登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問142:主な医薬品とその作用(成分群の横断・配合目的)
滋養強壮保健薬に配合されるカルシウム・アミノ酸・生薬成分の配合目的に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- アグルクロノラクトンは体内での代謝産物であるグルクロン酸として肝臓の解毒代謝を助ける目的で滋養強壮薬に配合されることがある。
- イシステインは皮膚の新陳代謝を促してメラニンの生成を抑えるとともに、皮膚の弾力維持に関わるコラーゲン合成を助ける目的で配合される。
- ウヘスペリジンはビタミンCと協力してビタミンC様の作用を示し、毛細血管を強化してビタミンCの吸収を助ける目的で配合されることがある。
- エカルシウムは骨や歯の形成に不可欠な成分であり、また神経や筋肉の機能を維持する目的で配合されるが、カルシウムの腸管吸収にはナトリウムの補給が必須である。正答
- オアスパラギン酸ナトリウムは体内でアスパラギン酸として働き、TCA回路(クエン酸回路)に関与することで、エネルギー産生や疲労回復を助ける目的で配合される。
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正答(誤っているもの)はエです。
カルシウムの腸管吸収を助けるのはビタミンDです。ナトリウムではありません(エが誤り)。
滋養強壮薬のよく出る配合目的をまとめます。
| 成分 | 主な配合目的 |
|---|---|
| グルクロノラクトン | 肝臓の解毒・代謝補助 |
| システイン | メラニン抑制・皮膚新陳代謝 |
| ヘスペリジン | ビタミンC様・毛細血管強化 |
| アスパラギン酸 | エネルギー産生(TCA回路)・疲労回復 |
| カルシウム | 骨・歯の形成・神経筋肉機能(吸収補助はビタミンD) |
| ニンジン(人参)エキス | 滋養強壮・疲労回復 |
| ローヤルゼリー | 滋養強壮・栄養補給 |
滋養強壮保健薬の主要配合成分と目的の整理:
| 成分カテゴリ | 代表成分 | 配合目的 |
|---|---|---|
| アミノ酸・含窒素化合物 | システイン | 皮膚の新陳代謝促進・メラニン生成抑制・コラーゲン合成補助 |
| アミノ酸・含窒素化合物 | アスパラギン酸ナトリウム | TCA回路関与・エネルギー産生・疲労回復 |
| アミノ酸・含窒素化合物 | グルタミン酸 | 神経機能補助・アンモニア解毒 |
| 代謝補助 | グルクロノラクトン | 肝臓のグルクロン酸抱合(解毒代謝)補助 |
| フラボノイド | ヘスペリジン | ビタミンC様作用・毛細血管強化・ビタミンC吸収補助 |
| ミネラル | カルシウム(乳酸カルシウム等) | 骨・歯形成・神経・筋肉機能維持 |
| 生薬 | ニンジン(コウジン)エキス | 滋養強壮・疲労回復・新陳代謝促進 |
| 生薬 | ローヤルゼリー | 滋養強壮・栄養補給・女性ホルモン様作用(微量) |
| 生薬 | ゴオウ(牛黄) | 強心・鎮静・解毒 |
各選択肢の解説:
- ア(正しい): グルクロノラクトンは体内でグルクロン酸に変換され、有害物質(薬物代謝産物・毒素)のグルクロン酸抱合(肝臓の解毒機構)を補助する目的で配合されます。
- イ(正しい): システイン(L-システイン)は含硫アミノ酸であり、メラノサイトのチロシナーゼ活性を阻害してメラニン産生を抑制します。またビタミンCとともにコラーゲン合成を助ける役割もあります。
- ウ(正しい): ヘスペリジンはフラボノイドの一種で、ビタミンC様の抗酸化作用を示し、毛細血管を強化します。ビタミンCの酸化を防ぎ、ビタミンCの吸収・利用効率を高めるとされます。
- エ(誤り): カルシウムの腸管吸収を促進するのはビタミンD(カルシフェロール)です。ビタミンDは小腸上皮にカルシウム結合タンパク(カルビンジン)の産生を誘導し、カルシウムの能動輸送を促進します。ナトリウムとカルシウム吸収に直接の関係はありません。
- オ(正しい): アスパラギン酸はTCA回路の中間体として機能し、エネルギー産生に関与します。またアンモニアとの結合による解毒・尿素サイクルへの関与もあり、疲労回復を助ける目的で配合されます。
