登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問105:主な医薬品とその作用(外皮用薬・局所麻酔成分)
外皮用薬や痔疾用薬・口腔用薬などに配合される局所麻酔成分に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- アリドカインはエステル型の局所麻酔成分であり、血漿コリンエステラーゼで速やかに加水分解されるため、アレルギーを起こしにくいとされる。
- イジブカインは局所麻酔成分であるが、神経細胞膜のカリウムチャネルを不可逆的に遮断することで、一度塗布すると感覚が永続的に失われる。
- ウプロカインはアミド型の局所麻酔成分であり、作用時間が長いため、持続的な鎮痛が必要な部位への外用薬として広く用いられる。
- エアミノ安息香酸エチル(ベンゾカイン)は、メトヘモグロビン血症を起こすおそれがあるため、6歳未満の小児への使用は避けることとされている。正答
- オ局所麻酔成分は皮膚の感覚神経への作用を目的としており、口腔内・肛門周囲などの粘膜には適用できない。
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正答はエ(正しいもの)です。
アミノ安息香酸エチル(ベンゾカイン)は、メトヘモグロビン血症を引き起こすおそれがあるため、6歳未満の小児への使用は避ける必要があります。これは手引きに明記された重要な年齢制限です。
各選択肢の誤りポイント:
- ア(誤): リドカインはエステル型ではなくアミド型です。エステル型はプロカイン・アミノ安息香酸エチル等。
- イ(誤): 局所麻酔成分が遮断するのはナトリウムチャネルであり、カリウムチャネルではありません。また遮断は可逆的で、薬が代謝・拡散すれば感覚は元に戻ります。「カリウムチャネルを不可逆的に遮断し感覚が永続的に失われる」は二重に誤りです(正しくはNaチャネルを可逆的に遮断)。
- ウ(誤): プロカインはアミド型ではなくエステル型です。
- オ(誤): 局所麻酔成分は粘膜(口腔・肛門周囲)にも適用されます。
ゴロ:「ベンゾカイン=6歳未満NG・メトヘモ」
局所麻酔成分の分類と特性比較:
| 成分名 | 分類 | 加水分解 | 主な適用部位 | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|
| リドカイン | アミド型 | 肝代謝(遅い) | 痔疾・外皮・口腔 | アレルギー起こしにくい。最も広く使用 |
| ジブカイン | アミド型 | 肝代謝 | 痔疾・外皮 | リドカインより作用が強い |
| プロカイン | エステル型 | 血漿コリンエステラーゼ(速い) | 注射用が主流・外用は少ない | アレルギーが起きやすい |
| アミノ安息香酸エチル(ベンゾカイン) | エステル型 | 血漿コリンエステラーゼ | 口腔・外皮 | 6歳未満禁忌(メトヘモグロビン血症) |
| テトラカイン | エステル型 | 血漿コリンエステラーゼ | 痔疾・外皮 | アレルギー・毒性に注意 |
各選択肢の解説:
- ア(誤): リドカインはエステル型ではなくアミド型です。「血漿コリンエステラーゼで加水分解→アレルギーが少ない」という説明はエステル型の特徴ではなく逆で、エステル型(プロカイン等)は加水分解産物(p-アミノ安息香酸等)がアレルギーの原因になりやすい。アミド型のリドカインは代謝が遅く安定しており、アレルギーが起きにくいとされます。
- イ(誤): ジブカイン自体はアミド型局所麻酔成分で痔疾用薬・外皮用薬に配合されますが、本肢の作用機序の記述が誤りです。局所麻酔成分が遮断するのはナトリウムチャネル(カリウムチャネルではない)であり、その遮断は可逆的(薬が代謝・拡散すれば感覚は回復する)です。「カリウムチャネルを不可逆的に遮断し感覚が永続的に失われる」という記述は機序・可逆性の両面で誤りです。
- ウ(誤): プロカインはエステル型です。「アミド型・作用時間が長い」とする記述は誤りです。エステル型のプロカインは加水分解が速く作用時間が短い。外用としての使用は限定的で、注射剤として歯科等で用いられることが多い成分です。
- エ(正): アミノ安息香酸エチル(ベンゾカイン)はエステル型局所麻酔成分で、口腔や外皮の患部に適用されます。小児(特に6歳未満)ではメトヘモグロビン血症(血液中のヘモグロビンが酸素を運べない形に変化する状態)を起こすおそれがあり、手引きでも6歳未満への使用は避けることと明記されています。
- オ(誤): 局所麻酔成分は皮膚だけでなく、口腔粘膜・肛門周囲の粘膜にも適用されます。痔疾用薬・口腔用薬・かゆみ止め等、多様な剤形で使われる成分です。
