危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問62:燃焼の三要素・燃焼形態
第4類危険物(引火性液体)の火災への消火方法に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア第4類危険物の火災には、液面を泡で覆う窒息消火が有効である。
- イ棒状の水流を第4類危険物の火災に使用すると、燃焼している危険物を液面に広げ延焼を拡大させる危険がある。
- ウ二酸化炭素消火剤は、酸素濃度を低下させる窒息消火として第4類危険物の火災に適用できる。
- エ水溶性の第4類危険物(アルコール類等)の火災には、通常の泡消火剤ではなく耐アルコール泡を使用する必要がある。
- オ粉末消火剤(ABC等)は窒息作用のみで機能し、連鎖反応を断つ抑制作用はない。正答
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誤っているのはオです。粉末消火剤は窒息作用に加え、連鎖反応を断つ抑制作用(負触媒作用)も持ちます。「窒息のみ」は誤りです。
- ア(正): 泡で液面を覆う窒息消火は第4類に有効。
- イ(正): 棒状注水は燃焼液体を広げ延焼が拡大する。
- ウ(正): 二酸化炭素は酸素濃度低下で窒息消火。
- エ(正): 水溶性危険物には耐アルコール泡が必要。
- オ(誤): 粉末は窒息+抑制(負触媒)の両方。
「粉末=窒息+抑制の両方・水溶性に通常泡は不可」を押さえます。
第4類火災への消火方法の適否:
第4類危険物(引火性液体)の火災は蒸発燃焼なので、液面の蒸気供給を断つ(窒息)・連鎖反応を断つ(抑制)が基本です。
各消火剤の原理:
| 消火剤 | 主な消火原理 | 第4類への適否 |
|---|---|---|
| 泡(通常) | 窒息(液面を泡膜で覆う) | 適(非水溶性) |
| 耐アルコール泡 | 窒息 | 適(水溶性) |
| 二酸化炭素(CO2) | 窒息(酸素濃度低下) | 適 |
| 粉末(ABC等) | 窒息+抑制(負触媒) | 適 |
| ハロゲン化物 | 主に抑制(負触媒) | 適 |
| 棒状水流 | 冷却(主) | 原則不適(液面拡大) |
各選択肢の検討:
- ア(正): 泡の窒息消火は第4類に有効。
- イ(正): 棒状注水は燃焼液体を広げ延焼拡大(原則不適)。
- ウ(正): CO2は窒息消火として使用可。
- エ(正): 水溶性危険物(アルコール類等)は通常の泡を溶かすため、耐アルコール泡(水溶性泡)が必要(設計doc §1-3確立事実)。
- オ(誤・正答): 粉末消火剤(ABC粉末等)は窒息作用と抑制(負触媒)作用の両方を持つ。「窒息のみ」は誤り。ハロゲン化物は主に抑制(負触媒)作用を持つ。
引っかけパターン: 粉末消火剤の作用を窒息のみとする(オ)、ハロゲン化物と粉末の消火原理を混同する。「粉末=窒息+抑制(両方)・ハロゲン化物=主に抑制」を固定します。
【理論的背景】
第4類危険物の火災消火を考えるには、燃焼の四要素(可燃物・酸素・熱・連鎖反応)のどれを断つかを明確にすることが重要です。各消火剤はそれぞれ異なる消火原理を持ち、適切な選択が火災の規模・危険物の種類に応じて求められます。第4類は液面から蒸発した蒸気が燃える蒸発燃焼なので、蒸気供給の遮断(窒息)と連鎖反応の抑制が主力となります。
【消火剤と作用の詳細】
泡消火剤(通常泡): 液面に泡膜を形成し、蒸気の発生を遮断(窒息)する。水性膜泡(AFFF)、蛋白泡等。非水溶性危険物に有効。水溶性液体(アルコール・酢酸等)には溶けて消えるため無効→耐アルコール泡(水溶性泡・ATC泡)が必要。
粉末消火剤(ABC粉末・BC粉末等):
- 窒息作用: 粉末が燃焼面を一時的に覆う。
