危険物乙四 基礎的な物理学及び基礎的な化学 問97:密度・比重
エタノール(C2H5OH、分子量 46)の蒸気比重として、**最も近いもの**はどれか。ただし空気の平均分子量は 29 とする。
- ア約 0.63
- イ約 1.0
- ウ約 1.6正答
- エ約 2.6
- オ約 4.5
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正しいのはウ(約1.6)です。蒸気比重は 分子量 ÷ 空気の平均分子量(29) で計算します。
エタノール(C2H5OH)の分子量:
- C×2 = 12×2 = 24
- H×6 = 1×6 = 6
- O = 16
- 合計 = 24+6+16 = 46
蒸気比重 = 46 ÷ 29 ≒ 1.59 ≈ 1.6
蒸気比重 > 1(空気より重い)→ 蒸気は低所・床面に滞留する。
- ア(0.63): 29÷46≒0.63(分母分子を逆にした誤り)。
- イ(1.0): 空気と同じ比重(分子量=29の物質に相当)。誤り。
- ウ(正・1.6): 46÷29≒1.59。正しい。
- エ(2.6): 二硫化炭素(76÷29≒2.6)の値に近い。誤り。
- オ(4.5): 灯油(分子量約130÷29≒4.5)相当。誤り。
蒸気比重の計算(確立した物理学):
蒸気比重(vapor density relative to air)= 蒸気の分子量 / 空気の平均分子量(≒ 29)
エタノール(C2H5OH)の分子量計算:
- C: 12×2 = 24
- H: 1×6 = 6(CH3CH2OH の H は5+1=6個)
- O: 16×1 = 16
- 合計: 24+6+16 = 46
蒸気比重 = 46 ÷ 29 ≒ 1.59(約1.6)
これは§1-2物性表の確定値と一致します。
各選択肢の分析:
- ア(0.63): 29÷46の逆算値(分子と分母を誤って入れ替えた計算ミス)。
- イ(1.0): 分子量=29の物質(例: CO,C2H5... 分子量29のものは少ない)。エタノールには当てはまらない。
- ウ(正・1.59≈1.6): 46÷29≒1.59。
- エ(2.6): 二硫化炭素(CS2,分子量76,蒸気比重≒2.6)の値。エタノールではない。
- オ(4.5): 分子量≒130相当(例: 灯油の蒸気比重4.5前後)。エタノールではない。
第4類の蒸気比重比較(§1-2):
| 物質 | 分子量 | 蒸気比重 |
|---|---|---|
| メタノール(CH3OH) | 32 | 32/29≒1.10 |
| エタノール(C2H5OH) | 46 | 46/29≒1.59 |
| ジエチルエーテル | 74 | 74/29≒2.55 |
| 二硫化炭素(CS2) | 76 | 76/29≒2.62 |
すべての値が > 1(空気より重い)→低所滞留→引火危険。
【理論的背景:蒸気比重の物理的意味】
蒸気比重(相対蒸気密度)は「物質の蒸気の密度が空気の密度の何倍か」を表します。
蒸気比重 = ρ_vapor / ρ_air = M_vapor / M_air(理想気体近似)
ここで M_air(空気の平均分子量)= N2(28)×0.78 + O2(32)×0.21 + Ar(40)×0.01 ≒ 28.97 ≒ 29 と計算できます。
気体の密度は同温同圧で分子量に比例するため、蒸気比重 = 分子量/29 が成立します。
【エタノール蒸気の挙動と危険性】
エタノール蒸気比重 ≒ 1.59 は「空気の約1.6倍重い」ことを意味します。このため:
- 蒸気は床面・低所(ピット・排水溝等)に滞留する
- 上部の換気口だけでは蒸気が十分に排出されないことがある
- 低所から引火源(電気スイッチ・静電気・喫煙等)へ流れ着く危険
実際の危険物施設では「床面から30cm以内に電気機器を設置しない」「換気口は低所にも設ける」等の対策が取られます。
【分子量計算の確認:エタノール(C2H5OH)】
C2H5OH の構造: エチル基(C2H5-)にヒドロキシ基(-OH)が結合。
原子数の確認:
- C: 2個(分子量: 12×2=24)
- H: 5+1=6個(エチル基の5H + OHの1H、分子量: 1×6=6)
- O: 1個(分子量: 16×1=16)
合計: 24+6+16 = 46(検算: §1-2物性表と一致)
蒸気比重: 46÷29 = 1.586…≒1.59(§1-2確定値)
【各選択肢の発展補足】
- ア(0.63): 逆算値(29/46)。分子量を分母に置いた計算ミス。蒸気比重 < 1 の物質(空気より軽い)は水素・ヘリウム・アンモニア等で、第4類には存在しない。
- イ(1.0): 蒸気比重1.0は分子量≒29の物質(例: エタン C2H6 の分子量30≒1.03)。エタノールには当てはまらない。
- ウ(正・1.6): 46÷29≒1.59。§1-2確定値と一致。
- エ(2.6): 二硫化炭素(CS2 = C(12)+S(32)×2=76、76/29≒2.62)の値。蒸気が重く低所に強く滞留する。
- オ(4.5): 灯油の蒸気比重≒4.5前後(混合物のため概数)。分子量に換算すると≒130程度の炭化水素に相当。
【試験での位置づけ】
乙四試験では蒸気比重の計算(分子量÷29)が頻出です。エタノール(46÷29≒1.6)はメタノール(32÷29≒1.1)と並んで計算問題として出題されます。また「蒸気比重>1→空気より重い→低所滞留」は性質科目とも接続する重要な論点です。
【根拠】確立した物理学(蒸気比重=分子量/29)・§1-2物性表(エタノール蒸気比重1.59確定)。
【補足】C2H5OH 分子量=46。蒸気比重=46/29≒1.59(約1.6)。蒸気は空気より重く低所滞留。
<!-- 監修確定 2026-06-05(legal-reviser): エタノール C2H5OH(C2H6O)分子量=24+6+16=46。蒸気比重=46/29≒1.59(約1.6)で§1-2確定値と一致。正答ウで一意。誤答ア0.63(逆算)/イ1.0/エ2.6(CS2)/オ4.5(灯油)はいずれも46/29と重複せず二重正答なし。比較表(メタノール32/29≒1.10・ジエチルエーテル74/29≒2.55・CS2 76/29≒2.62)も全て正確。確定。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確立した物理学(蒸気比重 = 分子量 / 空気の平均分子量)。エタノール蒸気比重 = 46 / 29 ≒ 1.59(§1-2物性表の確定値と一致)。 現行の消防法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。