第3章 主な医薬品とその作用19主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問19:主な医薬品とその作用(漢方処方製剤)

漢方処方製剤の「証」(体質・病態への適応)と含有生薬に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)は体力の充実した「実証」の人に適し、虚弱体質・著しい胃腸の弱い人には禁忌とされているため、体力が並以上の人のみが使用できる。
  • 八味地黄丸(ハチミジオウガン)は主に若年者・中年者向けの漢方薬であり、高齢者や泌尿器症状(夜間尿・残尿感)のある人への使用は適さないとされている。
  • 葛根湯(カッコントウ)はカッコン・マオウ・タイソウ・ケイヒ・シャクヤク・カンゾウ・ショウキョウを含み、体力が中程度以上の人のかぜの初期(悪寒・発熱・頭痛・肩こり等)に用いられる。正答
  • 防風通聖散(ボウフウツウショウサン)はダイオウを含まず、体力がある「実証」の人の肥満に用いられるため、便秘傾向のある人には使用できない。
  • 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)は実証の人向けの漢方処方で、冷え・貧血・月経不順がある体力充実の女性に適している。
正答:葛根湯(カッコントウ)はカッコン・マオウ・タイソウ・ケイヒ・シャクヤク・カンゾウ・ショウキョウを含み、体力が中程度以上の人のかぜの初期(悪寒・発熱・頭痛・肩こり等)に用いられる。

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正答はウです。

葛根湯の構成生薬(カッコン・マオウ・タイソウ・ケイヒ・シャクヤク・カンゾウ・ショウキョウの7種)は手引きに明記されており、体力中程度以上の人のかぜ初期(特に悪寒・発熱・肩こり・頭痛が強い段階)に用います。pilotのch3_03でマオウの関連(高血圧等禁忌)を扱いましたが、本問はカッコン含有と「証」の適切な組合せを問います。

アは誤りで、桂枝茯苓丸は「比較的体力あり」向きですが「著しく虚弱」でなければ使用可能です。イは誤りで、八味地黄丸は高齢者・泌尿器症状のある人に適します。エは誤りで、防風通聖散はダイオウを含み便秘傾向の人にも用いられます。オは誤りで、当帰芍薬散は虚証(体力虚弱)向けです。

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頻出漢方処方の証・適応・禁忌一覧(pilotのマオウ/カンゾウ以外の視点):

| 処方名 | 証 | 主な適応 | 重要含有生薬 | 注意 |

|---|---|---|---|---|

| 葛根湯 | 実証(体力中以上) | かぜ初期・肩こり・鼻炎 | カッコン・マオウ・カンゾウ等 | 高血圧・心疾患注意(マオウ)|

| 桂枝茯苓丸 | 中間〜実証 | 婦人の月経不順・冷えのぼせ・皮膚炎 | ケイシ・ブクリョウ・ボタンピ等 | 虚弱者注意 |

| 八味地黄丸 | 虚証(体力低下) | 高齢者の泌尿器症状・腰痛・足腰の冷え | ジオウ・ブシ等 | ブシ含有→心毒性 |

| 防風通聖散 | 実証(体力充実) | 肥満・便秘・高血圧 | ダイオウ・カンゾウ等 | 妊婦禁忌(ダイオウ)|

| 当帰芍薬散 | 虚証(体力虚弱) | 虚弱女性の月経不順・冷え・貧血 | トウキ・センキュウ等 | 虚証向け(実証には不適)|

| 加味逍遙散 | 中間〜虚証 | 更年期・月経前症候群・いらいら | カンゾウ等 | カンゾウ過剰注意 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 桂枝茯苓丸は「比較的体力があり、のぼせて足が冷えやすい人」に適するとされています。しかし「著しく虚弱な体質の人」への使用は禁忌となっていることがあるものの、「体力が並以上の人のみ」という厳密な制限ではなく、中間程度の体力の人にも適用される場合があります。選択肢の「体力が並以上の人のみが使用できる」という断定は過剰な限定で誤りです。
  • イ(誤): 八味地黄丸(附子・地黄等含有)は、体力の低下した人(虚証)・高齢者・冷え・夜間尿(夜間頻尿)・残尿感・下肢の冷え・腰痛等のある人に適します。「高齢者に適さない」は正反対で誤りです。ブシ(附子)を含むため、心毒性・しびれ等の副作用に注意が必要です。
  • ウ(正): 葛根湯の構成生薬:カッコン・マオウ・タイソウ・ケイヒ・シャクヤク・カンゾウ・ショウキョウ(7種)。体力中程度以上の人のかぜ初期(悪寒・発熱・頭痛・肩こり・首筋のこわばり)に用います。発汗が始まった段階や体力が虚弱な人には不適とされています。
  • エ(誤): 防風通聖散はダイオウ(大黄)を含みます。ダイオウのセンノシドによる刺激性瀉下作用が肥満の解消(便秘改善・代謝促進)に寄与します。「ダイオウを含まず」は誤りです。また便秘傾向の人の肥満にも用いられます(ダイオウによる便通改善効果)。妊婦にはダイオウ含有から禁忌です。
  • オ(誤): 当帰芍薬散は「虚証」(体力が虚弱)の人向けの婦人薬です。冷え・貧血・月経不順はあっていますが、「体力充実の女性」や「実証」への適応は誤りです。実証・体力充実の女性の月経不順・冷えのぼせには桂枝茯苓丸等が適します。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【漢方医学の「証」の概念と現代医学的な解釈】

