関係法令(有害業務以外)17労働基準法

衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問17:労働基準法

労働時間に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 法定労働時間は1日8時間・週40時間であり、変形労働時間制を採用している事業場ではこの制限が適用されないため、36協定の締結なしに時間外労働をさせることができる。
  • 時間外労働の上限規制(月45時間・年360時間)は、労使協定(36協定)の締結のみで課されるものであり、臨時的に特別の事情がある場合は、特別条項付き36協定なしに年720時間まで延長することができる。
  • 使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合(またはその過半数代表者)との書面による協定を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出ることにより、法定労働時間を超える時間外労働をさせることができる。正答
  • 1か月単位の変形労働時間制を採用した場合は、特定の日の労働時間が10時間を超えていても、1か月の合計所定労働時間が法定の範囲内に収まれば、その日の10時間超の部分に割増賃金を支払う必要はない。
  • 裁量労働制(専門業務型)を採用した場合は、実際の労働時間にかかわらず時間外労働が発生しないため、36協定の締結は一切不要である。
正答:使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合(またはその過半数代表者)との書面による協定を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出ることにより、法定労働時間を超える時間外労働をさせることができる。

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正しいのはウです。使用者(事業者)が時間外労働をさせるためには、労働者の過半数で組織する労働組合(またはその代表者)と書面による協定(36協定)を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出ることが必要です(労基法第36条第1項)。

各誤り: ア→変形労働時間制を採用しても36協定なしに時間外労働はさせられません(変形制は法定時間内での柔軟な配分を認めるものであり、36協定の代替ではない)。イ→特別条項付き36協定なしに年720時間まで延長することはできません(特別条項が必要)。エ→変形労働時間制でも1日10時間超の法定時間外は割増賃金の対象になります。オ→裁量労働制でも深夜・法定休日労働の割増賃金は必要で、36協定が完全に不要とはなりません。

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36協定(時間外労働・休日労働協定)の仕組みと上限規制:

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(誤): 変形労働時間制は「特定の日・週について法定時間を超えることを認める」制度ですが、変形期間全体の時間外労働には36協定が必要です。変形制は36協定の代替ではありません。
  • イ(誤): 2019年施行の働き方改革関連法により、36協定で定められる時間外労働の上限が「月45時間・年360時間」(原則)として法律上明示され、臨時的に特別の事情がある場合は「特別条項付き36協定」の締結により年720時間・月100時間未満(休日労働含む)・複数月平均80時間以内まで延長可能です。特別条項なしに年720時間まで延長することはできません。
  • ウ(正): 労基法第36条第1項の通り。36協定の締結と届出が時間外労働の適法化の要件です。
  • エ(誤): 1か月変形労働時間制(労基法第32条の2)では、特定の日について1日8時間を超えても法定時間内とみなされる場合がありますが、1日10時間を超える部分は割増賃金の対象となります(変形労働時間制では1日の上限が10時間、週の上限が52時間程度とされる場合がある)。実際には変形制特有の計算が必要です。
  • オ(誤): 専門業務型裁量労働制(労基法第38条の3)では「みなし時間」で計算しますが、深夜労働・法定休日労働の割増賃金義務は残ります。また「みなし時間」が法定労働時間を超える場合は割増賃金が発生するため、36協定が完全に不要とはなりません。
上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

法定労働時間(1日8時間・週40時間)は労基法第32条が定める基本原則です。この上限を超えて時間外労働をさせるためには「36協定」(労基法第36条の協定)の締結と届出が必要であり、これが「時間外労働の免罰的効果」の根拠となります。

2019年施行の働き方改革関連法による最大の変更点は「時間外労働の上限規制の法定化」です。それ以前は告示(行政指針)で「月45時間・年360時間を限度とすることが望ましい」とされていましたが、法律上の上限ではありませんでした。現在は法律(労基法第36条第4項〜)で上限が明記され、違反には罰則が適用されます。

