登録販売者 第3章 主な医薬品とその作用 問77:主な医薬品とその作用(生薬製剤・泌尿器用薬・滋養強壮薬)
ジオウ(地黄)・タクシャ(沢瀉)・モクツウ(木通)の基原、配合される漢方処方および用途に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- アジオウ(地黄)はゴマノハグサ科植物アカヤジオウ等の根または根茎を基原とし、補血・滋養強壮・解熱作用を持ち、八味地黄丸・六味丸等の滋養強壮系漢方処方に配合される。正答
- イタクシャ(沢瀉)はイネ科植物オモダカ等の塊茎を基原とし、利水・利尿作用を持ち、五苓散等の水分代謝調整系漢方処方に配合される。
- ウモクツウ(木通)は日本で使用されるアケビ科アケビ等の茎を基原とする生薬であり、アリストロキア酸を含むため腎毒性のリスクがあり現在は使用が規制されている。
- エジオウ(地黄)はナス科植物に属し、ナスやトマトと同様にアルカロイドを全草に含むため、過剰摂取で中毒を起こすおそれがある。
- オタクシャ(沢瀉)はサジオモダカ科(旧オモダカ科)の植物の根茎を基原とするが、利水作用はなく鎮眩(めまい抑制)専用の生薬として用いられる。
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正答はアです。
「ジオウ(地黄)はゴマノハグサ科植物アカヤジオウ等の根または根茎を基原とし、補血・滋養強壮・解熱作用を持ち、八味地黄丸・六味丸等の漢方処方に配合される」という記述は正しいです。
各誤りを確認しましょう。イのタクシャはイネ科ではなくサジオモダカ科(旧オモダカ科)の塊茎が基原です。ウのモクツウ(アケビ科)はアリストロキア酸を含まず現在も使用可能であり、アリストロキア酸を含むのはウマノスズクサ科(関木通)です。エのジオウはナス科ではなくゴマノハグサ科(APG分類ではオオバコ科)です。オのタクシャは「利水専用」ではなく利水・利尿・鎮眩を持ちます。
暗記ポイント: 「ジオウ→ゴマノハグサ科・根/根茎・補血・八味地黄丸」「タクシャ→サジオモダカ科・塊茎・利水・五苓散」「モクツウ→アケビ科・茎・利尿(アリストロキア酸含まず)」。
利尿・泌尿生薬の基原・代表処方・用途まとめ:
| 生薬名 | 基原植物(科名) | 薬用部位 | 主な作用 | 代表的な配合漢方 | 使用場面 |
|---|---|---|---|---|---|
| ジオウ(地黄) | ゴマノハグサ科(APG: オオバコ科)アカヤジオウ(Rehmannia glutinosa var. purpurea)等 | 根または根茎 | 補血・滋養強壮・解熱・利尿 | 八味地黄丸・六味丸・四物湯 | 滋養・虚弱・高齢者の泌尿器症状 |
| タクシャ(沢瀉) | サジオモダカ科(旧オモダカ科)サジオモダカ(Alisma orientale)等 | 塊茎(球状の地下茎) | 利水・利尿・鎮眩(めまい) | 五苓散・八味地黄丸・猪苓湯 | 浮腫・二日酔い・めまい・泌尿器症状 |
| モクツウ(木通) | アケビ科アケビ(Akebia quinata)等 | 茎(木質の茎を輪切り) | 利尿・通乳・抗炎症 | 竜胆瀉肝湯・五淋散等 | 排尿痛・膀胱炎様症状 |
各選択肢の解説:
- ア(正・正答): ジオウ(地黄)の基原はゴマノハグサ科(APG 分類ではオオバコ科)植物アカヤジオウ等の根または根茎です。補血・滋養強壮・解熱・利尿作用があり、八味地黄丸(高齢者の泌尿器症状・腰痛・疲労)・六味丸(虚弱な人の泌尿器症状)・四物湯(婦人血虚)等多くの漢方処方に配合されます。正しい記述です。
- イ(誤): タクシャの基原はイネ科ではなくサジオモダカ科(旧オモダカ科:Alismataceae)植物サジオモダカ等の塊茎(球状に肥大した地下茎)が基原です。科名・薬用部位ともに誤りです。
- ウ(誤): 日本で使用されるモクツウ(木通)はアケビ科アケビ等の茎が基原であり、アリストロキア酸を含みません。アリストロキア酸(腎毒性・発癌性)を含むのはウマノスズクサ科植物(中国産の「関木通」等)であり、日本ではウマノスズクサ科生薬の使用は規制されています。アケビ科のモクツウは現在も使用可能です。
- エ(誤): ジオウはナス科ではなくゴマノハグサ科(APG 体系ではオオバコ科に包含)の植物です。ナス科とは全く異なる科です。
- オ(誤): タクシャは「鎮眩専用」ではありません。利水・利尿作用が主な作用であり(五苓散の利水の中心生薬)、鎮眩(めまい抑制)はその副次的な作用として知られています。また薬用部位は「根茎」ではなく「塊茎」です。
【ジオウ(地黄)の加工による成分変化と生地黄・乾地黄・熟地黄の違い】
同じアカヤジオウの根茎でも加工方法によって生薬名と作用が変化します:
| 生薬名 | 加工法 | 主成分 | 作用傾向 | 代表処方 |
|---|---|---|---|---|
| 生地黄(しょうじおう) | 生鮮の根茎 | カタルポール(iridoid)高含有 | 清熱・凉血・止血(熱を冷ます) | 温清飲・清熱補血湯 |
| 乾地黄(かんじおう) | 乾燥のみ | カタルポール中程度 | 養陰・補血(血液を補う) | 四物湯・芎帰膠艾湯 |
