第3章 主な医薬品とその作用116主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問116:主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)

参蘇飲(じんそいん)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 参蘇飲は体力虚弱な人の、かぜの初期や気管支炎に用いられる漢方処方である。
  • 参蘇飲はニンジン(人参)を含む補気(元気を補う)系の処方であり、胃腸が弱く疲れやすい人に向く。
  • 参蘇飲にはマオウが含まれているため、高血圧・心疾患・甲状腺機能亢進症の患者には使用を避ける必要がある。正答
  • 参蘇飲はカンゾウを含むため、他のカンゾウ含有漢方薬との重複投与でグリチルリチン酸の1日摂取量が過剰になる可能性がある。
  • 参蘇飲の「参」はニンジン(人参)を、「蘇」は紫蘇葉(ソヨウ)を指し、この2生薬が処方名の由来である。
正答:参蘇飲にはマオウが含まれているため、高血圧・心疾患・甲状腺機能亢進症の患者には使用を避ける必要がある。

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正答はウです。

参蘇飲(じんそいん)はマオウを含みません。マオウを含む処方は麻黄湯・葛根湯・小青竜湯などで、体力中等度以上(実証)向けです。参蘇飲は体力虚弱(虚証)向けで、マオウなしに胃腸を補いながらかぜを治す処方です。

「高血圧・心疾患にマオウNG」という知識は正しいですが、参蘇飲はそのマオウが入っていない点が核心です。

他の選択肢はすべて正しい内容です。

  • イ:ニンジン含有=補気(元気を補う)は正しい
  • エ:カンゾウは含まれるため重複注意は正しい
  • オ:処方名の由来(人参+紫蘇)は正しい

語呂:「参蘇飲はニンジンと蘇(紫蘇)で胃腸虚弱かぜ、マオウなし」

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参蘇飲の特徴まとめ:

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 体力(証) | 虚弱(虚証) |

| 主な適応 | かぜの初期・気管支炎。胃腸が弱く疲れやすい人 |

| 処方名の由来 | 参(ニンジン)+蘇(ソヨウ・紫蘇葉) |

| マオウの有無 | なし |

| カンゾウの有無 | あり(重複注意) |

| ダイオウの有無 | なし |

| 主要生薬 | ニンジン・ハンゲ・ブクリョウ・チンピ・ソヨウ・カッコン・ショウキョウ・タイソウ・カンゾウ等 |

| 特徴 | 補気(元気を補う)+理気(気を巡らす)の組み合わせ。咳・痰にも対応 |

虚証のかぜ処方の比較:

| 処方 | 体力 | 特徴 | マオウ |

|---|---|---|---|

| 桂枝湯 | 虚弱 | 汗が出るかぜ・体質改善 | なし |

| 香蘇散 | 虚弱 | 神経質・胃腸虚弱のかぜ | なし |

| 参蘇飲 | 虚弱 | 胃腸虚弱+咳・痰・気管支炎 | なし |

各選択肢の正誤:

  • ア(正):体力虚弱なかぜ・気管支炎に適する処方として正しい。
  • イ(正):ニンジン含有による補気作用は正しい。胃腸虚弱・疲労に向く。
  • ウ(誤・正答):参蘇飲にはマオウは含まれていない。マオウ関連の注意事項は不適当。
  • エ(正):カンゾウ含有のため他のカンゾウ含有処方との重複摂取は偽アルドステロン症のリスクがある。
  • オ(正):「参」=人参(ニンジン)、「蘇」=紫蘇(ソヨウ)が処方名の由来であり正しい。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【参蘇飲の生薬組成と補気・理気のメカニズム】

