登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問67:主な医薬品とその作用(生薬製剤・健胃薬)
オウレン(黄連)とオウバク(黄柏)の基原および主な作用に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- アオウレン(黄連)はキンポウゲ科植物オウレン等の根茎を基原とし、苦味による健胃作用と収斂作用を持つ。
- イオウバク(黄柏)はミカン科植物キハダ等の樹皮を基原とし、苦味成分ベルベリンを含み、健胃・整腸・収斂作用を持つ。
- ウオウレンとオウバクはいずれも苦味健胃薬として用いられ、口に含んで苦みを味わうことで唾液や胃液の分泌を促す。
- エオウバクは打撲や捻挫の消炎・鎮痛を目的とした外用薬には用いられず、もっぱら内服薬としてのみ使用される。正答
- オオウレンは黄連解毒湯や三黄瀉心湯等の漢方処方にも配合される生薬であり、いずれもオウレン・オウゴン・ダイオウ等との組み合わせで用いられる。
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正答はエです。
「オウバクは内服薬としてのみ使用される」という記述が誤りです。オウバク(黄柏)は打撲・捻挫・筋肉痛の消炎・鎮痛を目的とした外用薬(湿布薬・ハップ剤等)にも用いられます。内服専用ではありません。
オウレン(黄連)はキンポウゲ科・根茎、オウバクはミカン科(キハダ等)・樹皮という基原の違いを覚えましょう。両者とも苦味成分(ベルベリン等)を含み、唾液・胃液の分泌を促す苦味健胃薬として機能します。
暗記ポイント: 「オウレン→キンポウゲ科・根茎」「オウバク→ミカン科・樹皮(キハダの黄色い内皮)」。「現地で爆練」の語呂で黄連(オウレン)・黄柏(オウバク)を苦味グループとして束ねて覚えると効果的です。
苦味健胃生薬の基原・作用まとめ:
| 生薬名 | 基原植物(科名) | 薬用部位 | 主な作用 | 代表的配合処方/製品 |
|---|---|---|---|---|
| オウレン(黄連) | キンポウゲ科オウレン等 | 根茎 | 苦味健胃・収斂・抗菌・消炎 | 黄連解毒湯・三黄瀉心湯 |
| オウバク(黄柏) | ミカン科キハダ等 | 樹皮 | 苦味健胃・整腸・収斂・消炎(内服・外用) | 健胃散・外用消炎薬 |
各選択肢の解説:
- ア(正): オウレン(黄連)の基原は、キンポウゲ科植物オウレン(Coptis japonica)等の根茎です。主成分ベルベリン(berberine)が苦みの中心で、胃液分泌促進(苦味健胃)・消化管の収斂・抗菌作用を示します。
- イ(正): オウバク(黄柏)の基原は、ミカン科植物キハダ(Phellodendron amurense 等)の樹皮(内皮の黄色部分)です。ベルベリン・パルマチン等が主成分で、健胃・整腸・収斂・消炎作用を持ちます。
- ウ(正): 苦味健胃薬は「苦みを感じること」で反射的に唾液・胃液分泌を促す仕組みです。オウレン・オウバクともにこの機序で健胃作用を発揮します。オブラートで包むと苦みが遮断されて効果が弱まるため、苦味健胃薬はオブラートに包まないことが原則です。
- エ(誤・正答): オウバクは内服薬(健胃散・整腸薬等)だけでなく、打撲・捻挫・筋肉痛の消炎・鎮痛を目的とした外用薬(湿布・貼付薬)にも配合されます。「内服薬としてのみ」という限定が誤りです。
- オ(正): 黄連解毒湯(オウレン・オウゴン・オウバク・サンシシ)・三黄瀉心湯(ダイオウ・オウゴン・オウレン)はいずれもオウレンを含む代表的な漢方処方です。記述は概ね正しいですが、「三黄瀉心湯はダイオウ・オウゴン・オウレンの組み合わせ」であることを確認しておきましょう。
【ベルベリンの薬理作用と苦味健胃の機序】
オウレン・オウバクに共通する主成分ベルベリン(berberine)は、イソキノリンアルカロイドの一種で、以下の複数の薬理作用が確認されています。
1. 苦味健胃作用(反射的胃液分泌促進)
苦味物質が舌の苦味受容体(T2R ファミリー:G タンパク共役型受容体)を刺激すると、迷走神経を介した反射により胃液(塩酸・ペプシン)および唾液の分泌が促進されます。この「苦味→迷走神経→胃液分泌」の反射弧が苦味健胃薬の本質的な機序です。
