登録販売者 第5章 医薬品の適正使用・安全対策 問17:医薬品の適正使用・安全対策(添付文書の保管・廃棄)
使用後の医薬品の廃棄・容器包装の処分に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア使い残した内服液剤(シロップ等)は、水に溶けるため生活排水として直接排水口に流してもよく、環境への影響はないとされている。
- イ使い残しの医薬品(錠剤・カプセル剤等)は、小児・動物が誤って口にしないよう、ビニール袋に入れて口を閉じるなど他のごみと区別できるよう工夫したうえで、自治体の指定する方法でごみとして廃棄することが基本的な処分方法である。正答
- ウ医薬品の容器包装(プラスチックボトル・紙箱等)は、内容物が完全になくなっていれば、添付文書の記載にかかわらず全てリサイクル資源として資源ごみで出してよい。
- エ注射器(注射針を含む)は家庭での自己注射用に販売される製品も含め、使用後は製造販売業者または購入した薬局・医療機関に必ず返却しなければならず、家庭ごみとして廃棄することは法律で禁止されている。
- オ座薬(坐剤)は固形物であるため、使用後の包装材と区別せず、そのまま普通ごみとして廃棄しても問題はなく、特別な廃棄上の注意は記載されない。
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正答はイです。
使い残しの医薬品(錠剤・カプセル剤等)は、他のごみと混在すると小児や動物が誤って口にするリスクがあります。このため、ビニール袋等に入れて誤飲防止の工夫をしたうえで、自治体のごみ分別ルールに従って廃棄することが基本的な方法です。
アは誤りで、医薬品成分を排水口に流すことは環境(水系生態系等)への影響が懸念されており推奨されません。ウは誤りで、容器包装によっては医薬品成分が残留している場合もあり、リサイクル資源として出してよいかどうかは自治体・製品によって異なります。エは誤りで、家庭で使用した自己注射針等の在宅医療廃棄物は、廃棄物処理法上は一般廃棄物として市町村が処理するものであり、「製造販売業者または薬局・医療機関に必ず返却しなければならず、家庭ごみとして廃棄することは法律で禁止されている」という断定は正確ではありません。ただし針刺し事故防止の観点から、使用済み注射針は専用容器に入れて薬局・医療機関へ持参する等、自治体の方法に従い適切に廃棄することが推奨されます。
医薬品の廃棄に関する基本的な考え方:
| 廃棄物の種類 | 基本的な廃棄方法 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 使い残しの固形製剤(錠剤・カプセル・坐剤等) | ビニール袋等に入れて誤飲防止の工夫→自治体指定の方法でごみとして廃棄 | 小児・動物の誤飲防止 |
| 使い残しの液剤(シロップ・点眼薬等) | 容器に入れたまま、または吸収材(紙・土等)に吸わせてごみとして廃棄 | 排水への直接廃棄は環境負荷の観点から避けることが望ましい |
| 容器包装(空容器・外箱等) | 自治体の分別ルールに従って廃棄 | 残留成分への配慮・適切な分別 |
| 注射針・注射器(家庭用) | かかりつけの医療機関・薬局への返却または自治体の特定廃棄物として廃棄 | 針刺し事故防止 |
各選択肢の解説:
- ア(誤): 医薬品成分(抗菌薬・ホルモン剤・抗炎症薬等)を排水口に流すと、下水処理施設で完全に除去されない場合があり、河川・海洋等の水系環境に影響を及ぼす可能性があります。「環境への影響はない」は誤りです。
- イ(正): 使い残しの医薬品を安全に廃棄する際の基本手順として正しい記述です。小児・動物の誤飲防止のための工夫(ビニール袋に入れて口を閉じる等)は重要です。なお、地域によっては薬局での回収プログラムを実施している場合もあります。
- ウ(誤): 医薬品の容器包装には残留成分がある場合があり、「内容物が完全になくなれば全てリサイクル可」とは言い切れません。自治体の分別ルール・製品の注意書きに従う必要があります。一部の容器は医薬品特有の材質(PTP包装等)のため、一般のリサイクルに不適な場合もあります。
- エ(誤): 家庭で使用した自己注射針等の在宅医療廃棄物は、廃棄物処理法上は一般廃棄物として市町村(自治体)が処理する対象であり、法的に「製造販売業者への必ず返却」と規定されているわけではありません。「家庭ごみとして廃棄することは法律で禁止」という断定も正確ではありません。実務上は、針刺し事故防止の観点から、使用済み注射針は専用容器に収納し薬局・医療機関へ持参する等、自治体の方法に従って廃棄することが推奨されます。<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 在宅医療廃棄物(家庭の使用済み注射針)は廃棄物処理法上の一般廃棄物として市町村が処理。製造販売業者への返却義務や家庭ごみ廃棄の法的禁止という規定は存在しないことを確認。針刺し事故防止のための薬局・医療機関持参は推奨にとどまる旨を明確化。 -->
