衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問11:安全衛生管理体制
常時1,200人の労働者を使用する情報処理業(有害業務に常時従事する労働者はいない)の事業場における衛生管理者の選任に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア衛生管理者を4人以上選任しなければならず、そのうち少なくとも1人を専任の衛生管理者としなければならない。正答
- イ衛生管理者を4人以上選任しなければならず、そのうち少なくとも2人を専任の衛生管理者としなければならない。
- ウ衛生管理者を5人以上選任しなければならず、選任した衛生管理者全員を専属の者でなければならない。
- エ衛生管理者を4人以上選任しなければならず、選任された衛生管理者全員を専属の者としなければならない。
- オ衛生管理者を5人以上選任しなければならず、そのうち少なくとも1人を専任の衛生管理者としなければならない。
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正しいのはアです。常時1,200人の事業場では、安衛則第7条第1項第4号の選任人数規定により4人以上の衛生管理者が必要です(1,000人超2,000人以下=4人以上)。さらに、常時1,000人を超える事業場では衛生管理者のうち少なくとも1人を専任としなければなりません(安衛則第7条第2項)。よって「4人以上選任・少なくとも1人を専任」とするアが正しい組合せです。
なお「専属(その事業場に属する者から選任)」は安衛則第7条第1項第2号により規模に関係なく原則として求められるものであり、「1,000人を超えると全員専属になる」という閾値要件ではありません(しかも2人以上選任し労働衛生コンサルタントを含む場合は、そのうち1人は専属でなくてよい例外があります)。したがって「全員専属」を本問固有の正答要件とするエは誤りです。
衛生管理者の選任人数・専任・専属の要件(安衛則第7条)の体系:
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 選任人数4人以上は正しい(1,000人超2,000人以下=安衛則第7条第1項第4号)。さらに常時1,000人を超えるため、少なくとも1人を専任とする(同条第2項)。「4人以上・少なくとも1人を専任」が正確な組合せです。
- イ(誤): 「少なくとも2人を専任」が誤り。専任要件は規模・有害業務の有無にかかわらず「少なくとも1人」であり、2人を要求する規定はありません。
- ウ(誤): 1,200人では5人以上の選任は必要ありません(4人以上で足りる)。また「全員専属」も、コンサルタントを含む場合の例外を無視しており不正確です。人数が誤りです。
- エ(誤): 選任人数4人以上は正しいものの、「全員専属」は誤り。専属は安衛則第7条第1項第2号の原則であって本問固有の要件ではなく、2人以上選任時にコンサルタント1人は専属でなくてよい例外もあります。加えて1,000人超の核心である「専任1人」要件に触れていません。
- オ(誤): 選任人数5人以上が誤り。1,200人では4人以上で足ります。
選任人数の規定(安衛則第7条第1項第4号):
- 50人以上200人以下: 1人以上
- 200人超500人以下: 2人以上
- 500人超1,000人以下: 3人以上
- 1,000人超2,000人以下: 4人以上(本問がここ)
- 2,000人超3,000人以下: 5人以上
- 3,000人超: 6人以上
専属(第7条第1項第2号)と専任(第7条第2項)の区別:
- 専属: その事業場に専属の者を選任することが原則(規模を問わない)。ただし2人以上選任し労働衛生コンサルタントを含む場合、そのうち1人は専属でなくてよい。
- 専任: ①常時1,000人を超える事業場、または②常時500人を超え坑内労働・一定の有害業務に常時30人以上従事させる事業場で、少なくとも1人を専任とする。
【理論的背景】
衛生管理者の選任人数・専任・専属の要件は3層構造を形成しており、事業場規模と有害業務の有無によって義務の重さが変わります。この3層構造の理解が試験で得点できるかどうかの分岐点になります。
3要件の論理:
1. 人数要件(安衛則第7条第1項第4号): 規模が大きいほど多くの衛生管理者が必要(50人→1人、段階的に増加)
2. 専属要件(安衛則第7条第1項第2号): 原則として「その事業場に属する者」から選任(規模を問わない原則)。ただし2人以上選任時にコンサルタント1人は専属でなくてよい例外あり
3. 専任要件(安衛則第7条第2項): 一定規模以上(常時1,000人超等)では「衛生管理者業務に専従する者」を少なくとも1人確保(他業務との兼任禁止)
「専属」と「専任」は別概念であり、混同してはいけません。専属は「所属の専一性(その事業場の者か)」を問う原則的要件、専任は「業務の専念(他業務と兼ねないか)」を問う規模連動の追加要件です。専属は閾値で発生するものではなく、もともと原則です。
