登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問146:主な医薬品とその作用(成分群の横断・剤形)
外用薬の剤形に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア軟膏(油脂性基剤)は水分を含まない油脂性の基剤に有効成分を配合した剤形であり、皮膚への付着性が高くて刺激が少ないため、患部が湿潤している場合や創傷面にも比較的適している。
- イクリーム剤(乳剤性基剤)は水分とともに有効成分を乳化させた剤形であり、乾燥した皮膚への浸透性が高く使用感が良いが、創傷面や刺激に弱い粘膜には不向きである。
- ウローション剤(水性基剤)は液状の剤形であり、水や低級アルコールに有効成分を溶解・懸濁させたもので、頭部や手足など広い範囲に塗布するのに適している。
- エ貼付剤(パップ剤・テープ剤)は有効成分を支持体に塗布した製剤であり、パップ剤は水分を含んで冷感・温感を与えるほか、テープ剤はパップ剤より薄くて皮膚への密着性が高い。
- オスプレー剤(エアゾール剤を含む)は対象部位に直接噴霧するが、皮膚の広い面積への適用が難しいため、主に頭皮の局所的な小さな範囲のみに使用する剤形である。正答
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正答(誤っているもの)はオです。
スプレー剤は広い範囲に均一に塗布できるのが利点であり、「小さな範囲のみ」という説明は誤りです。頭皮・背中・足など広い部位に適しています(オが誤り)。
外用薬の剤形の使い分けを覚えましょう。
| 剤形 | 基剤 | 特徴・向く症状 |
|---|---|---|
| 軟膏 | 油脂性(ワセリン等) | 水分なし・刺激少ない・湿潤部位・創傷面に可 |
| クリーム | 乳剤性(水+油) | 浸透よい・使用感良い・乾燥肌に向く・粘膜不可 |
| ローション | 水性(液状) | 広い範囲・頭部・手足に適 |
| 貼付剤(パップ) | 含水性 | 冷感・温感・固定効果 |
| 貼付剤(テープ) | 非含水・薄い | 密着性高・目立ちにくい |
| スプレー | 液状噴霧 | 広い範囲・均一塗布・触れにくい部位 |
外用薬の剤形特性と使い分けの横断整理:
| 剤形 | 基剤の特性 | 適する患部の状態 | 不向き・注意点 |
|---|---|---|---|
| 軟膏(油脂性) | ワセリン・流動パラフィン等の油脂性 | 湿潤・びらん・創傷面・乾燥した皮膚 | 皮膚に残りやすい・べたつく・衣類に付着 |
| クリーム(乳剤性) | O/W型(水中油)またはW/O型(油中水) | 乾燥した皮膚・慢性湿疹 | 創傷面・刺激に弱い粘膜・O/W型は乾燥後残りが少ない |
| ゲル剤 | 水溶性高分子ゲル | 広い範囲・透明で目立たない | 乾燥すると皮膚がつっぱる感 |
| ローション(水性) | 水・低級アルコール(エタノール等)に溶解・懸濁 | 広い範囲・頭皮・手足・四肢 | 揮発性があり刺激感。アルコールに弱い人に注意 |
| パップ剤(湿布) | 含水性基剤(水ゲル)を不織布等に展開 | 関節・筋肉痛・消炎鎮痛 | かぶれ(接触皮膚炎)・ゆるみやすい |
| テープ剤(経皮吸収型含む) | 非含水・薄型基剤 | 関節・筋肉(密着・目立ちにくい)・経皮吸収 | はがれやすい部位・パップより長時間貼付可 |
| スプレー剤・エアゾール剤 | 液状・ガス噴射 | 広い範囲・背中・頭皮・触れにくい部位 | 吸入注意(特に顔周辺)・引火性あり(エタノール含有時) |
| リニメント剤 | アルコールと油の混合 | 擦り込む・皮膚血行促進 | 粘膜・傷口への使用不可 |
各選択肢の解説:
- ア(正しい): 油脂性基剤(軟膏)は水分を含まないため、湿潤した患部(びらん・渗出液のある傷口)でも使用できます。また刺激が少なく皮膚への付着性が高いため、創傷面への適用にも適しています。
- イ(正しい): クリームは乳剤性基剤で水分を含み、皮膚への浸透性と使用感が良好です。ただし創傷面(防腐剤・乳化剤が刺激になりうる)や刺激に弱い粘膜には不向きです。
- ウ(正しい): ローション剤は液状で広範囲への塗布に適しており、頭皮・手足など均一に広げにくい部位に使いやすい剤形です。
