危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問88:酸・塩基・有機/無機
有機化合物と無機化合物の違いに関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア有機化合物は一般に炭素(C)を骨格に持つ化合物であり、可燃性のものが多い。
- イ有機化合物は一般に電気の不良導体であり、静電気が帯電しやすい。
- ウ無機化合物の代表例として、水(H2O)・酸化鉄(Fe2O3)・二酸化炭素(CO2)などがある。
- エ有機化合物はすべて電気の良導体であり、静電気は帯電しない。正答
- オ第4類危険物の主要物質(ガソリン・灯油・アルコール類など)のほとんどは有機化合物である。
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誤っているのはエです。有機化合物は一般に電気の不良導体(電気を通しにくい)であり、静電気が帯電しやすいのが特徴です。「良導体で静電気が帯電しない」は逆の記述です。
- ア(正): 有機化合物=炭素骨格を持つ・可燃性が多い。
- イ(正): 有機化合物=電気不良導体→静電気帯電しやすい。正しい(イとエは同じ内容で、エが否定形で誤り)。
- ウ(正): 水・酸化鉄・CO2は無機化合物の典型例。
- エ(誤): 有機化合物は一般に電気の不良導体。良導体ではない。
- オ(正): ガソリン・灯油・アルコール類はいずれも有機化合物(炭化水素・アルコール)。
「有機化合物 = 炭素骨格 + 可燃性が多い + 電気不良導体(静電気帯電)」が三点セットです。
有機化合物の特徴(確立した化学):
有機化合物(organic compounds)の主な特徴:
- 炭素(C)を骨格とする(CO2・CO・炭酸塩などの例外を除く)
- 水素(H)を含むものが多く(炭化水素)、可燃性のものが多い
- 電気の不良導体(非電解質が多い)→静電気が帯電しやすい
- 水に溶けにくいものが多い(水溶性の例外: アルコール・酢酸等)
- 分子間力がイオン結合の無機物より弱い場合が多い→融点・沸点が低いものが多い
無機化合物の例:水(H2O)、食塩(NaCl)、酸化鉄(Fe2O3)、二酸化炭素(CO2)、硫酸(H2SO4)
各選択肢:
- ア(正): 有機化合物は炭素骨格を持ち、一般に可燃性(炭素・水素が酸化して CO2・H2O を生じる)。
- イ(正): 有機化合物は電気不良導体→静電気が帯電しやすい。第4類危険物の静電気発火リスクの根拠。
- ウ(正): H2O・Fe2O3・CO2はいずれも炭素骨格を持たない無機化合物。
- エ(誤): 有機化合物は一般に電気不良導体。「良導体で静電気が帯電しない」は逆。電気良導体(金属等)は電荷がすぐに逃げるため静電気が帯電しにくい(アースで放電)。
- オ(正): ガソリン(炭化水素混合物)・灯油(炭化水素)・アルコール類(メタノール・エタノール)はすべて有機化合物。正しい。
第4類危険物と電気不良導体の接続: 有機溶剤(有機化合物)は電気不良導体であるため、輸送・充填時の摩擦・流動で静電気が蓄積し、放電火花が点火源になる。接地(アース)・流速制限が防止策。
【理論的背景:有機化合物の電気的性質と静電気の危険】
有機化合物が電気不良導体である理由は、その化学結合の性質にあります。多くの有機化合物は共有結合で構成され、自由電子(伝導電子)やイオンが少ない(または存在しない)ため電流が流れにくいのです(電気伝導率が低い)。一方、金属(電子が自由に移動)や電解質溶液(イオンが移動)は電気良導体です。
電気伝導率の比較(概数・参考):
- 銅(金属): 約6×10⁷ S/m(極めて高い)
- 食塩水(電解質溶液): 約10 S/m
- ガソリン(有機液体): 約10⁻¹² S/m(極めて低い・不良導体)
有機液体(第4類危険物)の電気伝導率が極めて低いことが、静電気蓄積の物理的根拠です。導体では電荷がすぐに移動(中和)しますが、不良導体では電荷が蓄積して放電(スパーク)に至ります。
【静電気発生から点火源までの経路】
静電気火花を点火源とする事故の経路:
1. 有機液体(不良導体)が流動・ろ過・充填で摩擦
2. 液体表面や容器に電荷が蓄積(帯電)
3. 電位差が放電(火花放電)限界(約3 kV/mm の空気の絶縁破壊電圧)に達する
4. 放電火花が点火源となり、周囲の蒸気混合気(燃焼範囲内)に引火
防止策(FDMA/危規則の根拠):
- 接地(アース・ボンディング): 電荷を逃がす
- 加湿(湿度管理): 空気の絶縁性を下げ、表面での電荷逃がしを促進(湿度70%以上で静電気帯電が著しく低下)
- 流速制限(配管・充填速度): 発生電荷量を減らす
- 不活性ガス(N2等)置換: 燃焼性雰囲気を除去
【各選択肢の発展補足】
- ア(正): 有機化合物は可燃性のものが多い(炭素・水素が燃焼してCO2・H2Oを生じる)。無機化合物でも硫黄・炭素等は可燃性だが、「可燃性が多い」は有機化合物の特徴として正しい。
- イ(正): 電気不良導体→静電気帯電。第4類危険物の主要な点火源の一つが静電気放電。イとエは同じ事実を正・逆から述べており、エが誤りの選択肢。
- ウ(正): H2O・Fe2O3・CO2(炭素は含むが有機化合物の定義では無機)は無機化合物の典型例。
- エ(誤): 有機化合物は電気不良導体。良導体(電流が通りやすい)は金属等の無機物。「有機化合物は静電気が帯電しない」は誤りの典型。
- オ(正): ガソリン・灯油・アルコール類はすべて有機化合物(炭素骨格あり)。
【試験での位置づけ】
乙四試験では「有機化合物=電気不良導体=静電気帯電しやすい」が物理化学・性質・法令(貯蔵取扱基準)の横断的な核心論点です。「金属(良導体)はアースで静電気を逃がせる」「不良導体(有機液体)はアース+流速制限が必要」という論理的なつながりを理解してください。
【根拠】確立した化学(有機化合物の電気的性質)。
【補足】有機化合物=電気不良導体(共有結合・自由電子なし)→静電気帯電しやすい。第4類危険物の静電気火花リスクの根拠。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 有機化合物=炭素骨格・可燃性多い・電気不良導体(静電気帯電しやすい)すべて正確。H2O/Fe2O3/CO2を無機化合物とする慣例分類も妥当(CO2は炭素含むが慣例的に無機)。電気伝導率の概数(銅6e7・食塩水10・ガソリン1e-12 S/m)も妥当。正答エ(有機は良導体で静電気帯電しないは逆)で一意。確定。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した化学(有機化合物の定義と性質)。有機化合物は一般に電気の不良導体であり静電気が帯電しやすい(エは逆)。第4類危険物が静電気火花で引火する根拠でもある。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。