第3章 主な医薬品とその作用32主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬・漢方処方製剤)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問32:主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬・漢方処方製剤)

咳に用いる漢方処方製剤に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 麦門冬湯(バクモンドウトウ)は空咳・咽頭乾燥を伴う咳に用いられ、体力中等度以下の人を対象とし、マオウを含まないため心臓病・高血圧への禁忌は比較的少ない。
  • 五虎湯(ゴコトウ)はマオウを含む処方であり、体力充実した人の激しい咳・気管支喘息様の咳に用いられ、心臓病・高血圧・甲状腺機能障害には注意が必要である。
  • 麻杏甘石湯(マキョウカンセキトウ)はマオウ・石膏・杏仁・甘草の4生薬から構成され、体力中等度以上の人の気管支炎・気管支喘息・小児喘息の咳に用いられる。
  • 神秘湯(シンピトウ)はカンゾウを含まない処方であり、気分が落ち込んでいる人や小児の気管支喘息・小児喘息の咳に用いられる。正答
  • 麦門冬湯はカンゾウを含むため、長期間使用すると偽アルドステロン症(低カリウム血症)のリスクがあり、他のカンゾウ含有製剤との重複服用に注意が必要である。
正答:神秘湯(シンピトウ)はカンゾウを含まない処方であり、気分が落ち込んでいる人や小児の気管支喘息・小児喘息の咳に用いられる。

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正答はエ(誤っているもの)です。

神秘湯はカンゾウを含む処方です。「カンゾウを含まない」という記述が誤りです。神秘湯はマオウとカンゾウの両方を含むため、心臓病・高血圧・甲状腺機能障害(マオウ由来)と偽アルドステロン症(カンゾウ由来)の両方に注意が必要です。

咳の漢方の含有成分を整理:

| 処方名 | マオウ | カンゾウ |

|---|---|---|

| 麦門冬湯 | なし | あり |

| 五虎湯 | あり | あり |

| 麻杏甘石湯 | あり | あり |

| 神秘湯 | あり | あり(誤りのポイント) |

ゴロ:「咳の漢方は全部カンゾウあり(麦門冬湯だけマオウなし)」

標準試験対策の基準レベル

咳の漢方処方比較表:

| 処方名 | 対象証 | 適応 | マオウ | カンゾウ | 特記事項 |

|---|---|---|---|---|---|

| 麦門冬湯 | 中等度以下(虚証寄り) | 空咳・咽頭乾燥・しつこい咳・気管支炎 | なし | あり | 痰が少なく・のどが乾く咳に特有の適応 |

| 五虎湯 | 比較的体力あり | 気管支喘息・小児喘息・気管支炎 | あり | あり | 石膏(セッコウ)含有・体の熱を冷ます |

| 麻杏甘石湯 | 中等度以上 | 気管支炎・気管支喘息・小児喘息・感冒 | あり | あり | 4生薬の構成(マオウ・杏仁・甘草・石膏) |

| 神秘湯 | 中等度以上 | 気管支喘息・小児喘息 | あり | あり | 精神的緊張・喘息に伴う情緒不安定に有効 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): 麦門冬湯の構成生薬はバクモンドウ・半夏・人参・甘草・粳米・大棗で、マオウを含みません。マオウを含まないため、心臓病・高血圧・甲状腺機能障害への禁忌が少ない点が特徴です。咽喉の乾燥を伴う乾性の咳に特に有効です。
  • イ(正): 五虎湯はマオウ(エフェドリン含有)を含む処方で、激しい咳・気管支喘息様の咳に用います。マオウのエフェドリンにより交感神経刺激→心拍数増加・血圧上昇のリスクがあるため、心臓病・高血圧・甲状腺機能障害の人には注意が必要です。
  • ウ(正): 麻杏甘石湯は麻黄(マオウ)・杏仁(キョウニン)・甘草(カンゾウ)・石膏(セッコウ)の4生薬から構成されます。「麻杏甘石」の名称がそのまま成分名になっており、覚えやすい処方です。体力中等度以上の人の気管支炎・気管支喘息に用います。
  • エ(誤・正答): 神秘湯は麻黄・陳皮・厚朴・柴胡・甘草・杏仁(・蘇葉)等を含む処方で、カンゾウを含みます。「カンゾウを含まない」は誤りです。気管支喘息・小児喘息に用い、精神的緊張が症状を悪化させる人に特に有効とされます。
  • オ(正): 麦門冬湯には甘草(カンゾウ)が含まれており、長期使用でグリチルリチン酸による偽アルドステロン症(低カリウム血症・浮腫・血圧上昇)のリスクがあります。他のカンゾウ含有製剤(他の漢方薬・甘草湯・芍薬甘草湯等)との重複服用には注意が必要です。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【咳の漢方処方4方剤の薬理的背景と生薬機能の深掘り】

麦門冬湯の「虚性の咳」への特有の機序:

麦門冬湯の主要生薬と薬理作用:

1. バクモンドウ(麦門冬): ステロイドサポニン・多糖類含有→気道粘膜の保湿・修復促進・抗炎症

2. 半夏(ハンゲ): 嘔吐中枢を介した鎮咳(制吐・鎮静)・粘液産生調節

3. 人参(ニンジン): 補気作用・気道上皮機能維持(特にレクチン・ジンセノサイド)

