第3章 主な医薬品とその作用21主な医薬品とその作用(かぜ薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問21:主な医薬品とその作用(かぜ薬)

一般用かぜ薬・解熱鎮痛薬に含まれる成分の使用上の注意に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • アセトアミノフェンは妊婦への使用が禁忌であり、どの妊娠段階においても服用してはならない成分である。
  • イブプロフェンは「出産予定日12週以内の妊婦」に対して「してはいけないこと(禁忌)」とされており、それ以外の妊娠初期〜中期の妊婦については「相談すること」とされている。正答
  • ロキソプロフェンナトリウム水和物はOTC医薬品として販売されているが、15歳未満の小児には使用禁忌とされていない。
  • かぜ薬に配合される抗コリン成分(ベラドンナ総アルカロイド等)は副交感神経を刺激して鼻腺・気管腺の分泌を増加させる。
  • アスピリン(アセチルサリチル酸)はすべての年齢のかぜに対して解熱鎮痛薬として安全に使用でき、特に小児への使用制限はない。
正答:イブプロフェンは「出産予定日12週以内の妊婦」に対して「してはいけないこと(禁忌)」とされており、それ以外の妊娠初期〜中期の妊婦については「相談すること」とされている。

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正答はイです。

イブプロフェンの妊婦への禁忌は「出産予定日12週以内」の時期に限定された記述(添付文書の「してはいけないこと」)です。それ以外の妊娠初期・中期は「相談すること」です。この表現の違い(禁忌 vs 相談)は試験頻出の区別です。

アは誤りで、アセトアミノフェンは妊婦への使用が比較的安全とされ(特に初期・中期は医師判断のもと使用可)、全面禁忌ではありません。ウは誤りで、ロキソプロフェンも15歳未満は使用を避けることとされています。エは誤りで、抗コリン成分は副交感神経を「遮断」して分泌を「減少」させます。オは誤りで、アスピリンは15歳未満の小児への使用が禁忌に準じます(ライ症候群)。

標準試験対策の基準レベル

解熱鎮痛成分の妊婦・小児への使用可否(重要区別):

| 成分 | 妊婦 | 小児 |

|---|---|---|

| アセトアミノフェン | 比較的安全(医師判断で使用可)・全面禁忌ではない | 適切用量で使用可(小児用あり) |

| イブプロフェン | 出産予定日12週以内→禁忌(してはいけないこと)。他の時期→相談すること | 15歳未満→使用禁忌 |

| アスピリン | 出産予定日12週以内→使用注意・相談 | 15歳未満→使用禁忌(ライ症候群) |

| ロキソプロフェン | 出産予定日12週以内→禁忌・他の時期→相談 | 15歳未満→使用を避ける |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): アセトアミノフェンはプロスタグランジン合成阻害が弱く、動脈管収縮・胎児腎機能への影響が少ないため、妊娠中の解熱鎮痛にはアセトアミノフェンが選択されます。ただし使用は可能な限り最小限・最短期間とし、大量摂取は避けます。「どの妊娠段階でも服用不可」は誤りです。
  • イ(正): OTCイブプロフェンの添付文書では「してはいけないこと(禁忌)」に「出産予定日12週以内の妊婦」が明記されています。理由はプロスタグランジン合成阻害による胎児動脈管の早期収縮・閉鎖(胎児循環障害)と分娩時出血リスクです。それ以外の妊婦は「相談すること」として医師への確認を促します。
  • ウ(誤): ロキソプロフェンナトリウム水和物(ロキソニンS等)はOTCのNSAIDsですが、15歳未満の小児への使用は「使用しないこと」とされています(添付文書)。15歳未満に対して使用制限がない、という記述は誤りです。
  • エ(誤): 抗コリン成分(ベラドンナ総アルカロイド・スコポラミン等)はムスカリン受容体(副交感神経受容体)を遮断することで副交感神経の作用を抑制します。鼻腺・気管腺の分泌は副交感神経支配であるため、遮断すると分泌が「減少」します(鼻汁・痰の分泌抑制)。副交感神経を「刺激」して分泌を「増加」させるという記述は正反対で誤りです。
  • オ(誤): アスピリン(アセチルサリチル酸)はウイルス感染(インフルエンザ・水痘等)時に小児・青年が服用するとライ症候群(急性脳症+肝機能障害)を引き起こすリスクがあるため、15歳未満への使用は禁忌に準じて避けることとされています。「すべての年齢に安全」は誤りです。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【イブプロフェンの動脈管収縮機序と「出産予定日12週以内禁忌」の根拠】

胎児循環と動脈管(ductus arteriosus)の役割:

  • 胎児は肺呼吸をしないため、肺動脈→大動脈をつなぐ「動脈管」(バイパス)で肺を迂回して全身に血液を送ります
  • 動脈管はプロスタグランジンE₂(PGE₂)によって拡張・開存が維持されています
  • 出生後は肺呼吸開始→PGE₂低下→動脈管が自然閉鎖(通常数日〜2週間)

