危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問58:燃焼範囲(爆発限界)
次の第4類危険物の燃焼範囲(約値・設計doc §1-2確定値)に関する記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- アガソリンの燃焼範囲の下限値は約1.4vol%であり、ごく薄い蒸気混合気でも燃焼する危険がある。
- イ二硫化炭素の燃焼範囲(約1.3〜50vol%)は第4類危険物の中でも特に広く、発火点が約90℃と低いことと合わせて危険度が極めて高い。
- ウメタノールの燃焼範囲は約6〜36vol%で、下限値がガソリン(約1.4vol%)より高いため、ガソリンより薄い蒸気濃度では燃えない。
- エ燃焼範囲の広さだけが危険度を決めるわけではなく、下限値の低さが単独で引火危険に直結するため、燃焼範囲が狭くても下限値が低ければ危険である。
- オ灯油の燃焼範囲(約1.1〜6vol%)は上限値が低く範囲が狭いので、ガソリンや二硫化炭素と比べて蒸気が空気と混ざる大半の場面では燃焼する危険はほとんどない。正答
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誤っているのはオです。燃焼範囲が狭くても、下限値以上の蒸気濃度に達すれば燃えます。灯油の燃焼範囲(約1.1〜6vol%)は範囲は狭いですが、加熱・霧化で引火危険が増します。「ほとんど危険はない」という表現は誤りです。
- ア(正): ガソリン下限1.4vol%は低い。
- イ(正): 二硫化炭素は燃焼範囲広く発火点低い。
- ウ(正): メタノール下限6>ガソリン下限1.4→薄くては燃えない。
- エ(正): 下限低い=危険大。
- オ(誤): 狭くても下限以上になれば燃える。安全と断言は誤り。
各物質の燃焼範囲と危険度(設計doc §1-2確定値):
| 物質 | 燃焼範囲(vol%) | 下限値 | 上限値 |
|---|---|---|---|
| ガソリン | 約1.4〜7.6 | 1.4 | 7.6 |
| 二硫化炭素 | 約1.3〜50 | 1.3 | 50 |
| メタノール | 約6〜36 | 6 | 36 |
| 灯油 | 約1.1〜6 | 1.1 | 6 |
各選択肢の検討:
- ア(正): ガソリンの下限値1.4vol%は低い。少量の蒸気でも引火の危険がある。
- イ(正): 二硫化炭素は燃焼範囲が1.3〜50と極めて広く、かつ発火点約90℃と低い。複合的な危険物質。
- ウ(正): メタノール下限値6vol%はガソリン1.4vol%より高い。薄い混合気では燃えない。
- エ(正): 下限値の低さが引火危険の核心。狭くても下限が低ければ危険(灯油の下限1.1はガソリンより低い)。
- オ(誤・正答): 灯油の燃焼範囲(1.1〜6%)は狭いが、下限値が1.1%と低く、蒸気濃度がその範囲に入れば燃焼する。常温では引火点(40℃以上)に未達で蒸気が下限に届かないだけで、加熱・霧化・布への染み込みで下限に達することがある。「大半の場面で危険はほとんどない」は誤り。
引っかけパターン: 燃焼範囲が狭い=安全とする(オ)、下限値を無視して上限値だけで判断する。「下限が低い・範囲が広い→危険大」を固定します。
【理論的背景】
燃焼範囲(爆発限界)の危険度評価では、下限値の低さが最も重要です。下限値が低いほど少量の蒸気発生でも燃焼可能な濃度に達しやすく、引火の機会が多い。上限値の高さ(範囲の広さ)は、過濃厚混合気でも燃焼するという別の危険を意味します。単純に「範囲が広い=危険、狭い=安全」という二項対立ではなく、下限値・上限値・範囲の三者を合わせて評価する必要があります。
【各物質の燃焼範囲詳細分析(設計doc §1-2確定値)】
- ガソリン(1.4〜7.6%): 下限値1.4と低く、かつ引火点−40℃以下(常温で蒸気が燃焼下限を常に上回る)。危険度極めて高い。
- 二硫化炭素(1.3〜50%): 下限値1.3とガソリン並に低く、かつ上限値50%と広い。発火点約90℃の低さも重なり、第4類中でも最危険物質の一つ。
