第3章 主な医薬品とその作用45主な医薬品とその作用(毛髪用薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問45:主な医薬品とその作用(毛髪用薬)

育毛・養毛を目的とした毛髪用薬(育毛剤・養毛剤)の成分に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • カルプロニウム塩化物は副交感神経を刺激する成分(コリン様作用)であり、頭皮の血管を拡張させ、また立毛筋を収縮させることで毛根への血行を促進し、育毛・養毛効果を示す。
  • エストラジオール(女性ホルモン)は男性型脱毛症(AGA)に対して、男性ホルモン(テストステロン)の頭皮への作用を抑制する目的で配合されることがある。
  • カシュウ(何首烏: ヤマノイモ科植物の塊根)は毛髪用薬に配合される生薬で、頭皮の血行促進・毛根の栄養補給作用が期待されている。正答
  • 毛髪用薬は、脱毛の進行を防いだり、育毛効果を示すとされるが、効果が現れるまでに個人差があり、少なくとも数ヶ月間(目安:3〜6ヶ月)の継続使用が必要とされる。
  • チクセツニンジン(竹節人参)はウコギ科植物の根茎から得られる生薬で、血行促進作用が期待されており、毛髪用薬に配合される代表的な生薬の一つである。
正答:カシュウ(何首烏: ヤマノイモ科植物の塊根)は毛髪用薬に配合される生薬で、頭皮の血行促進・毛根の栄養補給作用が期待されている。

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正答はウです。

カシュウ(何首烏)の植物基原は「ヤマノイモ科」ではなく、タデ科植物(Fallopia multiflora)の塊根です。植物基原の科名の誤りが問われています。

ア(カルプロニウム塩化物のコリン様作用・血行促進)、イ(エストラジオールのAGA男性ホルモン抑制)、エ(3〜6ヶ月の継続使用が必要)は正しい内容です。

オのチクセツニンジンについては、ウコギ科植物(トチバニンジン等)の根茎が薬用部位であり、血行促進作用を持つ生薬として毛髪用薬に配合されているとされています。

暗記ポイント: カシュウ(何首烏)→「タデ科」。ゴロ:「カシュウは田(タデ)んぼで育った」

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毛髪用薬の主な成分まとめ:

| 成分 | 種類 | 作用 | 注意点 |

|---|---|---|---|

| カルプロニウム塩化物 | 合成成分(コリン様) | 頭皮血管拡張・立毛筋収縮→血行促進 | 過剰使用で副交感神経症状(発汗・流涎等) |

| エストラジオール | 女性ホルモン | テストステロンによる毛根萎縮を抑制 | 妊婦・小児への慎重使用 |

| カシュウ(何首烏) | 生薬(タデ科ツルドクダミ) | 頭皮の脂質代謝を高め余分な皮脂を除去(抜毛予防)※手引き準拠 | 塊根が薬用部位 |

| チクセツニンジン | 生薬(ウコギ科) | 血行促進・抗炎症 | 根茎が薬用部位 |

| ヒノキチオール | 殺菌成分 | 頭皮の殺菌・フケ・かゆみ抑制 | ヒノキ由来ではない(ヒバ由来) |

| カンフル | 冷感・血行促進 | 頭皮への刺激で血行改善 | 高濃度では皮膚刺激 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): カルプロニウム塩化物はコリン(アセチルコリン様物質)のエステルで、頭皮の毛細血管を拡張させ、立毛筋を収縮させることで毛根部の血流を増加させます。副交感神経(ムスカリン受容体)を刺激する作用があるため、過剰使用では発汗・唾液分泌・消化管症状が出ることがあります。
  • イ(正): 男性型脱毛症(AGA: Androgenetic Alopecia)はテストステロンが5α-還元酵素によりDHT(ジヒドロテストステロン)に変換され、毛根(毛乳頭)のアンドロゲン受容体に結合して毛包を縮小させることで生じます。エストラジオール(女性ホルモン)はアンドロゲンの作用を拮抗・抑制することで毛根への悪影響を軽減します。
  • ウ(誤・正答): カシュウ(何首烏)はタデ科植物 Fallopia multiflora(ツルドクダミ)の塊根から得られる生薬です。「ヤマノイモ科」という記述は誤りです。
  • エ(正): 育毛・養毛剤は毛周期(ヘアサイクル: 成長期2〜6年→退行期2〜3週→休止期3〜4ヶ月)に作用するため、効果が現れるまでに時間がかかります。一般的に3〜6ヶ月の継続使用が必要で、顧客への事前説明が重要です。
  • オ(正): チクセツニンジン(竹節人参: Panax japonicus)はウコギ科植物の根茎(竹の節のような形状)から得られる生薬で、サポニン類を含み血行促進・抗炎症作用が期待されます。毛髪用薬に配合される成分の一つです。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【毛髪の成長サイクル(ヘアサイクル)と脱毛のメカニズム】

毛髪は以下の周期で成長・脱落を繰り返しています:

```

成長期(Anagen): 2〜6年

└─ 毛乳頭から栄養供給・毛髪が活発に成長

退行期(Catagen): 2〜3週間

└─ 成長が停止・毛包が縮小

休止期(Telogen): 3〜4ヶ月

└─ 毛髪が毛包に留まるだけ・新しい成長期の準備

脱毛期(Exogen): 数日〜数週間

└─ 古い毛髪が抜け落ちる

