP27A1)

25-ヒドロキシビタミンD₃(25-OH-D₃)【血中の主要循環形態・測定可能】

腎臓:1α-ヒドロキシラーゼ(CYP27B1)【副甲状腺ホルモン(PTH)・低Ca・低Pで誘導】

1,25-ジヒドロキシビタミンD₃(カルシトリオール)【活性型・最も生物活性が高い】

```

不活性化:

  • 腎臓・末梢組織:24-ヒドロキシラーゼ(CYP24A1)→24,25(OH)₂D₃(不活性)→排泄
  • この不活性化が過剰摂取時の緩衝機能を担いますが、限界がある

活性型ビタミンD(カルシトリオール)の受容体を介した作用:

1. 腸管(十二指腸・空腸)

- VDR(核内受容体)活性化→カルビンジン-D₉k(CaBP-9k)・TRPV6(Ca²⁺チャネル)・PMCA1b(Ca²⁺-ATPase)の発現誘導

- 効果:腸管からのCa吸収が30〜40%→80%以上に増加

2. 腎臓

- 尿細管でのカルシウム再吸収促進(TRPV5・カルビンジン-D₂₈k発現)

3.

- 破骨細胞の活性化(RANK-L発現誘導)→骨からのCa動員(骨吸収)

- 骨芽細胞の分化促進(骨形成)

4. 副甲状腺

- PTH(副甲状腺ホルモン)の分泌を抑制(フィードバック調節)

高カルシウム血症の発症機序と臨床症状(過剰症):

ビタミンD過剰→腸管Ca吸収過剰+腎でのCa再吸収過剰→高Ca血症

高Ca血症の症状(重症度順):

  • 軽度(Ca 10.5〜12 mg/dL):食欲不振・悪心・便秘・多尿・倦怠感
  • 中等度(Ca 12〜14 mg/dL):嘔吐・腹痛・著明な多尿・脱水・精神症状(うつ・混乱)
  • 重度(Ca >14 mg/dL):腎障害・不整脈・意識障害・昏睡

長期高Ca血症の合併症:

  • 腎結石(シュウ酸カルシウム・リン酸カルシウム)
  • 腎石灰沈着(腎実質へのCaP沈着)→慢性腎臓病
  • 異所性石灰化(血管・軟部組織・角膜等へのCaP沈着)

ビタミンDサプリメント過剰摂取リスク(現代的な注意点):

近年、ビタミンD不足(血中25-OH-D₃ < 20 ng/mL)に対する関心が高まり、高用量ビタミンDサプリメント(1日2,000〜5,000 IU以上)の使用が増加しています。

  • 食事摂取基準(2025年版):ビタミンD耐容上限量(UL)は成人100μg/日(4,000 IU/日)<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 食事摂取基準2025年版を確認。ビタミンD耐容上限量は成人100μg/日(4,000IU)で2020年版から変更なし。なお目安量は2025年版で見直され成人9.0μg/日。 -->
  • OTCサプリメントでは1粒1,000〜2,000 IUが一般的だが、複数製品の重複で過剰になりやすい
  • 特に腎臓病(活性化障害)・サルコイドーシス(肉芽腫が無制御にビタミンDを活性化)の人では過剰症リスクが高い

登録販売者の実務対応:

1. ビタミンD含有製品の販売時の確認

- 腎臓病の既往:CYP24A1による不活性化が低下→過剰症リスク

- 他のビタミンD含有製品(カルシウム製剤・魚肝油等)との重複確認

- 高齢者:腎機能低下→排泄遅延→蓄積リスク

2. 症状が出た場合の指導

- 「食欲不振・吐き気・体がだるい・尿が多い」等の症状→過剰症の可能性→使用中止・医師受診

3. 紫外線回避・骨粗鬆症予防の情報提供

- 過度の紫外線回避(日焼け止め・室内生活)→ビタミンD不足→骨密度低下のリスクも

- 適度な日光浴(1日15〜30分程度)と食事でのバランスが重要

ビタミンDは不足も過剰も問題となる「量が重要なビタミン」であり、登録販売者として適正量の情報提供が求められます。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 滋養強壮保健薬(ビタミン成分・ビタミンD) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

脂溶性ビタミンD・高カルシウム血症と過剰症頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

章別に解いて、登録販売者に合格

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