- エ(正しい): パップ剤(湿布)は水分を含む含水性基剤で、水分の蒸発による冷感(冷湿布)や温感成分による温感(温湿布)があります。テープ剤はパップ剤より薄くて柔軟で皮膚への密着性が高く、関節部分など動きのある部位にも適しています。
- オ(誤り): スプレー剤・エアゾール剤は噴霧によって広い面積に均一に塗布できることが特長です。「頭皮の局所的な小さな範囲のみ」という説明は誤りで、むしろ背中・広い範囲の皮膚など、手が届きにくい部位や広い面積への塗布に適しています。
【外用薬の剤形設計の理解と経皮吸収の基礎】
経皮吸収と剤形の関係:
外用薬の有効成分は皮膚を通過して局所(皮膚・皮下組織・関節)または全身循環に吸収されます。剤形は経皮吸収率に大きく影響します。
経皮吸収の経路:
1. 角質層経由(主要経路): 皮膚の最外層の角質層を通過。脂溶性成分はこの経路を通りやすい
2. 毛包・皮脂腺経由(付属器経路): 毛穴・皮脂腺を通過。水溶性成分にも有効なルート
3. 汗腺経由: 一部の小さな親水性分子
基剤の特性と経皮吸収への影響:
| 基剤種類 | 経皮吸収促進効果 | 角質層水和 | 密閉効果 |
|---|---|---|---|
| 油脂性基剤(ワセリン等) | 低〜中(吸収促進剤は別途添加) | 高い(閉塞効果→角質水和→吸収促進) | 高 |
| 乳剤性基剤(クリーム) | 中(O/W型は皮膚への残留が少ない) | 中程度 | 低〜中 |
| 水溶性基剤(ゲル・ローション) | 低(揮発後は残留成分のみ) | 低い(揮発で乾燥することも) | 低 |
| 経皮吸収型貼付剤(TDS) | 高(基剤から持続放出・一定速度) | 中程度 | 高い(閉塞的) |
軟膏の基剤の種類(詳細):
油脂性基剤には以下の種類があります:
- ワセリン(ペトロラタム): 最も安定・低刺激。水を弾く。主な用途: 保護・保湿・乾燥皮膚
- パラフィン類: ワセリン類似
- 植物油・動物油(ラノリン等): 皮膚への親和性が高い
- 合成油脂・シリコーン: 耐水性・皮膚呼吸を妨げにくい(一部)
貼付剤の種類と特性(詳細):
| 種類 | 基剤 | 特性 | 使用場面 |
|---|---|---|---|
| パップ剤(湿布) | 含水ゲル(CMC等の親水性高分子) | 含水量多い・皮膚刺激が少ない・冷感/温感 | 筋肉痛・関節痛・急性炎症 |
| プラスター(ゴム膏) | ゴム系基剤 | 粘着力強い・耐水性 | 固定目的・外傷補助 |
| テープ剤(非含水) | アクリル系・ゴム系粘着基剤 | 薄い・密着性高い・透湿性あり | 関節部(動きのある部位)・消炎鎮痛・経皮吸収型(TDS) |
| 経皮吸収型貼付剤(TDS) | リザーバー型またはマトリックス型 | 一定速度で放出・全身作用可能 | ニコチンパッチ(禁煙補助)・ホルモン製剤等(一部OTC外) |
スプレー剤・エアゾール剤の注意事項(実務):
スプレー剤には:
- 液状噴霧型: ポンプを押すことで液状薬剤を霧状に噴霧(引火性が低い・エアゾールガスなし)
- エアゾール型: LPG(液化石油ガス)等のガスを使用した加圧噴霧缶(引火性に注意)
実務での注意:
1. 吸入禁止: 顔・頸部・口腔・鼻腔周辺への使用時は吸入しないよう指導
2. 引火性: エタノール含有エアゾールは引火性があるため火気厳禁
3. 眼への使用: 直接眼に噴霧しないよう指導
4. 子供の誤飲・誤嚥: 手の届かない場所での保管
登録販売者が剤形を説明する場面:
| 購入者の状況 | 推奨される剤形 | 理由 |
|---|---|---|
| 傷口・びらんのある患部 | 軟膏(油脂性) | 刺激が少なく付着性が高い |
| 乾燥した慢性湿疹 | クリーム | 浸透性・保湿・使用感の良さ |
| 頭皮の消毒・育毛 | ローション・スプレー | 広い範囲に均一塗布・毛髪間に届く |
| 関節・筋肉の消炎鎮痛 | パップ剤またはテープ剤 | 局所的に長時間作用 |
| 背中・広い範囲の皮膚炎 | スプレー剤 | 手が届きにくい部位・広い範囲 |
| 粘膜部位(口腔・直腸等) | 軟膏(油脂性)・専用製剤 | クリーム・ローションは刺激になることがある |
| 嚥下困難(外用の場合) | テープ・貼付剤 | 内服が困難な場合の代替として皮膚吸収 |
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 外皮用薬の剤形 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。