NSAIDs(イブプロフェン等)でPG合成が阻害されると:

  • PGE₂低下→動脈管が早期収縮・閉鎖
  • 胎児の肺動脈→大動脈バイパスが塞がれる→右心室の後負荷急増→肺高血圧・右心不全
  • 出生後、正常閉鎖機序が乱れる可能性

「出産予定日12週以内」(妊娠28週以降目安)に特に禁忌とされる理由:

  • この時期に動脈管の感受性が最も高く、NSAIDsでの収縮リスクが最大
  • 同時にPGは子宮頸管熟化・分娩開始にも関与するため、PG抑制で分娩遅延・分娩時出血増加のリスク

妊娠初期・中期でも胎児への影響(腎機能低下・羊水過少症の報告等)があるため「相談すること」とされています。

【ライ症候群の疫学的背景と現在の状況】

ライ症候群(Reye syndrome)は1963年にオーストラリアのReye医師が報告した急性脳症+肝脂肪変性の症候群です。

疫学の変化:

  • 1970〜80年代に欧米・日本で年間数百〜千件のライ症候群が報告
  • 1980年代にアスピリンとの関連が疫学研究で確立
  • 日本でも1987年頃から小児へのアスピリン制限→ライ症候群は激減(現在は年間数件以下)
  • 現在のライ症候群報告例は遺伝性代謝疾患(脂肪酸代謝異常等)との鑑別が重要

15歳という年齢制限の根拠:

  • ライ症候群はほとんどが15歳未満での発症
  • 16歳以上では報告が急激に減少
  • ただし「15歳を超えれば完全に安全」ではなく、個人差・感染状況・アスピリン量も関係

【NSAIDsのCOX選択性と消化管障害の予防】

OTCで使用できる主なNSAIDs:

| 成分 | COX選択性 | 消化管障害リスク | 特記 |

|---|---|---|---|

| アスピリン | COX-1強く阻害(非可逆的) | 高い(血小板抑制も強い) | 15歳未満禁忌 |

| イブプロフェン | COX-1/COX-2非選択的 | 中程度 | 15歳未満禁忌 |

| ロキソプロフェン | COX-1/COX-2非選択的(プロドラッグ) | 中程度(胃での溶出が少ない) | 15歳未満は使用を避ける |

| アセトアミノフェン | COX阻害弱い(中枢優位) | 低い | 小児可・肝障害注意 |

消化管障害の軽減策:

  • 食後服用(空腹時は避ける)
  • プロトンポンプ阻害薬(PPI)・胃粘膜保護薬の併用(医療用)
  • ミソプロストール(PGE₁誘導体)による粘膜保護

OTCかぜ薬では「空腹時は避けて服用する」という指示をしっかり購入者に伝えることが重要です。

【抗コリン成分(ベラドンナ):副交感神経遮断の混同を防ぐ覚え方】

抗コリン=「副交感神経を遮断=副交感神経の作用の逆」という関係を整理:

副交感神経の作用(優位=休息・消化・分泌)→抗コリンで遮断→逆の反応:

  • 外分泌腺(唾液・涙・鼻汁・気管分泌)増加→減少(口渇・ドライアイ・鼻汁減少)
  • 腸管蠕動促進→蠕動抑制(便秘)
  • 膀胱収縮(排尿)→弛緩(排尿困難・尿閉)
  • 眼の毛様体収縮(近視)→弛緩(遠視・散瞳→眼圧上昇)
  • 心拍数減少→増加(頻脈)

「抗コリン=副交感遮断=副交感作用の裏返し」という図式を覚えることで、副作用プロファイルを全て導き出せます。試験では「抗コリン作用を持つ成分の副作用はどれか」という問いに、この法則で対応可能です。

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第1節・第2節

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答イ確定。イブプロフェンは「出産予定日12週以内の妊婦=してはいけないこと(禁忌)」「それ以外の妊婦=相談すること」がPMDA/添付文書/手引きと一致(理由=胎児動脈管収縮・分娩遅延/出血)。ア=アセトアミノフェンは全妊娠段階禁忌ではなく妊娠中の解熱鎮痛で選択されるため誤り、ウ=ロキソプロフェンは15歳未満「使用しないこと」で「使用禁忌でない」は誤り、エ=抗コリン成分は副交感神経を遮断し分泌を減少させるため「刺激して増加」は正反対の誤り、オ=アスピリンは15歳未満でライ症候群リスクのため使用回避で「全年齢安全」は誤り。最重点の禁忌年齢/妊娠時期を全数突合し健康被害リスクなし。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第1節「かぜ薬」・第2節「解熱鎮痛薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

かぜ薬・イブプロフェンの出産予定日12週以内の禁忌と発熱機序頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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