重要な臨床的意義として、この反射はオブラート包装によって遮断されるため、「苦味健胃薬はオブラートに包まずに服用する」という指導が必要です。
2. 収斂作用(腸管への直接作用)
ベルベリンは消化管粘膜タンパク質と結合し、腸管粘膜を引き締める収斂作用を示します。この作用が下痢・腸炎に対する止瀉効果の一因です。ただし、収斂成分は一般的に「腸内の炎症を抑えつつ、過剰な腸管蠕動を抑制する」と理解してください。
3. 抗菌・抗炎症作用
ベルベリンは細菌の DNA ジャイレース(トポイソメラーゼⅡ)を阻害することで、大腸菌・黄色ブドウ球菌・コレラ菌等に対する抗菌活性を示します。また、炎症性サイトカイン(TNF-α・IL-6)産生を抑制する抗炎症作用も報告されています。
【オウバクの外用薬としての利用と消炎機序】
オウバクが外用消炎薬(打撲・捻挫・筋肉痛)に用いられる理由は以下の通りです:
- ベルベリン・パルマチン等のアルカロイドが局所の炎症性サイトカイン産生を抑制
- 樹皮抽出物の収斂作用が局所浮腫を軽減
- 抗菌作用による皮膚表面の清潔保持
代表的外用製品として「ハップ剤」「パップ剤」の成分として配合されます。「オウバクは内服専用」という誤解は、苦味健胃薬としてのイメージが先行するためです。登録販売者として、生薬が内服・外用の両用途を持つケースを正確に把握することが重要です。
【黄連解毒湯・三黄瀉心湯の成分と使い分け】
オウレン(黄連)を含む代表的な漢方処方の比較:
| 処方名 | 構成生薬(主要) | 体力・証 | 主な効能 | 注意事項 |
|---|---|---|---|---|
| 黄連解毒湯 | オウレン・オウゴン・オウバク・サンシシ | 中程度以上・実証 | のぼせ・赤ら顔・口内炎・高血圧傾向 | 胃腸が虚弱な人は慎重 |
| 三黄瀉心湯 | ダイオウ・オウゴン・オウレン | 比較的体力あり | 鼻出血・高血圧傾向・便秘・のぼせ | ダイオウ含有→授乳中禁忌・下痢に注意 |
| 清上防風湯 | オウレン・オウゴン・ボウフウ等 | 体力中程度以上 | にきび・顔面の皮膚疾患 | |
【腸間膜静脈硬化症とサンシシ含有処方の注意】
黄連解毒湯にはサンシシ(山梔子)が配合されています。サンシシを含む漢方処方の長期服用(多くは5年以上)と腸間膜静脈硬化症(大腸の粘膜・腸管壁の石灰化)の関連が報告されており、2020年に厚生労働省が添付文書改訂指示を出しました。腹痛・下痢・便秘・腹部膨満感等の消化器症状が続く場合は投与中止・医療機関受診が必要です。黄連解毒湯を長期使用する患者への指導として「症状が続く場合は相談してください」という受診勧奨が重要な登録販売者の実務となります。
【上位資格・薬剤師試験との接続】
薬剤師国家試験では、ベルベリンのさらなる薬理:
- AMPK 活性化によるグルコース取り込み促進(インスリン非依存性の血糖降下作用)
- 腸内微生物叢(gut microbiota)の改変を介した代謝改善
- LDL コレステロール受容体の発現上昇による脂質降下作用
これらが出題されます。登録販売者試験の範囲を超えますが、「ベルベリンは単なる苦み成分でなく多機能な生理活性物質」という認識が高い品質の生薬知識の基盤となります。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 基原を一次ソースで突合。オウレン=キンポウゲ科オウレン等の根茎、オウバク=ミカン科キハダ(Phellodendron amurense等)の周皮を除いた樹皮(日本薬局方でベルベリン1.2%以上規定)、で確定。本問の「樹皮」表記は手引き準拠で許容(厳密には周皮を除いた樹皮)。正答エ(オウバクは外用消炎薬にも用いられ「内服薬としてのみ」は誤り)は妥当で、選択肢ア・イ・ウ・オは正しく正答エが一意であることを確認。正答変更なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第8節「胃の薬(健胃薬・制酸薬・消化薬)」および第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。