| 熟地黄(じゅくじおう) | 酒で蒸して乾燥を繰り返す | カタルポール分解・多糖類増加 | 強力な補血・滋腎・滋養強壮 | 八味地黄丸・六味丸・大補陰丸 |
カタルポール(catalpol)の薬理:
- 神経保護作用(酸化ストレス・グルタミン酸興奮毒性から神経細胞を保護)
- 抗炎症(NF-κB 経路抑制・TNF-α・IL-6 産生抑制)
- 血糖降下(インスリン分泌促進・肝糖新生抑制)
- 造血促進(骨髄における赤血球前駆細胞の増殖促進)
【タクシャのアリソールとコレステロール代謝・五苓散との接続】
タクシャ(沢瀉)の主成分アリソール(alisol A・B・C: トリテルペノイド)の薬理:
1. コレステロール代謝改善: 腸管でのコレステロール吸収阻害・肝臓でのコレステロール合成抑制
2. 利尿: 腎尿細管での Na⁺・水分の再吸収抑制→尿量増加
3. 鎮眩(めまい抑制): 内耳リンパの産生・循環調整(五苓散が浮腫・めまいに有効な機序)
五苓散(タクシャ・ブクリョウ・ソウジュツ・ケイヒ・チョウリン)は水分代謝の異常(浮腫・めまい・二日酔い・熱中症後)に用いられますが、タクシャがこの方剤の利水の中心的生薬です。二日酔い対策として五苓散を求める購入者への説明では「タクシャ(沢瀉)等の利水生薬が体内の水分バランスを整える」という説明が実務的に有効です。
【モクツウとアリストロキア酸問題:登録販売者の実務上の重要性】
「木通」という名前の生薬が複数存在することが問題を引き起こしています:
| 「木通」の種類 | 植物 | アリストロキア酸 | 規制状況 |
|---|---|---|---|
| アケビ木通(正式なモクツウ) | アケビ科アケビ(Akebia quinata)等 | 含まない | 日本薬局方収載・使用可 |
| 関木通(かんもくつう) | ウマノスズクサ科ウマノスズクサ(Aristolochia manshuriensis) | 含む(毒性) | 日本では使用禁止 |
| 中国産関木通 | ウマノスズクサ科 | 含む | 輸入・使用禁止 |
1990〜2000年代に欧州・日本で「木通(木防已)を含む漢方薬」による腎障害(アリストロキア酸腎症:AAN)が多発しました。日本ではウマノスズクサ科生薬の医薬品への使用を2003年に全面禁止にしています。
現在日本で使用される「モクツウ(木通)」はアケビ科のものに限られ、アリストロキア酸は含まれません。しかし中国産の漢方薬・生薬の中には「関木通」(Aristolochia 属)が使用されている場合があり、品質・産地の確認が重要です。
登録販売者として:
1. 「木通」を含む漢方処方(竜胆瀉肝湯・五淋散等)の成分確認(アケビ科であることを確認)
2. 中国産個人輸入漢方薬・サプリメントに関する問い合わせでは「アリストロキア酸含有の可能性がある製品は医師に相談するよう」伝える
3. 腎機能低下・むくみが続く人への漢方長期服用は医師への相談を促す
上位資格への接続: 薬剤師国家試験では「アリストロキア酸腎症」が「薬害・医薬品安全」の単元で出題される。登録販売者として「木通の種類を見分ける」という実務知識は、同名異物(同じ生薬名でも基原が異なる)という漢方生薬の特徴を理解する重要な事例であり、製品の産地・成分確認の重要性を示す現場事例として価値が高い。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 一次ソースで突合。(1)タクシャ=サジオモダカ科(旧オモダカ科)サジオモダカの「塊茎」で確定(日本薬局方・薬用植物園DB)。選択肢オの「根茎」は誤り=オは正答にならず、正答アと二重正答を構成しないことを確認。(2)ジオウの科名は手引き表記で「ゴマノハグサ科」(アカヤジオウ等の根)で確定。APG分類では現在オオバコ科に包含されるが、登録販売者試験は手引きの旧分類表記に従うため、本問の「ゴマノハグサ科(APG: オオバコ科)」併記表現を採用。正答アは基原・作用・代表処方すべて手引き準拠で妥当。 -->
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser・品質ゲート編集分の再検証): 「基原+配合漢方処方+用途」フレームで新規導入された対応関係を再突合。ジオウ→八味地黄丸・六味丸・四物湯、タクシャ→五苓散・八味地黄丸・猪苓湯(オモダカ科サジオモダカの塊茎・利水/利尿/鎮眩)、モクツウ→竜胆瀉肝湯・五淋散(アケビ科アケビの茎・アリストロキア酸を含まない)、をいずれも一次ソース(日本生薬協会・薬用植物園DB)で確認。アリストロキア酸を含むのはウマノスズクサ科(関木通)でアケビ科モクツウとの同名異物の区別も手引き・薬害事例と整合。新規の未検証断定なし、正答ア一意(オの「根茎・鎮眩専用」は誤りで二重正答を構成しない)。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第3章 第17節「滋養強壮保健薬」および第15節「漢方処方製剤・生薬製剤」 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。