- 抑制(負触媒)作用: 粉末中の活性成分(炭酸水素ナトリウム等)が燃焼の連鎖反応(ラジカル反応)を化学的に断ち切る。速効性が高く、油火災(B火災)に優れる。
- 粉末は電気絶縁性も高く、電気火災(C火災)にも使用可能(ABC粉末はA・B・C全対応)。
ハロゲン化物消火剤:
- 主に抑制(負触媒)作用。フッ素・塩素・臭素等のハロゲン原子がラジカル連鎖を断ち切る。
- 少量で高い消火効果があり、精密機器室・電算機室等に使用される。ただし環境負荷(オゾン層破壊)の観点から日本では製造中止になったものが多い。
二酸化炭素消火剤:
- 酸素を不燃性ガス(CO2)で希釈して酸素濃度を下げる窒息消火。
- 電気絶縁性があり電気設備に使用可。残留物がなく精密機器に優しい。
- 密閉空間で大量放出すると酸欠の危険があり、人がいる場所では使用後の退室が必要。
棒状注水(水):
- 冷却消火として有効(水の比熱・蒸発熱が大きい)。
- 第4類危険物の火災には原則不適: 液体が液比重<1(水に浮く)ため、水が燃焼している油を液面に広げ、燃焼面を拡大させる。
- 例外的に、霧状(噴霧)水は第三・第四石油類や水溶性液体(引火点が高く燃焼範囲が狭い)への補助消火として有効な場合がある(設計doc §1-3注記)。ただし「第4類への注水は一律に全面禁止」ではなく「棒状注水は原則不適」が正確。
【危険物との接続】
水溶性危険物(アルコール類・酢酸等)への消火は専用の耐アルコール泡が必須です。これはアルコール類が水溶性のために通常の泡膜を溶かして破壊するためです。乙四の試験では「アルコール類の火災に通常泡は不適・耐アルコール泡が必要」は頻出知識です。
【試験での位置づけ】
第4類火災への消火方法は頻出(頻出度A)です。核心は、(1)窒息(泡・CO2・粉末・乾燥砂)が主力、(2)棒状注水は原則不適(液面拡大)、(3)粉末消火剤は窒息+抑制(負触媒)の両方(窒息のみではない)、(4)水溶性には耐アルコール泡が必要、です。引っかけは粉末を「窒息のみ」とする(本問のオ)、ハロゲン化物と粉末の消火原理を逆にする、です。「粉末=窒息+抑制・水溶性=耐アルコール泡」を固定します。
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): 泡の窒息消火は第4類(非水溶性)に有効。
- イ(正): 棒状注水は液面拡大→延焼拡大→原則不適。
- ウ(正): CO2は窒息消火。電気設備でも使用可。
- エ(正): 水溶性危険物には耐アルコール泡が必要。
- オ(誤): 粉末は窒息+抑制(負触媒)の両方。「窒息のみ」は誤り。
【根拠】確立した消火理論(設計doc §1-3)。粉末消火剤=窒息+抑制(負触媒)。水溶性液体への通常泡は不適、耐アルコール泡が必要。棒状注水は第4類に原則不適(液面拡大)。
【補足】粉末=窒息+抑制(両方)・ハロゲン=主に抑制・CO2=主に窒息・棒状注水=原則不適・水溶性=耐アルコール泡。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 粉末=窒息+抑制(§1-3)・水溶性=耐アルコール泡・棒状注水原則不適、いずれも正。「注水一律不可」を正答にしていない(霧状水の例外を尊重)。正答オ一意。OK -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した消火理論(設計doc §1-3)。粉末消火剤(ABC粉末等)は窒息作用に加え、負触媒(抑制)作用も持つ。「窒息のみ」は誤り。ハロゲン化物は主に抑制作用。二酸化炭素は主に窒息。水溶性液体への通常泡は泡が溶けて消えるため耐アルコール泡が必要(設計doc §1-3確立事実)。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。