衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問20:労働基準法
年少者の就業制限に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア使用者は、満18歳に満たない者を、坑内で労働させてはならない。
- イ使用者は、原則として午後10時から午前5時までの深夜の時間帯に満18歳に満たない者を労働させてはならないが、交替制で労働させる場合は行政官庁の許可を受けた上で午後11時まで延長することができる。正答
- ウ満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで(義務教育終了前)の者は、原則として労働させることができない。
- エ使用者は、満18歳に満たない者の年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けておかなければならない。
- オ使用者は、満18歳に満たない者を危険な業務または重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。
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誤りはイです。満18歳未満の者への深夜業禁止(労基法第61条)において、交替制の場合でも「行政官庁の許可を受けた上で午後11時まで延長できる」という規定はありません。交替制に使用する場合の例外として「満16歳以上の男性」については午後10時以降に就業させることができますが、許可制ではありません。また「午後11時まで延長」という規定も存在しません(正確には一定条件の交替制の男性のみの特例)。本選択肢の「行政官庁の許可」と「午後11時まで」の両方が誤りです。
ア(18歳未満の坑内業務禁止)、ウ(義務教育終了前の者は原則労働不可)、エ(年齢証明書の備え付け義務)、オ(危険有害業務の就業制限)はいずれも正しい記述です。
年少者保護の就業制限の全体像(労基法第56条〜第63条):
各選択肢の正誤と根拠:
- ア(正): 労基法第63条により、満18歳未満の者は坑内業務に就かせることができません(性別にかかわらず絶対的禁止)。妊産婦の坑内業務禁止(労基法第64条の2)と対になる重要規定です。
- イ(誤): 深夜業禁止の例外規定(労基法第61条第2項〜)は正確には「満16歳以上の男性(交替制勤務の場合のみ・行政官庁の許可不要)」に一定の例外があります。しかし「行政官庁の許可を受けた上で」という規定はなく、「午後11時まで延長」という表現も誤りです。本選択肢は例外の内容・手続きの両面で誤りを含んでいます。
- ウ(正): 労基法第56条第1項・第2項により、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで(中学校卒業前)の者は、原則として使用できません(行政官庁の許可を得た例外的な軽易業務・映画・演劇等を除く)。
- エ(正): 労基法第57条により、使用者は満18歳未満の者を使用する場合、その者の年齢を証明する書面(戸籍証明書)を事業場に備え付けなければなりません。
- オ(正): 労基法第62条により、使用者は満18歳未満の者を、省令で定める危険・有害な業務(重量物取扱い・高所作業・有害化学物質の取扱い等)に就かせることはできません。
【理論的背景】
年少者保護規定(労基法第56条〜第64条)は、発達途上にある若者の身体的・精神的健全な成長を確保するために設けられています。法的に成人(18歳)に達するまでの者には、労働条件の面で特別な保護が与えられます。
年少者保護の基本構造:
1. 最低年齢規制(第56条): 原則として義務教育修了前の者(中学卒業前)は使用禁止
2. 深夜業禁止(第61条): 22時〜5時は原則禁止(一部例外あり)
3. 坑内業務禁止(第63条): 年齢・性別問わず満18歳未満は絶対的禁止
4. 危険有害業務の就業制限(第62条): 省令(年少者労働基準規則)で定める業務への就業制限
5. 年齢証明書の備え付け義務(第57条): 事業場に戸籍証明書等の保管義務
【実務・条文構造】
深夜業禁止(労基法第61条)の詳細:
【原則】:
- 使用者は満18歳未満の者を「午後10時から午前5時まで」の間に労働させることはできない(同条第1項)
