登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問137:主な医薬品とその作用(生薬製剤・鎮静・鎮痙)
鎮静・鎮痙に用いられる生薬に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- アチョウトウコウ(釣藤鈎)はアカネ科植物カギカズラ等の**根**を基原とし、鎮静・降圧作用を持つ。
- イボタンピ(牡丹皮)はボタン科植物ボタンの**花びら**を基原とし、消炎・鎮痛・鎮静の作用を持つ。
- ウケイヒ(桂皮)はクスノキ科植物シナニッケイ等の**根皮**を基原とし、健胃・発汗・鎮静の作用を持つ。
- エチョウトウコウはアカネ科植物カギカズラ等の、釣り針状の鈎(とげ)を持つ茎枝の部位を薬用部位とする。正答
- オボタンピとシャクヤク(芍薬)はどちらもボタン科ボタン属の植物を基原とし、鎮痛作用が同一である。
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正答はエです。
チョウトウコウ(釣藤鈎)はアカネ科植物カギカズラ等の茎枝(とげのある鈎状の部位)が薬用部位です。「釣藤鈎」の「鈎」は釣り針のような鈎(かぎ)を意味し、この鈎状の刺をもつ茎枝を乾燥させて用います。記述エはこれを正確に示しています。
各誤りのポイントです。
- ア→チョウトウコウの薬用部位は「根」ではなく鈎状の茎枝
- イ→ボタンピの薬用部位は「花びら」ではなく根皮
- ウ→ケイヒの薬用部位は「根皮」ではなく樹皮(周皮を除いた樹皮)
- オ→ボタンピとシャクヤクは作用が同一ではない(消炎鎮痛 vs 鎮痙補血)
語呂:「釣藤鈎は鈎(かぎ)の形の茎枝」「牡丹皮は牡丹の根の皮(白い根皮)」で覚えましょう。
鎮静・鎮痙生薬の基原・薬用部位・作用まとめ:
| 生薬名 | 科名 | 薬用部位 | 主な作用 | 代表配合処方 |
|---|---|---|---|---|
| チョウトウコウ(釣藤鈎) | アカネ科 | 鈎状の茎枝(鈎) | 鎮静・降圧・痙攣抑制 | 釣藤散・七物降下湯 |
| ボタンピ(牡丹皮) | ボタン科 | 根皮 | 消炎・鎮痛・駆瘀血 | 桂枝茯苓丸・八味地黄丸 |
| ケイヒ(桂皮) | クスノキ科 | 樹皮(周皮除去) | 発汗・健胃・鎮静・鎮痛 | 桂枝湯・葛根湯・八味地黄丸 |
| シャクヤク(芍薬)※既存 | ボタン科 | 根 | 鎮痛・鎮痙・補血 | 芍薬甘草湯・四物湯 |
各選択肢の解説:
- ア(誤): チョウトウコウの薬用部位は鈎状の茎枝(鈎=かぎ状の刺を持つ枝の部分)です。根ではありません。アカネ科植物カギカズラ(Uncaria rhynchophylla)等の枝に付いた鈎状の突起部(茎枝の変形)を乾燥したものが「釣藤鈎」です。
- イ(誤): ボタンピ(牡丹皮)の薬用部位は根皮です。花びらではありません。ボタン科植物ボタン(Paeonia suffruticosa)の根の皮を乾燥・加工したものが基原で、ペオノール(paeonol)等が消炎・鎮痛・駆瘀血(血の滞りを除く)の作用を示します。
- ウ(誤): ケイヒ(桂皮)の薬用部位は樹皮(周皮を除いた内側の樹皮)です。根皮ではありません。クスノキ科植物シナニッケイ(Cinnamomum cassia)等の樹皮から周皮を除いたものが基原で、シナモンスティックとして食品にも使われます。
- エ(正): チョウトウコウは釣り針(鈎)状のとげを持つ茎枝の部位が薬用部位です。「釣藤鈎」の「鈎」は「かぎ状の形の茎枝部分」を意味し、記述エは正確に部位を示しています。
- オ(誤): ボタンピとシャクヤクはどちらもボタン科に属しますが、主な作用は異なります。ボタンピは「消炎・駆瘀血」、シャクヤクは「鎮痙・補血」が特徴です。成分もボタンピはペオノール、シャクヤクはペオニフロリンが主要成分であり、作用が「同一」という記述は誤りです。
【チョウトウコウ(釣藤鈎)の降圧・鎮静機序と釣藤散】
1. リンコフィリンと降圧の機序
チョウトウコウの主成分リンコフィリン(rhynchophylline)・イソリンコフィリン等のオキシインドールアルカロイドは以下の薬理を示します。
- カルシウムチャネル拮抗作用: Ca²⁺の血管平滑筋への流入を抑制し、血管を拡張させます。これにより末梢血管抵抗が低下し、血圧が降下します(Ca拮抗型降圧薬に類似した機序)。
