関係法令(有害業務以外)2安全衛生管理体制

衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問2:安全衛生管理体制

産業医に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 常時50人以上の労働者を使用するすべての事業場において、産業医を1人以上選任しなければならず、常時3,000人を超える事業場では3人以上選任しなければならない。
  • 産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての要件を備えた医師のうちから選任しなければならないが、当該事業場の事業者と同一法人に属する医師であれば専属要件は問わない。
  • 産業医は事業者に対して労働者の健康管理等に関する勧告をすることができ、事業者は勧告を受けた場合にはその内容と措置の有無・理由を衛生委員会に報告しなければならない。正答
  • 産業医は、少なくとも月に2回、作業場等を巡視しなければならない。
  • 常時1,000人以上の労働者を使用する事業場においては、専属の産業医を選任しなければならない。
正答:産業医は事業者に対して労働者の健康管理等に関する勧告をすることができ、事業者は勧告を受けた場合にはその内容と措置の有無・理由を衛生委員会に報告しなければならない。

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正しいのはウです。産業医は事業者に対して勧告を行う権限があり(安衛法第13条第3項)、2019年の安衛法改正によって事業者は勧告内容を衛生委員会に報告する義務が明確化されました。この改正で産業医の権限が強化され、「産業医の意見が無視されやすかった」という従来の問題を解消することが目的です。

各誤り選択肢の要点: ア→3,000人超は2人以上(3人以上ではない)。イ→専属の要件は「事業者と同一法人かどうか」ではなく「常時1,000人超等の事業場規模」で決まる。エ→月1回以上が原則(一定の情報提供がある場合は2か月に1回以上に緩和可)。オ→専属が必要なのは常時1,000人を超える事業場(1,000人以上ではない)。

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各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 産業医の選任義務は常時50人以上から発生します(安衛法第13条)。3,000人を超える事業場では産業医を2人以上選任しなければなりません(安衛則第13条第4項)。「3人以上」は誤りです。
  • イ(誤): 産業医の専属要件は「同一法人かどうか」ではなく「事業場の規模」で決まります。常時1,000人を超える事業場か、特定の有害業務に500人以上が従事する事業場では専属の産業医が必要です(安衛則第13条第1項第3号)。
  • ウ(正): 産業医は勧告権を持ち(安衛法第13条第3項)、2019年改正で事業者はその内容・措置の有無と理由を衛生委員会に報告することが義務づけられました(安衛法第13条第5項)。産業医の意見の透明性確保と実効性強化が目的です。
  • エ(誤): 産業医の職場巡視は少なくとも月1回以上が原則です(安衛則第15条第1項)。ただし所定の情報提供がある場合は2か月に1回以上に緩和可能(2017年改正・安衛則第15条第1項ただし書)。
  • オ(誤): 専属産業医の選任が必要なのは常時1,000人を超える事業場(1,001人以上)です。「1,000人以上(1,000人を含む)」とする誤りが典型的な引っかけです。
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【理論的背景】

産業医制度は、事業場において医師が労働者の健康管理等を担当することで、職業病の予防・早期発見・職場復帰支援などを実現する制度です(安衛法第13条)。長らく産業医の勧告が事業者に軽視されやすいという実態が問題視されており、2018年施行の改正安衛法(働き方改革関連法)では産業医の権限強化と情報アクセス権の拡充が図られました。

主要な2018年改正のポイント:

1. 産業医への情報提供義務: 事業者は、長時間労働者・高ストレス者・健康診断結果等を産業医に提供しなければならない(安衛法第13条第4項)

2. 勧告の衛生委員会報告義務: 事業者は産業医から勧告を受けた場合、内容・措置の有無・理由を衛生委員会に報告しなければならない(安衛法第13条第5項)

3. 産業医の独立性確保: 産業医の選任・解任・辞任の労働基準監督署への届出義務

これらの改正が試験に頻出するため、「2019年以前の知識」で勉強している参考書では対応できない問題が出題されます。

【実務・条文構造】

産業医の選任に関する人数・専属要件の体系を整理します。

選任数の規定(安衛則第13条第4項):

  • 常時50人以上: 1人以上選任
  • 常時3,000人超: 2人以上選任

専属の産業医が必要な事業場(安衛則第13条第1項第3号):

  • 常時1,000人を超える労働者を使用する事業場
  • 常時500人以上を使用し、一定の有害業務(坑内・鉛・水銀・一酸化炭素・病原体・放射線・強烈な騒音・振動・暑熱等)に常時30人以上を従事させる事業場

巡視頻度(安衛則第15条):

  • 原則: 少なくとも月1回以上
  • 緩和条件: 事業者が所定の情報(衛生管理者の報告・作業場の状況に関する情報等)を産業医に毎月1回以上提供し、かつ事業者の同意がある場合は2か月に1回以上に緩和可能(2017年改正)

この「月1回→2か月に1回の緩和」も試験で頻出です。緩和されるのは「産業医の巡視頻度」のみで、衛生管理者の週1回巡視義務は緩和されません。

【試験での位置づけ】

産業医関連問題は、(1)選任義務発生要件(50人)と専属要件の数値混同、(2)2018年改正の内容(勧告の衛生委員会報告・情報提供義務)、(3)巡視頻度(月1回/2か月1回の緩和要件)の3点が最頻出です。選択肢の「1,000人以上」と「1,000人を超える(1,001人以上)」の違いは典型的な数字のひっかけであり、「以上(その数を含む)」「超える(その数を含まない)」の日本語的区別も同時に確認しておく必要があります。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 「3,000人超で2人以上」の根拠は安衛則第13条第4項但書。この規定は大規模事業場で複数の産業医が分担して対応することを想定しています。3,000人超を3人と誤るのは「衛生管理者と混同したミス」のパターンで、試験でよく設定される誤りです。
  • イ: 専属の意味は「その事業場のみに所属(専従)すること」。同一グループ会社の医師であっても、他の事業場の産業医を兼任していれば専属とはならない場合があります。
  • ウ: 勧告の衛生委員会報告(安衛法第13条第5項)に加え、産業医は「意見の申述」権限(安衛法第13条第3項)も持ちます。勧告は事業者の行為(措置・非措置)と理由の記録・報告が伴う点で、単なる意見申述より強い効力があります。
  • エ: 月2回という誤りは「念のため多めに巡視する」という感覚的な誤解から来ます。改正前は月1回以上が固定でしたが、現在は緩和規定があることも重要です。
  • オ: 「以上」と「超える」の言葉の罠。安衛法・安衛則では「超える」(その数字は含まない)と「以上」(その数字を含む)を使い分けており、境界値の問題は毎回出題されます。

【根拠法令】労働安全衛生法 第13条第3項(勧告権)・第5項(衛生委員会報告義務)・第4項(情報提供義務)、労働安全衛生規則 第13条(選任要件・専属)・第15条(巡視頻度)

【補足】2018年施行の改正安衛法(働き方改革関連)による産業医権限強化は最頻出改正事項。「勧告→衛生委員会報告義務」は確実に押さえること。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第13条第3項・第5項、労働安全衛生規則(安衛則)第14条の3・第15条。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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