危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問75:物質の三態・状態変化
物質の融点・沸点に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア融点とは固体が液体になり始める温度(固体と液体が共存する温度)をいう。
- イ沸点が低い物質は蒸発しやすく、一般に引火点が低い傾向がある。
- ウ第4類危険物の多くは常温(20℃)で液体であるため、融点は20℃以下である。
- エ圧力が上昇すると、液体の沸点は低くなる。正答
- オ純粋な物質の融点と凝固点は同じ温度である。
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誤っているのはエです。圧力が上昇すると沸点は上昇(高くなる)します。逆に圧力が低下すると沸点が下がります(高山では水が低い温度で沸騰する)。
- ア(正): 融点=固体と液体が共存する温度。
- イ(正): 沸点が低い→蒸発しやすい→引火点が低い傾向がある。
- ウ(正): 第4類は常温で液体→融点が20℃以下(一般的に0℃以下が多い)。
- エ(誤): 圧力上昇→沸点上昇(低下ではない)。高圧鍋は圧力を上げて沸点を上げ、高温で調理する。
- オ(正): 純粋物質の融点と凝固点は同一温度。
圧力と沸点の関係(正比例)は覚えておく重要ポイントです。
融点・沸点・圧力の関係(確立した物理学):
- 融点: 固体と液体が平衡を保つ温度(固体が溶け始め・液体が固まり始める温度)。
- 凝固点: 液体が固体になる温度。純粋物質では融点=凝固点。
- 沸点: 蒸気圧=外圧(大気圧)となる温度。外圧が上昇するとより高温まで蒸気圧が外圧に達しないため、沸点が上昇する。
各選択肢:
- ア(正): 融点の定義として正しい(固体と液体の共存温度)。
- イ(正): 沸点が低い物質は低温でも蒸発量が多く、蒸気濃度が燃焼下限値に達しやすいため引火点が低い。ガソリン(沸点40〜220℃)・ジエチルエーテル(沸点34.6℃)が典型例。
- ウ(正): 第4類危険物は「引火性液体」に分類されており、常温(20℃)で液体であることが定義の一部。融点は常温以下(多くは−100℃〜0℃程度)。
- エ(誤): 圧力が上昇すると沸点は上昇(高くなる)する。高圧鍋(約1.2〜1.5気圧で沸点110〜120℃)が典型例。圧力が低下すると沸点は下がる(高山での水の沸騰は87℃程度)。
- オ(正): 純粋物質では融点=凝固点。混合物では融点と凝固点が一致しない場合がある。
第4類との関係: タンク貯蔵では容器内圧の上昇(温度上昇による蒸気圧上昇)への対策が設備基準の核心。
【理論的背景:圧力と沸点の関係】
沸騰は「液体の蒸気圧=外圧」で起こります。したがって外圧(大気圧)が上昇すると、沸騰するのに必要な温度(沸点)も上昇します。逆に外圧が低下すると沸点が下がります。これは以下の原則で理解できます:
- 高圧鍋(約1.2〜1.5気圧): 沸点が約110〜120℃に上昇→高温での調理が可能
- 高山(富士山頂・約0.6気圧): 沸点が約87℃に低下→水が通常より低い温度で沸騰
- 減圧蒸留(食品・製薬で使用): 低圧で蒸留することで低温での蒸留が可能
この原則は危険物の取扱いでも重要です。第4類危険物のタンク貯蔵では、夏場に気温が上昇するとタンク内の液体の蒸気圧が上昇し、タンク内圧が高まります。通気管(ベントパイプ)やブリーザーバルブはこの内圧を逃がす設備です。
【融点・凝固点と第4類危険物】
第4類危険物が「引火性液体」として分類されるのは、常温(20℃)で液体状態にあるためです。したがって融点は通常20℃以下(多くは0℃以下)です。引火性液体では融点よりも引火点・沸点・蒸気圧の方が危険性管理の観点から重要ですが、冬季に高粘度の重油や動植物油が低温で固化(凝固)することはあり、そのような物質では融点が作業条件に影響します。
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): 融点の定義。「固体と液体が共存する温度」が物理学的に正確。外圧の影響は融点にも(わずかに)あるが、沸点ほど顕著ではない(多くの物質では圧力変化の融点への影響は小さい)。
- イ(正): 沸点が低い物質(=蒸発しやすい物質)ほど引火点が低くなる傾向がある。特殊引火物(ジエチルエーテル沸点34.6℃・引火点−45℃)が典型例。ただし分子構造による例外もある。
- ウ(正): 第4類危険物は常温で液体。融点は常温以下(一般則)。特殊引火物・第一石油類は特に融点が低い。
- エ(誤): 圧力上昇→沸点上昇。「低くなる」は逆。危険物取扱いでは加熱や太陽光によるタンク内温度・圧力上昇が事故原因となるため、圧力と沸点の関係の正しい理解が重要。
- オ(正): 純粋物質では融点=凝固点(熱力学的平衡)。混合物(ガソリン等は混合物)では単一の融点を持たない場合がある。
【試験での位置づけ】
乙四試験では圧力と沸点の正方向(圧力上昇→沸点上昇)が引っかけとして出題されます。また、沸点と引火点の関係(低沸点→低引火点)は物理化学と性質科目をつなぐ論点です。タンク保管における内圧管理(法令の通気管・安全装置の設置要件)の根拠としても接続します。
【根拠】確立した物理学(圧力と沸点の関係・融点の定義)。
【補足】圧力上昇→沸点上昇(高圧鍋)・圧力低下→沸点低下(高山)。融点と凝固点は純粋物質では同一。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 圧力上昇→沸点上昇(高圧鍋)・圧力低下→沸点低下(高山)・純物質は融点=凝固点すべて正確。正答エ(圧力上昇で沸点が低くなるは逆)で一意。第4類が常温液体→融点20℃以下も妥当。確定。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した物理学(融点・沸点・圧力の関係)。圧力が上昇すると沸点は上昇(高くなる)する。圧力が低下すると沸点は低くなる。誤りはエ(方向が逆)。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。