危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問87:酸・塩基・有機/無機
酸と塩基の中和反応に関する次の記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア酸と塩基が反応すると、必ず酸性の水溶液が生成する。
- イ中和反応では、酸と塩基が反応して塩(えん)と水が生成される。正答
- ウ酸性の液体に水を加えると、pHの値は必ず7になる。
- エアルカリ性の液体は危険物として法令上取り扱いが不要であり、消火においても特別な配慮は不要である。
- オ塩酸(HCl)とアンモニア(NH3)を混合しても中和反応は起こらない。
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正しいのはイです。酸と塩基が反応する中和反応では、塩(えん)と水が生成されます。
- ア(誤): 中和反応の結果は酸・塩基の比率によって酸性・中性・塩基性になり、「必ず酸性」ではない。
- イ(正): 中和: 酸 + 塩基 → 塩 + 水。正しい。例: HCl + NaOH → NaCl + H2O。
- ウ(誤): 水を加えてもpHが「必ず7になる」わけではない(薄まるだけで酸性は維持される場合が多い)。
- エ(誤): アルカリ性の液体であっても危険物に該当するもの(例: 強塩基の清掃剤等)は存在するが、乙四の危険物(第4類)は引火性液体であり、アルカリ性の危険物も取扱いに注意が必要。
- オ(誤): HCl(酸)とNH3(塩基)は反応して塩化アンモニウム(NH4Cl)を生成する(中和反応)。
「中和 = 酸 + 塩基 → 塩 + 水」を押さえましょう。
中和反応の定義と生成物(確立した化学):
中和反応: 酸 + 塩基(アルカリ) → 塩(えん)+ 水
代表例:
- HCl(塩酸)+ NaOH(水酸化ナトリウム)→ NaCl(食塩)+ H2O
- H2SO4(硫酸)+ 2NaOH → Na2SO4(硫酸ナトリウム)+ 2H2O
- CH3COOH(酢酸)+ NaOH → CH3COONa(酢酸ナトリウム)+ H2O
- HCl + NH3(アンモニア)→ NH4Cl(塩化アンモニウム)
各選択肢:
- ア(誤): 酸と塩基を当量(等量)で反応させると中性(pH=7)の塩が生成する場合が多い。過剰な酸や塩基があれば残る。「必ず酸性」とはならない。
- イ(正): 中和の定義として正しい。塩(えん)は「酸の陰イオン+塩基の陽イオン」でできた化合物。
- ウ(誤): 酸性水溶液に水を加えると希釈されてpHは7に近づくが、「必ず7になる」わけではない(大量の水で限りなく7に近づく)。
- エ(誤): 強アルカリ性の液体は腐食性があり取扱いに注意が必要。ただし乙四危険物(第4類)はアルカリ性というより引火性液体の概念で管理される。
- オ(誤): HCl(酸)とNH3(塩基)は典型的な中和反応を起こす(HCl + NH3 → NH4Cl)。
引っかけ: ア(中和→必ず酸性)、ウ(水を加えると必ずpH7)が定番の誤り。
【理論的背景:塩と中和の化学】
中和反応は H⁺(酸)と OH⁻(塩基)が反応して H2O が生成する反応です(H⁺ + OH⁻ → H2O)。生成する塩の性質は酸と塩基の強弱の組み合わせで決まります:
| 組み合わせ | 塩の水溶液の性質 | 例 |
|---|---|---|
| 強酸 + 強塩基 | 中性(pH≒7) | HCl + NaOH → NaCl |
| 強酸 + 弱塩基 | 酸性 | HCl + NH3 → NH4Cl(pH < 7) |
| 弱酸 + 強塩基 | 塩基性 | CH3COOH + NaOH → CH3COONa(pH > 7) |
| 弱酸 + 弱塩基 | ほぼ中性(Ka・Kbに依存) | CH3COOH + NH3 → CH3COONH4 |
これは「加水分解」(塩が水と反応してH⁺またはOH⁻を生じる)によるものです。
【第4類危険物との接続:酢酸の取扱い】
酢酸(CH3COOH)は弱酸性の第4類危険物(第二石油類・水溶性・指定数量2,000L)です。引火点39℃・沸点118℃・液比重1.05。酸性(腐食性)があるため:
- 金属容器(特に鉄・亜鉛等の卑金属)を腐食する
- 皮膚・粘膜への刺激性がある
- 強塩基(NaOH等)と接触すると中和反応(酢酸ナトリウム+水を生成)し、急激な発熱が起こることがある
- 消火は耐アルコール泡・粉末・CO2(水溶性のため通常泡は不可)
【各選択肢の発展補足】
- ア(誤): 中和反応の結果のpHは酸と塩基の強弱と量的比率に依存する。等量の強酸と強塩基なら中性、弱酸と強塩基なら塩基性等。「必ず酸性」は誤り。
- イ(正): 中和の定義として正確。塩は酸の陰イオンと塩基の陽イオンが組み合わさったイオン化合物。「中和したから中性」とは限らない(加水分解)。
- ウ(誤): 水希釈でpHは7に近づくが到達しない(純水を無限に加えた極限でpH→7に近づく)。
- エ(誤): アルカリ性液体(強塩基)も腐食性・反応性があり取扱い注意。なお乙四危険物は引火性液体の分類であり、アルカリ性の危険物は第3類(自然発火性・禁水性物質:Na・K等の金属)や第6類(酸化性液体)に多い。
- オ(誤): HCl(強酸)+ NH3(弱塩基)→ NH4Cl(塩化アンモニウム)。典型的な中和反応。NH4Clは酸性塩(強酸+弱塩基の塩で水溶液はpH < 7)。
【試験での位置づけ】
乙四試験では「中和 = 酸 + 塩基 → 塩 + 水」の定義と、酸性・アルカリ性の意味(pH)が基礎として問われます。第4類の物性(酢酸の酸性・水溶性)との接続も確認してください。
【根拠】確立した化学(中和反応の定義・生成物)。
【補足】中和: 酸 + 塩基 → 塩 + 水(典型例: HCl + NaOH → NaCl + H2O)。中和後の液が「中性」になるとは限らない(酸・塩基の強弱による)。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): 中和=酸+塩基→塩+水(HCl+NaOH→NaCl+H2O)正確。塩の加水分解(強酸+弱塩基→酸性塩/弱酸+強塩基→塩基性塩)の対応表も化学的に正確。HCl+NH3→NH4Cl も正しい中和。正答イで一意(ア必ず酸性/ウ水希釈で必ずpH7/エアルカリ無配慮/オ中和起こらない はすべて誤り)。確定。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した化学(中和反応の定義: 酸 + 塩基 → 塩 + 水)。HCl + NaOH → NaCl + H2O が典型例。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。