- オ(誤): 坐剤にも有効成分が含まれており、その廃棄については製品の添付文書・自治体の分別ルールに従うことが必要です。「特別な廃棄上の注意は記載されない」とは限りません。
【医薬品廃棄の環境影響・法的背景・登録販売者の実務対応】
1. 医薬品の環境中への放出問題(医薬品と環境)
医薬品成分の環境中への放出は「医薬品と環境(Pharmaceuticals and the Environment: P&E)」として国際的に認識されている問題です。
主な排出経路:
- 患者が服用後に代謝・排泄する(尿・便経由)
- 使い残し医薬品の不適切な廃棄(排水口への流棄等)
- 製造工場・病院からの排水
環境中で検出される医薬品成分の例:
- 抗菌薬: 下水・河川中での薬剤耐性菌の誘導・増加リスク
- エストロゲン等ホルモン剤: 魚類の雌性化・内分泌かく乱作用
- 精神科薬・抗てんかん薬: 水生生物の行動・繁殖への影響
日本では下水処理で多くの医薬品成分が除去されますが、除去率は成分によって異なり(完全除去できない成分も存在)、環境への影響がゼロとは言えない状況です。
この観点から、使い残し医薬品を排水口に流すことは推奨されず、適切な固形廃棄物として処分することが望ましいとされます。
2. 廃棄物処理法と医薬品廃棄の法的位置付け
日本の廃棄物処理法では、廃棄物を「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に大別します。
- 家庭からの使い残し医薬品: 一般廃棄物として扱われ、自治体の一般廃棄物処理計画に従う
- 医療機関・薬局からの不要医薬品: 産業廃棄物(または特別管理産業廃棄物)として、許可を受けた廃棄物処理業者による処理が必要
家庭での使い残し医薬品は法律上は普通ごみとして廃棄可能ですが、環境負荷の軽減・小児誤飲防止・地域の適切な廃棄物管理の観点から、多くの地域で薬局・医療機関での回収プログラムが実施されています。
3. 注射針・注射器の廃棄の特殊性
糖尿病患者の自己注射(インスリン等)・アレルギー疾患の自己注射(エピペン等)に使用した注射針は、針刺し事故(医療廃棄物由来の感染リスク)防止の観点から特別な配慮が必要です。
- 廃棄方法の基本: 使用済み針はキャップを戻し(針刺し防止)、メーカー提供の専用廃棄容器に収納→自治体の廃棄ルールまたは医療機関への返却
- 自治体の対応: 一部自治体では「危険ごみ」「特定廃棄物」として専用回収ボックスを設置
- 薬局・医療機関での回収: 多くの医療機関・薬局で回収プログラムを設けている
登録販売者は注射器を必要とする顧客(インスリン・エピペン等)への廃棄方法の適切な案内を行うことが重要です。
4. 薬局による不要医薬品回収プログラム
近年、全国の薬局・ドラッグストアで家庭の使い残し医薬品(市販薬・処方薬)の回収プログラムが広がっています。
目的:
- 環境への医薬品成分流出の防止
- 小児・認知症患者の誤飲事故防止
- 地域の適切な廃棄物管理への貢献
登録販売者としての実務対応:
- 顧客が「薬が余った」「期限切れの薬がある」と相談した際に、適切な廃棄方法(自治体の分別・薬局回収プログラム等)を案内できる
- 回収した医薬品は適切な廃棄物処理業者による焼却等で処分(環境配慮型処理)
5. PTP包装(Press Through Package)の廃棄
PTP包装(錠剤・カプセルの銀色のシート包装)は誤飲事故の原因となることがあります。特に高齢者がシートごと誤飲し、食道・胃に刺さって穿孔を起こす重篤事例が報告されています。
廃棄時の注意:PTP包装はそのままごみに出すと他の人が誤飲するリスクがあるため、錠剤を取り出してから(または各マスごとに切り離してから)廃棄することが望ましいとされます。登録販売者は特に高齢者顧客へのPTP包装の適切な使い方・廃棄方法を説明する機会を積極的に持つことが地域安全に貢献します。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章 第1節「添付文書等への記載事項」(保管及び取扱い上の注意の廃棄関連) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。