第3章 主な医薬品とその作用98主な医薬品とその作用(外皮用薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問98:主な医薬品とその作用(外皮用薬)

しもやけ・あかぎれ・乾燥した皮膚の保護・改善を目的とした外皮用薬の成分に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • ヘパリン類似物質は血液凝固阻止作用が非常に強く、外用薬として使用した場合でも全身的な出血傾向が生じるため、出血性疾患(血友病・血小板減少症等)の患者には禁忌とされている。
  • ビタミンEは皮膚の抗酸化作用によって組織を酸化障害から保護する目的で外用薬に配合され、皮膚の血行を促進してしもやけ・あかぎれの改善に用いられる。正答
  • ヘパリン類似物質は保湿作用のみを目的とした成分であり、血行促進や抗炎症作用はなく、乾燥皮膚の水分保持を専ら担う。
  • 尿素は皮膚の角質を柔軟にして水分保持を高める作用があるが、外用薬として使用した場合に全身性のアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こしやすいとされている。
  • ポリエチレンスルホン酸ナトリウムはヘパリンと同一の化学構造を持ち、その血液凝固阻止作用が主な薬効として皮膚への外用に活用されている。
正答:ビタミンEは皮膚の抗酸化作用によって組織を酸化障害から保護する目的で外用薬に配合され、皮膚の血行を促進してしもやけ・あかぎれの改善に用いられる。

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正答はイです。

ビタミンE(トコフェロール酢酸エステル等)は強い抗酸化作用を持つ脂溶性ビタミンであり、外用薬に配合されることで皮膚の血行を促進し、しもやけ・あかぎれの症状改善に用いられます。

誤りのポイント:

  • ア:ヘパリン類似物質の外用薬は血液凝固阻止作用が非常に弱く(外用では全身性出血傾向は通常起こらない)、出血性疾患者への禁忌は「血栓・出血傾向のある患者は相談」ですが、外用での全身出血は誇張表現です。
  • ウ:ヘパリン類似物質は保湿だけでなく血行促進・抗炎症作用も持ちます。
  • エ:尿素はアナフィラキシーのリスクが特別に高い成分ではありません。
  • オ:「ヘパリンと同一の化学構造」は誤りです。
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しもやけ・あかぎれ・乾燥皮膚用成分の比較表:

| 成分 | 主な目的 | 主な作用 | 注意点 |

|---|---|---|---|

| ヘパリン類似物質 | 血行促進・保湿・抗炎症 | 血流改善・保水・炎症軽減 | 血液凝固異常者は相談。出血性疾患は相談 |

| ビタミンE(トコフェロール) | 血行促進・抗酸化 | 末梢血管拡張・組織酸化障害防止 | 過剰(外用)での問題は少ない |

| 尿素 | 角質軟化・保湿 | 角質細胞間脂質・天然保湿因子への作用 | 傷口への使用は刺激が強い場合あり |

| グリセリン | 保湿(吸水・水分保持) | 吸湿性による皮膚表面の水分保持 | 高濃度は皮膚刺激の場合あり |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): ヘパリン類似物質(ムコ多糖多硫酸エステル)は外用薬として用いる場合、皮膚からの吸収量は少なく、全身性の出血傾向を生じることは通常ありません。ただし血液凝固に異常のある人(出血性疾患・血栓症治療中の人)については念のため使用前に医師等に相談することが望まれます。「外用使用で全身的な出血傾向が生じる」という記述は誇張であり誤りです。
  • イ(正): ビタミンE(トコフェロール酢酸エステルまたはトコフェロールそのもの)は脂溶性の強い抗酸化物質です。外用薬に配合されると末梢血管の拡張・血行促進を助け、しもやけ(凍瘡:冷温刺激による血管炎症・循環障害)の症状改善や、あかぎれ(乾燥・亀裂した皮膚)の保護に用いられます。
  • ウ(誤): ヘパリン類似物質は保湿作用だけでなく、血行促進作用・抗炎症作用も持ちます。しもやけにおける血行障害や炎症成分に対して複合的に作用するため、乾燥肌の水分保持「専ら」担うという記述は誤りです。
  • エ(誤): 尿素はアナフィラキシーを特別に起こしやすい成分ではありません。ただし傷口・粘膜への適用は刺激になることがあります。正常皮膚への適正使用では全身性アレルギー反応のリスクは低いです。
  • オ(誤): ヘパリン類似物質はヘパリンと類似した(ムコ多糖硫酸エステル)構造を持ちますが、同一の化学構造ではありません。また外用としての主な薬効は血行促進・保湿・抗炎症であり、強力な血液凝固阻止作用を薬効として用いているわけではありません。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【ヘパリン類似物質とビタミンE外用の薬理詳細と皮膚科学的背景】

