第3章 主な医薬品とその作用145主な医薬品とその作用(成分群の横断・剤形)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問145:主な医薬品とその作用(成分群の横断・剤形)

内服薬の剤形に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 腸溶性フィルムコーティング錠は胃酸で溶けやすく加工されており、胃が荒れやすい成分を胃で速やかに溶かして吸収させるために用いられる。
  • ソフトカプセル剤は液状の内容物を硬ゼラチン製の殻に充填した製剤であり、主に粉末状の成分に使用される。
  • 散剤(粉末剤)は錠剤に比べて崩壊・溶出が速い傾向があるため吸収も早くなりやすいが、口腔内での苦みや飛散により服用感が悪くなることがある。正答
  • チュアブル錠は噛み砕いたり唾液で溶かしたりして服用する剤形であり、水なしで服用できるため小児や高齢者に適しているが、噛み砕かずにそのまま丸ごと飲み込んでも溶解・吸収は全く変わらないため、噛む必要は特にない。
  • 口腔内崩壊錠(OD錠)は唾液で溶けずに口腔内に長時間残留する性質を持つため、嚥下困難者には使用できない。
正答:散剤(粉末剤)は錠剤に比べて崩壊・溶出が速い傾向があるため吸収も早くなりやすいが、口腔内での苦みや飛散により服用感が悪くなることがある。

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正答はウです。

散剤(粉末)は錠剤より崩壊・溶出が速く吸収が早い傾向がありますが、苦みや飛散が問題になることがあります(ウが正しい)。

内服薬の剤形の特徴を覚えましょう。

| 剤形 | 特徴・目的 |

|---|---|

| 錠剤(素錠) | 最も一般的。飲みやすく保存安定 |

| 腸溶錠 | 胃では溶けず腸で溶ける(胃への刺激を避ける・腸溶成分) |

| 軟カプセル | 液状成分を半固形の殻で包む |

| 硬カプセル | 粉末・顆粒を硬ゼラチン殻で包む |

| 散剤・顆粒剤 | 崩壊早い・吸収速い・飛散・苦み |

| チュアブル錠 | 噛み砕いて服用。水なし可 |

| OD錠(口腔内崩壊錠) | 唾液で崩壊→嚥下困難者・高齢者に適 |

| 液剤 | 崩壊不要→速い吸収。保存が難しい |

アは腸溶錠は「腸で溶ける」(胃では溶けない)が逆。イはソフトカプセルは液状充填。オはOD錠は唾液で崩壊する。

標準試験対策の基準レベル

内服剤形の特徴・利点・欠点の整理:

| 剤形 | 特徴 | 利点 | 欠点・注意 |

|---|---|---|---|

| 素錠(普通錠) | コーティングなし | 製造容易・保存安定 | 苦み・崩壊時間が成分依存 |

| フィルムコーティング錠 | 薄いフィルムで被覆 | 飲みやすい・防湿・光遮断 | 粉砕不可(一部) |

| 腸溶性コーティング錠 | 腸で溶けるpH依存型コーティング | 胃への刺激回避・腸での安定吸収 | 噛み砕き・粉砕禁止 |

| 徐放性製剤(SR錠等) | 成分を徐々に放出するコーティング | 血中濃度を安定維持・服用回数減 | 噛み砕き・粉砕禁止(放出制御破壊) |

| 軟カプセル(ソフトカプセル) | 液状・半固形充填、柔らかい殻 | 液状成分の安定封入・飲みやすい | 開封・粉砕不可 |

| 硬カプセル(ハードカプセル) | 粉末・顆粒充填、2片ゼラチン殻 | 苦みマスク・異なる成分混合 | 高温多湿で軟化・ゼラチンアレルギー注意 |

| 散剤・顆粒剤 | 微細粉末・粒状 | 崩壊不要→速い吸収・用量調整容易 | 吸湿・飛散・苦み・保存注意 |

| チュアブル錠 | 噛み砕く設計(味付き) | 水なし服用可・小児・嚥下困難者 | 粉砕ではなく噛み砕く設計で他の錠と異なる |

| OD錠(口腔内崩壊錠) | 唾液で速やかに崩壊 | 水なし服用可・嚥下困難者・高齢者 | 製造コスト・湿気への注意 |

| 液剤・シロップ剤 | 崩壊不要・速い吸収 | 嚥下困難・小児に適す | 保存が難(酸化・分解・細菌汚染)・計量の手間 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 腸溶性コーティングは、胃酸(低pH)では溶けず、腸(中性〜アルカリ性・pH6〜7以上)で溶けるpH依存性のコーティングです。目的は胃への刺激を避け、かつ胃酸で分解される成分を腸まで届けることです。
  • イ(誤): ソフトカプセル(軟カプセル)は液状・半固形状の内容物を柔らかいゼラチン(またはHPMC等)の殻に封入した製剤です。「硬ゼラチン製」はハードカプセル(硬カプセル)の説明です。粉末状の成分は硬カプセルや散剤・錠剤に使用されます。
  • ウ(正): 散剤は崩壊工程が不要で、溶出・吸収が速い傾向があります。その反面、口腔内で苦みを感じやすく、飛散しやすいという服用感上の欠点があります。
  • エ(誤): チュアブル錠は「かみ砕いたり唾液で溶かしたりして服用する錠剤」であり、水なしで服用でき小児・高齢者に適している点までは正しいのですが、「噛み砕かずにそのまま飲み込んでも溶解・吸収は全く変わらず噛む必要はない」という部分が誤りです。チュアブル錠は噛み砕くことを前提に設計されており、噛み砕かなければ口腔内で錠剤の形状が維持され、薬効を十分に発揮できないと考えられます。したがって「噛む必要がない」という記述は誤りです。
  • オ(誤): OD錠(口腔内崩壊錠)は唾液に触れると速やかに崩壊するように設計された錠剤です。嚥下困難者・高齢者でも水なしで服用できることが大きな利点です。「唾液で溶けずに長時間残留する」は誤りです。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【内服剤形の製剤学的理解と登録販売者の実務応用】

剤形設計の目的と薬物動態への影響:

製剤設計の目的は「正しい量の薬物を、正しい部位に、適切なタイミングで届けること」です。剤形は薬物の吸収速度・吸収部位・生物学的利用率(BA)に直接影響します。

崩壊→溶出→吸収の流れ:

錠剤 → 崩壊(崩壊試験:日本薬局方基準あり)→ 溶出(溶出試験)→ 消化管で吸収

この流れで、以下の製剤工夫が理解できます:

| 製剤工夫 | 目的 | 具体例 |

|---|---|---|

| 腸溶性コーティング(pH依存) | 胃での溶解を回避し、腸で放出 | アスピリン腸溶錠(胃潰瘍防止)・腸溶性PPIなど |

| 徐放性コーティング(SR) | 一定速度で放出し血中濃度を平坦に維持 | 一部の抗ヒスタミン薬・カフェイン含有薬 |

| 多層錠・二重錠 | 即放層と徐放層を組み合わせ | 速効成分と持続成分の組み合わせ |

| マイクロカプセル | 個々の薬物粒子をコーティング | 顆粒剤の苦みマスク・溶出制御 |

腸溶性製剤の粉砕・噛み砕き禁止の理由:

コーティング錠・カプセル製剤を粉砕・噛み砕くと:

1. 腸溶性コーティングが破壊→胃での早期溶解→胃への刺激・成分の酸分解

2. 徐放性コーティングが破壊→血中への急速放出→過剰な薬効・副作用

登録販売者として、「錠剤を半分に割って」「噛んで」「粉にして」という要望があった場合:

  • 一般的な素錠・フィルムコーティング(薄い): 割ることを前提とした割線入りは可能なものもある
  • 腸溶錠・徐放錠・コーティングが厚い錠剤: 粉砕・噛み砕きは不可と説明し、代替剤形(散剤・液剤・OD錠)を提案する
  • 嚥下困難な購入者: OD錠・液剤・チュアブル錠を積極的に提案

カプセル剤の開封問題:

カプセル剤(特に硬カプセル)を開けて中身だけを服用することを希望する購入者がいますが:

  • 苦みマスク目的のカプセルは開封すると苦みが露出
  • 放出制御目的のカプセル内顆粒を単純に飲むと溶出が変化する可能性
  • アレルギー(ゼラチン・大豆・豚由来など)については代替素材(HPMC等)の確認が必要

液剤の保存管理と登録販売者の指導:

液剤・シロップ剤は:

  • 開封後は冷蔵保管が必要なものが多い
  • 計量の誤差が生じやすい(特に小児への投与)
  • 開封後の有効期間(添付文書記載)を守る
  • シロップ剤は糖分が高いため、糖尿病患者への使用は注意

OD錠の特性と現場での注意点:

OD錠の崩壊促進機序: 水分(唾液)を吸収すると崩壊剤(クロスポビドン・クロスカルメロース等)が膨潤→錠剤が崩壊

OD錠の注意事項:

  • 湿気に弱い→開封後は乾燥環境で保管・PTP包装から取り出したらすぐ服用
  • 崩壊後はドロドロになった成分を飲み込む必要があり、飲み込み機能が著しく低下している場合は適切ではないこともある(医師・歯科医師への相談を勧める)

小児への剤形選択の実務:

| 年齢目安 | 推奨される剤形 | 避けるべき剤形・理由 |

|---|---|---|

| 乳児(1歳未満) | シロップ剤・液剤 | 錠剤・カプセル(誤嚥リスク) |

| 幼児(1〜6歳) | 液剤・顆粒剤・チュアブル錠(小児用) | 硬カプセル・大きな錠剤 |

| 学童(6〜15歳) | 錠剤・カプセル(飲めるようになる子もいる)・顆粒 | 特別な制限は減るが個人差あり |

| 高齢者 | OD錠・液剤・チュアブル錠 | 大きな錠剤(嚥下困難リスク)・コーティング錠の噛み砕き |

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 医薬品の剤形 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

内服薬の剤形(錠剤・カプセル・散剤・液剤・チュアブル頻出度B

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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