第3章 主な医薬品とその作用70主な医薬品とその作用(生薬製剤・健胃薬・かぜ薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問70:主な医薬品とその作用(生薬製剤・健胃薬・かぜ薬)

ケイヒ(桂皮)・ショウキョウ(生姜)・ハッカ(薄荷)の基原および作用に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • ケイヒ(桂皮)はクスノキ科植物シナニッケイ等の樹皮を基原とし、香りと辛みが発汗・健胃・解熱作用を示すとされる。
  • ショウキョウ(生姜)はショウガ科植物ショウガの根茎を基原とし、芳香性健胃・発汗・鎮嘔の作用を持ち、乾燥させたものは「カンキョウ(乾姜)」と呼ばれる。
  • ハッカ(薄荷)はシソ科植物ハッカ等の地上部を基原とし、主成分メントールが冷感刺激・鎮痛・抗菌作用を示し、外用薬にも多用される。
  • ケイヒ(桂皮)はシナモンとも呼ばれ、食品としても使用されるため、医薬品の成分としての作用はほとんど期待できない。正答
  • ショウキョウ(生姜)を含む漢方処方には小青竜湯・葛根湯等があり、かぜや消化器症状に用いられるものが多い。
正答:ケイヒ(桂皮)はシナモンとも呼ばれ、食品としても使用されるため、医薬品の成分としての作用はほとんど期待できない。

AI解説(初心者・標準・上級)

理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠も明記。

初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

正答はエです。

「ケイヒは食品としても使われるため医薬品としての作用はほとんど期待できない」という記述が誤りです。食品として使われることと、医薬品としての薬理作用があることは矛盾しません。ケイヒ(シナモン)は食品としても使用されますが、桂皮エキスのシンナムアルデヒドが発汗・健胃・解熱作用を示すことが確認されており、多くの漢方処方(葛根湯・桂枝湯・小建中湯等)に配合されています。

暗記ポイント: 「ケイヒ→クスノキ科・樹皮・シナモン」「ショウキョウ→ショウガ科・根茎・生姜」「ハッカ→シソ科・地上部・メントール」の3セットを確実に覚えましょう。

標準試験対策の基準レベル

芳香性健胃生薬の基原・成分・作用まとめ:

| 生薬名 | 基原植物(科名) | 薬用部位 | 主な有効成分 | 主作用 |

|---|---|---|---|---|

| ケイヒ(桂皮) | クスノキ科シナニッケイ(Cinnamomum cassia)等 | 樹皮 | シンナムアルデヒド・シネオール等 | 発汗・健胃・解熱・血行促進 |

| ショウキョウ(生姜) | ショウガ科ショウガ(Zingiber officinale) | 根茎(新鮮または乾燥) | ジンゲロール・ショウガオール・ジンゲロン | 芳香性健胃・発汗・鎮嘔・抗炎症 |

| ハッカ(薄荷) | シソ科ハッカ(Mentha arvensis var. piperascens)等 | 地上部(茎・葉) | メントール・メントン・メントフラン等 | 冷感・鎮痛・健胃・抗菌・口臭除去 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): ケイヒ(桂皮)の基原はクスノキ科植物シナニッケイ(Cinnamomum cassia)等の樹皮です。シンナムアルデヒドが揮発油の主成分で、芳香性の発汗・健胃・解熱作用を示します。葛根湯・桂枝湯・小建中湯等の漢方処方の主要生薬です。
  • イ(正): ショウキョウ(生姜)はショウガ科植物ショウガの根茎が基原です。新鮮なものはショウキョウ(生姜)、乾燥させたものはカンキョウ(乾姜)と呼び、同じ植物でも処理方法で生薬名が変わります。鎮嘔(悪心・嘔吐の軽減)作用が特徴的です。
  • ウ(正): ハッカ(薄荷)はシソ科植物ハッカ(Mentha arvensis var. piperascens)等の地上部が基原です。主成分メントールが TRPM8(冷感受容体)を活性化して冷感・清涼感を生じさせます。内服では健胃・口腔内の爽快感、外用では鎮痒・鎮痛(counterirritation 効果)に用いられます。
  • エ(誤・正答): 食品として使われていることと医薬品としての薬理効果があることは別の話です。ケイヒ(シナモン)のシンナムアルデヒドは明確な薬理作用(胃液分泌促進・末梢血管拡張による発汗・解熱)を持ちます。「食品として使われるから効果が期待できない」という論理は誤りです。
  • オ(正): ショウキョウは小青竜湯(かぜ・アレルギー性鼻炎)・葛根湯(かぜ初期)・補中益気湯等の多くの漢方処方に配合されています。ショウキョウは漢方処方において「補中(胃腸を温める)・解表(体表を開いて発汗)」の役割を担います。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【ショウキョウ(生姜)とカンキョウ(乾姜)の成分変化と作用の違い】

