基礎的な物理学及び基礎的な化学69物質の三態・状態変化

危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問69:物質の三態・状態変化

液体の蒸発・沸点・蒸気圧に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 液体の表面から分子が気体になって逃げ出す現象を蒸発といい、沸点以下の温度でも起こる。
  • 液体の蒸気圧が大気圧と等しくなる温度を沸点という。
  • 蒸気圧が高い液体ほど揮発しやすく、低い沸点を持つ。
  • 気圧(大気圧)が高い場所では、液体の沸点は低くなる。正答
  • 引火性液体(第4類危険物)は蒸発によって可燃性蒸気を生じ、この蒸気の濃度が燃焼下限界以上になると引火する危険がある。
正答:気圧(大気圧)が高い場所では、液体の沸点は低くなる。

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誤っているのはエです。気圧(大気圧)が高い場所では液体の沸点は高くなります(「低くなる」は逆)。高い山では気圧が低いため水が100℃より低い温度で沸騰します(沸点が下がる)。低地(高気圧)では沸点が上がります。

  • ア(正): 蒸発は沸点以下でも起こる(表面からの蒸発)。
  • イ(正): 沸点=蒸気圧が大気圧に等しくなる温度。
  • ウ(正): 蒸気圧が高い=揮発しやすい=沸点が低い。
  • エ(誤): 気圧高→沸点は高くなる(低くなるは逆)。
  • オ(正): 第4類は蒸発蒸気が燃焼下限以上で引火する。

「気圧高→沸点高・気圧低(高山)→沸点低」を押さえます。

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蒸気圧と沸点の関係:

液体の表面では、分子が液面から気体(蒸気)として飛び出す「蒸発」が常に起こっています。蒸発した気体が液面に戻る「凝縮」との平衡状態での気体の圧力を「飽和蒸気圧(蒸気圧)」といいます。

  • 沸点の定義: 液体の蒸気圧が大気圧と等しくなる温度。この温度以上では液体が液面だけでなく内部からも気泡を発生して沸騰します。
  • 大気圧と沸点の関係: 大気圧が高いと、蒸気圧を大気圧に等しくするためにより高い温度が必要→沸点が高くなる。逆に大気圧が低いと沸点は下がる(高山では100℃以下で水が沸騰する)。

各選択肢の検討:

  • ア(正): 蒸発は沸点以下でも液面から常時起こる(沸騰は液面+内部だが蒸発は液面のみでも起こる)。
  • イ(正): 沸点は蒸気圧=大気圧になる温度。正しい定義。
  • ウ(正): 蒸気圧が高い(揮発性が高い)液体は、低い温度でも大気圧に達するため沸点が低い。
  • エ(誤・正答): 気圧が高いと沸点は高くなる(低くなるは逆)。「高山では気圧が低く沸点が低い」のは正しいが、逆方向(気圧高→沸点低)は誤り。
  • オ(正): 第4類(引火性液体)は蒸発した可燃性蒸気が燃焼下限以上になると引火する。

引っかけパターント: 気圧と沸点の大小関係を逆にする(エ)。「気圧高→沸点高・高山(気圧低)→沸点低(水が100℃以下で沸騰)」を固定します。

上級誤答論破・根拠法令まで深掘り

【理論的背景】

液体分子は熱エネルギーをもち、一定割合が液面からエネルギーを得て気体(蒸気)として飛び出します(蒸発)。密閉容器内では蒸発と凝縮が平衡状態になり、そのときの蒸気の圧力を飽和蒸気圧(蒸気圧)といいます。温度が高いほど蒸気圧は高くなります(分子の熱エネルギーが大きく、より多くの分子が液面から飛び出せる)。沸点は液体の蒸気圧が外部の圧力(大気圧)に等しくなる温度として定義されます。