4. 甘草(カンゾウ): グリチルリチン酸の気道抗炎症・鎮咳補助

5. 粳米(コウベイ)・大棗(タイソウ): 補気・滋養(消化管機能維持)

麦門冬湯が適する「虚性の咳」の特徴:

  • 痰が少ない/なく粘稠(のどに張り付く)
  • 咳き込むと顔が赤くなる
  • 咽頭・口腔の乾燥感
  • 体力が低下・虚弱・高齢者・産後

マオウ(麻黄)含有処方共通の薬理と注意点:

マオウの主要薬理成分(エフェドリン・プソイドエフェドリン)の気管支への作用:

1. β₂アドレナリン受容体刺激→気管支平滑筋弛緩(気管支拡張)→喘息・気管支炎の症状緩和

2. α₁受容体刺激→気道粘膜血管収縮→粘膜浮腫軽減

3. 交感神経全般の興奮→心拍数増加・血圧上昇・発汗・緊張

マオウ含有漢方処方の禁忌・注意:

  • 心臓病・不整脈
  • 高血圧(血圧がさらに上昇するリスク)
  • 甲状腺機能亢進症(交感神経過緊張の増悪)
  • 糖尿病(エフェドリンが血糖上昇)
  • 前立腺肥大(α₁刺激により排尿困難悪化の可能性)

麻杏甘石湯の「4生薬配合」の薬理的意義:

麻杏甘石湯の成分と役割:

| 生薬 | 主成分 | 薬理作用 |

|---|---|---|

| 麻黄(マオウ) | エフェドリン | β₂刺激→気管支拡張・交感神経興奮 |

| 杏仁(キョウニン) | アミグダリン(HCN前駆体) | 鎮咳・鎮痛・末梢性制吐 |

| 甘草(カンゾウ) | グリチルリチン酸 | 抗炎症・鎮咳補助・偽アルドステロン症リスク |

| 石膏(セッコウ) | 硫酸カルシウム | 清熱(体の熱を冷ます)・解渇・消炎 |

麻杏甘石湯の特徴は「熱証(体が熱い・口が渇く)の喘息」に有効な点で、石膏による「清熱」が重要な役割を果たします。一方で五虎湯は麻杏甘石湯に桑白皮(ソウハクヒ)を加えた処方で、桑白皮の利尿・消炎が追加されています。

神秘湯の精神的側面と適応の特異性:

神秘湯の組成(主要生薬):麻黄・陳皮・厚朴・柴胡・甘草・杏仁(蘇葉)

神秘湯が「精神的緊張を伴う喘息」に有効な根拠:

1. 柴胡(サイコ): 解熱・抗炎症・ストレス応答調節(柴胡サポニンがグルココルチコイド様作用)→精神的緊張による喘息発作を緩和

2. 厚朴(コウボク): 理気(気の滞りを解消)・鎮静→精神的緊張・不安による気道過敏を緩和

3. 陳皮(チンピ): 理気・去痰・消化改善→気道内の痰を取り除く補助

「気管支喘息で精神的緊張が誘因となる人(緊張すると発作が起きやすい)」や小児で感情的な要因が絡む場合に神秘湯が選ばれる臨床的根拠がここにあります。

カンゾウ重複のリスク管理(偽アルドステロン症の実臨床):

4処方全てにカンゾウが含まれていることから、複数の漢方を重複服用する高齢者では過剰なグリチルリチン酸摂取による偽アルドステロン症リスクが高まります:

WHO基準のグリチルリチン酸安全摂取量:100〜200mg/日(目安)

標準的な漢方1日量に含まれるカンゾウ量(エキス剤):

  • 麦門冬湯:甘草1.5g(グリチルリチン酸 約50〜100mg相当)
  • 麻杏甘石湯:甘草1.5g
  • 神秘湯:甘草1.5g

複数処方の重複→グリチルリチン酸が安全量を超えるリスク→偽アルドステロン症(浮腫・低カリウム血症・高血圧)

登録販売者のアドバイス:

  • 複数の漢方薬を服用している顧客への確認を必ず行う
  • 「漢方は自然だから安全」という誤解を丁寧に解く
  • カンゾウ含有薬(OTCの風邪薬・胃腸薬でもカンゾウは多用)との重複チェック

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答エ(神秘湯は「カンゾウを含まない」が誤り=正答として妥当)一意確定。一次ソース突合:神秘湯=麻黄・杏仁・陳皮・厚朴・蘇葉・柴胡・甘草の7生薬で、マオウとカンゾウの両方を含む(カンゾウ重複・偽アルドステロン症およびマオウの心臓病/高血圧/甲状腺機能障害に注意)。五虎湯=麻杏甘石湯(麻黄・杏仁・甘草・石膏)に桑白皮を加えた5生薬で、構成差は桑白皮の有無のみ→advanced記述と一致。麦門冬湯=マオウ不含・カンゾウ含有、麻杏甘石湯=マオウ・カンゾウ含有も手引きと整合。咳の漢方4方剤すべてカンゾウ含有の整理も正しい。修正不要。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」、第2節「鎮咳去痰薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

咳の漢方=麦門冬湯/五虎湯/麻杏甘石湯/神秘湯とマオウカンゾウ含有頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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