第3章 主な医薬品とその作用41主な医薬品とその作用(駆虫薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問41:主な医薬品とその作用(駆虫薬)

駆虫薬の成分と対象となる寄生虫に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • ピペラジンは回虫および蟯虫に効果があり、回虫に対しては虫体の筋肉のアセチルコリン受容体を刺激して痙攣を起こし殺虫する。
  • サントニンは回虫に対して有効であり、回虫の神経系に作用して虫体を麻痺させ、腸管外への排出を促すが、過剰使用による視覚障害(黄視症・黄色く見える)に注意が必要である。
  • カイニン酸はカイガラモク(海藻)に含まれる成分で蟯虫に対して有効であり、蟯虫を殺虫する作用を持つ。
  • パモ酸ピルビニウムは蟯虫に用いられ、水に溶けやすいため服用後は大量の水で服用するよう指導される。
  • 駆虫薬は腸管内の寄生虫にのみ作用し、寄生虫の卵には効果がないため、蟯虫症では治療後も環境中の卵による再感染を防ぐ衛生管理(寝具の洗濯・肛門周囲の清潔保持等)が重要である。正答
正答:駆虫薬は腸管内の寄生虫にのみ作用し、寄生虫の卵には効果がないため、蟯虫症では治療後も環境中の卵による再感染を防ぐ衛生管理(寝具の洗濯・肛門周囲の清潔保持等)が重要である。

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正答はオです。

駆虫薬は腸管内の寄生虫成虫には効きますが、卵には効果がありません。特に蟯虫は肛門周囲に産卵し、卵が環境(寝具・下着等)に付着して再感染を繰り返します。薬で虫を駆除した後も再感染を防ぐために衛生管理が不可欠です。

ア・イ・ウ・エはいずれも誤りがあります。ピペラジンは回虫の筋肉を「弛緩」させて排出するため(痙攣させる記述は誤り)、カイニン酸は「回虫」に有効であり蟯虫ではありません(カイガラモク由来の記述はほぼ正しいが対象虫が誤り)、パモ酸ピルビニウムは「水に溶けにくい」成分です。

暗記ポイント: 「サントニン→黄視症、ピペラジン→回虫・蟯虫(弛緩)、カイニン酸→回虫、パモ酸ピルビニウム→蟯虫」

標準試験対策の基準レベル

駆虫薬の成分・対象・作用機序まとめ:

| 成分 | 対象寄生虫 | 作用機序 | 主な注意点 |

|---|---|---|---|

| サントニン | 回虫 | 回虫の自発運動を抑える→麻痺→排出(手引き準拠) | 黄視症・複視(視覚異常)・精神症状に注意 |

| ピペラジン | 回虫・蟯虫 | GABA作動性→虫体筋肉弛緩→排出 | てんかん患者に注意 |

| カイニン酸 | 回虫 | 虫体の神経・筋肉を興奮・痙攣させ排出 | 海藻(マクリ)由来 |

| パモ酸ピルビニウム | 蟯虫 | 虫体のミトコンドリア電子伝達系阻害→殺虫 | 水に溶けにくい(便が赤染)・空腹時服用 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): ピペラジンは回虫・蟯虫の神経筋接合部においてGABA(γ-アミノ酪酸)の作用を模倣し、虫体の筋肉を「弛緩・麻痺」させます。アセチルコリン受容体を「刺激して痙攣」させるとした記述は誤りです(アセチルコリン刺激で痙攣するのはカイニン酸の作用に近い)。
  • イ(正): サントニンの副作用として「黄視症(物が黄色く見える)」は重要な暗記ポイントです。過量服用では視覚異常・精神症状が出ます。回虫に特異的に作用して麻痺→排出という記述は正確です。ただし正答はオです。
  • ウ(誤): カイニン酸はカイガラモクではなくマクリ(ヒバマタ科の海藻)に含まれる成分で、対象は「回虫」です。蟯虫には有効ではありません。
  • エ(誤): パモ酸ピルビニウムは水に溶けにくく(難水溶性)、服用後に便が赤く染まることがあります(事前に説明が必要)。大量の水は必要なく、空腹時の服用が吸収に有利とされています。
  • オ(正): 駆虫薬は成虫に作用しますが卵には無効です。蟯虫では夜間に肛門周囲に産卵するため、翌朝の下着・寝具に卵が付着します。家族内感染も多く、衛生管理(下着・寝具の高温洗濯・爪を短く切る・手洗い)が再感染防止に必須です。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【駆虫薬の作用機序の詳細と寄生虫の生物学】

サントニンの神経作用と黄視症のメカニズム:

サントニンはアーテミシア属植物(シナヨモギ等)の花蕾から抽出されるセスキテルペンラクトンです。

回虫への作用:

