第3章 主な医薬品とその作用120主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問120:主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)

五積散(ごしゃくさん)および女神散(にょしんさん)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 五積散は体力中等度またはやや虚弱な人に用い、腰痛・神経痛・冷え症のほか、月経不順にも用いられる。
  • 女神散は比較的体力があり、気逆(のぼせ)・肩こり・めまい・気分不安定などの血の道症に用いられる。
  • 女神散はダイオウを含む処方であり、便秘傾向のある人に特に適している。正答
  • 五積散はマオウを含む処方であり、高血圧・心疾患・排尿困難がある人には使用を避けるべき場合がある。
  • 女神散のカンゾウ含有により、他のカンゾウ含有漢方薬との重複摂取で偽アルドステロン症が生じる可能性がある。
正答:女神散はダイオウを含む処方であり、便秘傾向のある人に特に適している。

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正答はウです。

女神散は(処方によって)ダイオウを含むことがありますが、「便秘傾向のある人に特に適している」という説明が誤りです。女神散の主な適応は「血の道症・のぼせ・気逆・肩こり・めまい」であり、便秘改善が主目的ではありません。ダイオウが含まれる処方でも、適応症状は処方ごとに異なります。

他の選択肢の確認です。

  • ア:五積散は腰痛・冷え・神経痛・月経不順に用いる処方として正しい。
  • イ:女神散は気逆・のぼせの血の道症に用いる処方として正しい。
  • エ:五積散はマオウを含む点が特徴で、心疾患等への注意は正しい。
  • オ:女神散はカンゾウを含むため重複注意は正しい。

語呂:「女神散は気逆ものぼせ、ダイオウあるけど便秘専用じゃない」

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五積散 vs 女神散:気逆・冷え系処方の比較

| 項目 | 五積散 | 女神散 |

|---|---|---|

| 体力(証) | 中等度またはやや虚弱 | 比較的体力あり(中等度以上) |

| 主な適応 | 腰痛・神経痛・冷え症・月経不順 | 血の道症・のぼせ・肩こり・めまい・気分不安定・更年期 |

| マオウ含有 | あり | なし |

| ダイオウ含有 | なし | あり |

| カンゾウ含有 | あり | あり |

| 特徴 | 五積(気・血・痰・寒・食の積滞)を散らす複合処方。冷え・腰痛に幅広く対応 | 気逆(気が上に突き上げる)のぼせ・精神不安の血の道症。ダイオウは駆瘀血・精神安定目的 |

女神散のダイオウ:「便秘薬」としての用途ではない

女神散のダイオウは「駆瘀血(血の滞りを解消する)」・「精神安定(清心)」の目的で含まれており、便秘解消が主目的ではない。ダイオウには瀉下作用とともに血行改善・精神安定の作用もあるとされる。

マオウ含有処方の注意(五積散):

五積散はマオウを含むため以下の疾患のある人には使用前に注意・確認が必要。

  • 高血圧・心疾患・甲状腺機能亢進症(動悸・血圧上昇リスク)
  • 前立腺肥大(排尿困難悪化リスク)

各選択肢の正誤:

  • ア(正):五積散の適応(腰痛・神経痛・冷え・月経不順)として正しい。
  • イ(正):女神散は比較的体力がある人の気逆・血の道症に用いる処方として正しい。
  • ウ(誤・正答):女神散はダイオウを含むが、「便秘傾向に特に適している」という説明は誤り。適応は血の道症・気逆が中心。
  • エ(正):五積散のマオウ含有と心疾患等への注意として正しい。
  • オ(正):女神散のカンゾウ含有による偽アルドステロン症リスクは正しい。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【五積散の「五積」の意味と多生薬処方の構成】

「五積(ごしゃく)」とは漢方病態論において体内に蓄積する5種類の病理産物を指す:

1. 気積(きしゃく):気の滞り(気滞)→精神的なつかえ・腹部膨満

2. 血積(けつしゃく):血の滞り(瘀血)→痛み・月経不順・青あざができやすい

3. 痰積(たんしゃく):水分代謝異常による痰・むくみ・肥満

4. 寒積(かんしゃく):冷え(寒邪の蓄積)→腰痛・神経痛・冷え症

5. 食積(しょくしゃく):食物の消化不良による積滞→胃もたれ・食欲不振

五積散はこの5つすべての病態に対応できる多成分処方として組み立てられている。主要生薬(15生薬前後):

| 生薬グループ | 主な生薬 | 役割 |

|---|---|---|

| 解表(マオウ系) | マオウ・ケイヒ | 気積・寒積を発散 |

| 健胃・理気 | チンピ・コウブシ・ソヨウ | 気積・食積を改善 |

| 去痰・利水 | ハンゲ・ブクリョウ | 痰積を除去 |

| 補血・活血 | トウキ・シャクヤク・センキュウ | 血積を解消 |

| 温裏 | カンキョウ | 寒積を温める |

| 調和 | カンゾウ・タイソウ・ショウキョウ | 各生薬を調和 |

マオウを含む処方として高血圧・心疾患への注意が必要だが、五積散が対応する「冷え・腰痛・神経痛」という訴えは冬場に多く、この季節的な症状に幅広く対応できる点が特徴。