【局所麻酔成分の薬理・毒性・上位資格接続の深掘り】
局所麻酔の作用機序:ナトリウムチャネル遮断の分子レベル詳細
局所麻酔成分は神経細胞膜上の電位依存性ナトリウムチャネル(Nav)に結合し、神経興奮の伝導を可逆的に遮断します。具体的には:
1. 局所麻酔分子(非荷電=脂溶性型)が細胞膜の脂質二重層を透過
2. 細胞内側でイオン化(荷電型)しNav内腔のβ4-サブユニット付近の結合サイトに結合
3. Naイオンの流入を遮断→脱分極が起きない→活動電位が発生しない→痛みを感じない
感覚神経(C線維・Aδ線維)は細い→遮断が容易(運動神経への影響は高濃度・長時間で起こる)。このため適切な濃度での外用では感覚のみを選択的に遮断できます。
エステル型 vs アミド型の薬物動態と安全性の差異:
| 特性 | エステル型(プロカイン・ベンゾカイン・テトラカイン) | アミド型(リドカイン・ジブカイン) |
|---|---|---|
| 化学構造 | 芳香族アミン−エステル結合−アルキルアミン | 芳香族アミン−アミド結合−アルキルアミン |
| 加水分解酵素 | 血漿コリンエステラーゼ(速い) | 肝チトクロームP450(遅い) |
| アレルゲン産生 | p-アミノ安息香酸(PABA)→アレルギーが多い | アミド分解産物はアレルゲン性低い |
| 交差アレルギー | エステル型同士でアレルギー交差 | アミド型はエステル型との交差なし |
| 安定性 | 熱・水に不安定 | 比較的安定 |
アミノ安息香酸エチル(ベンゾカイン)のメトヘモグロビン血症機序:
ベンゾカインは加水分解によりアニリン誘導体を生じ、これがヘモグロビンのFe²⁺(2価)を Fe³⁺(3価)に酸化してメトヘモグロビンを形成します。
- メトヘモグロビン(MetHb)は酸素を可逆的に結合できない→組織低酸素
- 正常成人の赤血球はメトヘモグロビン還元酵素(NADH-MetHb還元酵素)で自己修復可能
- 乳幼児・6歳未満の小児はこの還元酵素活性が低い+胎児型ヘモグロビンがMetHb化しやすい→危険性が高い
- 症状:チアノーゼ・頻脈・意識障害(MetHb 30%超で重篤)
登録販売者として覚えるべきポイント:
- ベンゾカインを含む製品(一部の口腔用ゼリー・外皮用薬等)は6歳未満禁忌を必ず確認
- 購入者が乳幼児への使用を求める場合は販売しない・受診勧奨
リドカインの広範な適用と上位資格(薬剤師)領域との接続:
リドカインはアミド型最も安全性が高いとされる局所麻酔成分で、登録販売者が扱う外用薬では以下に配合:
- 痔疾用薬(外用肛門用薬):痔核の痛み・かゆみを緩和
- かゆみ止め(掻痒症):蚊刺され・虫刺され・湿疹のかゆみ
- 口腔用薬:口内炎パッチ・歯痛薬
- 点耳薬:外耳炎の疼痛緩和
薬剤師領域では注射剤(リドカイン塩酸塩注)が局所浸潤麻酔・硬膜外麻酔・脊髄くも膜下麻酔・神経ブロックに使用されます。また抗不整脈薬(Ib群)としても使用されます(心筋細胞のNavも遮断→心室性不整脈治療)。
ジブカインの特徴と注意点:
ジブカインはアミド型の中でもリドカインと比較して:
- 脂溶性が高い→神経への浸透性高い→強い麻酔効果
- 毒性もやや高いため高濃度での大面積塗布は避ける
- 主に痔疾用外用薬・外皮用薬に配合
登録販売者の現場判断:購入者の年齢確認の重要性
局所麻酔成分含有外皮用薬・口腔用薬を販売する際の確認事項:
1. 使用者の年齢(特にベンゾカイン含有製品は6歳未満禁忌を絶対確認)
2. 使用部位(粘膜使用可の製品か確認)
3. 既往アレルギー(エステル型製品にはPABAアレルギー交差に注意)
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 局所麻酔成分の化学分類を一次情報で突合済み。ジブカイン=アミド型、リドカイン=アミド型、プロカイン・テトラカイン・アミノ安息香酸エチル(ベンゾカイン)=エステル型で本問の記述は正確。アミノ安息香酸エチルはメトヘモグロビン血症のおそれがあり「6歳未満の小児には使用しない(避ける)」は手引き第5章別表・添付文書と整合(正答エ=正しい、一意)。なお手引き本体は局所麻酔成分を必ずしもエステル型/アミド型で明示分類していない(成分名と注意事項が中心)ため、本問のエステル/アミド分類は教育的補足として扱う。正答=エ(変更なし)。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第12節「痔疾用薬」・第13節「外皮用薬」(外皮用局所麻酔成分) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。