「証(しょう)」は漢方医学における患者の体質・病態・反応性を表す概念で、治療方針(どの漢方処方が適するか)を決定するための診断指標です。

主要な軸:

1. 実証(じっしょう)〜虚証(きょしょう): 体力・抵抗力の指標

- 実証: 体力充実・抵抗力あり・声大きい・顔色良い→体力を消耗させる処方(発汗・瀉下等)が有効

- 虚証: 体力虚弱・疲れやすい・声小さい・冷え→補養・温補の処方が必要

2. 寒証〜熱証: 体温・エネルギー状態

- 寒証: 冷え・寒がり・青白い顔→温める生薬(ブシ・ショウキョウ・ケイヒ)

- 熱証: のぼせ・顔赤い・口渇・好冷→冷やす生薬(ダイオウ・ボタンピ)

3. 気・血・水の異常: 漢方における機能的単位の不均衡

- 気滞(気の滞り): いらいら・胸部圧迫感→気の流れを改善

- 瘀血(おけつ)(血の滞り): 月経不順・色素沈着・肩こり→駆瘀血薬(桂枝茯苓丸・桃核承気湯等)

- 水滞(すいたい): 浮腫・胃内停水→水の代謝を改善

登録販売者試験では証の詳細な理論より「この処方は虚証向けか実証向けか」「この処方に○○は向くか」という実践的な適応判断が求められます。

【葛根湯のカッコン(葛根)の薬理】

カッコン(クズ(Pueraria lobata)の根)の主要活性成分はプエラリン・ダイジン等のイソフラボン類です。薬理作用:

1. 発汗促進: 汗腺への作用で発汗を適度に促進→熱の放散(解表)

2. 項背部(首・背中)の筋弛緩: 筋緊張を緩和→肩こり・首筋のこわばりを改善

3. 血糖降下作用: プエラリンがα-グルコシダーゼ阻害・インスリン感受性改善(研究レベル)

4. 血管拡張: ダイジン等のイソフラボンが血管平滑筋弛緩→末梢循環改善

かぜ初期の悪寒・発熱・肩こりに葛根湯が有効な理由は、マオウによる発汗・体温調節+カッコンによる筋緊張緩和・発汗促進の相乗効果です。ただし発汗が始まった段階(汗をかいている状態=表証の汗あり)では葛根湯は適さず、桂枝湯等に切り替えるという漢方の概念もあります。

【防風通聖散の複合的な作用と肥満への機序】

防風通聖散(ボウフウ・レンギョウ・オウゴン・サンシシ・カッセキ・ボウイ・ダイオウ・マオウ・ショウキョウ・ハッカ・センキュウ・トウキ・シャクヤク・ケイガイ・チョウセンゴミシ・カンゾウ・ビャクジュツを含む大処方)の肥満への作用:

1. ダイオウ: 刺激性瀉下→腸管通過時間短縮→食物からのカロリー吸収抑制+排便増加

2. マオウ(エフェドリン): 交感神経刺激→熱産生増加(体熱産生・発汗)・脂肪燃焼促進

3. カンゾウ: 抗炎症・副腎皮質ホルモン様→代謝関与(複雑)

4. 利水生薬: 体内余分な水分の排出→浮腫型肥満に

「体力充実した実証の人の肥満・高血圧」という適応は、エフェドリン(マオウ)によって虚証(体力低下)の人には過剰刺激になるリスクがあるからです。便秘を伴う肥満には特に有効です(ダイオウの瀉下効果)。

【処方ごとの適応「証」暗記の実践的方法】

登録販売者試験での漢方暗記のコツ:

| 分類 | 代表処方 | 覚え方 |

|---|---|---|

| 実証(体力充実) | 防風通聖散・麻黄湯・大柴胡湯 | 体力ある→強い処方(発汗・瀉下が激しい) |

| 虚証(体力虚弱) | 当帰芍薬散・六君子湯・補中益気湯・加味逍遙散 | 弱い人→補う処方(温補・補血) |

| 中間(どちらでも) | 葛根湯・小青竜湯・柴胡桂枝湯 | 幅が広い(中程度以上) |

| 高齢者向け | 八味地黄丸・牛車腎気丸 | 腎虚(老化)→補腎(ジオウ・ブシ系) |

| 婦人科系 | 当帰芍薬散(虚)・桂枝茯苓丸(中実)・加味逍遙散(虚〜中) | 冷え虚弱→当帰芍薬散、のぼせ→桂枝茯苓丸 |

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第15節

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答ウ確定。葛根湯の構成生薬7種=カッコン・マオウ・タイソウ・ケイヒ・シャクヤク・カンゾウ・ショウキョウを医療用/一般用漢方の組成で全数突合一致(体力中等度以上・かぜ初期/肩こり)。ア=桂枝茯苓丸は「比較的体力あり」だが"並以上のみ"の断定は過剰で誤り、イ=八味地黄丸は高齢者/泌尿器症状(夜間尿/残尿感)に適応で「適さない」は正反対の誤り、エ=防風通聖散はダイオウを含むので「含まず」は誤り、オ=当帰芍薬散は虚証向けで「実証/体力充実」は誤り。漢方の証・構成生薬とも手引き整合し健康被害リスクなし。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

漢方・カッコン含有処方と証・体質適応頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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