衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問4:安全衛生管理体制
衛生委員会に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア衛生委員会は、常時30人以上の労働者を使用するすべての事業場において設置しなければならない。
- イ衛生委員会の議長は、衛生管理者のうちから事業者が指名した者がなるものとされている。
- ウ衛生委員会は、3か月に1回以上開催すれば足り、重要な議事の内容は記録として5年間保存しなければならない。
- エ産業医は、衛生委員会の委員として参加することができるが、参加は任意であって法的な義務はない。
- オ衛生委員会では、労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関することを調査審議しなければならない。正答
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正しいのはオです。衛生委員会の調査審議事項は安衛法第18条第1項に列挙されており、精神的健康の保持増進対策(メンタルヘルス対策)はその一つとして明確に規定されています。これは近年のメンタルヘルス問題の増加を受けて重要視されている論点です。
各誤り選択肢の要点: ア→衛生委員会の設置義務は常時「50人以上」の事業場(「30人以上」は誤り)。イ→議長は衛生管理者ではなく「総括安全衛生管理者または事業の実施を統括管理する者」。ウ→開催は「毎月1回以上」(3か月に1回ではない)・記録保存は「3年間」(5年間ではない)の両方が誤り。エ→産業医の委員参加は法的義務(必須委員)。
衛生委員会の構成員・調査審議事項の全体像:
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(誤): 衛生委員会の設置義務は、業種にかかわらず常時50人以上の労働者を使用する事業場に生じます(安衛法第18条第1項・安衛令第9条)。「30人以上」は誤りです。なお業種によって設置対象が変わるのは安全委員会(製造業等の一定業種)であり、衛生委員会は全業種共通で50人以上です。
- イ(誤): 衛生委員会の議長は、安衛法第18条第2項第1号により「総括安全衛生管理者またはそれ以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの」とされており、衛生管理者ではありません。
- ウ(誤): 開催頻度は「毎月1回以上」(安衛則第23条第1項)であり、「3か月に1回以上で足りる」は誤りです。また議事の記録保存は「3年間」(安衛則第23条第4項)であり、「5年間」も誤りです。本選択肢は開催頻度・保存期間の両方が誤っています。
- エ(誤): 産業医は衛生委員会の委員として法律上必須(安衛法第18条第2項第3号)。任意ではありません。
- オ(正): 安衛法第18条第1項第4号「労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること」が調査審議事項として明記されており、正しい記述です。本問の唯一の正答です。
【理論的背景】
衛生委員会は、事業場における衛生管理に関して事業者と労働者が協議・調査審議する場として安衛法第18条が定めるものです。安全委員会(安衛法第17条)が安全に特化するのに対し、衛生委員会は健康管理全般・職業病予防・メンタルヘルス等を扱います。近年のストレスチェック制度(2015年施行)・高ストレス者への面接指導義務と連動して、メンタルヘルス対策が衛生委員会の重要な議題として法律に明記されています。
安全委員会(安衛法第17条)と衛生委員会(安衛法第18条)は、安全衛生委員会(安衛法第19条)として統合して設置することも可能です。実務では統合型が多く、「合同委員会」として運営するケースが多いですが、法律上は別物です。
【実務・条文構造】
安衛法第18条が定める衛生委員会の調査審議事項(主要なもの):
1. 労働者の健康障害を防止するための基本対策
2. 労働者の健康の保持増進を図るための基本対策
3. 労働災害の原因及び再発防止対策(衛生に係るもの)
4. 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立(選択肢オ・正しい)
5. 長時間労働による健康障害防止対策
6. 過重労働による健康障害防止(安衛法第66条の8関連)
委員の構成(安衛法第18条第2項):
- 議長: 総括安全衛生管理者または事業の実施を統括管理する者(選択肢イの誤りの根拠)
- 衛生管理者(1人以上)
- 産業医(1人以上)← 任意でなく必須(選択肢エの誤りの根拠)
- 当該事業場の労働者で衛生に関し経験を有するもの(衛生に係る学識経験者)
委員の半数は、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者が推薦した者としなければなりません(安衛法第18条第4項)。
運営の規定(安衛則第23条):
- 開催頻度: 毎月1回以上
- 記録の作成・保存: 3年間(安衛則第23条第4項)
- 労働者への周知: 事業場内の見やすい場所に常時掲示するか、書面を交付する等の方法で周知
【試験での位置づけ】
衛生委員会の問題では「議長は誰か(衛生管理者ではなく総括安全衛生管理者等)」「産業医の参加は義務か任意か(義務)」「開催頻度(月1回以上)」「記録保存期間(3年)」「調査審議事項にメンタルヘルスが含まれるか(含まれる)」の5点が繰り返し問われます。このうち「議長が衛生管理者」という誤りは最頻出の引っかけであり、「産業医の参加が任意」もよく登場します。安全委員会(安衛法第17条)の設置対象業種(製造業・建設業・林業・鉱業等の50人以上)との対比も重要な知識です。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 衛生委員会は全業種50人以上が設置義務(安衛法第18条・安衛令第9条)。「30人以上」とする誤りは設置基準の数値の引っかけです。安全委員会は政令で定める業種(製造業・建設業等)の50人以上のみ(安衛法第17条)。安全衛生委員会として統合設置も可(安衛法第19条)。この3つを混同しないことが重要です。
- イ: 議長が「総括安全衛生管理者等」とされる理由は、経営トップに近い立場の者が主導することで、委員会の決定が実際の職場改善に反映されやすくするためです。衛生管理者は委員として参加しますが、意思決定者(議長)ではありません。
- ウ: 開催頻度は「毎月1回以上」(安衛則第23条第1項)。「3か月に1回」とする誤りは産業医の巡視頻度(一定条件下で2か月に1回に緩和可)等と混同させる引っかけです。議事録(記録)の3年保存(安衛則第23条第4項)も、健康診断記録(5年)や特殊健診記録(一部30年)と混同しがちです。委員会記録→3年、定期健診記録→5年で整理しましょう。
- エ: 産業医が必須委員とされる理由は、健康管理・医学的判断を要する議題(健康診断結果・長時間労働者の面接指導等)を専門家として審議するためです。実務では産業医が委員会の中心的な医学的アドバイザーとして機能します。
- オ: メンタルヘルス対策が法定の調査審議事項に追加されたのは比較的近年(2006年の安衛法改正)。ストレスチェック制度(2015年)・高ストレス者面接指導・職場のパワーハラスメント対策(2019年)と一体的に理解することで、現代的な職場の課題解決の文脈が見えてきます。
【根拠法令】労働安全衛生法 第18条(衛生委員会の設置・構成・調査審議事項)・第19条(安全衛生委員会)、労働安全衛生規則 第23条(衛生委員会の運営・記録保存3年)
【補足】議長は「総括安全衛生管理者または事業の実施を統括管理する者」。衛生管理者が議長になるのは誤り。産業医の委員参加は法定義務(任意ではない)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第18条(衛生委員会の設置・調査審議事項)・第19条の2(安全衛生委員会)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。