第3章 主な医薬品とその作用72主な医薬品とその作用(生薬製剤・滋養強壮保健薬)

登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問72:主な医薬品とその作用(生薬製剤・滋養強壮保健薬)

ニンジン(人参)・ゴオウ(牛黄)・ハンピ(反鼻・マムシ)の基原と作用に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • ニンジン(人参)はウコギ科植物オタネニンジンの根を基原とし、強壮・滋養・血行促進・抗疲労作用を持ち、主成分ジンセノサイドが免疫機能の調整にも関わるとされる。
  • ゴオウ(牛黄)はウシの胆嚢中に生じた結石(胆石)を基原とし、強心・解熱・鎮静・解毒作用を持ち、滋養強壮・強心薬(六神丸等)に配合される。
  • ハンピ(反鼻・マムシ)はクサリヘビ科のマムシの皮および内臓を取り除いたものを基原とし、疲労回復・強壮を目的とした滋養強壮薬に配合される。
  • ゴオウ(牛黄)を含む医薬品は、小児の五疳(神経症状)に対する強心・鎮静薬として古来から用いられており、心臓疾患がある人への使用は特に問題ない。正答
  • ニンジン(人参)のジンセノサイドは複数の種(ジンセノサイドRb1・Rg1等)が知られ、それぞれ中枢神経系への異なる影響(鎮静・興奮)を示す可能性がある。
正答:ゴオウ(牛黄)を含む医薬品は、小児の五疳(神経症状)に対する強心・鎮静薬として古来から用いられており、心臓疾患がある人への使用は特に問題ない。

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正答はエです。

「ゴオウを含む医薬品について、心臓疾患がある人への使用は特に問題ない」という記述が誤りです。ゴオウ(牛黄)は強心作用を持つ生薬であるため、心臓疾患を持つ人への使用は、動悸・不整脈等を悪化させる可能性があり、注意が必要です。

ゴオウはウシの胆嚢結石(胆石)を基原とする動物性生薬で、強心・鎮静・解熱作用を持ちます。「強心成分→心臓疾患に注意」という原則を覚えましょう。

暗記ポイント: ゴオウ(牛黄)はウシ・胆石・強心(鎮静・解熱も)。ニンジン→ウコギ科・根・強壮。ハンピ(反鼻=マムシ)→クサリヘビ科・皮および内臓を除いたもの・強壮。

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強壮・滋養生薬の基原・作用まとめ:

| 生薬名 | 基原 | 科(分類) | 薬用部位 | 主な作用 | 注意事項 |

|---|---|---|---|---|---|

| ニンジン(人参) | ウコギ科オタネニンジン(Panax ginseng) | ウコギ科(植物) | 根(細根除去) | 強壮・滋養・抗疲労・免疫調整・血行促進 | 実証(体力のある人)には向かない場合あり |

| ゴオウ(牛黄) | ウシ(Bos taurus) | ウシ科(哺乳類) | 胆嚢中の結石(胆石) | 強心・解熱・鎮静・解毒 | 心臓疾患・高血圧の人は注意 |

| ハンピ(反鼻=マムシ) | クサリヘビ科マムシ(Gloydius blomhoffii) | クサリヘビ科(爬虫類) | 皮および内臓を取り除いたもの | 疲労回復・強壮 | 動物由来アレルギーに注意 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): ニンジン(人参)はウコギ科植物オタネニンジン(Panax ginseng C.A.Meyer)の根が基原です。主成分ジンセノサイド(ginsenoside)群は30種類以上が知られており、抗疲労・免疫賦活・抗酸化・血行促進作用を示します。漢方では滋養強壮・補気の代表薬です。
  • イ(正): ゴオウ(牛黄)はウシの胆嚢に形成された結石(牛胆石)が基原です。ビリルビン(胆汁色素)・コール酸・ケノデオキシコール酸等を含み、強心・解熱・鎮静・解毒作用を示します。六神丸・牛黄清心丸等の強心薬に配合されます。
  • ウ(正): ハンピ(反鼻)はクサリヘビ科のマムシ(Gloydius blomhoffii)の皮および内臓を取り除いたものが基原です(手引き・日本薬局方準拠の生薬名は「ハンピ(反鼻)」)。疲労回復・強壮を目的として滋養強壮薬(マムシ/ハンピエキス含有製品)に配合されます。
  • エ(誤・正答): ゴオウの強心作用は、心臓疾患や高血圧を持つ人においては動悸・不整脈の誘発・悪化リスクがあります。手引きでも「心臓疾患がある人は使用前に医師・薬剤師に相談する」が記載されており、「特に問題ない」という断定は誤りです。
  • オ(正): ジンセノサイドは構造が異なる複数の種(Rb1・Rb2・Rc・Rd・Re・Rg1・Rg3 等)が存在し、Rb1 系は主に鎮静・抗不安作用、Rg1 系は主に中枢興奮・認知改善作用を示すとされています。一方の作用が他方を相殺する場合もあり、全体として「抗ストレス(アダプトゲン)作用」として機能すると考えられています。
上級誤答論破・根拠(手引き)まで深掘り

【ジンセノサイドのアダプトゲン作用と科学的根拠】

「アダプトゲン(adaptogen)」とは、生体がさまざまなストレス(物理的・化学的・生物的)に適応する能力を高める物質の総称で、オタネニンジン(高麗人参・朝鮮人参)はアダプトゲンの代表例です。