参蘇飲は「補気」と「理気」「化痰」の生薬が組み合わさった複合処方である。かぜによる体力低下(補気が必要)と気滞・痰(理気・化痰が必要)の両方に対応する。

| 生薬 | カテゴリ | 主な薬理作用 |

|---|---|---|

| ニンジン(人参) | 補気 | 免疫賦活・疲労回復・食欲増進。体力・元気を補う |

| ハンゲ(半夏) | 化痰・降逆 | 鎮吐・去痰・鎮咳。痰を切り気の逆上を抑える |

| ブクリョウ(茯苓) | 利水・安神 | 利尿・鎮静・健胃。余分な水分(痰の元)を排出 |

| チンピ(陳皮) | 理気・健胃 | 気の停滞(気滞)を解消。消化管の動きを整える |

| ソヨウ(紫蘇葉) | 解表・理気 | 軽い発汗で表邪を散らす。気を巡らせる。魚介中毒の解毒 |

| カッコン(葛根) | 解表 | 筋肉の緊張緩和・解熱。かぜの初期症状に対応 |

| ショウキョウ(生姜) | 温熱・制吐 | 胃腸を温め吐き気を止める。発汗補助 |

| タイソウ(大棗) | 補脾・安神 | 胃腸を整え各生薬の作用を調和 |

| カンゾウ(甘草) | 調和・鎮痙 | 各生薬を調和させる使薬。偽アルドステロン症に注意 |

「マオウなしでかぜを治す」設計思想:

マオウ(麻黄)は強力な交感神経刺激作用(エフェドリン由来)を持ち、発汗・気管支拡張・血圧上昇・心拍増加を引き起こす。体力がある人(実証)には効果的だが、体力虚弱(虚証)の人にとっては発汗過剰・消耗・動悸のリスクが大きい。参蘇飲はカッコン(軽い解表)・ソヨウ(軽い発汗)・ニンジン(補気)の組み合わせで、消耗させずにかぜを治す。

マオウ含有処方と非含有処方の識別(登録販売者の実務):

| マオウあり(実証・注意が多い) | マオウなし(虚証・比較的使いやすい) |

|---|---|

| 麻黄湯、葛根湯、小青竜湯、防風通聖散、麻杏甘石湯、神秘湯、五虎湯、越婢加朮湯など | 桂枝湯、香蘇散、参蘇飲、六君子湯、補中益気湯、十全大補湯など |

マオウ含有処方を高血圧・心疾患・甲状腺機能亢進症・排尿困難の人に販売する際は「してはいけないこと」「相談すること」の確認が必要。参蘇飲はこれらの確認が不要(カンゾウ重複の確認のみ必要)。

参蘇飲とニンジン(人参)含有処方群:補気の漢方系統

ニンジン(人参)は多くの補気処方に含まれる。参蘇飲の処方位置付けを補気処方の系統の中で理解する:

| 処方 | ニンジン含有 | 主な適応 |

|---|---|---|

| 参蘇飲 | あり | 虚弱者のかぜ・気管支炎 |

| 六君子湯 | あり | 胃腸虚弱・食欲不振・疲労 |

| 補中益気湯 | あり | 疲労倦怠・食欲不振・病後回復 |

| 十全大補湯 | あり | 著しい虚弱・病後の体力回復 |

| 人参湯 | あり | 胃腸が冷えた人の胃炎・下痢 |

これらの処方はいずれも体力虚弱(虚証)向けで、「ニンジン=補気(元気を補う)」という生薬の役割が共通している。試験では「ニンジンが含まれる処方はどれか」「補気のニンジンが使われる証はどれか」という形で出題されることがある。

カンゾウ重複摂取リスクの定量的理解:

日本漢方の一般的な処方では、1日分のカンゾウ(甘草)の含有量は1〜3g程度で、グリチルリチン酸換算では約50〜150mg相当。グリチルリチン酸の1日上限目安は一般的に200mg以下とされるが、複数処方の重複では容易に超過する。参蘇飲と六君子湯を同時に服用した場合など、偽アルドステロン症(血圧上昇・浮腫・低カリウム血症・筋力低下)の報告例がある。登録販売者は複数の漢方薬を同時購入しようとする顧客にはカンゾウの重複を必ず確認する。

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第15節

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

かぜ・体力虚弱の漢方・参蘇飲の証頻出度B

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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