【例外①: 農林業・水産業・畜産業・蚕糸業】(同条第1項ただし書):
- 当該業種では深夜業禁止が適用されない
【例外②: 交替制で使用する場合(同条第2項)】:
- 行政官庁(所轄労働基準監督署長)の許可を受けた事業場であれば、満16歳以上の男性に限り、交替制使用の場合に深夜業を認める
- 「午後11時まで」という延長規定はなく、24時間のシフト制における特例として解釈されている
- 選択肢イが「行政官庁の許可を受けた上で午後11時まで延長できる」としているのは、許可制の解釈は実態に近いものの(許可制が正しい)「午後11時まで」という時間的延長という表現が誤りを含む
【例外③: 農業・水産業等以外の特定業種(別途)】
この深夜業の例外は試験で複雑に問われる部分であり、「許可」要件・対象者(16歳以上の男性のみ)・時間延長の有無について正確な理解が求められます。選択肢イのように「許可+11時まで延長」という複合的な誤りが頻出です。
年齢証明書(戸籍証明書)の備え付け義務(労基法第57条):
- 使用者は満18歳未満の年少者を使用する場合、戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない
- これは「労働者が18歳未満であることを確認したことを証拠として保持する」ための義務
- 実務では住民票・パスポート等で代替されることがありますが、法令上は「戸籍証明書」が規定されています
危険有害業務の就業制限(労基法第62条・年少者労働基準規則第7条〜第8条):
- 重量物の取扱い業務(年少者労働基準規則第7条: 断続作業では男性15〜16歳以下10kg等の制限)
- 高所作業(5m以上の高さ)
- 爆発性・発火性・引火性物質の取扱い
- 大型機械・プレス機械の操作
- 有害放射線への曝露業務等
【試験での位置づけ】
年少者保護問題では「深夜業禁止の時間帯(22時〜5時)と例外」「坑内業務は年齢・性別に関係なく18歳未満は全面禁止」「最低年齢(義務教育修了前は原則禁止)」「年齢証明書(戸籍証明書)の備え付け義務」の4点が頻出です。深夜業の例外条件(交替制・許可・16歳以上男性等)は複雑なため、「許可の要否」「対象者の範囲」「時間の延長の有無」を正確に理解しておくことが重要です。
【各選択肢の発展補足】
- ア: 坑内業務禁止(労基法第63条)は「すべての満18歳未満の者」を対象とし、性別・雇用形態を問いません。妊産婦の坑内業務禁止(第64条の2)・坑内での危険業務への女性の就業制限(第64条の3)と対比して整理すると理解が深まります。
- イ: 「行政官庁の許可を受けた上で午後11時まで延長できる」という表現の誤りのポイントは「11時まで」という具体的時間の誤りです。実際の例外は「24時間シフト制での深夜帯をまたぐ就業」の特例であり、「10時以降11時まで」という1時間の延長ではありません。
- ウ: 義務教育終了前の者でも、行政官庁の許可を得た場合に就業させられる例外があります(第56条第2項)。映画・演劇業の子役・健康・福祉に有害でなく軽易な業務への就業が許可されます。
- エ: 戸籍証明書の備え付け義務(第57条)は採用時に確認して事業場に保管する義務です。年少者本人に常時携帯させる義務ではありません。
- オ: 危険有害業務の就業制限(第62条)の具体的業務は年少者労働基準規則(労基則に相当する省令)で定められています。試験では条文上の根拠(第62条)と規則(年少者労働基準規則)の関係を理解しておくことが重要です。
【根拠法令】労働基準法 第61条(深夜業禁止・例外条件)・第63条(坑内業務禁止:18歳未満は絶対的禁止)・第62条(危険有害業務就業制限)・第57条(年齢証明書の備え付け義務)・第56条(最低年齢・義務教育修了前は原則禁止)
【補足】深夜業の例外(交替制・許可・16歳以上男性)の正確な条件・「午後11時まで延長」という規定は存在しない。坑内業務禁止は18歳未満全員(性別問わず)の絶対的禁止。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働基準法(労基法)第56条(最低年齢)・第58条・第61条(深夜業禁止)・第62条(危険有害業務の就業制限)・第63条(坑内業務禁止)・第57条(年齢証明書)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。