危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問66:熱量・比熱・熱膨張・熱移動
熱の移動に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア熱の移動には伝導・対流・放射(輻射)の3種類がある。
- イ熱伝導は、物質中を熱が粒子の衝突で次々と隣の粒子に伝わる現象で、固体金属で最も効率よく起こる。
- ウ対流は、液体や気体が温度差によって動く(循環する)ことで熱を運ぶ現象である。
- エ放射(輻射)は、電磁波(赤外線等)によって熱が空間を伝わる現象で、真空中では熱の移動が起こらない。正答
- オ火炎の輻射熱が離れた可燃物に達して着火するのは、放射(輻射)による熱移動の例である。
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誤っているのはエです。放射(輻射)は電磁波(赤外線等)によって熱が伝わる現象で、真空中でも伝わります(太陽からの熱が宇宙を通って地球に届くのが典型例)。「真空中では起こらない」は誤りです。
- ア(正): 熱の移動は伝導・対流・放射の3種類。
- イ(正): 熱伝導は固体中の粒子衝突。金属で効率的。
- ウ(正): 対流は流体の循環で熱を運ぶ。
- エ(誤): 放射は真空中でも伝わる(電磁波)。
- オ(正): 輻射熱による遠方着火は放射の例。
「放射(輻射)は電磁波・真空中でも伝わる」を押さえます。
熱の移動の3形態:
| 形態 | 仕組み | 媒体 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| 伝導 | 物質中を粒子の衝突・振動で熱が伝わる | 固体(特に金属) | 金属棒の加熱・フライパン |
| 対流 | 流体(液体・気体)が動いて熱を運ぶ | 液体・気体 | 湯沸かし・暖房の空気循環 |
| 放射(輻射) | 電磁波(赤外線等)で熱が空間を移動 | 不要(真空中でも可) | 太陽熱・火炎の輻射熱 |
各選択肢の検討:
- ア(正): 熱の移動は伝導・対流・放射の3種類。
- イ(正): 熱伝導は固体中(特に金属)で効率的。金属は自由電子による熱伝導も加わる。
- ウ(正): 対流は液体・気体(流体)が温度差で循環し熱を運ぶ。
- エ(誤・正答): 放射(輻射)は電磁波(主に赤外線)による熱移動で、真空中でも伝わる(媒体不要)。太陽の熱が真空の宇宙空間を通じて地球に届くのが典型例。「真空中では起こらない」は伝導・対流の説明であり放射には当てはまらない。
- オ(正): 火炎から離れた可燃物に輻射熱が達して着火するのは放射による熱移動の典型例。延焼拡大のメカニズムの一つ。
引っかけパターン: 放射(輻射)を「真空中では起こらない(媒体が必要)」とする(エ)。「放射=電磁波で媒体不要・真空中でも伝わる」を固定します。
【理論的背景】
熱の移動(伝熱)には伝導・対流・放射の3形態があり、それぞれ物理的メカニズムが異なります。
- 伝導: 物質を構成する粒子(原子・分子・自由電子)の振動・衝突により、隣の粒子にエネルギーが順次移動します。物質の存在が必須で、真空中では起こりません。固体、特に金属(自由電子が熱エネルギーを運ぶ)が最も効率的。
- 対流: 流体(液体・気体)中の密度差(温度差による)により流体が循環し、熱を運びます。流体(物質)の動きが必要なので真空中では起こりません。
- 放射(輻射): 物体が電磁波(主に赤外線)を放射・吸収することで熱が移動します。電磁波は媒体なしで空間を伝わるため、真空中でも伝わります(光速で移動)。
【3形態の詳細比較】
伝導:
- 熱伝導率(W/(m・K)): 金属(鉄80、アルミ204、銅386等)> ガラス(1.0)> 木材(0.1〜0.2)> 空気(0.026)
- 危険物タンクの壁・配管で重要(外気温が壁を通じて液温に影響する)。
- 金属は熱伝導率が高く、熱が素早く伝わる(火災時の受熱も速い)。
対流:
- 液体・気体に温度差→密度差→流動(温かい部分が上昇、冷たい部分が下降)。
- 危険物タンク内液体の対流(液面付近の液温が高くなりやすい)。
- 換気・冷却に対流を活用(暖房の放熱器、液体の冷却)。
放射(輻射):
- 全ての物体は温度に応じた電磁波(主に赤外線)を放射する(温度が高いほど強い)。
- 別の物体が電磁波を吸収して温度上昇する。
- 真空中でも伝わる(宇宙から地球への太陽エネルギーが典型例)。
- 火災との関連: 火炎や高温物体から放射される輻射熱が隣接可燃物に達して着火(延焼)する。保安距離(隣接建物への距離規制)は輻射熱による延焼防止の観点から設定される。
【危険物との接続】
3形態の熱移動は、危険物の火災・延焼防止に直接関連します。
- 伝導: 金属タンクへの熱伝導→液温上昇→引火危険(夏季直射日光・隣接火災)。耐火被覆・遮熱板の設置。
- 対流: 貯蔵庫内の空気対流で蒸気が循環・濃度上昇→換気の設計が重要。
- 放射(輻射): 延焼の主因の一つ。保安距離の根拠。遮熱板・防火壁で輻射熱を遮断。
火災時の輻射熱は放射(電磁波)なので、遮熱物(コンクリート壁等)が有効。ただし火災現場に風(対流)があると熱移動が加速される。
【試験での位置づけ】
熱の移動の3形態は頻出(頻出度B)です。核心は、(1)伝導・対流・放射の3種類、(2)放射(輻射)は電磁波で真空中でも伝わる(媒体不要)、(3)伝導と対流は物質(媒体)が必要(真空中では起こらない)、(4)延焼(輻射熱での着火)は放射の例、です。引っかけは「放射は真空中では起こらない」(本問のエ)という伝導・対流の特性を放射に混同させる誤りです。「放射=電磁波・媒体不要・真空でも可」を固定します。
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): 熱移動の3種類は伝導・対流・放射(輻射)。
- イ(正): 熱伝導は固体中の粒子衝突。金属(自由電子も寄与)が最も効率的。
- ウ(正): 対流は流体の温度差による循環で熱を運ぶ。
- エ(誤): 放射(輻射)は電磁波で真空中でも伝わる(太陽熱が典型例)。
- オ(正): 輻射熱での延焼着火は放射の例。
【根拠】確立した物理学(熱の移動の3形態:伝導・対流・放射)。放射は電磁波(主に赤外線)で真空中でも伝わる。
【補足】伝導=粒子振動の連鎖(金属で効率的・真空不可)。対流=流体循環(真空不可)。放射=電磁波(真空中でも可・延焼の一因)。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 伝導/対流/放射の定義正。放射=電磁波で真空中でも伝わる(太陽熱)=エが誤り。正答エ一意。OK -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した物理学(熱の移動)。放射(輻射)は電磁波(赤外線等)で熱が伝わる現象。電磁波は真空中でも伝わる(太陽熱が真空の宇宙空間を通じて地球に届くのが典型例)。「真空中では熱の移動が起こらない」は誤り。伝導は固体中の粒子振動の連鎖、対流は流体の流動で熱を運ぶ。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。