ジンセノサイドの主要な薬理作用(現時点でのエビデンス):

| ジンセノサイド種 | 主な作用 | 機序 |

|---|---|---|

| Rg1 | 中枢興奮・記憶改善・神経保護 | NMDA 受容体調整・アセチルコリン放出促進・アミロイドβ産生抑制(研究段階) |

| Rb1 | 鎮静・抗不安・神経保護 | GABA-A 受容体の調整・グルタミン酸興奮毒性抑制 |

| Rg3 | 抗腫瘍(研究段階)・抗疲労 | NK 細胞・マクロファージ活性化・HIF-1α(低酸素誘導因子)経路調整 |

| Rd | 抗炎症・免疫調整 | NF-κB 経路抑制・TNF-α産生抑制 |

| Re | 抗糖尿病(研究段階) | インスリン感受性改善・GLUT4 膜移行促進 |

アダプトゲンの定義(N.V.Lazarev・I.I.Brekhman の基準):

1. 非特異的(特定の臓器ではなく全身的に作用)

2. 正常化作用(亢進していれば抑制、低下していれば促進)

3. 無害性(通常用量での毒性が低い)

オタネニンジンはこの3基準を満たすアダプトゲンとして、WHO 伝統医薬モノグラフにも収載されています。

【ゴオウ(牛黄)の強心機序とセンソ・ジギタリスとの比較】

ゴオウの主成分と強心機序:

  • 胆汁酸類(コール酸・デオキシコール酸等): 心筋の Ca²⁺処理に関与。適量で収縮力増強
  • ビリルビン・ビリベルジン: 抗酸化・抗炎症(心筋保護)
  • 強心ステロイド類(ブファジエノリド類似): Na⁺-K⁺-ATPase への影響(センソと同様の機序、ただしより穏やか)

強心作用を持つ主な成分/薬の比較:

| 成分・薬 | 由来 | 強心機序 | 安全域 |

|---|---|---|---|

| ジギタリス(ジゴキシン等) | ゴマノハグサ科(フォックスグローブ) | Na⁺-K⁺-ATPase 強力阻害→Ca²⁺増加 | 狭い(中毒域まで近い) |

| センソ(蟾酥) | ヒキガエル科 | ブファジエノリド類→Na⁺-K⁺-ATPase 阻害 | 狭い(口にしただけで毒) |

| ゴオウ(牛黄) | ウシ科(胆石) | 複合作用(Ca²⁺調整・膜安定化) | 比較的広い(通常用量で安全) |

| カフェイン | キサンチン系 | ホスホジエステラーゼ阻害→cAMP↑→Ca²⁺↑ | 比較的広い |

心臓疾患・高血圧の人がゴオウ含有製品を服用する際には、強心作用による循環動態への影響(血圧上昇・頻脈等)が懸念されます。登録販売者は「心臓病や高血圧の治療を受けている方は使用前に医師・薬剤師にご相談ください」と指導する必要があります。

【動物由来強壮生薬の倫理的・法的課題と代替成分】

マムシ(蝮)・ゴオウ(牛黄)・ロクジョウ(鹿茸)等の動物由来強壮生薬は、希少野生生物の保護(CITES・種の保存法)と医薬品原料としての利用の間で規制が複雑です。

補足:本問では扱っていませんが、関連する動物性強壮生薬として、手引きの基原を整理しておきます。

  • ハンピ(反鼻=マムシ): クサリヘビ科のマムシの皮および内臓を取り除いたものが基原。疲労回復・強壮
  • ゴオウ(牛黄): ウシ科のウシの胆嚢中に生じた結石が基原。強心
  • ロクジョウ(鹿茸): シカ科のマンシュウアカジカ又はマンシュウジカの雄のまだ角化していない幼角が基原。強壮(手引き準拠)

希少野生生物の保護に関する状況:

  • マムシ(ハンピ): 日本在来種で法的保護対象外。捕獲許可等が必要な場合があるが養殖も行われる
  • ゴオウ: 野生ウシ由来は事実上なく、食用ウシから採取される副産物。CITES 対象外
  • ロクジョウ: マンシュウアカジカ等は CITES 付属書に掲載されておらず、養殖からの採取が主流

代替・合成品の状況:

  • ゴオウ代用として人工合成ビリルビン・コール酸が利用可能
  • ロクジョウ代用として鹿の血液・骨格筋タンパク質エキスが使用される場合あり

登録販売者として、動物由来生薬を含む製品の販売では、菜食主義・宗教的食制限を持つ顧客への適切な情報提供が求められます。「動物由来成分が含まれていますが、よろしいですか」という確認が顧客サービスの質を高めます。

<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 動物性生薬の基原を一次ソースで突合。ニンジン=ウコギ科オタネニンジンの根、ゴオウ=ウシ科ウシの胆嚢中の結石、ハンピ(反鼻=マムシ)=クサリヘビ科マムシの皮および内臓を取り除いたもの、ロクジョウ=シカ科マンシュウアカジカ等の雄のまだ角化していない幼角、で確定(手引き・日本薬局方準拠)。選択肢ウの「皮を除いたものまたは全体」という曖昧表現を手引きの正式基原「皮および内臓を取り除いたもの」に精緻化し、生薬名も「ハンピ(反鼻・マムシ)」に統一。正答エ(ゴオウは強心作用ゆえ心臓疾患のある人への使用は注意が必要=「特に問題ない」は誤り)は妥当で、正答変更なし。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第17節「滋養強壮保健薬」および第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。

関連論点

強壮・滋養生薬・ニンジン/ゴオウ/ハンピ(マムシ頻出度B

第3章 主な医薬品とその作用の他の問題

1
主な医薬品とその作用(かぜ薬・解熱鎮痛薬)
2
主な医薬品とその作用(アレルギー薬・抗ヒスタミン薬)
3
主な医薬品とその作用(漢方処方・生薬)
4
主な医薬品とその作用(かぜ薬)
5
主な医薬品とその作用(鎮咳去痰薬)
6
主な医薬品とその作用(胃腸薬・制酸薬)

章別に解いて、登録販売者に合格

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