登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問69:主な医薬品とその作用(生薬製剤・健胃薬・利胆薬)
登録販売者が「脂っこい食事のあと、胃がもたれて消化が悪い。胆汁が少ないのかもしれない」と訴える購入者に胃腸薬を案内する場面を想定している。次のア〜オの対応・説明のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア「ユウタン(熊胆)や動物胆(ウシ・ブタ等の胆汁を乾燥させたもの)を含む健胃・利胆薬は、胆汁の分泌を助けて脂肪の消化を補助する働きがあるため、こうした症状に適した成分です」と説明するのは適切である。
- イ「ユウタンの主成分ウルソデオキシコール酸(UDCA)は、肝細胞保護・利胆・消化機能改善作用を持ち、合成品は医療用の肝疾患治療薬としても使われています」と説明するのは適切である。
- ウ「ユウタン(熊胆)は植物由来の生薬なので、肉類アレルギーがある方でも安心して使えます」と説明するのは適切である。正答
- エ「動物胆はユウタンの代用として用いられる生薬で、ウシやブタ等の胆汁末が使われます。ユウタンと同様に健胃・利胆作用を持っています」と説明するのは適切である。
- オ「この症状が2週間使っても改善しない場合や、右上腹部に強い痛みや黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)が現れた場合は、胆石症・胆嚢炎等の可能性があるため医療機関を受診するよう」伝えるのは適切である。
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正答はウ(誤っているもの)です。
「ユウタン(熊胆)は植物由来」という説明が誤りです。ユウタン(熊胆)はクマ科動物の胆嚢に含まれる胆汁を乾燥させた動物由来の生薬です。肉類・動物由来成分にアレルギーがある購入者に「安心して使えます」と説明するのは誤った案内であり、事前のアレルギー確認と医師・薬剤師への相談を促す必要があります。
ア(利胆・健胃作用の説明)・イ(UDCA=主成分・医療用としての使用)・エ(動物胆=ユウタン代用・ウシ・ブタ等)・オ(2週間で改善しない場合の受診勧奨)はいずれも正しい説明です。
暗記ポイント: 「ユウタン(熊胆)=クマ科・胆嚢・動物生薬」「動物胆=ユウタン代用(ウシ・ブタ等の胆汁)」。
ユウタン・動物胆の基原・成分・作用まとめ(販売場面での説明事実として):
| 生薬名 | 基原 | 科(分類) | 薬用部位 | 主な有効成分 | 主作用 |
|---|---|---|---|---|---|
| ユウタン(熊胆) | クマ科動物(Ursus arctos 等) | クマ科(哺乳類) | 胆嚢中の胆汁(乾燥) | ウルソデオキシコール酸(UDCA)・タウロウルソデオキシコール酸 | 苦味健胃・利胆・消化促進 |
| 動物胆(牛胆等) | ウシ(Bos taurus)・ブタ等 | ウシ科・イノシシ科等 | 胆嚢中の胆汁(乾燥) | コール酸・ケノデオキシコール酸等 | 健胃・利胆・脂肪消化助成 |
各選択肢の解説:
- ア(正): ユウタン・動物胆の利胆作用(胆汁分泌促進)は、脂肪の乳化を助ける胆汁の作用を補い、食後の消化不良・もたれ感に対して適切な成分です。苦味健胃作用もあり、胃の機能を刺激します。正しい説明です。
- イ(正): ウルソデオキシコール酸(UDCA)はユウタンの主成分で、消化機能改善・肝細胞保護・利胆作用を持ちます。合成品は医療用医薬品(原発性胆汁性胆管炎治療・胆石溶解補助等)として使用されており、一般用医薬品にも配合されています。正しい説明です。
- ウ(誤・正答): ユウタン(熊胆)は動物由来(クマ科)の生薬です。「植物由来・肉類アレルギーでも安心」という説明は事実に反します。動物由来タンパクへのアレルギーがある人への使用には注意が必要です。
- エ(正): 動物胆はユウタンの代用として、ウシ・ブタ・ニワトリ等の胆汁を乾燥させたものです。健胃・利胆作用の点でユウタンの代替として一般用医薬品に配合されています。正しい説明です。
- オ(正): 胆道系疾患(胆石症・胆嚢炎・胆管炎)が疑われる症状(右上腹部痛・黄疸・発熱)がある場合は、一般用の利胆薬ではなく医療機関受診が必要です。2週間改善しない場合の受診勧奨は適切な対応です。
【ウルソデオキシコール酸(UDCA)の薬理と医療用としての発展】
ユウタン(熊胆)の主成分 UDCA は、1902年に東京帝国大学の三浦謹之助らがクマの胆汁から単離した胆汁酸です。現在は牛胆汁を原料にした半合成法で工業生産されています。
UDCA の多面的薬理作用:
1. 利胆作用: 肝細胞での胆汁酸合成促進・胆道への胆汁流出促進。これにより胆汁うっ滞が改善されます。
2. 細胞保護作用: 疎水性胆汁酸(デオキシコール酸等)が細胞膜に与えるダメージを、UDCA が競合的に置換することで軽減します(胆汁酸置換効果)。
3. 免疫調整作用: HLA クラスⅠ抗原の発現調整・T 細胞浸潤抑制。原発性胆汁性胆管炎(PBC)の標準治療薬(600〜900mg/日)として、肝機能改善・生存延長が確認されています。
4. 胆石溶解: コレステロール系胆石に対して UDCA が胆汁のコレステロール飽和度を低下させ、胆石を溶解します(欧州では承認)。
5. 消化促進: 一般用医薬品に含まれる低用量 UDCA(50mg 前後)は消化機能改善を目的とします。
【登録販売者が販売時に確認・伝えるべき事項(ユウタン/動物胆含有薬)】
| 確認・説明事項 | 内容 |
|---|---|
| アレルギー確認 | ウシ・ブタ等動物由来成分へのアレルギー歴を確認 |
| 宗教・食習慣への配慮 | イスラム教(ハラール)・ユダヤ教(コーシャ)・菜食主義者にはブタ胆汁を含む製品の受け入れが困難な場合がある |
| 症状の見極め | 「食後のもたれ・消化不良」は適応だが、右上腹部痛・黄疸・高熱は受診勧奨 |
| 受診勧奨の目安 | 2週間使用しても改善しない場合は医療機関受診を勧める |
| UDCA含有薬との重複 | 医療用UDCAを処方されている人に一般用健胃薬のUDCAを重複させる場合は医師・薬剤師に相談 |
【胆汁の生理と脂肪消化における役割】
胆汁は肝臓で産生され、胆嚢で濃縮・貯蔵された後、食事に応じて十二指腸に分泌されます。
脂肪の消化における胆汁の役割を順に整理すると:
1. 食事の刺激で CCK(コレシストキニン)が小腸から分泌
2. CCK が胆嚢を収縮・オッジ括約筋を弛緩させ、胆汁が十二指腸へ流出
3. 胆汁酸が脂肪(トリグリセリド)を直径 500nm 以下のミセルに乳化
4. 膵リパーゼがミセル表面の脂肪を加水分解(脂肪酸 + モノグリセリド)
5. 乳化されて初めてリパーゼの作用面積が数百倍に増大→消化効率向上
ユウタン・動物胆の利胆作用は、このステップ2〜3を促進することで消化全体を補助します。
【胆汁酸の種類と消化における役割の詳細】
胆汁酸は肝臓でコレステロールから合成される一次胆汁酸(コール酸・ケノデオキシコール酸)と、腸内細菌による変換で生じる二次胆汁酸(デオキシコール酸・リトコール酸・UDCA)に分類されます。
| 胆汁酸の種類 | 主な由来・特性 |
|---|---|
| コール酸(CA) | 一次胆汁酸。ウシ胆汁に豊富 |
| ケノデオキシコール酸(CDCA) | 一次胆汁酸。胆石溶解薬として使用 |
| デオキシコール酸(DCA) | 二次胆汁酸。腸内細菌産生。過剰は大腸粘膜障害 |
| ウルソデオキシコール酸(UDCA) | 二次胆汁酸(CDCA から腸内細菌が産生)。クマ胆汁に豊富・肝保護作用 |
上位資格への接続: 薬剤師国家試験・消化器専門医試験では「胆汁うっ滞性肝疾患に対するUDCAの作用機序」が必出テーマであり、UDCA による胆汁酸組成の改善(疎水性→親水性へのシフト)が肝細胞保護の核心と理解されている。登録販売者として「利胆薬としてのユウタン=消化促進補助」を超えて、UDCAが現代医学の治療薬に発展した経緯を知ることは、顧客への説明力を高める重要な教養です。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 基原を一次ソースで突合。ユウタン(熊胆)=クマ科動物の胆汁を乾燥したもの(動物性生薬)で確定。動物胆=ユウタン代用としてウシ等の胆汁を乾燥したもの。正答ウ(ユウタンを「植物由来で動物性アレルギーの人でも安全」とする説明は明確な誤り)は妥当で、選択肢ア・イ・エ・オは正しい対応として一意確認。 -->
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser・品質ゲート編集分の再検証): 「基原の正誤」から「販売対話・利胆/健胃の使い分け」へのフレーム変更で新規導入された事実主張を再突合。UDCA(ウルソデオキシコール酸)=ユウタン主成分で医療用にも使用、動物胆=ウシ・ブタ等胆汁の乾燥でユウタン代用、胆道系疾患疑い時(右上腹部痛・黄疸)の受診勧奨、いずれも一次ソース・手引き準拠で妥当。新規の未検証断定なし。正答ウは一意。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第8節「胃の薬(健胃薬・利胆薬)」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。