【大気圧と沸点の関係】

沸点は「蒸気圧が大気圧に達する温度」なので、大気圧が変化すると沸点も変化します。

  • 大気圧が高い(海抜低い・低地): 蒸気圧を大気圧に等しくするために、より高温が必要→沸点が高くなる
  • 大気圧が低い(高山・高高度): 低い温度でも蒸気圧が大気圧に達する→沸点が低くなる(水は高山で100℃未満で沸騰する。エベレスト山頂では約70℃)。
  • 圧力鍋の原理: 密閉容器内で圧力を高めると沸点が上昇(100℃以上で調理可能)。
  • 蒸留の応用: 減圧蒸留(真空蒸留)では圧力を下げて沸点を下げ、熱分解せずに高沸点物質を蒸留できる。

本問のエは「気圧が高い→沸点が低くなる」と逆に述べており誤りです。

【蒸気圧と揮発性・引火点の関係】

蒸気圧は液体の揮発性(蒸発のしやすさ)を示します。

  • 蒸気圧が高い(揮発性が高い): 低温でも多くの蒸気を発生→沸点が低い→引火点が低い(燃焼下限に達しやすい)。

- ジエチルエーテル(沸点34℃・引火点−45℃): 蒸気圧が高く極めて揮発しやすい。

- ガソリン(混合物・沸点40〜220℃・引火点−40℃以下): 揮発性が高い。

  • 蒸気圧が低い(揮発性が低い): 高温でないと蒸気が発生しにくい→沸点が高い→引火点が高い。

- 灯油(沸点150〜300℃・引火点40℃以上): 揮発性が低い。

- 重油(引火点60℃以上): さらに揮発性が低い。

【引火点と蒸気圧の接続】

引火点は、液面近傍の蒸気(飽和蒸気)の濃度が燃焼下限界(vol%)に達する温度です。蒸気圧が高い物質は低温でも多くの蒸気を発生させ、燃焼下限界濃度に達しやすい(引火点が低い)ことと整合します。また、蒸発は沸点以下でも起こる(表面蒸発)ため、容器の開封・液の静置でも可燃性蒸気が発生し続けます(密栓保管の理由の一つ)。

【試験での位置づけ】

蒸気圧・沸点は頻出(頻出度B)です。核心は、(1)沸点=蒸気圧が大気圧に等しくなる温度、(2)蒸発は沸点以下でも起こる(液面から常時)、(3)大気圧高→沸点高・大気圧低→沸点低(高山で水が100℃未満で沸騰)、(4)蒸気圧高い=揮発性高い=沸点低い=引火点低い(危険大)、です。引っかけは「気圧が高いと沸点が低くなる」(本問のエ)という方向の逆転です。「気圧と沸点は比例(同じ方向)」を固定します。

【各選択肢の発展補足】

  • ア(正): 蒸発は沸点以下でも液面から起こる。
  • イ(正): 沸点は蒸気圧が大気圧に等しくなる温度(定義)。
  • ウ(正): 蒸気圧高い=揮発しやすい=沸点低い。
  • エ(誤): 気圧高→沸点は高くなる(低くなるは逆)。高山は気圧低→沸点低。
  • オ(正): 第4類(引火性液体)は蒸発蒸気が燃焼下限以上で引火する。

【根拠】確立した物理学(蒸気圧・沸点の定義・大気圧と沸点の関係)。沸点=蒸気圧が大気圧に等しくなる温度。大気圧高→沸点高・大気圧低→沸点低。

【補足】蒸発は沸点以下でも起こる。蒸気圧高い=揮発しやすい=沸点低い。大気圧高い→沸点高い(逆向き[気圧高→沸点低]は誤り)。

<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 沸点=蒸気圧が大気圧に等しくなる温度。大気圧高→沸点高(高山=気圧低→沸点低)。エの「気圧高→沸点低」は誤り。正答エ一意。OK -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した物理学(蒸気圧・沸点・蒸発)。沸点は液体の蒸気圧が大気圧に等しくなる温度。大気圧が高いと蒸気圧が大気圧に達するためにより高い温度が必要→沸点は高くなる。「気圧が高い→沸点が低くなる」は逆(高山では気圧が低いため沸点が下がる)。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

関連論点

蒸気圧と沸点の関係・蒸発の条件と引火性液体頻出度B

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