登録販売者 第4章 薬事関係法規・制度 問27:薬事関係法規・制度(監視指導・命令・罰則)
行政庁の監視指導・立入検査・廃棄命令等に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア都道府県知事は、薬事監視員(薬機法上の監視指導に従事する者)を任命することができ、薬事監視員は薬局・医薬品販売業者の店舗等に立入検査・質問・収去(サンプル採取)を行う権限を持つ。正答
- イ薬機法違反が発覚した薬局・店舗販売業者に対して業務停止命令を発動できる行政機関は、厚生労働大臣のみであり、都道府県知事は業務停止命令を行う権限を持たない。
- ウ「収去」とは、監視指導において行政側が医薬品・食品等のサンプルを廃棄処分する行為であり、業者の同意なしに行うことはできない。
- エ行政庁が廃棄命令を発した医薬品は、処分対象業者が自ら廃棄しなければならず、業者が命令に従わない場合でも、行政庁が代執行によって廃棄することはできない。
- オ薬機法違反に対する罰則として設けられている懲役・罰金は、法人には適用されず、違反した個人(経営者・従業員)のみに刑事責任が問われる。
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正答はア(正しいもの)です。
都道府県知事は薬事監視員を任命し、その監視員が薬局・店舗等への立入検査・質問・収去(試験のためのサンプル採取)を行う権限を持ちます。これが「監視指導」の実務的な仕組みです。
イは誤りで、業務停止命令は厚生労働大臣だけでなく都道府県知事も行えます。ウは誤りで、「収去」は廃棄ではなくサンプル採取であり、業者の同意なしに行うことができます。エは誤りで、業者が廃棄命令に従わない場合、行政代執行も可能です。オは誤りで、法人も罰金(両罰規定)の対象です。
薬機法の監視指導・行政処分の体系:
| 措置の種類 | 発動権者 | 内容 |
|---|---|---|
| 立入検査・収去 | 都道府県知事(薬事監視員) | 店舗等への立入・帳簿確認・サンプル採取 |
| 業務改善命令 | 都道府県知事・厚生労働大臣 | 業務方法の改善を命令 |
| 業務停止命令 | 都道府県知事・厚生労働大臣 | 一定期間の業務停止 |
| 許可取り消し | 都道府県知事・厚生労働大臣 | 許可の取り消し |
| 廃棄命令 | 都道府県知事・厚生労働大臣 | 不正・不良品の廃棄を命令 |
| 行政代執行 | 行政庁 | 命令不履行の場合に行政が代わりに執行 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 薬事監視員は都道府県知事(および政令市・特別区の長)が任命し、薬機法第69条に基づいて立入検査・質問・収去を行います。収去は業者の同意なしに行うことができます。
- イ(誤): 業務停止命令は厚生労働大臣のほか、都道府県知事も発動権限を持ちます(薬機法第75条)。管轄区域内の薬局・店舗販売業者に対しては都道府県知事が主体的に対応します。<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 許可取消・業務停止命令は第75条(旧解説の第72条は体制改善命令の条で誤り)。立入検査・収去は第69条、廃棄命令は第70条で正しい -->
- ウ(誤): 「収去」は「廃棄」ではなく、試験・検査のためにサンプル(医薬品・食品等)を採取する行為です(薬機法第69条)。業者の同意なしに行うことができます(強制的な収去権限)。
- エ(誤): 廃棄命令に業者が従わない場合、行政代執行法に基づき行政庁が代わりに廃棄を行うことができます。行政代執行は「命令に従わない場合に行政が実力で執行する制度」です。
- オ(誤): 薬機法違反に対する罰則には両罰規定があり、違反行為を行った個人だけでなく、その法人(会社・団体)にも罰金刑が科されます(薬機法第90条)。<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 両罰規定は薬機法第90条(旧解説の第87条は誤り) -->
【薬機法の監視・行政処分体系の全体的構造】
薬機法の監視指導・行政処分制度は、医薬品の安全・品質確保を担保するための「事後的な法執行」の仕組みです。行政が医薬品の製造・販売業者を日常的に監視し、違反が発覚した場合に適切な行政処分を行うことで、公衆衛生の保護を実現します。
薬事監視員制度の詳細(薬機法第69条・第76条の3等):
薬事監視員は、都道府県・政令市・特別区が任命する行政上の専門職員です。主な職務権限:
1. 立入検査: 薬局・薬品販売業者・製造業者の施設への立入
- 店舗・倉庫・帳簿・記録への立入
- 薬剤師・従業員への質問
- 販売記録・在庫記録の確認
2. 収去(サンプル採取): 医薬品・医薬部外品等のサンプルを試験・検査のために強制的に採取する
- 業者の同意は不要(強制権限)
- 採取したサンプルは都道府県の試験機関等で品質・安全性を検査
- 費用は原則業者負担ではない(行政が負担)
3. 報告の徴収: 業者に対して業務状況の報告を求める権限
「収去」の法的性質と「廃棄」との区別:
「収去」と「廃棄」は全く異なる概念です:
- 収去: 試験・検査のためのサンプル採取。業者の在庫の一部を強制的に採取するが、目的は「試験・分析」であり、採取された物品は分析後に廃棄または返還される
- 廃棄命令: 不正・不良な医薬品の廃棄を業者に命じる行政処分。業者が廃棄を実施するが、不履行の場合は行政代執行が可能
この区別は試験で問われる重要な概念です。「収去=廃棄」と混同しないようにしてください。
行政処分の発動権者(都道府県知事 vs 厚生労働大臣):
薬機法の行政処分権者は処分の種類・対象によって異なります:
```
薬局・薬品販売業(都道府県レベルの許可)
→ 主たる権限者: 都道府県知事(保健所設置市は市長・特別区は区長)
→ 業務停止命令・業務改善命令・許可取り消し等
製造業・製造販売業(国レベルの許可)
→ 主たる権限者: 厚生労働大臣(PMDA等の技術支援あり)
→ 重大事案は厚生労働大臣が直接処分
両者に跨る場合
→ 都道府県知事と厚生労働大臣が連携・情報共有
```
この「地方自治体(都道府県)と国(厚生労働省)の権限分担」は薬機法の行政処分体系の核心です。
廃棄命令と行政代執行の関係:
廃棄命令(薬機法第70条等)は「不正な医薬品を廃棄せよ」という行政処分です。業者がこれに従わない場合:
1. 督促・再命令
2. 行政代執行の予告(代執行令書の交付)
3. 行政代執行の実施(行政庁が業者の代わりに廃棄を実施)
4. 代執行費用を業者に請求
行政代執行法は薬機法に限らず、行政上の義務不履行全般に適用されます。薬機法の廃棄命令も行政代執行の対象です。
両罰規定の意義(薬機法第90条):
薬機法の罰則には「両罰規定」が設けられており、違反行為を行った従業員(個人)だけでなく、その雇用主(法人・会社)にも罰金刑が科されます。
両罰規定の趣旨:
- 法人(会社)の経営者・管理者が監視・指導義務を果たすよう強制する
- 「従業員の単独行為」として経営者が責任から逃れることを防ぐ
- 経済的な制裁(罰金)により再発抑止
ただし、法人が「相当の注意・監督を怠らなかった」ことを証明できた場合(免責規定)は、法人への罰金が免除される場合もあります。
近年の監視指導の重点事項:
厚生労働省・都道府県は年度ごとに「薬局・医薬品販売業者に対する立入検査の実施方針」を示しており、最近の重点事項:
- 濫用等のおそれのある医薬品の販売管理状況
- 特定販売(ネット販売)の適正実施状況
- 陳列管理(鍵かけ・区画)の適正状況
- 薬剤師・登録販売者の配置状況
登録販売者として勤務する上では、これらの監視ポイントを意識した日常業務の管理が重要です。
試験頻出ポイントのまとめ:
1. 薬事監視員=都道府県知事が任命・立入検査・収去(強制的・同意不要)
2. 「収去」は廃棄ではなくサンプル採取(試験・分析目的)
3. 業務停止命令は都道府県知事にも権限あり(厚生労働大臣のみではない)
4. 廃棄命令不履行→行政代執行が可能
5. 両罰規定により法人(会社)も罰金対象
【根拠】薬機法第69条(立入検査・収去)・第70条(廃棄等の命令)・第72条(業務体制の改善命令)・第75条(許可の取消し・業務停止命令)・第90条(両罰規定)、厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第4章 第7節
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 立入検査・収去=第69条、廃棄命令=第70条、許可取消・業務停止=第75条、両罰規定=第90条で裏取り済み。第72条は体制改善命令。正答ア(薬事監視員の立入・収去)は妥当 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第4章 第7節「監視指導・行政処分」(薬機法第69条・第70条・第72条・第75条等) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。