第3章 主な医薬品とその作用7主な医薬品とその作用(胃腸薬・H2ブロッカー)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問7:主な医薬品とその作用(胃腸薬・H2ブロッカー)

胃潰瘍・胃炎の治療に用いられる成分に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • ファモチジンはヒスタミンH2受容体を遮断することで胃酸の分泌を抑制し、OTCとして販売されているが、2週間を超えて症状が改善しない場合は医師への受診を勧める必要がある。
  • シメチジンは肝臓のCYP(チトクロームP450)酵素を阻害し、他の薬物(抗凝固薬・テオフィリン等)の血中濃度を上昇させる相互作用があるため、他の薬を服用中の人には使用に注意が必要である。
  • スクラルファートは胃粘膜保護成分であり、胃酸と反応してゲル状になり潰瘍面を覆い保護するが、アルミニウムを含むため腎機能低下者への使用に注意が必要である。
  • H2ブロッカーは、プロスタグランジンの合成を阻害することで胃酸分泌を抑制する。正答
  • テプレノンは胃粘膜保護・修復成分であり、プロスタグランジンの産生促進や胃粘液分泌の増加を介して胃粘膜を保護する作用を持つ。
正答:H2ブロッカーは、プロスタグランジンの合成を阻害することで胃酸分泌を抑制する。

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正答はエ(誤っているもの)です。

H2ブロッカー(ファモチジン・シメチジン等)はヒスタミンH2受容体を遮断することで胃酸分泌を抑制します。プロスタグランジン合成を阻害するのはNSAIDs(アスピリン・イブプロフェン等)の作用機序であり、H2ブロッカーの機序ではありません。「プロスタグランジン阻害=NSAIDs」「H2受容体遮断=H2ブロッカー」を区別することが重要です。

ア〜ウ・オはいずれも正しい記述です。特にシメチジンの薬物相互作用(CYP阻害)は頻出論点で、他の薬を服用中の人には注意が必要という判断ができることが求められます。

標準試験対策の基準レベル

主な胃潰瘍・胃炎用成分の比較:

| 成分 | 分類 | 作用機序 | 注意事項 |

|---|---|---|---|

| ファモチジン | H2ブロッカー | H2受容体遮断→胃酸分泌抑制 | 2週間超で受診勧奨 |

| シメチジン | H2ブロッカー | H2受容体遮断→胃酸分泌抑制 | CYP阻害→薬物相互作用多い |

| スクラルファート | 粘膜保護 | 胃酸でゲル化→潰瘍面被覆 | Al含有→腎機能低下者注意 |

| テプレノン | 粘膜保護・修復 | PG産生促進・粘液増加 | 比較的副作用少ない |

| アルジオキサ | 粘膜保護 | アルミニウム・アロエ複合 | Al含有→腎機能低下者注意 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): ファモチジンはH2受容体遮断による強力な胃酸分泌抑制薬です。OTCとして「胸焼け・もたれ・食べ過ぎ」等に使用されますが、連続使用は通常2週間以内が目安とされており、改善しない場合は消化性潰瘍や悪性腫瘍(胃がん等)の可能性があるため医師への受診が必要です。
  • イ(正): シメチジンはCYP2C9・CYP2D6・CYP3A4等の複数のCYPアイソザイムを阻害します。これにより抗凝固薬(ワルファリン)・テオフィリン(気管支拡張薬)・フェニトイン(抗てんかん薬)・βブロッカー等の血中濃度が上昇し、副作用・毒性が増強されます。他の薬を服用中の人には特に注意が必要です。
  • ウ(正): スクラルファートは硫酸化多糖類にアルミニウムが結合した成分で、胃酸(低pH環境)でゲル状重合体に変化し、潰瘍面のタンパク質と結合して物理的な保護膜を形成します。アルミニウムを含むため、腎機能低下者(透析患者含む)はアルミニウム蓄積リスクがあります。
  • エ(誤・正答): H2ブロッカーの作用機序は「ヒスタミンH2受容体の遮断→胃壁細胞での胃酸(HCl)分泌を抑制」です。プロスタグランジン合成阻害はNSAIDsの作用であり、H2ブロッカーとは無関係です。むしろNSAIDsはPG合成を阻害することで胃粘膜保護作用(プロスタグランジンE₂による粘液分泌・重炭酸塩分泌・血流維持)を損ない、胃粘膜障害を起こします。
  • オ(正): テプレノンは胃粘膜のプロスタグランジン(PGE₂・PGI₂)産生を促進し、粘液分泌増加・胃粘膜血流増加・細胞修復促進によって胃粘膜保護・修復を行います。NSAIDsによる胃粘膜障害の予防・治療にも活用されます。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【H2受容体と胃酸分泌機序の詳細】

