登録販売者 第4章 薬事関係法規・制度 問7:薬事関係法規・制度
医薬品の広告規制に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア虚偽または誇大な記事を広告・記述・流布することは、医薬品・医療機器等の品質・有効性・安全性に関して禁止されている(薬機法第66条)。
- イ未承認の医薬品(製造販売承認を受けていない医薬品)について、その名称・製造方法・効能・効果または性能に関する広告をすることは禁止されている。
- ウ「この商品は体の免疫力を高め、あらゆる病気を予防します」というような表現を健康食品の広告に使用することは、医薬品的効能効果の標榜として薬機法の規制対象となる可能性がある。
- エ医薬品の承認された効能・効果の範囲内であれば、「必ず治ります」「完全に回復します」のような表現を用いた広告であっても、薬機法上問題はない。正答
- オテレビ・雑誌・インターネット等の媒体を問わず、医薬品の誇大広告の禁止規定(薬機法第66条)が適用される。
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正答はエ(誤っているもの)です。
「必ず治ります」「完全に回復します」のような絶対的・断定的な表現は、承認された効能効果の範囲内であっても誇大広告に該当します。医薬品の効能・効果には個人差があり、全員に確実な治癒を保証する表現は薬機法第66条が禁じる「誇大な記事・広告」にあたります。
アは正しく、虚偽・誇大な広告は薬機法第66条で禁止されています。イは正しく、未承認医薬品の広告は薬機法第68条で禁止されています。ウは正しく、食品への医薬品的効能標榜は規制対象です。オも正しく、媒体を問わず第66条が適用されます。
医薬品の広告規制の二本柱(薬機法第66条・第68条):
| 条文 | 規制内容 | 適用対象 |
|---|---|---|
| 第66条 | 虚偽・誇大広告の禁止(名称・製造方法・効能効果・性能に関する虚偽/誇大記事の広告・記述・流布) | 医薬品・医療機器・再生医療等製品・医薬部外品・化粧品 |
| 第68条 | 承認前の広告禁止(製造販売承認を受けていない医薬品等の名称・製造方法・効能効果・性能に関する広告) | 未承認医薬品・医療機器・再生医療等製品 |
誇大広告と認定される表現の典型例:
- 「必ず治る」「完全回復する」「全員に効果がある」(断定的・絶対的表現)
- 「西洋医学が認めた奇跡の薬」「癌が消える」(根拠のない極端な効果主張)
- 医師・専門家の推薦・証明があるかのような虚偽の表現
- 体験談を過度に一般化(「10万人が完治した!」等)
各選択肢の解説:
- ア(正): 薬機法第66条第1項は「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない」と定めています。医薬部外品・化粧品も対象であり、広告・記述・流布という広い行為形態が規制されます。
- イ(正): 薬機法第68条は「何人も、医薬品等の製造販売の承認を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果または性能に関する広告をしてはならない」と定めています。未承認薬の広告は効能・効果の有無に関わらず禁止されます。
- ウ(正): 健康食品に「あらゆる病気を予防する」等の医薬品的効能を標榜することは、薬機法第2条の「身体の構造・機能に影響を及ぼすことを目的とする」という医薬品定義に引っかかり、無承認医薬品の広告(第68条違反)または誇大広告(第66条違反)として規制対象となります。
- エ(誤・正答): 「必ず治ります」「完全に回復します」は、医薬品の効能・効果に対する断定的・絶対的な保証表現です。これは承認された効能効果の範囲であっても誇大広告に該当します。医薬品の効果には個人差・疾患の程度差があり、「必ず」「完全に」「全員に」等の絶対的保証表現は現実を誇大に表示する誇大広告となります(薬機法第66条違反)。
- オ(正): 薬機法第66条は媒体を特定しておらず、テレビ・雑誌・ポスター・インターネット(SNS・動画・ウェブサイト)等あらゆる媒体での誇大広告が禁止されます。近年はSNS・YouTubeでのインフルエンサーによる誇大広告が問題となり、規制の実効性確保が課題です。
【薬機法の広告規制体系と「誇大」の判断基準】
薬機法第66条の「誇大」とは何を基準に判断するのかという点は、実務・訴訟・行政解釈で重要な論点です。厚生労働省は「医薬品等の広告に関する規制について」(ガイダンス)や「医薬品等適正広告基準」(通知)等を通じて判断基準を示しています。
誇大広告と認定される主な判断要素:
1. 実証された効果以上の主張: 承認された効能効果を超えた主張(例: 軽度の症状緩和が承認されているのに「根治する」と宣伝)
2. 断定的・保証的表現: 「必ず」「全員に」「完全に」「副作用は絶対にない」等
3. 恐怖心・不安を煽る表現: 「この薬を使わないと大変なことになる」等(過度な恐怖訴求)
4. 虚偽の他者推薦・証明: 「医師の〇割が推薦」等(根拠なき第三者推薦)
5. 体験談の過度な一般化: 個人の体験談をあたかも全員に当てはまるかのように表示
【第68条・未承認医薬品広告禁止の意義と「個人輸入」問題】
薬機法第68条は未承認医薬品の広告を禁じていますが、「個人輸入」の文脈で問題になることがあります。
個人が自己使用のために少量を輸入すること自体は直ちに薬機法違反にはなりませんが:
- 輸入代行業者が「この海外医薬品は〇〇に効く」と広告する → 第68条違反
- 輸入した未承認医薬品を業として販売・授与する → 無許可販売(第24条=販売業許可違反)・無承認医薬品の販売(第14条の承認を受けない医薬品の販売)として規制対象
- 国内未承認薬でも購入を促すサイトを運営する → 第68条・場合によっては景品表示法等も
近年は海外から健康食品・サプリメントとして入ってくる「実質的な医薬品」(未承認の医薬品有効成分を含む製品)の問題が増加しています。登録販売者として、このような製品について問われた場合は「国内で承認された医薬品ではないため、安全性・有効性の保証はない」と明確に説明できることが重要です。
【課徴金制度の導入(令和元年改正・令和3年8月1日施行・薬機法第75条の5の2)】
令和元年(2019年)の薬機法改正で課徴金制度が創設され、令和3年(2021年)8月1日に施行されました。誇大広告等(第66条第1項違反)に対して、従来の行政処分(業務停止命令等)・刑事罰に加えて、課徴金(課徴金対象期間の対象医薬品等の対価の合計額の4.5%)を課すことが可能になりました。なお、対価合計額が一定額未満(課徴金額225万円未満)の場合は命令されません。
課徴金制度の趣旨: 行政処分・刑事罰だけでは違反による利益を没収できなかったため、「違反して得た利益を課徴金として吐き出させる」ことで抑止力を強化しました(景品表示法の課徴金制度を参考に設計)。
登録販売者にとっての意義: 雇用先の店舗・会社が誇大広告を行った場合、課徴金・行政処分の対象となりえます。「上司に言われたからやった」では免責されない場合があり、専門家として違法な広告・表示への加担を拒否する知識と勇気が必要です。
【インターネット・SNS時代の広告規制の実効性】
従来のテレビ・雑誌広告は放送局・出版社の審査が機能していましたが、SNS・YouTubeではインフルエンサー・個人による宣伝が審査なしに行われます。薬機法第66条はこれらにも適用されますが、実効性確保が課題です。
厚生労働省・都道府県の薬事監視指導がウェブ広告・SNS投稿を対象として調査・指導を強化しています。登録販売者として、SNS等で医薬品の誇大広告を発見した場合は、消費者庁・都道府県薬務担当への情報提供が可能です。
【根拠】薬機法第66条(誇大広告等の禁止)・第68条(承認前の広告禁止)・第75条の5の2(課徴金納付命令)、厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第4章、「医薬品等適正広告基準」(厚生労働省通知)
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 条番号はe-Govと一致=第66条(誇大広告等)/第68条(承認前の広告の禁止)/第75条の5の2(課徴金納付命令・対価合計額の4.5%)。【修正】(1)課徴金は「2019年改正」だが施行は令和3年8月1日→施行年を明記。(2)ア解説の第66条第1項主語を条文どおり「医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品」+「明示的・暗示的を問わず」に正確化(医薬部外品・化粧品も対象)。(3)個人輸入の無許可販売根拠を第12条→第24条(販売業許可)・第14条(承認)に訂正。正答エ(承認範囲内でも「必ず治る」等の断定は誇大広告=誤り)は一意で妥当。本問は令和7年改正の直接影響なし -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 薬機法第66条(誇大広告等の禁止)・第68条(承認前の広告禁止)、厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第4章 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。