危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問77:熱量・比熱・熱膨張・熱移動
比熱に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア比熱が大きい物質ほど、同じ熱量を与えたときに温度が上がりやすい。
- イ比熱が小さい物質ほど、同じ質量・同じ熱量を与えたとき温度変化が大きい。正答
- ウ水の比熱は有機液体(油類)より小さいため、冷却消火に不向きである。
- エ物質の比熱は温度に関係なく、常に一定の値をとる。
- オ同じ物質でも液体・固体・気体の状態によって比熱は変わらない。
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正しいのはイです。比熱が小さい物質ほど、同じ熱量を与えたときに温度変化が大きくなります。
Q = mcΔt を変形すると Δt = Q/(mc) なので、c(比熱)が小さいほど Δt が大きい。
- ア(誤): 比熱が大きい→同じ熱量で温度が上がりにくい(逆)。
- イ(正): 比熱が小さい→温度変化が大きい。正しい。
- ウ(誤): 水の比熱は有機液体(油類)より大きく(約4.2 kJ/(kg・K))、冷却効果が高い。
- エ(誤): 比熱は温度によって多少変化する(完全に一定ではない)。
- オ(誤): 固体・液体・気体で比熱は異なる(水0℃の氷は約2.1、液体水は4.2 kJ/(kg・K))。
「比熱大=温まりにくく冷めにくい」が基本です。
比熱の定義と大小の意味(確立した物理学):
比熱(c)は「1 kg の物質を 1 K(1℃)上昇させるのに必要な熱量(kJ/(kg・K) または J/(kg・K))」です。
Q = mcΔt を変形すると:
- Δt = Q / (mc)
同じ m(質量)・Q(熱量)なら、c が小さい→Δt が大きい(温度変化が大きい)。
代表的な比熱(参考値):
- 水(液体): 約 4.2 kJ/(kg・K)
- 鉄: 約 0.45 kJ/(kg・K)
- 有機液体(油類): おおむね 1.5〜2.2 kJ/(kg・K)
各選択肢:
- ア(誤): 比熱が大きい→温まりにくく冷めにくい(温度変化が小さい)。逆の記述。
- イ(正): 比熱が小さい→同じ熱量で温度変化が大きい。油は水より比熱が小さいため同じ熱量でより大きく温度が上がる。
- ウ(誤): 水の比熱は約4.2 kJ/(kg・K)で、有機液体(1.5〜2.2程度)より約2倍大きい。水が冷却消火材として優秀な理由の一つ(第4類への注水禁止は別の理由による)。
- エ(誤): 比熱は実際には温度依存性がある(ただし常温付近では概ね一定として扱う)。「常に一定」は誤り。
- オ(誤): 状態(固/液/気)によって比熱は異なる(例: 水の氷は約2.1、液体水は約4.2)。
引っかけ: ア(比熱大→温まりやすい)とウ(水の比熱が小さい)が定番の誤り記述。
【理論的背景:比熱の物理的意味と分子構造】
比熱は物質の内部エネルギー(分子の熱振動・回転・並進運動)の変化しやすさを反映します。水は水素結合のネットワークを持つため、分子間の相互作用が強く、多くのエネルギーを蓄えられます(比熱が大きい)。有機液体(炭化水素系)は分子間のファンデルワールス力が弱く、熱エネルギーが少量でも分子運動が活発になるため比熱が小さくなります。
【物質の比熱と状態の変化】
同じ物質でも固体・液体・気体で比熱は異なります:
- 氷(H2O 固体): 約 2.09 kJ/(kg・K)
- 液体水(H2O 液体): 約 4.18 kJ/(kg・K)
- 水蒸気(H2O 気体、定圧): 約 1.87 kJ/(kg・K)
液体水の比熱が最も大きいのは、液体中で水素結合が一定量存在しつつ分子が流動できる状態のためです。選択肢オ(状態によらず比熱一定)は誤りの典型です。
【第4類危険物の取扱いへの接続】
油類の比熱(1.5〜2.2 kJ/(kg・K))が水(4.2)より小さいことには実務上の意味があります:
1. 油は水より少ない熱量で大きく温度が上がる→小さな火花(静電気等)でも急速に引火点に達する可能性がある
2. 油火災への注水が不適なのは比熱の問題ではなく、水の沸騰による蒸気爆発・液面拡散(延焼)による問題
3. 水の比熱が大きいことは「冷却効果が高い」ことを意味するが、第4類では窒息消火を優先する
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 比熱大→温まりにくい。「温まりやすい」は逆。Δt = Q/(mc) から明らか。
- イ(正): 比熱小→Δt 大(温度変化が大きい)。正しい。
- ウ(誤): 水の比熱(約4.2)は有機液体(1.5〜2.2程度)より大きく、冷却効果が高い。ただし第4類への注水は液面拡散の問題で原則不可。
- エ(誤): 比熱は厳密には温度依存性があるが、工学的計算では常温付近で一定と近似することが多い。「常に一定」という断定は誤り。
- オ(誤): 固体・液体・気体で比熱は異なる。水の例では液体水(4.2)>氷(2.1)>水蒸気(定圧・1.87)。
【試験での位置づけ】
比熱の大小と温度変化の方向(比熱大→温まりにくい)は、Q=mcΔt の変形問題として出題されます。また「水の比熱が大きい=冷却効果が高い」は消火理論(冷却消火)と接続し、第4類への注水禁止の理由と組み合わせて出題される場合があります。
【根拠】確立した物理学(比熱の定義・Q=mcΔt)。
【補足】比熱小→同じ熱量で温度変化大。水の比熱(約4.2)は油類(1.5〜2.2程度)の約2倍で冷却効果高。状態(固/液/気)によって比熱は異なる。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 比熱小→Δt大(Δt=Q/mc)は正確。水≒4.2/油類1.5〜2.2/鉄0.45/氷2.09/水蒸気1.87 kJ/(kg·K) は確立参考値と一致。正答イ一意(ア/ウ/エ/オは逆または誤り)。確定。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した物理学(比熱の定義 Q=mcΔt より、Δt = Q/(mc) から比熱が小さいほど温度変化大)。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。