登録販売者 第4章 薬事関係法規・制度 問31:薬事関係法規・制度(回収・廃棄命令)
医薬品の回収・廃棄・改善命令の主体に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア不正な表示がある医薬品に対して廃棄命令を発することができるのは、厚生労働大臣のみであり、都道府県知事はこの権限を有しない。
- イ製造販売業者が自主的に行う医薬品の回収(リコール)は、販売業者に対して回収への協力を求める義務はなく、あくまで製造販売業者が単独で行うものとされている。
- ウ都道府県知事は、薬事監視員に命じて、店舗販売業者に対し、偽造品の疑いがある医薬品の廃棄を命じることができる。正答
- エ医薬品の回収が行われた場合、製造販売業者は回収に着手した旨をPMDAに報告する義務はなく、厚生労働省への報告のみで足りる。
- オ店舗販売業者が自ら医薬品を廃棄する際は、廃棄する前に都道府県知事の許可を得なければならない。
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正答はウ(正しいもの)です。
都道府県知事は、薬事監視員を通じて店舗に立入り、不良品・偽造品の疑いがある医薬品に対して廃棄を命じることができます。
アは誤りで、廃棄命令は厚生労働大臣だけでなく、都道府県知事も権限を有しています。イは誤りで、製造販売業者が行う自主回収(リコール)の際、販売業者にも回収への協力が求められます。エは誤りで、回収に着手した製造販売業者は、その旨と回収の状況を厚生労働大臣に報告する義務があります(実務上は都道府県を経由し、PMDAが情報を集約・公表します)。オは誤りで、廃棄前に都道府県知事の許可を得る義務はなく、廃棄後の記録・報告が求められます。
医薬品の回収・廃棄に関する命令主体の整理:
| 命令の種別 | 命令権者 | 対象 |
|---|---|---|
| 廃棄・回収命令(不正品・品質不良) | 厚生労働大臣・都道府県知事 | 製造販売業者・販売業者等 |
| 業務改善命令 | 厚生労働大臣・都道府県知事 | 販売業者・製造販売業者 |
| 許可取消・業務停止命令 | 厚生労働大臣・都道府県知事 | 許可業者 |
各選択肢の解説:
- ア(誤): 廃棄・回収命令は厚生労働大臣のみならず、都道府県知事も権限を有します。都道府県の薬事監視員が実地調査のうえ廃棄命令を行うことが実際の行政実務です。
- イ(誤): 製造販売業者が行う自主回収(リコール)では、卸売販売業者・店舗販売業者等に対して回収への協力が求められます。回収品を最終的に消費者から集めるためには販売業者のネットワークが不可欠です。
- ウ(正): 都道府県知事は、偽造品の疑いがある医薬品について、薬事監視員を通じて廃棄命令を発することができます。
- エ(誤): 製造販売業者は、回収に着手した旨および回収の状況を厚生労働大臣に報告しなければなりません(医薬品医療機器等法第68条の11による回収報告。法第70条の命令による回収を除く)。報告は実務上、都道府県の薬務主管課を経由して厚生労働省へ伝達され、PMDAがクラスI/II/IIIの回収情報を集約・公表しています。<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 回収着手報告の主体は「厚生労働大臣」(薬機法第68条の11)。条文上の報告先はPMDAではなく厚労大臣であるため、選択肢本文の「PMDAに報告」を解説で正確化。e-Gov・厚労省通知(薬食発0521第10号系)で突合 -->
- オ(誤): 店舗販売業者が不良品等を廃棄する場合、事前に都道府県知事の許可を得る必要はありません。ただし、廃棄の際は医薬品を完全に廃棄したことを示す記録を作成・保管することが求められます。
【回収・廃棄命令制度の制度趣旨と法的根拠】
医薬品の回収・廃棄に関する行政命令は、品質・安全性・有効性の確保という薬機法の根本目的を実現するための強制手段です。不良品・偽造品・承認外品が市場に流通した場合、消費者が重大な健康被害を受けるリスクがあるため、迅速な行政介入を可能にする制度が整備されています。
命令権者の二重構造(国と都道府県):
薬機法上の命令権者は「厚生労働大臣または都道府県知事」という二重構造を持ちます。この構造の理由は以下のとおりです:
1. 厚生労働大臣: 製造販売業の許可・承認を行う国の行政機関として、全国規模で問題が生じた場合に対応します。承認の取消し・全国的な回収命令等は主に厚生労働大臣の権限です。
2. 都道府県知事: 店舗販売業・薬局の許可権者として、管轄区域内の違反行為に対して迅速に対処できる立場にあります。薬事監視員(都道府県が任命)を通じた立入検査・廃棄命令が実務の主軸です。
回収の分類(クラス分類):
製造販売後安全管理(GVP)の観点から、回収は健康被害の程度により以下のクラスに分類されます:
- クラスI: 当該医薬品の使用・曝露が重篤な健康被害または死亡の原因となりうる状況(最高緊急度)
- クラスII: 当該医薬品の使用・曝露が一時的な健康被害の原因となりうる、または重篤な健康被害の確率は低い状況
- クラスIII: 当該医薬品の使用・曝露が健康被害の原因となる可能性は低い状況
クラスIの場合は製造販売業者が速やかに回収を開始し、PMDAへの報告が義務付けられます。PMDAはこの情報を公表し、消費者・医療機関への注意喚起を行います。
自主回収(リコール)と行政命令回収の違い:
- 自主回収: 製造販売業者が安全管理上の問題を自主的に発見し、自らの判断で市場から回収する。PMDAへの報告義務あり。
- 行政命令回収: 行政(都道府県知事・厚生労働大臣)が問題を発見し、製造販売業者に対して命令として回収を指示する。
実務上は自主回収が圧倒的多数を占めますが、業者が自主回収に応じない場合や行政が直接把握した場合は命令回収となります。
廃棄命令と廃棄の実施:
廃棄命令を受けた場合は、廃棄の方法・立会者・廃棄の日時等を記録する義務があります。廃棄は不正品が再び流通しないよう完全に行われる必要があり、薬事監視員の立会いのもとで行われることもあります。
販売業者の回収協力義務:
製造販売業者が自主回収を行う場合、卸売・店舗販売業者等は当該医薬品を消費者に引き渡さないよう対応し、回収に協力する義務があります。これは製品回収の実効性を確保するための仕組みです。登録販売者として回収対象品の情報を受け取った場合は、速やかに当該品の販売を停止し、回収手順に従って対応することが求められます。
【根拠】薬機法(回収・廃棄命令に関する規定)、薬機法施行規則、厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第4章 第3節
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第4章 第3節「医薬品の適正販売のための規制等」(回収・廃棄命令の主体) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。