危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問64:静電気
危険物取扱い時の静電気防止対策に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア液体危険物を配管内で輸送する際は、流速を速めることで静電気の発生を抑えることができる。正答
- イ金属製のタンクや配管を接地(アース)することで、帯電した電荷を大地に逃がして蓄積を防ぐことができる。
- ウ異なる金属容器間で液体危険物を移送する際は、ボンディング線(等電位化線)で接続して電位差をなくし放電を防ぐ。
- エ作業場の湿度を高く保つと、物体表面の電荷が水分を介して逃げやすくなり静電気が蓄積しにくくなる。
- オ引火性の危険物を入れた容器を使用する際、ゴム底の靴は静電気をこもらせやすいため、帯電防止靴や導電性靴を使用するとよい。
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誤っているのはアです。配管内の流速を速めると液体と管壁の摩擦が増えて静電気がより多く発生します。防止策は「流速を遅くする(制限する)」です。
- ア(誤): 流速を速める→静電気増大。逆。
- イ(正): 接地(アース)で電荷を大地に逃がす。
- ウ(正): ボンディングで電位差をなくし放電を防ぐ。
- エ(正): 湿度高→電荷が逃げやすい→帯電しにくい。
- オ(正): 帯電防止靴・導電性靴で人体の帯電防止。
「流速制限(遅く)・接地・ボンディング・加湿が防止策」を固定します。
静電気防止策の詳細:
静電気の防止策は「発生させない」「蓄積させない」「帯電しても安全に放電させる」の三方向です。
各選択肢の検討:
- ア(誤・正答): 流速を速めると、液体と管壁の摩擦が増え静電気の発生量が増大する。正しい防止策は流速制限(遅くする)(一般的な目安として1m/s以下等、物質・条件により異なる)。流速を上げることは防止策とは逆。
- イ(正): 接地(アース): 配管・タンク等の金属体を大地(電位ゼロ)に接続し、帯電した電荷を地面に逃がす。最も基本的な帯電防止策。
- ウ(正): ボンディング(等電位化): 異なる金属容器や配管間をボンディング線で接続して電位を等しくする。電位差がなければ放電(火花)が起こらない。接地と組み合わせてより効果的。
- エ(正): 加湿(湿度管理): 湿度を上げると物体表面に水分が付着し、電荷が水分を通じて大気中に逃げやすくなる→帯電しにくい。目安として相対湿度60〜70%以上。
- オ(正): 帯電防止靴・導電性靴は靴底の電気抵抗を下げ、人体の帯電電荷を床面(地面)に逃がす。作業員の人体帯電による放電火花を防ぐ。
引っかけパターン: 「流速を速める→静電気を抑制」という逆の記述(本問のア)。「流速を遅くするが防止策」を固定します。
【理論的背景】
液体が配管内を流れる際、液体と管壁の間で電荷の分離(摩擦帯電)が起こります。流速が速いほど液体と管壁の接触・摩擦の単位時間あたりの量が増え、単位時間に発生する電荷量が増大します。このため、流速を遅くすることで静電気の発生を抑えることができます。発生した電荷が接地(アース)を通じて逃げれば蓄積はしませんが、接地がなく不良導体(石油類)の場合は電荷が液体中または容器表面に蓄積し、放電(スパーク)の危険が生じます。
【静電気防止策の体系】
1. 発生を抑える
- 流速制限: 配管内の液体輸送速度を制限する。初期充液時(タンクが空または蒸気充満時)は特に低速(例: 1m/s以下)にする。タンクへの注液が液面に達してからは少し速度を上げても良い(空タンクへの落下注液が最も危険)。
- 帯電防止剤(導電性添加剤): 液体中に導電性を高める添加剤を加えると、電荷が液体中を流れて外部に逃げやすくなる。
2. 蓄積させない(電荷を逃がす)
- 接地(アース): 電気抵抗が低い(10^6Ω以下を目安)の接地線で金属体を大地に接続。タンク・配管・受入設備すべてを接地する。
- ボンディング(等電位化): 接地してもなお電位差がある異なる金属容器間をボンディング線で接続し、電位を均等にする。これにより容器間の放電を防ぐ。
- 加湿: 相対湿度60〜70%以上に保つと、表面水分が電荷の逃げ道になる。不良導体の絶縁物(タンクの塗装・樹脂管等)にも効果がある。
3. 人体の帯電を防ぐ
- 帯電防止靴・導電性靴: 靴底の電気抵抗を下げ(10^5〜10^8Ω程度)、人体の帯電電荷を床(地面)に逃がす。
- 帯電防止作業服: 衣類摩擦による帯電を防ぐ(金属繊維を混入した導電性衣服)。
- アースバンド: 手首から接地線でつないで人体の帯電を防ぐ(電子部品取り扱い等でも使用)。
4. 放電(スパーク)を防ぐ
- 上記の接地・ボンディング・流速制限により、そもそも帯電しない状態を作る。
- 万一帯電した場合でも、低燃性蒸気環境(換気、液温管理)で蒸気濃度を燃焼下限以下に保つ(点火源があっても引火しない状態)。
【危険物との接続】
ガソリンスタンドのセルフ給油でしばしば静電気引火事故が発生します。原因は:
1. ドライバーが車内で乗り降りする際に衣類が座席と摩擦し帯電
2. 帯電したまま給油ノズルを握る
3. 給油口付近のガソリン蒸気(燃焼下限以上の濃度)に放電火花が点火
このため、給油前に「静電気除去パッド(金属製パッドに触れて帯電を逃がす)」を使用することが推奨されています。
【試験での位置づけ】
静電気防止策は頻出(頻出度A)です。核心は、(1)流速は遅くする(流速制限)(速めるは逆)、(2)接地(アース)で電荷を大地に逃がす、(3)ボンディングで電位差をなくす、(4)湿度を高く保つ(加湿)、です。引っかけは「流速を速める=静電気抑制」(本問のア)です。「流速を遅くする・接地・ボンディング・加湿が防止策」を固定します。
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 流速を速める→摩擦増大→静電気増大(防止策は流速を遅くする)。
- イ(正): 接地(アース)で電荷を大地に逃がす。
- ウ(正): ボンディングで電位差をなくし放電防止。
- エ(正): 湿度高→表面水分→電荷が逃げやすい→帯電しにくい。
- オ(正): 帯電防止靴・導電性靴で人体帯電を防止。
【根拠】確立した物理学(静電気の発生・防止策)。設計doc §1-3確立事実(接地/ボンディング/加湿/流速制限)。
【補足】静電気防止: 流速を遅くする・接地(アース)・ボンディング(等電位化)・加湿・帯電防止靴。流速を速めると静電気増大(逆効果)。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 流速は遅くする(速めるは逆=アが誤り)・接地/ボンディング/加湿/帯電防止靴は有効(§1-3)正。正答ア一意。OK -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した物理学(静電気防止策)。設計doc §1-3確立事実。流速を速めると配管内の液体と管壁の摩擦が増し、静電気の発生・帯電が増大する。防止策は「流速を遅くする(制限する)」。接地・ボンディング・加湿は正しい防止策。帯電防止靴・導電性靴による人体の帯電防止も正しい。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。