危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問61:燃焼の三要素・燃焼形態
燃焼形態に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア木材の燃焼は、液体が蒸発した蒸気が燃える「蒸発燃焼」の典型例である。
- イ第4類危険物(引火性液体)は、液体が直接燃えるのではなく、液面から蒸発した可燃性蒸気が空気と混合して燃える「蒸発燃焼」である。正答
- ウコークス・木炭の燃焼は、蒸気を出さず固体表面で直接酸化が起こる「分解燃焼」に分類される。
- エニトロセルロースなど分子内に酸素を含む物質が燃える形態を「表面燃焼」という。
- オ蒸発燃焼では、可燃物を取り除く除去消火が最も有効で、窒息消火は効果がない。
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正しいのはイです。ガソリンや灯油などの第4類危険物は、液体そのものが燃えるのではなく液面から蒸発した蒸気が空気と混ざって燃えます(蒸発燃焼)。
- ア(誤): 木材は熱分解したガス(分解ガス)が燃える(分解燃焼)。
- イ(正): 第4類(引火性液体)は蒸気が燃える蒸発燃焼。
- ウ(誤): コークス・木炭は固体表面で直接燃える(表面燃焼)。
- エ(誤): 分子内酸素を持つ物質の燃焼は自己燃焼(内部燃焼)。
- オ(誤): 蒸発燃焼にも窒息消火(液面を覆う)は有効。
「第4類は蒸発燃焼」を固定します。
燃焼形態の分類:
燃焼形態は「何が燃えるか」で分類します。
| 燃焼形態 | 定義 | 代表例 |
|---|---|---|
| 蒸発燃焼 | 液体・固体が蒸発し、その蒸気が燃える | 第4類危険物(引火性液体)・ロウ・ナフタレン |
| 分解燃焼 | 固体・液体が熱分解してガスを出し、そのガスが燃える | 木材・紙・石炭・プラスチック |
| 表面燃焼 | 固体表面で直接酸化反応が起こる(蒸気やガスが出ない) | コークス・木炭(炭化後)・金属粉 |
| 自己燃焼(内部燃焼) | 分子内に酸素を含む物質が、外部酸素なしに燃える | ニトロセルロース・ニトログリセリン・TNT |
各選択肢の検討:
- ア(誤): 木材は分解燃焼(熱分解で可燃性ガスを発生させて燃える)。蒸発燃焼ではない。
- イ(正): 第4類危険物は液面から蒸発した蒸気が燃える蒸発燃焼。液体が直接燃えるわけではない。
- ウ(誤): コークス・木炭は表面燃焼(固体表面が直接酸化)。分解燃焼ではない。
- エ(誤): 分子内酸素を持つ物質は自己燃焼(内部燃焼)。表面燃焼ではない。
- オ(誤): 蒸発燃焼にも窒息消火(泡・CO2等で液面を覆い蒸気発生を断つ)は有効。第4類の消火の基本は窒息。
引っかけパターント: 木材を蒸発燃焼とする(ア)、コークスを分解燃焼とする(ウ)。「第4類=蒸発燃焼・木材=分解燃焼・コークス=表面燃焼」を固定します。
【理論的背景】
燃焼形態の分類は「可燃物が最終的に何の状態で燃えているか(何が燃えているか)」を示します。有炎燃焼(炎を伴う燃焼)では気相でのラジカル連鎖反応が起こります。蒸発燃焼・分解燃焼では気相(蒸気・ガス)が燃え、表面燃焼では固相が直接燃えます(グロー燃焼、炎が出ない場合がある)。
【各燃焼形態の詳細】
1. 蒸発燃焼(第4類危険物の基本)
引火性液体は液面から蒸発した可燃性蒸気が空気と混合し、この気相混合物が燃えます。「液体が燃える」のではなく「蒸気が燃える」のが正確な表現です。このため:
- 燃焼を止めるには蒸気の発生を遮断するか(液面を覆う=窒息消火)、蒸気濃度を燃焼下限以下にするか、連鎖反応を断つ(抑制消火)のが有効。
- 棒状注水は液面拡大→蒸気発生増大→延焼拡大で逆効果。
蒸発燃焼の物質: ガソリン・灯油・軽油・アルコール類・ロウソク(液体が溶けて蒸発)・ナフタレン(固体だが蒸発しやすい)など。
2. 分解燃焼
固体・液体が加熱されて熱分解し、分解ガス(可燃性ガス)を発生させ、そのガスが燃えます。熱分解は固体の可燃物(木材、石炭、プラスチック等)に多く見られます。
- 木材: 加熱→セルロース等が熱分解→可燃性ガス(CO・CH4・H2等)を生成→炎上
- 消火: 冷却(水)が有効(固体を冷やしてガス発生を止める)。
3. 表面燃焼(グロー燃焼)
コークスや木炭(揮発分がほぼない炭化物)は蒸気もガスも出さず、固体表面に酸素が直接触れて酸化反応が起こります(炎がなく赤く光る=グロー燃焼)。
- 消火: 窒息(酸素遮断)または冷却。抑制消火(ハロゲン化物)は気相連鎖反応がないため効果が低い。
4. 自己燃焼(内部燃焼)
分子内に酸素(酸化剤)を持つ物質(ニトロセルロース・ニトログリセリン・TNT・過酸化物)は外部の酸素なしに燃焼・分解を起こします。
- 消火が困難(酸素遮断が効かない)。第4類ではなく第5類(自己反応性物質)や危政令での特定物質の特性。
【危険物との接続】
第4類危険物の蒸発燃焼という理解から導かれる消火方針:
- 液面の蒸気発生を止める(窒息)=泡・CO2・粉末・砂等で液面を覆う
- 蒸気の連鎖反応を断つ(抑制)=粉末・ハロゲン化物
- 棒状注水(液面拡大)は原則不適
【試験での位置づけ】
燃焼形態は頻出(頻出度A)です。核心は、(1)第4類(引火性液体)=蒸発燃焼、(2)木材=分解燃焼、(3)コークス・木炭=表面燃焼、(4)自己燃焼は分子内酸素を持つ物質、です。引っかけは、木材を蒸発燃焼とする(ア)、コークスを分解燃焼とする(ウ)、自己燃焼を表面燃焼とする(エ)です。「第4類は蒸発燃焼・液体が直接燃えるわけではなく蒸気が燃える」を固定します。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 木材は分解燃焼(熱分解ガスが燃える)。
- イ(正): 第4類(引火性液体)は液面蒸気が燃える蒸発燃焼。
- ウ(誤): コークス・木炭は表面燃焼(固体表面が直接酸化)。
- エ(誤): 分子内酸素を持つ物質の燃焼は自己燃焼(内部燃焼)。
- オ(誤): 蒸発燃焼にも窒息消火(液面を覆う)は有効。
【根拠】確立した化学(燃焼形態の分類)。
【補足】第4類=蒸発燃焼(液面蒸気が燃える)・木材=分解燃焼・コークス/木炭=表面燃焼・ニトロセルロース等=自己燃焼。蒸発燃焼への消火は窒息・抑制が基本(棒状注水は不適)。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 第4類=蒸発燃焼・木材=分解燃焼・コークス/木炭=表面燃焼・ニトロセルロース=自己燃焼の割当て正。正答イ一意。OK -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した化学(燃焼形態の分類)。第4類危険物(引火性液体)は液面から蒸発した蒸気が燃える蒸発燃焼(気相燃焼)。木材は熱分解によるガスが燃える分解燃焼。コークス・木炭は固体表面で直接燃える表面燃焼。自己燃焼(内部燃焼)は分子内酸素を持つ物質(ニトロセルロース等)の燃焼形態。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。