登録販売者 第4章 薬事関係法規・制度 問56:薬事関係法規・制度(緊急措置命令の種類と発動要件)
医薬品の安全確保のための緊急措置命令に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア厚生労働大臣は、医薬品の品質・有効性・安全性に重大な懸念がある場合、当該医薬品の製造販売業者に対して、廃棄・回収その他公衆衛生上の危険の発生を防止するために必要な措置を命じることができる。
- イ都道府県知事は、管轄区域内の薬局・店舗販売業者等に対して、業務改善命令・業務停止命令を発することができる。
- ウ医薬品の回収命令が発令された場合、対象の医薬品は行政機関が直接回収作業を行い、製造販売業者・販売業者に回収の実施義務はない。正答
- エ医薬品の販売停止命令の対象は、品質不良・規格不適合の医薬品に限られず、安全性上の問題が明らかになった医薬品も対象となる得る。
- オ厚生労働大臣は、特定の成分を含む医薬品について、製造・販売・授与・購入を一時的に禁止する緊急命令を発することができる場合がある。
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正答はウ(誤っているもの)です。
回収命令が発令された場合、回収作業の実施義務は製造販売業者・販売業者等が負います。行政機関が直接回収作業を行うわけではありません。行政はあくまで命令を発し、実際の回収対応は業者が行う義務を負います。
アは正しく、厚生労働大臣は廃棄・回収等の措置命令を発することができます。イは正しく、都道府県知事も管轄内の業者に改善命令・業務停止命令を発することができます。エは正しく、品質不良だけでなく安全性問題でも命令の対象になります。オは正しく、緊急の安全確保のための命令権限があります。
医薬品に対する行政措置命令の種類と主体:
| 命令の種類 | 主な発令権者 | 対象・要件 |
|---|---|---|
| 廃棄命令 | 厚生労働大臣・都道府県知事等 | 不良品・偽造品・規格不適合品等 |
| 回収命令 | 厚生労働大臣等 | 品質・安全性に重大な問題のある医薬品 |
| 販売停止命令 | 厚生労働大臣・都道府県知事等 | 安全性・品質上の問題が確認された場合 |
| 業務停止命令 | 都道府県知事等 | 違法な業務が続けられている場合 |
| 業務改善命令 | 都道府県知事等 | 業務の方法・体制に問題がある場合 |
| 緊急命令(製造・販売禁止等) | 厚生労働大臣 | 緊急に公衆衛生上の危機がある場合 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 厚生労働大臣は、公衆衛生上の危険防止のために必要な場合、製造販売業者等に廃棄・回収その他の措置を命じることができます。これは薬機法上の重要な行政権限です。
- イ(正): 都道府県知事は、管轄区域内の薬局・店舗販売業者・配置販売業者等に対して業務改善命令・業務停止命令を発することができます。許可を付与した都道府県知事が、許可業者の指導監督権限を持ちます。
- ウ(誤): 回収命令が発令された場合、実際に回収作業を行う義務は製造販売業者・販売業者等(業者側)が負います。行政機関は命令を発しますが、物流・回収の実行は業者が責任を持って行います。行政が直接回収作業を行うという記述は誤りです。
- エ(正): 販売停止命令の対象は品質不良・規格不適合品に限定されません。市販後に重篤な副作用が明らかになった場合(安全性上の問題)においても、必要に応じて販売停止命令が発令され得ます。
- オ(正): 薬機法上、厚生労働大臣は緊急の安全確保のために特定の医薬品の製造・販売・授与・購入等を一時的に禁止する命令を発する権限を有しています。過去には特定成分を含む製品に対してこの権限が行使された事例があります。
【医薬品安全確保措置の体系と回収制度の詳細】
行政措置の体系(厚生労働大臣と都道府県知事の役割分担):
薬機法上の行政措置は、国(厚生労働大臣)と都道府県(都道府県知事)の二層構造で行われます。大まかな役割分担は以下のとおりです:
- 厚生労働大臣: 製造販売業者(全国規模の業者)・輸入業者に対する措置命令、承認・許可の取消し、全国的な緊急命令
- 都道府県知事: 管轄区域内の薬局開設者・店舗販売業者・配置販売業者への業務停止・改善命令、許可取消し
自主回収(リコール)と命令回収の違い:
医薬品の回収には、業者が自ら行う「自主回収」と行政が命令を発する「命令回収」があります:
1. 自主回収(自発的リコール)
- 製造販売業者が自ら品質問題・安全性情報を発見し、消費者・医療機関への告知と回収を自主的に行う
- GQP(製造販売後品質管理基準)・GVP(製造販売後安全管理基準)の義務として実施
- PMDAへの報告・厚生労働省への届出が必要
- 回収のクラス分類(I・II・III)により緊急性・重要度が判断される
2. 命令回収
- 行政が「回収命令」を発し、業者に回収を義務付ける
- 自主回収が適切に行われない・業者が対応を怠る等の場合に発動
- 命令を受けた業者は速やかに回収を実施する法的義務を負う
重要なのは、いずれの回収においても実際の回収作業・費用負担は業者(製造販売業者・販売業者)が行う点です。行政は命令・監督・情報提供(PMDAウェブサイト等での公表)を行いますが、実物の回収は業者責任です。
緊急命令(販売・製造禁止等)の発動事例:
厚生労働大臣の緊急命令権限は、「まだ個別の品目について承認取消し・販売停止の手続きを踏む余裕がないほどの緊急性がある場合」に発動されるものです。過去の事例として、特定の成分を含む「ダイエットサプリ」「健康食品」が重篤な健康被害をもたらすことが判明した際に、当該成分を含む製品全般に対する緊急の措置が講じられた例があります。
回収命令発動の要件と段階的対応:
行政が回収命令を発するためには、通常以下のような段階的な判断が行われます:
1. 副作用情報・品質不良情報の収集・評価: PMDAが副作用報告・企業からの情報・医療機関からの情報を収集・評価
2. 行政内部の審議: 薬事・食品衛生審議会等での審議・検討
3. 業者への行政指導・改善命令: まず指導・改善命令を発し、業者の対応状況を確認
4. 命令回収・販売停止命令: 業者が適切に対応しない、または緊急性が高い場合に命令を発動
登録販売者の実務としての回収対応:
店舗で回収対象の医薬品が発見された場合の対応手順:
1. PMDAまたは厚生労働省のウェブサイト・業者からの通知で回収情報を確認
2. 対象製品・ロット番号を在庫と照合
3. 対象品の販売を即時停止・陳列からの撤去
4. 製造販売業者への返却(回収への協力)
5. 記録の保存(回収対応した事実・日時・数量等)
このプロセスを適切に実施できることが、登録販売者としての法令遵守の実践です。
【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第4章 第1節、薬機法(緊急措置命令・回収命令・廃棄命令等の根拠規定・発動要件)
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第4章 第1節「薬事関係法規・制度」(行政措置命令の種類・発動要件・回収等の義務主体) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。