同じショウガの根茎でも、生鮮品と乾燥品では主成分が変化します:

| 処理法 | 生薬名 | 主成分 | 作用傾向 |

|---|---|---|---|

| 生鮮(乾燥前) | ショウキョウ(生姜) | ジンゲロール([6]-gingerol)主体 | 穏やかな温熱・健胃・鎮嘔 |

| 乾燥・加熱後 | カンキョウ(乾姜) | ショウガオール([6]-shogaol)主体 | より強い温熱・血行促進 |

ジンゲロールはショウガオールの前駆体で、乾燥加熱によって脱水縮合しショウガオールへ変換されます。ショウガオールはより強い辛みと温熱作用を持ちます。この成分変化が「ショウキョウ(清熱・鎮嘔向き)」と「カンキョウ(温里・体を深く温める向き)」という漢方の使い分けの根拠です。

【ケイヒ(桂皮)の薬理とシンナムアルデヒドの作用機序】

ケイヒ(桂皮)の主成分シンナムアルデヒド(cinnamaldehyde)の薬理:

1. 発汗・解熱: 末梢血管拡張→皮膚血流増加→発汗促進。この発汗により体温が下がる(解熱)。

2. 健胃: 胃粘膜への温刺激→胃液分泌促進・消化管運動の亢進。

3. 抗菌: グラム陽性・陰性菌に対する広域抗菌作用(食品防腐料としての利用根拠)。

4. 抗糖尿病(研究段階): インスリン受容体シグナルの増強・グルコーストランスポーター(GLUT4)の膜移行促進が報告されており、血糖降下作用が研究されています。

ケイヒを含む漢方処方の使い分け:

  • 葛根湯(ケイヒ・マオウ・カッコン・ショウキョウ等): かぜ初期・肩こり。マオウが主の発汗
  • 桂枝湯(ケイヒ・シャクヤク・タイソウ・ショウキョウ・カンゾウ): かぜ(汗が出て悪風がある虚証)
  • 小建中湯(ケイヒ・シャクヤク・タイソウ・ショウキョウ・カンゾウ・コウイ): 小児の虚弱体質・疲れやすい体質

【ハッカ(薄荷)のメントールと冷感受容体 TRPM8 の薬理】

メントール(menthol)はミントの辛味成分で、身体を実際に冷やすことなく「冷たさ」を感じさせます。この機序:

1. メントールが TRPM8(Transient Receptor Potential Melastatin 8)チャネルを活性化

2. TRPM8 は通常 25℃以下の冷刺激で開口するイオンチャネル(Ca²⁺/Na⁺流入)

3. メントールは常温でも TRPM8 を開口させるため、冷感なしに「冷感シグナル」を発生

4. 脊髄・脳への冷感情報伝達 → 清涼感・鎮痛(Gate control theory: 冷感シグナルが痛みシグナルを抑制)

外用薬(かゆみ止め・鎮痛薬・うがい薬・目薬)にも多用される理由はこの清涼感・鎮痛効果です。ただし、メントール(ハッカ油)を乳幼児の顔・鼻付近に塗布すると呼吸抑制を引き起こす危険性が報告されており、「乳幼児への使用は避ける」という注意事項を登録販売者として把握する必要があります。

【芳香性健胃薬が配合される複合処方の理解】

一般用医薬品の胃腸薬(健胃薬)には複数の生薬成分が配合されることが多く、各成分の役割を理解することが重要です:

| 成分の種類 | 代表生薬 | 役割 |

|---|---|---|

| 苦味健胃 | センブリ・ゲンチアナ・オウレン・オウバク | 苦みによる反射的胃液分泌促進 |

| 芳香性健胃 | ケイヒ・ショウキョウ・ハッカ・ウイキョウ | 香りと温刺激による消化管運動促進 |

| 制酸 | 炭酸水素ナトリウム・沈降炭酸カルシウム | 胃酸中和 |

| 消化酵素 | ジアスターゼ・リパーゼ等(植物由来酵素) | 食物の分解補助 |

| 粘膜保護 | アズレン・スクラルファート | 胃粘膜保護・炎症軽減 |

芳香性健胃薬の特長は「温刺激(発汗・血行促進)と香り(消化管反射)の二重アプローチ」にあります。苦味健胃薬が「苦みの反射」のみを利用するのに対し、芳香性健胃薬は消化管全体の運動を促す点で適応が広いとされます。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 基原を一次ソースで突合。ケイヒ=クスノキ科ケイ(Cinnamomum cassia)の樹皮(または周皮の一部を除いた樹皮)、ショウキョウ=ショウガ科ショウガの根茎、ハッカ=シソ科ハッカの地上部、で確定(手引き準拠)。正答エ(ケイヒは食品としても使われるが医薬品としての薬理作用=発汗・健胃・解熱を有し「作用はほとんど期待できない」は誤り)は妥当で、選択肢ア・イ・ウ・オは正しく正答エが一意であることを確認。正答変更なし。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第8節「胃の薬(健胃薬)」および第1節「かぜ薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

芳香性生薬・ケイヒ/ショウキョウ/ハッカの基原と発汗・健胃頻出度A

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

章別に解いて、登録販売者に合格

全5章のオリジナル問題。各問に出典(厚労省手引き)とAI解説(3レベル)付き・閲覧無料。