- メタノール(6〜36%): 下限値6%と高め。引火点11℃で常温でも危険だが、「薄い混合気では燃えない」という特性がある。水溶性で希釈消火が可能。
- 灯油(1.1〜6%): 下限値1.1とガソリンより低い。上限値6%と狭いが、下限値の低さは注目に値する。引火点40℃以上という条件下では常温で蒸気が下限に届かないが、加熱・霧化・布染み込みで状況が変わる。
灯油の誤解「安全」との関係:
灯油の燃焼下限値(約1.1%)はガソリン(約1.4%)より低いという点は驚くべき事実です。灯油が「常温では比較的安全」なのは、引火点が40℃以上で常温では蒸発量が少なく燃焼下限(1.1%)に届かないからです。しかし:
- 灯油ストーブへの給油中に引火点付近の熱で蒸気が増加→点火源(スパーク等)で引火事故が多発。
- 霧状・布への染み込み: 蒸発面積増大で蒸気濃度が上昇→燃焼下限に達しやすい。
- 加熱タンクや夏場の高温環境: 液温が引火点に近づき危険増大。
これらを踏まえ「燃焼範囲が狭い灯油は安全」という誤認は危険です。
【危険物との接続】
燃焼範囲の概念は以下の実務に直接接続します。
- 火災予防(換気): 可燃性蒸気の濃度を燃焼下限値以下に保つことが換気の目標。
- ガス検知器の設定: 燃焼下限値の25〜50%でアラームを設定し、下限到達前に警告を発する。
- 爆発危険区域の分類: 燃焼下限値以上の蒸気が存在し得る場所を危険区域とし、防爆電気機器の使用を義務付ける。
【試験での位置づけ】
燃焼範囲の物質間比較は頻出(頻出度A)です。核心は、(1)二硫化炭素(1.3〜50%)が最も広い、(2)ガソリン(1.4〜7.6%)と灯油(1.1〜6%)の下限値の大小(灯油の方が下限低い)、(3)メタノール(6〜36%)は下限値が高く薄い濃度では燃えない、(4)燃焼範囲が狭くても下限値が低ければ危険、です。引っかけは「燃焼範囲が狭い灯油は安全」(本問のオ)です。各物質の燃焼範囲の値(§1-2確定値)を暗記して比較できるようにします。
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): ガソリン下限1.4%は低く、少量蒸気で引火可能。
- イ(正): 二硫化炭素は燃焼範囲1.3〜50%で広く、発火点90℃と複合的危険。
- ウ(正): メタノール下限6%はガソリン1.4%より高い。薄い混合気では燃えない。
- エ(正): 下限値の低さが引火危険の指標。狭い範囲でも下限が低ければ危険。
- オ(誤): 燃焼範囲が狭くても下限値1.1%は低く、加熱・霧化で燃焼範囲内に入る。「大半の場面で危険なし」は誤り。
【根拠】確立した化学(燃焼範囲の定義と危険度評価)。設計doc §1-2確定値(ガソリン1.4〜7.6・二硫化炭素1.3〜50・メタノール6〜36・灯油1.1〜6)。
【補足】燃焼範囲が狭くても下限値が低ければ危険(灯油1.1<ガソリン1.4)。二硫化炭素は範囲広+下限低+発火点低の三重危険。メタノールは下限高め(6%)。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): ガソリン1.4〜7.6・二硫化炭素1.3〜50・メタノール6〜36・灯油1.1〜6すべて§1-2一致。灯油下限1.1<ガソリン1.4の比較正。正答オ一意。OK -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した化学(燃焼範囲と危険度)・設計doc §1-2確定値(灯油燃焼範囲1.1〜6vol%)。オは「範囲が狭いからほとんど危険がない」という誤り。下限値が1.1vol%と低く、燃焼範囲が狭くても蒸気濃度がわずかでもその範囲に入れば燃焼する(常温で引火しないのは引火点が40℃以上で蒸気が燃焼下限に届かないから)。「狭い範囲≠安全」であり、加熱・霧化等で下限に達すれば引火する。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。