【実務・条文構造】

36協定の構造(労基法第36条):

【原則の上限】(同条第4項):

  • 時間外労働: 月45時間以内・年360時間以内
  • 休日労働とは別にカウント

【特別条項付き36協定による上限】(同条第5項・第6項):

  • 臨時的に特別の事情がある場合のみ適用可
  • 年間の時間外労働: 720時間以内(休日労働含まず)
  • 単月の時間外+休日労働: 100時間未満
  • 2〜6か月の平均: 月80時間以内
  • 月45時間超となる月: 年6か月以内に限定

変形労働時間制(労基法第32条の2〜第32条の5)の種類と36協定の関係:

  • 1か月単位: 労使協定または就業規則で変形期間を定める。変形制内でも時間外は36協定が必要
  • 1年単位: 労使協定で変形期間を定める。1日10時間・週52時間が原則上限
  • フレックスタイム制: 清算期間3か月以内の範囲で時間配分を労働者に委ねる

裁量労働制(専門業務型・企画業務型)と36協定の関係:

  • 「みなし時間」(例: 1日8時間とみなす)で計算するため、実際の労働時間が「みなし時間」を超えても時間外労働が発生しないとされる
  • ただし「深夜労働(22時〜5時)」「法定休日労働」の割増賃金は裁量労働制でも必要(みなし時間から除外)
  • みなし時間が法定労働時間を超える設定(例: 1日10時間みなし)の場合は36協定が必要
  • よって「36協定が一切不要」とはなりません

【試験での位置づけ】

36協定関連の問題では「締結と届出の両方が必要」「原則上限(月45時間・年360時間)」「特別条項による上限(年720時間・月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内)」の3セットが最頻出です。変形労働時間制や裁量労働制での「36協定が不要になるかどうか」も頻出論点であり、本問のア・オのような誤りが繰り返し出題されます。「36協定の締結のみで時間外が可能」vs「締結+届出の両方が必要」という表現の正確さも問われます。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 変形労働時間制は「繁忙期と閑散期を組み合わせることで法定労働時間を超えない形で柔軟な時間配分を実現する制度」です。変形期間(1か月・1年等)全体を通じた合計時間が法定以内であれば、特定の日・週の8時間超えが許容されます。しかし変形期間を超えた時間外労働は36協定が必要です。
  • イ: 「特別条項」という概念の正確な理解が重要です。特別条項は「臨時的な事情がある場合のみ・かつ年6か月以内」という制限付きで、常態的に使用することが想定されていません。「臨時的に特別の事情」の例としては、納期逼迫・重大なシステムトラブル対応等が挙げられます。
  • ウ: 36協定の「書面による協定」という要件も重要です。口頭合意では無効です。また協定の届出先は「所轄労働基準監督署長」であり、管轄外への届出は無効となります。
  • エ: 変形労働時間制の時間外労働の計算は複雑です。1か月変形では、変形期間全体の所定労働時間が法定上限を超えた部分・特定日に1日の上限(10時間)を超えた部分・特定週に週の上限(52時間等)を超えた部分がそれぞれ時間外とみなされます。
  • オ: 裁量労働制では「実労働時間にかかわらずみなし時間で計算する」ため、深夜・休日以外の時間外概念が変わります。しかし深夜・休日の割増賃金は絶対的な強行規定(労基法第37条)として裁量制でも除外できません。

【根拠法令】労働基準法 第32条(法定労働時間)・第36条第1項(36協定の締結・届出)・第36条第4項〜第6項(上限規制・特別条項・2019年施行)

【補足】36協定は締結と届出の両方が必要。原則上限は月45時間・年360時間。特別条項があれば年720時間まで可(ただし月100時間未満・複数月平均80時間以内等の制約あり)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法(労基法)第32条(法定労働時間)・第36条(時間外労働・36協定)・第32条の2(1か月変形)・第38条の3(専門業務型裁量労働制)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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