しもやけ(凍瘡)の病態と治療の方向性:

しもやけは0〜10℃の湿冷環境に繰り返しさらされることによって生じる皮膚血管障害です。

病態の段階:

1. 冷温刺激→末梢血管(細動脈・毛細血管)の攣縮・収縮→局所血流低下

2. 持続する低灌流→組織低酸素・栄養不足→内皮細胞障害

3. 再灌流(温暖化)→活性酸素種(ROS)産生・炎症反応(IL-1・TNF-α放出)→血管透過性亢進・浮腫・かゆみ・発赤

4. 繰り返しの刺激→血管壁肥厚・慢性炎症

治療の方向性:

  • 血行促進:末梢血管拡張・血流回復
  • 抗酸化:再灌流によるROS消去
  • 抗炎症:炎症反応の軽減
  • 保湿:障害された皮膚バリアの補修

ヘパリン類似物質の薬理詳細:

ヘパリン類似物質(ポリサルフェート;heparinoid / MPS: mucopolysaccharide polysulfate)は硫酸化ムコ多糖であり、ヘパリンと構造が類似していますが分子量が小さく硫酸化度が異なります。

3つの主要作用:

1. 血行促進作用:血管内皮細胞のプロスタサイクリン(PGI₂)産生を促進→血管平滑筋弛緩・末梢血管拡張→局所血流増加

2. 保湿作用:ヒアルロン酸等のプロテオグリカン合成促進→真皮の水分保持能向上。また皮膚表面への直接的な水分保持(hygroscopic action)

3. 抗炎症作用:線維素溶解促進(ウロキナーゼ活性化)・補体系の一部抑制・炎症性浸潤の軽減

外用での全身影響:外用ヘパリン類似物質の経皮吸収量は非常に少なく、通常の使用法では全身性の抗凝固作用(出血傾向)は生じません。ただし:

  • 傷口・粘膜への適用:吸収が高まる場合があり、傷口への使用は添付文書で制限される場合がある
  • 血液凝固異常のある人(先天性凝固因子欠乏症・ワーファリン使用中など):念のため医師に相談

皮膚科学的に証明されている効果:ヘパリン類似物質の保湿作用はランダム化比較試験で乾燥皮膚・アトピー性皮膚炎の肌質改善において有効性が示されています(参考:日本皮膚科学会ガイドライン)。市販薬(ヒルドイドソフト軟膏等の後発成分を含む製品)としても広く使用されています。

ビタミンE外用の薬理:

ビタミンE(α-トコフェロールおよびその誘導体:トコフェロール酢酸エステル)は生体内最強の脂溶性抗酸化物質です。

外用での作用機序:

1. 皮脂・角質層の脂質酸化を防ぐ(過酸化脂質の生成抑制)

2. 血管内皮細胞への直接的な抗酸化保護→再灌流障害の軽減

3. プロスタサイクリン(PGI₂)産生促進→末梢血管拡張・血行促進

4. 血小板凝集抑制(トロンボキサンA₂産生抑制)→微小循環改善

しもやけとの関連:再灌流障害の主役である活性酸素種(スーパーオキシド・ヒドロキシラジカル)を消去することで、反応性充血・炎症・浮腫の悪化を軽減します。ビタミンEは脂溶性であるため角質層への浸透性が高く、外用での有効性が期待できます。

尿素の皮膚科学的役割:

尿素(urea, CO(NH₂)₂)は皮膚の天然保湿因子(NMF: Natural Moisturizing Factor)の一成分でもある内因性物質です。

外用での作用:

  • 角質溶解作用:高濃度(15〜20%)では角質細胞のケラチンに作用して角質を軟化・溶解→鱗屑除去・肥厚した角質の改善
  • 保湿作用:低〜中濃度(5〜10%)では角質層の水分保持を高める(hygroscopic)

注意点:

  • 傷口・粘膜への適用は避ける(刺激が強い)
  • 角質溶解作用により、他の薬剤の経皮吸収を促進する可能性がある

登録販売者の実務における使い分け:

| 症状・状況 | 推奨成分 | 理由 |

|---|---|---|

| しもやけの治療(血行障害主体) | ヘパリン類似物質・ビタミンE | 血行促進・抗炎症 |

| 乾燥・乾癬型の皮膚(角質肥厚) | 尿素含有クリーム | 角質軟化・保湿 |

| あかぎれ(亀裂・乾燥) | ヘパリン類似物質・グリセリン | 保湿・皮膚バリア補修 |

| 血液凝固異常者 | ビタミンE・尿素(ヘパリン類似物質は相談) | 安全性への配慮 |

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第12節「外皮用薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

ヘパリン類似物質/ビタミンE外用=しもやけ・皮膚保護成分頻出度B

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
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3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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