  • 厚労省手引き第3章では「回虫の自発運動を抑える作用を示し、虫体を排出させる」とされる(GABA系・コリン系等の分子機序は手引きには記載されていない)
  • 本問の正答判定は「回虫に有効・虫体を麻痺させ排出を促す・過量で視覚障害(黄視症)」という手引き準拠の記述で十分であり、詳細な受容体機序の断定は試験範囲外
  • 麻痺・運動抑制された回虫は腸ぜん動で体外へ排出される

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答オは妥当(一意)。サントニンの作用機序を「GABA-gated Cl⁻チャネル活性化/コリン作動性抑制」と断定していた箇所は手引き範囲外の検証不能な機序断定のため、手引き準拠の「回虫の自発運動を抑え虫体を排出させる」に置換。黄視症(過量での視覚障害)・ピペラジン=回虫蟯虫の筋弛緩(アセチルコリン刺激で痙攣は誤り)・カイニン酸=マクリ由来で回虫対象・パモ酸ピルビニウム=難水溶性は手引き準拠で正。 -->

黄視症のメカニズム:

  • サントニンは網膜視細胞の視物質(特に短波長光を感知する錐体細胞)に影響
  • 青・紫色の光感受性を低下させ、相対的に黄色く見える視覚障害(黄視症)が生じる
  • 過量服用での一過性症状が多いが、高用量では痙攣・精神症状(譫妄)も報告されている

ピペラジンのGABA模倣作用:

ピペラジン(パラアミノ安息香酸ピペラジン等)は構造的にGABAと類似しており、回虫・蟯虫の神経筋接合部のGABAA受容体に作用します。

```

通常: GABA → GABAA受容体 → Cl⁻流入 → 過分極 → 筋弛緩

ピペラジン: ピペラジン → GABAA受容体(模倣) → Cl⁻流入 → 過分極 → 虫体麻痺 → 蠕動で排出

```

ヒトへの安全性: ヒトの中枢神経でもGABAA受容体が存在しますが、ピペラジンは腸管からの吸収率が低く全身影響は少ないとされています。ただしてんかん患者では痙攣閾値を下げる可能性があるため禁忌または慎重使用とされています。

カイニン酸の由来と作用:

カイニン酸(Kainic acid)はヒバマタ科の紅藻類「マクリ(Digenea simplex)」に含まれる興奮性アミノ酸です。

```

カイニン酸 → イオノトロピックグルタミン酸受容体(AMPA/KA受容体)活性化

→ 虫体の神経・筋肉の持続的興奮・痙攣

→ 殺虫(過興奮による)→ 排出

```

対象: 主に回虫(Ascaris lumbricoides)の成虫

非対象: 蟯虫(Enterobius vermicularis)・サナダムシ(条虫類)には効果不十分

パモ酸ピルビニウムの作用とミトコンドリア標的:

パモ酸ピルビニウム(Pyrvinium pamoate)は蟯虫の呼吸鎖(ミトコンドリア電子伝達系のNADH-フマル酸還元酵素)を阻害することで、嫌気的エネルギー代謝を妨げて蟯虫を殺虫します。

難水溶性の特性から:

  • 腸管内でほぼ吸収されない(腸管内局所作用が主体)
  • 便の赤染色(ピルビニウムの赤色による)→「衣類を汚すことがある」と事前説明が重要
  • 胃酸により吸収が若干変化するため、食後よりも空腹時服用が推奨される製品が多い

【蟯虫症の疫学と家族内感染対策:登録販売者の実務】

蟯虫(Enterobius vermicularis)の生活環:

```

成虫(盲腸・虫垂)→ 夜間に雌が肛門周囲に移動・産卵(1回5,000〜16,000個)

→ 卵が手指・寝具・下着に付着

→ 経口摂取(手から口・食物汚染)

→ 小腸で孵化→成虫(約2〜4週間)

```

家族内での集団感染が特に小児で多い理由: 卵は室内の空気中(埃)にも浮遊し、吸入→経口感染も起こります。感染者がいる場合は家族全員の同時治療(一斉駆虫)と環境の衛生管理が有効です。

登録販売者がアドバイスすべき衛生管理:

1. 毎朝の下着・寝具交換と高温(60℃以上)洗濯

2. 肛門周囲を朝に清拭(卵を除去)

3. 爪を短く切り、爪の間に卵が残らないよう手洗い徹底

4. 感染者と寝具を共有しない

5. 治療後2〜4週間後に再検査・必要なら再投与

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第5節

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第5節「腸の薬(浣腸薬・駆虫薬)」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

駆虫薬=サントニン/ピペラジン/カイニン酸/パモ酸ピルビニウム・回虫蟯虫頻出度B

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

章別に解いて、登録販売者に合格

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