女神散のダイオウ含有と「血の道症」の漢方的理解:

女神散(女神散・帰芎調血飲第一加減、複数処方名が流通)の特徴生薬:

女神散の主な構成生薬(トウキ・センキュウ・ソウジュツ(またはビャクジュツ)・コウブシ・ケイヒ・オウゴン・ニンジン・ビンロウジ・オウレン・モッコウ・チョウジ・カンゾウ。承認基準・処方によりダイオウを加えることがある):

| 生薬 | 役割 |

|---|---|

| トウキ・センキュウ | 補血・活血(血を補い循環を改善) |

| ソウジュツ(蒼朮) | 健胃・燥湿 |

| コウブシ・モッコウ・チョウジ | 理気(気の流れを整える)・健胃 |

| オウレン・オウゴン | 清熱(熱を冷やす)・精神安定 |

| ニンジン | 補気(元気を補う) |

| ビンロウジ・ケイヒ | 気の巡りを整え、のぼせ(気逆)を鎮める |

| カンゾウ | 調和・鎮痙。偽アルドステロン症に注意 |

女神散にダイオウを加える場合、その目的は通導散・三黄瀉心湯のように「腸を刺激して下す」よりも「瘀血(おけつ)を取り除く」・「こもった熱を冷ます」意味合いが強い。ただし医療用のツムラ女神散(67番)はダイオウを含まないなど、製剤・処方によりダイオウの有無が分かれる点に注意。一般用漢方製剤・登録販売者の手引きでは女神散をダイオウを含む処方として扱う場合がある。ダイオウ含有処方の適応が「便秘」だけではないことは試験で頻出の重要ポイント。

「血の道症」の概念と漢方処方の位置づけ:

血の道症(ちのみちしょう):月経・妊娠・出産・更年期など女性ホルモンの変化に伴う精神・身体症状全般。

  • のぼせ・ほてり(気逆・虚熱)
  • 肩こり・頭痛(瘀血・気滞)
  • 精神不安・イライラ・不眠(気逆・肝気鬱結)
  • 冷え・疲労(血虚)

| 処方 | 証 | 特徴的な症状 | ダイオウ |

|---|---|---|---|

| 加味逍遙散 | 虚弱〜中 | 精神不安・ほてり・肩こり | なし |

| 桂枝茯苓丸 | 中等度 | のぼせ・打撲・足冷え | なし |

| 女神散 | 中以上 | 強いのぼせ・気逆・精神不安 | あり |

| 当帰芍薬散 | 虚弱 | 貧血・冷え・むくみ | なし |

女神散のダイオウと妊婦禁忌:

女神散はダイオウを含むため、妊婦・授乳婦には使用できない(ダイオウの子宮収縮作用による流早産リスク、センノシド代謝物の母乳移行)。更年期障害の治療に使われる一方、更年期前後の年齢層では妊娠中の可能性に注意が必要な場合もある。販売時の妊娠の確認は必須。

マオウ含有処方(五積散)と妊婦:

五積散はマオウを含むが、ダイオウは含まない。妊婦への禁忌に関しては:マオウは直接的な妊婦禁忌成分ではないが、交感神経刺激による子宮への影響の懸念から、妊婦や授乳婦には使用前に医師・薬剤師への相談を促すべき。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): ①五積散=マオウ含有が確定(ツムラ63番にマオウ1.0g・カンゾウ1.0gを含む)。選択肢エ(五積散はマオウを含む)は正。②女神散=トウキ/センキュウ/ソウジュツ/コウブシ/ケイヒ/オウゴン/ニンジン/ビンロウジ/オウレン/モッコウ/チョウジ/カンゾウが基本。ダイオウは承認基準では加えることがあるが医療用ツムラ67はダイオウ非含有=製剤により有無が分かれる。旧版の生薬リスト誤記「サンキュウ」「ビャクシ」をオウレン/ビンロウジ/モッコウ/チョウジ等の実構成に修正。正答ウ(女神散の主適応は血の道症であり『便秘に特に適している』は誤り)はダイオウの有無に関わらず成立し維持。出典:ツムラ五積散/女神散 医療用添付文書、一般用漢方製剤承認基準。 -->

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第15節

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

更年期・気逆の漢方・五積散/女神散の証頻出度B

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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