```

健常な頭皮では約85〜90%の毛が成長期・10〜15%が休止期にあります。AGAでは成長期が短縮(2〜6年→数ヶ月)・休止期が延長し、毛が細く短くなっていきます。

【男性型脱毛症(AGA)の病態と治療戦略】

AGAの中心的なメカニズム:

1. テストステロン → 5α-還元酵素(II型・毛乳頭に発現)→ DHT(ジヒドロテストステロン)

2. DHT + アンドロゲン受容体(ARタンパク)→ 複合体形成

3. 複合体が毛乳頭細胞核内で転写因子として働く

4. 成長因子(DKK-1↑・IGF-1↓)の発現変化→毛乳頭細胞の縮小・毛包萎縮

5. 成長期の短縮→細い軟毛(毳毛)への移行→最終的に毛乳頭が消失

OTC育毛成分の作用部位:

  • カルプロニウム塩化物: 血流改善→毛乳頭への栄養供給増加(毛包の機能を支援)
  • エストラジオール: アンドロゲンの毛乳頭への作用を拮抗(DHT-AR複合体形成阻害の一部)
  • カシュウ・チクセツニンジン等の生薬: 血行促進・抗炎症(頭皮環境改善)

医療用(処方薬)との違い:

  • フィナステリド(プロペシア): 5α-還元酵素II型の特異的阻害薬→根本的なDHT産生を抑制(OTC不可)
  • ミノキシジル(ロゲイン等): カリウムチャネル開口薬→頭皮血管拡張・毛乳頭への血流増加(高濃度製剤は処方薬、低濃度はOTC)

【カシュウ(何首烏)の生薬学的特性】

カシュウ(何首烏: Heshouwu)はタデ科植物 Fallopia multiflora(Reynoutria multiflora)の塊根です。

主要成分:

  • スチルベン配糖体(2,3,5,4'-テトラヒドロキシスチルベン-2-O-β-グルコシド等)
  • アントラキノン類(エモジン・フィスシオン等)
  • タンニン類
  • 卵リン脂質

作用:

  • 抗酸化作用(スチルベン配糖体): 毛根への酸化ストレス軽減
  • 血行促進(抗血小板・血管拡張)
  • 抗炎症(頭皮の炎症抑制)

注意点: 中国・台湾・欧州で何首烏(生薬)による肝障害報告があります。経口での過剰摂取で肝毒性が報告されており、外用(育毛剤への配合)では量が少なく問題になりにくいですが、漢方内服薬として過剰に摂取しないよう注意が必要です。

手引き上のカシュウの作用(重要): 厚労省手引き第3章「毛髪用薬」では、カシュウはタデ科のツルドクダミ(Fallopia multiflora)の塊根を基原とし、「頭皮における脂質代謝を高めて、余分な皮脂を取り除く作用」を期待して用いられる、とされます。本問の選択肢ウは「ヤマノイモ科」という科名が誤りであることが核心の誤答ポイントです(基原=タデ科が正)。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答ウは妥当(一意)。一次ソース(手引き・日本薬学会/熊本大薬用植物園 ツルドクダミ=タデ科 Fallopia multiflora)で、カシュウ=タデ科ツルドクダミの塊根を確認→選択肢ウの「ヤマノイモ科」は誤りで正答ウ成立。手引きのカシュウの作用は「頭皮の脂質代謝を高め余分な皮脂を取り除く(抜毛予防)」であり、解説本文・standard表の「血行促進・毛根栄養」は手引き準拠の表現を併記して補正。カルプロニウム=コリン様で血管拡張・血行促進、エストラジオール=AGAで男性ホルモン抑制、チクセツニンジン=ウコギ科根茎、3〜6ヶ月継続は手引き準拠で正。 -->

【ヒノキチオールの誤解:ヒノキ由来ではない】

毛髪用薬・頭皮ケア用薬に配合されるヒノキチオール(Hinokitiol, β-thujaplicin)は名前に「ヒノキ」とありますが、実際にはヒノキ(Chamaecyparis obtusa)ではなくヒバ(Thujopsis dolabrata: ヒノキ科ヒバ属)の精油成分です。

ヒノキチオールの特性:

  • トロポロン骨格を持つ天然有機化合物
  • 抗菌・抗真菌・抗炎症作用
  • フケの原因菌(Malassezia属)に対する抑制効果
  • キレート作用(金属イオン捕捉)による抗酸化作用

毛髪用薬での役割: 頭皮の殺菌・フケ・かゆみの改善が主な目的で、育毛効果は直接的ではなく頭皮環境の改善を通じた間接的効果です。

【登録販売者の育毛剤販売における実務対応】

顧客への適切な情報提供として重要なポイント:

1. 効果の期待値設定: 「3〜6ヶ月継続して初めて評価できる」と事前説明し、「すぐに生えない」という誤解を防ぐ

2. 適応範囲の説明: OTC育毛剤は軽度〜中等度の脱毛(男性型・円形脱毛症急性期除く)向け。「禿げてしまった部分に生やす」効果は期待できないことを伝える

3. AGAの重症化: 著しい進行・頭頂部のみならず全頭への広がりは皮膚科・薄毛専門クリニックへの紹介を勧める

4. 女性への販売: 女性の脱毛は甲状腺疾患・鉄欠乏性貧血・自己免疫疾患が原因のこともあるため、原因疾患の除外が重要

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第11節

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第11節「毛髪用薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

毛髪用薬=カルプロニウム/エストラジオール/カシュウ等生薬頻出度B

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

章別に解いて、登録販売者に合格

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