胃壁細胞(parietal cell)による塩酸分泌は3つの受容体系によって調節されます:

1. ヒスタミンH2受容体: ECL細胞(腸クロム親和細胞様細胞)から分泌されるヒスタミンが結合→Gsタンパク経由→cAMP増加→プロテインキナーゼA活性化→H+/K+-ATPase(プロトンポンプ)活性化→HCl分泌

2. ムスカリンM3受容体: 迷走神経(副交感神経)からのアセチルコリンが結合→Gqタンパク経由→IP₃・DAG→Ca²+増加→プロトンポンプ活性化

3. ガストリン受容体(CCK-B型): G細胞から分泌されるガストリンが結合→同様にプロトンポンプ活性化

H2ブロッカーはこの3経路のうち1(ヒスタミン経路)を遮断します。ヒスタミンはM3刺激・ガストリン刺激に対しても増幅役として機能するため、H2遮断によって胃酸分泌全体が約50〜60%抑制されます。プロトンポンプ阻害薬(PPI)はプロトンポンプ自体を不可逆的に阻害するため抑制率が高い(約90%)ですが、OTCでは要指導医薬品として扱われます。

【シメチジンのCYP阻害:臨床的に重要な薬物相互作用】

シメチジンはH2ブロッカーの中でも特にCYP阻害が強く、複数の相互作用が問題になります:

| 併用薬 | 相互作用の結果 | リスク |

|---|---|---|

| ワルファリン(抗凝固薬) | ワルファリン血中濃度上昇→出血リスク増大 | 重大 |

| テオフィリン(気管支拡張薬) | テオフィリン濃度上昇→不整脈・けいれん | 重大 |

| フェニトイン(抗てんかん薬) | フェニトイン濃度上昇→中毒 | 重大 |

| ジゴキシン(強心薬) | 吸収変化・濃度変動 | 要注意 |

| プロプラノロール | 濃度上昇→徐脈・低血圧 | 要注意 |

ファモチジンはCYP阻害が弱いため、上記の薬物相互作用が少なく、複数の薬を服用している人にはファモチジンが相対的に安全です。登録販売者は「他に薬を服用していますか」と確認し、シメチジンの購入者には特にワルファリン・テオフィリン服用の有無を確認する必要があります。

【スクラルファートのアルミニウム問題と代替粘膜保護薬】

スクラルファートのアルミニウム含有量は1g中約180mgで、長期使用・腎機能低下者では蓄積リスクがあります。このリスクを避けるため、アルミニウムを含まない粘膜保護薬として以下が活用されます:

  • テプレノン: イソプレン系化合物。PG産生促進・粘液増加。アルミニウム非含有。
  • ポラプレジンク(亜鉛・L-カルノシン複合体): 亜鉛の粘膜修復促進作用。抗潰瘍作用。
  • ゲファルナート: プロスタグランジン産生促進・胃粘液分泌増加。
  • セトラキサート塩酸塩: 胃粘液の増加・胃粘膜血流改善。

【NSAIDsによる胃粘膜障害の機序(H2ブロッカーとの対比)】

NSAIDsはCOX-1を阻害してプロスタグランジンE₂(PGE₂)の産生を低下させます。胃粘膜でのPGE₂の生理的役割:

  • 胃粘液(ムチン)分泌の増加
  • 重炭酸塩(HCO₃⁻)分泌の促進(胃酸中和)
  • 粘膜血流の維持(粘膜への酸素・栄養供給)
  • 上皮細胞の増殖促進(粘膜修復)

NSAIDsでこれらが全て低下するため、胃粘膜が胃酸(HCl)に直接さらされて潰瘍が生じます。「NSAIDsで潰瘍→H2ブロッカー・PPIで対応」という治療関係が試験でも出題されます。一方H2ブロッカーがPG合成を阻害するという記述(選択肢エ)は、この関係を逆転させた典型的な引っかけパターンです。

【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章第5節

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答エ「H2ブロッカーはPG合成阻害で胃酸分泌抑制」は誤り(H2ブロッカー=ヒスタミンH2受容体遮断で分泌抑制/PG合成阻害はNSAIDsの機序)=機序の取り違えで一意に誤り、正答エ確定。ア=ファモチジンH2遮断・2週間超で受診勧奨で正、イ=シメチジンCYP阻害でワルファリン/テオフィリン等濃度上昇で正、ウ=スクラルファートはアルミニウム含有→腎機能低下者注意で正、オ=テプレノンはPG産生促進・粘液増加で正。成分機序・相互作用とも添付文書/手引きと整合し健康被害リスクなし。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第5節「胃の薬」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

H2ブロッカー・胃潰瘍用成分の特徴頻出度B

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

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