【実務・条文構造】
人数・専任が必要となる閾値(有害業務なしの事業場の場合):
| 規模 | 選任人数 | 専属(原則) | 専任 |
|------|---------|------|------|
| 50〜200人 | 1人以上 | 原則必要 | 不要 |
| 200超〜500人 | 2人以上 | 原則必要 | 不要 |
| 500超〜1,000人 | 3人以上 | 原則必要 | 不要 |
| 1,000超〜2,000人 | 4人以上 | 原則必要 | 1人以上 |
| 2,000超〜3,000人 | 5人以上 | 原則必要 | 1人以上 |
| 3,000超 | 6人以上 | 原則必要 | 1人以上 |
※「専属」は全規模で原則。2人以上選任しその中に労働衛生コンサルタントがいる場合、当該者のうち1人は専属でなくてよい(安衛則第7条第1項第2号ただし書)。
※専任は規模・有害業務にかかわらず必要となる場合でも「少なくとも1人」であり、規模が大きくなっても2人以上を要求する規定はない。
有害業務が関係する場合の変化点(専任が必要になる規模が下がる):
- 常時500人を超える事業場で坑内労働又は労基則第18条所定の有害業務に常時30人以上を従事させる場合: 1,000人以下でも専任衛生管理者が1人以上必要(安衛則第7条第2項第2号)
- 同じく坑内労働・一定の暑熱有害業務に常時30人以上従事させる場合: 衛生工学衛生管理者免許を有する者から選任(安衛則第7条第1項第6号)
情報処理業(本問)の特徴:
- 有害業務なし→専任閾値の引下げ・衛生工学衛生管理者規定は適用されない
- 1,200人→安衛則第7条第1項第4号(1,000人超2,000人以下=4人以上)が適用
- 1,000人超→専任要件(少なくとも1人)が発生
- 専属は規模を問わず原則であり、本問固有の「全員専属」要件があるわけではない
- 選択肢ア(4人以上・少なくとも1人を専任)が正しい
衛生管理者の業種別資格要件(安衛則第7条第1項第3号・別表):
- 情報処理業は第二種衛生管理者免許で選任できる業種に含まれ、第一種・第二種衛生管理者免許のどちらでも選任可能です(製造業・建設業・医療業等の有害業務を伴う業種では第一種等が必要)。
【試験での位置づけ】
この問題は「人数・専任・専属の要件を同時に問う」典型的な複合問題です。専任の人数を「2人以上」と誤らせたり(選択肢イ)、専属を1,000人超で発生する閾値要件のように装ったり(選択肢エ)するパターンが頻出です。最大の落とし穴は「専属」と「専任」の混同で、専属は規模を問わない原則、専任は1,000人超等で生じる「少なくとも1人」の追加要件です。本問のように「有害業務なし」という設定がある場合、有害業務ありなら専任閾値が500人超30人以上に下がる点との対比も意識しましょう。情報処理業・金融業・卸売業等のサービス系業種では第二種免許でも衛生管理者になれる点も覚えておきましょう。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 正答。「4人以上・少なくとも1人を専任」が1,000人超2,000人以下(有害業務なし)の正確な要件の組合せです。専属は安衛則第7条第1項第2号により当然の原則として求められるため、専任要件を明示したこの肢が正解になります。
- イ: 「専任2人以上」が誤り。専任は規模が大きくなっても「少なくとも1人」で足り、2人以上を要求する条文はありません。
- ウ: 5人以上が必要なのは2,000人超3,000人以下の場合。1,200人は明確に4人以上で足ります。加えて「全員専属」も、コンサルタントを含む場合の例外を無視しており不正確です。
- エ: 誤り。「4人以上」は正しいものの、「全員専属」を1,000人超固有の要件のように扱う点が誤りです。専属は規模を問わない原則であり(しかもコンサルタント1人は専属でなくてよい例外がある)、1,000人超の核心である「専任を少なくとも1人」に触れていないため、正答の組合せにはなりません。
- オ: 5人以上という人数が誤り(本問の1,200人では4人以上)。2,000人超3,000人以下の要件と混同したパターンです。
【根拠法令】労働安全衛生規則 第7条第1項第4号(選任人数・段階規定)・第7条第1項第2号(専属の原則)・第7条第2項(専任:1,000人超等で少なくとも1人)
【補足】専属は規模を問わず原則(コンサルタント1人の例外あり)。専任は1,000人超等で少なくとも1人。1,200人(有害業務なし)では4人以上・少なくとも1人専任が正確な要件の組合せ(=選択肢ア)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生規則(安衛則)第7条第1項第4号(衛生管理者の選任人数)・第7条第1項第2号(専属)・第7条第2項(専任)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。