民法104民法債権各論

行政書士 民法 問104:民法債権各論

消費貸借および使用貸借に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか(現行民法に基づいて答えること)。

  • 消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を受け取ることを要件とする要物契約であるが、書面によれば物の交付前でも契約を成立させることができる。
  • 書面によらない消費貸借は、物の引渡しが完了するまでの間、借主が契約を解除することができる。
  • 使用貸借において、借主は貸主の承諾なくして使用借権を第三者に譲渡することができる。正答
  • 使用貸借は、借主の死亡によって終了する。
  • 消費貸借において、貸主は利息を請求できないのが原則であるが、当事者間で利息を付する合意をすることは可能である。
正答:使用貸借において、借主は貸主の承諾なくして使用借権を第三者に譲渡することができる。

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ウが誤りです。使用貸借における使用借権(使用収益権)は一身専属的な権利であり、借主は貸主の承諾なく使用借権を第三者に譲渡することはできません(民594条2項)。アは正しく(民587条・要物契約が原則、書面による場合は諾成的消費貸借が認められる・民587条の2)、イは正しく(書面によらない消費貸借は物の引渡し前に借主が解除可能・民587条の2第2項)、エは正しく(使用貸借は借主の死亡で終了・民597条3項)、オは正しく(消費貸借は原則無利息、特約で利息付き可・民589条)。

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ウが誤りです。民法594条2項は「借主は、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物を使用又は収益させることができない」と規定しています。使用借権は一身専属的な権利であり、借主は貸主の承諾なく使用借権を譲渡することはできません。ウの「承諾なくして譲渡できる」という記述が誤りです。

アは正しいです。民法587条(消費貸借の原則)は物の交付(受取り)を要件とする要物契約ですが、民法587条の2(書面による消費貸借)は「書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる」として諾成的消費貸借を認めています(2020年改正で明文化)。

イは正しいです。民法587条の2第2項は、書面によらない消費貸借(民587条の原則)において物の引渡し前に借主が解除できると規定しています(ただし貸主に損害が生じた場合は賠償義務)。

エは正しいです。民法597条3項は「借主が死亡したときは、貸主は、契約の解除をすることができる」と規定しており、使用貸借は借主の死亡によって終了します(貸主の死亡では終了しない点に注意)。

オは正しいです。民法589条は「貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することができない」として無利息が原則、特約で利息付きが可能とします。

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【理論的背景】

消費貸借(民587条〜591条)は、借主が物(金銭等)を受け取り、同種・同量の物を返還する契約です。要物契約(物の引渡しが契約成立要件)という性質を持つため、口約束だけでは契約が成立せず、実際に物が渡されて初めて成立します。しかし2020年施行の改正民法(587条の2)により、「書面による消費貸借」という諾成的な形式が新設され、実務上のニーズ(銀行ローン契約の締結時期の柔軟化等)に対応しました。使用貸借(民593条〜600条)は、無償で物を貸し借りする契約であり、賃貸借と異なり借主の一身専属性が強調されています(借主の死亡で終了・民597条3項)。

【条文構造】

消費貸借と使用貸借の対比を整理します。

[消費貸借]

民587条:原則として要物契約(物の交付が成立要件)。

民587条の2:書面による消費貸借は諾成的に成立可能(2020年改正で新設)。物の引渡し前に借主が解除可能(ただし貸主への損害賠償義務)。

民589条:利息特約がなければ無利息(賃貸借と異なる)。

民591条:返還時期の合意、合意がない場合は相当期間後に返還請求可。

[使用貸借]

民593条:無償・諾成的成立(物の引渡し不要・合意で成立)。

民594条2項:使用借権の一身専属性・貸主の承諾なく譲渡・転貸不可。

民597条:使用貸借の終了事由(使用目的の達成・期間満了・借主の死亡・等)。

民597条3項:借主の死亡→貸主は解除可能(使用貸借の一身専属性の帰結)。

【試験での位置づけ】

行政書士試験での消費貸借・使用貸借の典型論点は、①消費貸借の要物契約の原則と書面による諾成的消費貸借(2020年改正)、②書面によらない消費貸借の物引渡し前の借主の解除権、③使用借権の一身専属性(第三者への譲渡・転貸には貸主の承諾必要)、④使用貸借の借主の死亡による終了(貸主の死亡では終了しない)の4点です。使用貸借と賃貸借の比較(賃貸借は賃借権の譲渡・転貸に貸主の承諾が必要だが、契約は一身専属性ほど強くない・借主の死亡で終了しない)も重要な対比問題です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 正しい。書面による消費貸借(民587条の2)は、2020年改正で新設された。電子消費貸借契約(電磁的記録によるもの)も「書面」に含まれる(民587条の2第4項)。実務上、銀行の金銭消費貸借契約書は書面による消費貸借として成立・物の交付(振込)前に契約が成立する。
  • イ: 正しい。民587条の2第2項が根拠。借主保護の観点から、書面による諾成的消費貸借でも実際に物を受け取る前であれば解除できる。ただし貸主に損害(準備費用等)が生じた場合は賠償義務がある。
  • ウ: 誤り(正答)。民594条2項の明文規定。使用借権は一身専属的性格が強く、借主の個性・信頼関係に基づいて貸与されるため、無断での譲渡・転貸は禁止される。賃貸借(民612条・貸主の承諾なく賃借権を譲渡・転貸した場合は解除可能)と類似しているが、使用貸借はより厳格。
  • エ: 正しい。民597条3項による借主の死亡→終了。一方、貸主が死亡した場合は使用貸借は相続人(貸主の地位を継承)と借主との間で存続する(貸主の死亡は終了事由でない)。
  • オ: 正しい。民589条・消費貸借の利息は特約がなければ発生しない(原則無利息)。賃貸借(賃料は有償の本質)と異なり、消費貸借はもともと無償を原則とする(ただし金銭消費貸借では利息特約が一般的)。

【根拠条文】

民法 第587条(消費貸借・要物契約の原則)、第587条の2(書面による消費貸借・2020年改正)、第589条(利息特約)、第593条(使用貸借の成立)、第594条第2項(使用借権の一身専属性)、第597条第3項(借主の死亡による終了)

【補足】

消費貸借の書面による諾成的成立(民587条の2)は2020年改正で新設。使用貸借は借主の死亡で終了するが、貸主の死亡では終了しない非対称性に注意。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(過去問の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法 第587条(消費貸借の成立)、第587条の2(書面による消費貸借)、第593条(使用貸借の成立)、第594条(使用貸借の借主の注意義務等)、第597条(使用貸借の終了) 現行法(2026年度基準)に準拠し、根拠条文・判例を明記しています。

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