- 中枢性鎮静作用: 大脳皮質のGABA系受容体への促進作用が報告されており、痙攣抑制・鎮静効果が得られます。
- 抗コリン様作用: 唾液分泌や腸蠕動の軽度抑制が観察されています。
釣藤散(チョウトウコウ・サイコ・ビャクジュツ・ブクリョウ・ニンジン等)は「体力中等度・慢性頭痛・高血圧傾向・めまい・肩こり」を適応とする漢方処方で、中高年の生活習慣病に関連した頭痛への応用が多く、降圧薬との相互作用(加算的降圧)に注意が必要な場合があります。
2. ボタンピ(牡丹皮)のペオノールと駆瘀血
ボタンピに含まれるペオノール(2'-hydroxy-4'-methoxyacetophenone)は以下の薬理を持ちます。
- 抗炎症: COX-1/COX-2の非選択的阻害によりプロスタグランジン産生を抑制
- 駆瘀血(血行改善): 血小板凝集抑制・フィブリン形成阻害により瘀血(血の滞り)を解消
- 解熱: 体温調節中枢への直接作用
桂枝茯苓丸(ケイヒ・ブクリョウ・ボタンピ・トウニン・シャクヤク)は「体力中等度・瘀血による諸症状(生理痛・子宮筋腫・ニキビ・肩こり)」に用いられる代表処方です。ボタンピとシャクヤクが両方配合されており、「消炎(ボタンピ)+鎮痙(シャクヤク)」の相乗効果が発揮されます。
3. ボタンピとシャクヤクの類似と差異
| 特徴 | ボタンピ(牡丹皮) | シャクヤク(芍薬) |
|---|---|---|
| 科 | ボタン科 | ボタン科 |
| 植物 | ボタン(木本) | シャクヤク(草本) |
| 薬用部位 | 根皮 | 根 |
| 主成分 | ペオノール | ペオニフロリン |
| 強調作用 | 消炎・駆瘀血(血の滞り解消) | 鎮痙・補血(筋緊張緩和) |
| 試験頻出処方 | 桂枝茯苓丸・八味地黄丸 | 芍薬甘草湯・四物湯 |
「同じボタン科でも植物種(木本 vs 草本)・薬用部位(根皮 vs 根)・主成分・強調作用が異なる」という点が試験でよく問われます。
4. ケイヒ(桂皮)の多機能と配合処方
ケイヒ(シナモン)はクスノキ科のシナニッケイ等の樹皮(内樹皮)が基原で、主成分桂皮アルデヒド(cinnamaldehyde)が以下の多面的作用を担います。
- 健胃: 芳香刺激→反射的胃液分泌促進(芳香健胃薬)
- 発汗: 末梢血管拡張による皮膚からの放熱・発汗促進
- 抗菌・抗ウイルス: 桂皮アルデヒドの細菌・ウイルスへの直接阻害
- 鎮痛: 末梢神経へのCa拮抗作用の一部が鎮痛に寄与
葛根湯・桂枝湯・八味地黄丸・桂枝茯苓丸等の多数の漢方処方にケイヒが配合されており、「かぜ・冷え・血行促進」の処方によく登場する万能生薬です。
5. 鎮静・鎮痙生薬の試験ポイントまとめ
登録販売者試験で頻出の「間違えやすい薬用部位」のまとめです。
| 生薬 | 誤りやすい部位 | 正しい部位 |
|---|---|---|
| チョウトウコウ | 根・葉 | 鈎状の茎枝(鈎) |
| ボタンピ | 花・根(全体) | 根皮 |
| ケイヒ | 根皮・葉 | 樹皮(周皮除去) |
| シャクヤク | 根皮・茎 | 根 |
「部位の落とし穴」を一覧で押さえ、各生薬の名称から薬用部位を推測できるヒント(地黄=地下の根・桑白皮=白い根皮・木香=根の香り)も活用してください。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 【虚偽別名の削除】チョウトウコウ=アカネ科カギカズラ(Uncaria rhynchophylla)の「とげ(鉤状の茎枝)」が薬用部位で確定(東邦大薬用植物園・ウチダ和漢薬・武田京都薬用植物園)。選択肢エにあった「ガンコウチョウ鉤とも呼ばれ」は実在しない虚偽の別名のため削除し、正答エの記述を「カギカズラ等の鈎状の茎枝が薬用部位」に是正。ボタンピ=ボタン科ボタンの根皮、ケイヒ=クスノキ科ケイ(シナニッケイ等)の樹皮(周皮の一部除去)、シャクヤク=ボタン科シャクヤクの根で確定。正答エ(チョウトウコウ=鈎状の茎枝が薬用部位)で確定。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第13節「睡眠補助薬・鎮静薬」および第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。