第3章 主な医薬品とその作用54主な医薬品とその作用(漢方処方製剤・生薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問54:主な医薬品とその作用(漢方処方製剤・生薬)

葛根湯(かっこんとう)および麻黄湯(まおうとう)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 葛根湯は体力が虚弱な人(虚証)に向く処方であり、発汗しやすく疲れやすい人の風邪の初期に用いられる。
  • 麻黄湯はマオウ(麻黄)を含まない処方であり、咳・鼻水など上気道症状全般に広く用いられる。
  • 葛根湯はカンゾウ(甘草)を含むため、長期服用や高齢者への使用で偽アルドステロン症が生じるおそれがある。正答
  • 麻黄湯の「証」は体力中等度以下(虚証寄り)で、胃腸が弱い人の感冒初期に第一選択として推奨される。
  • 葛根湯と麻黄湯はいずれもダイオウ(大黄)を含むため、授乳中の女性への使用は禁忌とされている。
正答:葛根湯はカンゾウ(甘草)を含むため、長期服用や高齢者への使用で偽アルドステロン症が生じるおそれがある。

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正答はウ(正しいもの)です。

葛根湯はカンゾウ(甘草)を含む処方です。カンゾウの主成分グリチルリチン酸を含む漢方を大量・長期に服用すると、偽アルドステロン症(むくみ・血圧上昇・低カリウム血症)が起きるおそれがあります。

語呂で覚えるなら「葛根(かっこん)=肩こり・首筋のこり」。体力が中程度以上(実証寄り)で、首筋・肩がこって発汗しにくい風邪の初期に向きます。一方、麻黄湯は体力が充実した実証の人に向き、マオウを含む処方です。アはどちらも虚証でなく実証寄り、イはマオウ含有、エは実証寄り、オはダイオウを含みません。

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葛根湯と麻黄湯の証・組成比較:

| 項目 | 葛根湯 | 麻黄湯 |

|---|---|---|

| 体力の目安(証) | 中程度以上(実証寄り)・発汗なし | 比較的体力充実した実証・発汗なし |

| 主な症状 | 首筋・肩のこり・頭痛・発熱・悪寒 | 発熱・悪寒・身体の節々の痛み(関節痛)・咳・喘息 |

| カンゾウ含有 | あり(甘草) | あり(甘草) |

| マオウ含有 | あり(麻黄) | あり(麻黄)※麻黄湯の核心生薬 |

| ダイオウ含有 | なし | なし |

| 代表的な使用場面 | 感冒初期・肩こり・五十肩・乳腺炎 | 感冒初期(強い悪寒・関節痛)・気管支喘息 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 葛根湯は体力が「中程度以上」つまり実証寄りに用いる。体力が虚弱な人(虚証)・胃腸が弱い人・発汗傾向の人には適さない。
  • イ(誤): 麻黄湯はマオウを含む代表的な処方。「麻黄」の名がそのまま含まれている。マオウが含まれないのは桂枝湯や半夏厚朴湯など他の処方。
  • ウ(正): 葛根湯はカンゾウを含む。グリチルリチン酸を1日40mg以上(カンゾウとして1日1g以上)摂取すると偽アルドステロン症等の副作用に特に注意が必要とされ、複数漢方の併用・長期服用でこの量を超えやすくリスクが高まる。
  • エ(誤): 麻黄湯は体力が充実した実証の人向け。体力が中等度以下・胃腸が弱い人には不向きであり第一選択にはならない。
  • オ(誤): 葛根湯・麻黄湯にはダイオウが含まれない。授乳中禁忌の根拠となるダイオウ・センナ等の下剤成分は含まれていない。ただしマオウ・カンゾウを含むため授乳中は念のため相談が望ましい。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【葛根湯・麻黄湯の構成生薬と各成分の薬理作用】

葛根湯の組成(7生薬): カッコン・マオウ・タイソウ・ケイヒ・シャクヤク・カンゾウ・ショウキョウ

麻黄湯の組成(4生薬): マオウ・ケイヒ・キョウニン・カンゾウ

両処方のキー生薬であるマオウ(麻黄)の薬理:

  • 主成分: エフェドリン(交感神経刺激・アドレナリン作動成分)・プソイドエフェドリン
  • 発汗・解熱・気管支拡張・血圧上昇・心拍数増加
  • 注意が必要な基礎疾患: 心臓病・高血圧・糖尿病・甲状腺機能障害・前立腺肥大(排尿困難の悪化)

【カンゾウの偽アルドステロン症の機序:深掘り】

カンゾウの主成分グリチルリチン酸(GL)は11β-HSD2(11β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素2型)を阻害します。

正常な経路:

コルチゾール → 11β-HSD2 → コルチゾン(不活性体)→ 腎臓のミネラルコルチコイド受容体に作用しない

GL阻害時の経路:

コルチゾール → 11β-HSD2が阻害されコルチゾールが分解されない → コルチゾールがアルドステロン受容体(MR)に結合 → Na+貯留・K+排泄促進 → 体液貯留(浮腫)・血圧上昇・低K血症

初期症状: 手足のだるさ・四肢のこわばり・筋力低下・のぼせ・血圧上昇・むくみ

重症例: 低カリウム血症性ミオパチー(横紋筋融解症に進展する場合もある)

グリチルリチン酸(GL)の1日摂取量の目安: 一般にGLとして1日40mg以上、またはカンゾウとして1日1g以上を含有する製剤では、偽アルドステロン症等の副作用に特に注意するとされる(医薬品・医療機器等安全性情報等)。葛根湯はカンゾウを含むため、製品により1日量のGL量は異なる(製品の添付文書で確認すること)。

複数のカンゾウ含有漢方・グリチルリチン酸含有医薬品を併用している患者では容易にこの目安量を超える。登録販売者が行うべき確認:

1. 他に漢方薬・外用消炎剤(グリチルリチン酸含有)を使用していないか

2. 利尿薬・降圧薬を服用していないか(相乗的にK+を低下させる)

3. 手足のだるさ・むくみ・血圧上昇などの初期症状がないか

【葛根湯vs麻黄湯:「証」で使い分けるポイント】

手引きが示す「しばり(証)」の表現例:

  • 葛根湯: 「体力中程度以上のものの感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛みに適すとされる」
  • 麻黄湯: 「体力充実して、かぜのひきはじめで、寒気がして発熱、頭痛があり、咳が出て身体のふしぶしが痛く汗が出ていないものの感冒、鼻かぜ、気管支炎、鼻づまりに適すとされる」

両者に共通する注意事項:

  • 体力が虚弱・胃腸が弱い・発汗している場合は不向き
  • マオウを含むため: 心臓病・高血圧・腎臓病・甲状腺機能障害・糖尿病の人は相談
  • カンゾウを含むため: 偽アルドステロン症のリスク(長期・重複服用で増大)
  • 症状が改善しない場合は受診勧奨

上位資格(薬剤師国家試験・漢方専門医)への接続: 葛根湯は現代医学的に見ると「筋肉の緊張を緩和するシャクヤク・カンゾウ(芍薬甘草湯成分)+交感神経刺激・解熱のマオウ・ケイヒ・カッコン」が複合的に働き、肩こり解消・発汗誘導に有効とされる。漢方の「気・血・水(津液)」の観点では「葛根湯は体表(衛分)の熱邪を発散させ、経絡の通りを改善する」と説明される。登録販売者は「証に合った処方選択」の案内役を担い、証が合わないと効果不十分・副作用増大のリスクを認識して受診勧奨に活かすことが重要。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答ウ(葛根湯=カンゾウ含有→偽アルドステロン症)は正しく一意。葛根湯7生薬(カッコン・マオウ・タイソウ・ケイヒ・シャクヤク・カンゾウ・ショウキョウ)、麻黄湯4生薬(マオウ・ケイヒ・キョウニン・カンゾウ)はいずれもカンゾウ・マオウ含有/ダイオウ非含有で確定。「葛根湯1日GL量30〜50mg」という製品断定は手引き範囲を超えるため削除し、手引き準拠の一般目安(GL1日40mg/カンゾウ1日1g以上で要注意)に置換。出典: 一般用漢方製剤承認基準・医薬品安全性情報。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

かぜの漢方・葛根湯と麻黄湯の証の区別頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

章別に解いて、登録販売者に合格

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