【滋養強壮保健薬配合成分の薬理機序詳細と実務応用】
グルクロノラクトンとグルクロン酸抱合の機序:
肝臓の解毒機構の一つであるグルクロン酸抱合(Phase II代謝)は、UDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)を介して毒素・薬物代謝産物・ビリルビン等にグルクロン酸を結合させ、水溶性を高めて尿・胆汁中への排泄を促進します。グルクロノラクトンを摂取することで、体内でのグルクロン酸プールを補充し、この解毒反応を補助するとされています。ただし食品・一般用医薬品での効果の程度については、医薬品的な過大な期待は控えた説明が適切です。
システイン(L-システイン)の多面的役割:
システインは含硫アミノ酸(-SH基を持つ)であり、以下の多面的な役割を持ちます:
1. メラニン抑制: チロシン→L-DOPA→ドーパキノン→メラニンの経路でチロシナーゼを阻害し、またドーパキノンを消費(-SH基との反応)することでメラニン産生を抑制します
2. グルタチオン(GSH)の前駆体: システインはグルタチオン(γ-Glu-Cys-Gly)の構成アミノ酸で、強力な抗酸化物質・解毒物質であるグルタチオンの産生を支えます
3. コラーゲン合成補助: コラーゲンの構造安定化に関与するジスルフィド結合の形成を助けます
4. ケラチン形成: 皮膚・爪・毛髪のケラチンはシステイン残基のジスルフィド結合が豊富で、皮膚バリア機能に重要
ヘスペリジン(ビタミンP様物質)の機序:
ヘスペリジンはフラボノイド配糖体(フラバノン系)で、柑橘類(特に橙皮・陳皮の白い部分)に多く含まれます。
- 毛細血管強化: 毛細血管壁のコラーゲン・エラスチンの酸化を防止し、血管透過性を正常に保ちます
- ビタミンC節約効果: ビタミンCを酸化から保護して還元型(L-アスコルビン酸)の状態を維持します
- 抗炎症・抗アレルギー: 肥満細胞からのヒスタミン遊離を一部抑制
カルシウム吸収の調節機構(エの正誤の根拠):
カルシウムの腸管吸収には2つの経路があります:
1. 能動輸送(ビタミンD依存性): 小腸上部(十二指腸・空腸上部)での能動的Ca²⁺輸送。ビタミンD活性型(1,25-ジヒドロキシビタミンD₃=カルシトリオール)が核内受容体(VDR)に結合し、カルシウム結合タンパク(カルビンジン-D9k)の遺伝子発現を誘導。低カルシウム食の際はこの経路が主体になる。
2. 受動輸送(ビタミンD非依存性): 小腸全体にわたる濃度勾配による単純拡散。高カルシウム摂取時は相対的に重要になる。
ナトリウムはNa⁺-Ca²⁺交換輸送体(NCX)を介して細胞内カルシウムを排出する際に関与しますが、腸管からのカルシウム吸収を直接促進するのはビタミンDです。エの記述「ナトリウムの補給が必須」は誤りです。
アスパラギン酸のTCA回路への関与:
アスパラギン酸はオキサロ酢酸(TCA回路の中間体)と2-アミノ基転移反応(アミノトランスフェラーゼ)でグルタミン酸↔αケトグルタル酸(TCA回路中間体)と相互変換されます。また尿素サイクル(ornithine cycle)の構成成分であり、アンモニアの解毒と窒素代謝に関与します。これにより疲労物質(乳酸・アンモニア)の代謝を促進すると考えられます。
登録販売者として覚えるべき実務ポイント:
| 確認場面 | 確認事項 | 対応 |
|---|---|---|
| 滋養強壮薬の販売全般 | 服用中の薬・持病 | カルシウムは腎臓病患者に注意。ローヤルゼリーはアレルギー(特にミツバチアレルギー)に注意 |
| 美白・システイン含有製品 | 妊婦・授乳婦の相談 | 医師への相談を勧める |
| カルシウム含有製品 | ビタミンD含有製品との重複 | 通常摂取量では問題少ないが大量摂取の重複は高Ca血症リスク |
| グルクロノラクトン配合 | 肝疾患・大量飲酒の既往 | 重篤な肝疾患は医師への相談を優先 |
| 複数の滋養強壮薬の重複 | 特に脂溶性ビタミン(A・D)の重複 | 蓄積による過剰症リスクを説明 |
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 滋養強壮保健薬・配合成分と目的 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。