衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問3:健康診断
労働安全衛生規則に定める定期健康診断に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア定期健康診断は、常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回、定期に行わなければならない。
- イ医師が必要でないと認めるときは、胸部エックス線検査を省略することができる場合がある。
- ウ血糖検査は、定期健康診断の必須項目として省略することができない。正答
- エ事業者は、健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師の意見を聴かなければならない。
- オ健康診断の結果については、5年間保存しなければならない。
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誤りはウです。血糖検査(血糖値の測定)は定期健康診断の検査項目の一つですが、一定の条件(医師が必要でないと認めるとき等)により省略できる場合があります。「省略できない」という記述が誤りです。
定期健康診断の11項目のうち、実は省略できる項目がいくつかあります。省略できない項目の例としては既往歴・業務歴の調査、自覚症状・他覚症状の有無の検査(問診)などが挙げられますが、血糖検査は省略可能な項目に含まれます。
ア(1年ごとの実施)、イ(胸部エックス線の省略可)、エ(医師意見聴取)、オ(5年保存)はいずれも正しい記述です。
定期健康診断の省略可能項目の整理:
安衛則第44条は定期健康診断の11項目を定めていますが、「医師が必要でないと認めるときは省略できる」と規定されているものがあります。
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 安衛則第44条第1項の通り、1年以内ごとに1回の実施が必要。有害業務の特殊健康診断(6か月以内ごと)と混同しないこと。
- イ(正): 胸部エックス線検査は安衛則第44条第1項第6号に定められていますが、同条第3項により40歳未満で一定条件(感染症法の結核予防措置等)に該当しない者などについて省略できます。
- ウ(誤): 血糖検査(第11号)は定期健康診断の項目ですが、医師が必要でないと認めるときに省略できます。「省略できない必須項目」ではありません。
- エ(正): 安衛法第66条の5第1項の通り、異常所見があった労働者について、健康診断の日から3か月以内に医師の意見を聴かなければなりません。
- オ(正): 安衛則第51条第1項により、健康診断結果の記録は5年間保存が必要。特殊健康診断の記録保存期間(物質によっては30年等)との違いに注意。
省略可能な主な項目: 身長・腹囲・胸部エックス線・喀痰検査・血中脂質・血糖・肝機能・貧血・心電図検査(いずれも一定の年齢条件下で医師が必要でないと認めるときに省略可)。なお「既往歴・業務歴の調査」「自覚症状・他覚症状の検査(問診)」「体重・視力・聴力」「血圧の測定」「尿検査」は省略できません。
【理論的背景】
定期健康診断制度は、職業性疾患と生活習慣病の早期発見・早期治療を通じて労働者の健康保持を実現するために設けられています。全労働者を対象とする一般健診として位置づけられ、有害業務従事者向けの特殊健康診断(安衛法第66条第2項)とは別建てです。
11項目のうち一部が省略可能とされているのは、「すべての労働者に全項目を無条件に実施することのコスト・医学的意義のバランスを取る」ためです。たとえば若年労働者への胸部エックス線検査や心電図検査は医学的必要性が低い場合があるため、医師の判断による省略が認められています。一方で問診(自覚症状・他覚症状の把握)は医師・保健師との面接の核心であり、省略は認められません。
【実務・条文構造】
安衛則第44条の11項目と省略可否を体系的に整理します(省略は安衛則第44条第2項・第3項に基づき、医師が必要でないと認めるとき等に一定の年齢・条件下で認められます)。
省略可能項目(医師が必要でないと認めるとき・一定の年齢条件等):
- 身長: 20歳以上で省略可
- 腹囲: 40歳未満(35歳を除く)等の一定条件で省略可
- 胸部エックス線検査: 40歳未満(一定年齢を除く)等の条件で省略可、喀痰検査は胸部エックス線で所見がない場合等に省略可
- 貧血検査・肝機能検査・血中脂質検査・血糖検査・心電図検査: いずれも40歳未満(35歳を除く)で医師が必要でないと認めるときに省略可
必須(省略不可)項目:
- 既往歴・業務歴の調査
- 自覚症状・他覚症状の有無の検査(問診)
- 体重・視力・聴力の検査
- 血圧の測定
- 尿検査(尿中の糖・蛋白の有無)
健康診断結果に基づく措置の流れ(安衛法第66条の4・第66条の5):
1. 健康診断実施
2. 結果を労働者に通知(安衛法第66条の6)
3. 異常所見者について医師の意見聴取(健診日から3か月以内)
4. 医師意見に基づき就業上の措置を決定(就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮等)
5. 措置内容等を衛生委員会に報告(安衛法第66条の5第2項)
記録保存期間の比較:
- 一般定期健康診断: 5年
- 特殊健康診断(一般的な有害業務): 5年
- 特殊健康診断(特定化学物質・鉛・電離放射線・石綿等): 30年(一部)
【試験での位置づけ】
定期健康診断からは「省略できる項目とできない項目」「記録保存期間(5年)」「医師意見聴取義務(異常所見ありに限定・3か月以内)」の3点が繰り返し出題されます。特に「血糖検査が省略できない必須項目」という誤った選択肢は非常に頻繁に登場します。また特殊健診との頻度(1年vs6か月)、記録保存期間の違い(5年vs30年等)も重要です。健康診断の「項目」の暗記だけでなく、省略の条件・結果に基づく措置の流れ全体を理解することが高得点につながります。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 「常時使用する労働者」にはパートタイム労働者も含まれます。具体的には「1年以上使用予定かつ週所定労働時間が一般労働者の3/4以上」の者が対象(通達基準)。試験では「フルタイムのみ」という誤り選択肢が出ることがあります。
- イ: 胸部エックス線の省略要件は改正で変化しています。「結核予防法廃止後の感染症法対応(37歳・40歳等の特定年齢要件)」については最新の安衛則を確認することが重要です(受験前に要確認)。
- ウ: 血糖検査の省略が認められる理由の一つは、糖尿病等の生活習慣病スクリーニングとしての医学的必要性が年齢・体格等によって異なるからです。医師が個別に判断する余地を残す設計になっています。
- エ: 医師意見聴取の期限「健康診断の日から3か月以内」は頻出。意見聴取の対象が「異常の所見があると診断された者」に限られる点も重要(全受診者ではない)。
- オ: 特殊健康診断のうち一部の有害物質(ベンゼン・電離放射線等)は30年保存が必要です。一般の定期健診と混同させる誤り選択肢が出ます。
【根拠法令】労働安全衛生規則 第44条(定期健康診断の項目・省略条件)・第51条(記録の保存期間5年)、労働安全衛生法 第66条の5第1項(医師意見聴取)
【補足】「血糖検査は省略不可」という選択肢は典型的な誤り。省略不可の核心は問診(自覚症状・他覚症状の検査)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生規則(安衛則)第44条(定期健康診断)・第51条(記録の保存)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。