登録販売者 第5章 医薬品の適正使用・安全対策 問4:医薬品の適正使用・安全対策
添付文書の「使用上の注意」における「してはいけないこと(禁忌事項)」に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア「次の人は使用しないこと」の欄には、特定の年齢層(例: 小児・高齢者)、特定の疾患を有する人(例: 重篤な肝・腎機能障害)、特定のアレルギー歴がある人等が列挙されている。
- イ「服用後は車の運転・機械の操作をしないこと」という記載がある場合、抗ヒスタミン成分やコデインリン酸塩等の眠気を催す成分が含有されていることが多い。
- ウ「長期連続して使用しないこと」と記載されている医薬品(例: ステロイド外用薬・刺激性瀉下薬)は、症状が改善した後も予防目的で継続使用することが推奨されている。正答
- エ「してはいけないこと」に記載された事項に違反した場合は、副作用等が生じる重大なリスクがあるため、「相談すること」欄の記載より優先度が高い。
- オアスピリン(アセチルサリチル酸)含有の解熱鎮痛薬の添付文書には「15歳未満の小児は使用しないこと」と記載されているが、これはライ症候群(Reye症候群)のリスクを防ぐためである。
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正答はウ(誤っているもの)です。
「長期連続して使用しないこと」という記載は、長期使用による副作用(ステロイド外用薬なら皮膚萎縮・感染誘発、刺激性瀉下薬なら腸管依存・耐性等)を防ぐための重要な禁忌事項です。症状が改善した後に「予防目的で継続使用することが推奨されている」という記述は完全に誤りであり、むしろ症状改善後は使用を中止するか医師・薬剤師に相談することが求められます。
アは正しく、「次の人は使用しないこと」には年齢・疾患・アレルギー歴等が列挙されます。イは正しく、眠気を催す成分含有薬に運転禁止の記載があります。エは正しく、「してはいけないこと」は最優先事項です。オも正しく、アスピリン15歳未満禁忌はライ症候群予防が根拠です。
「してはいけないこと」の主要カテゴリーと具体例:
| カテゴリー | 記載内容の例 | 背景となるリスク |
|---|---|---|
| 次の人は使用しないこと | 15歳未満の小児(アスピリン)・12歳未満(コデイン類)・出産予定日12週以内の妊婦(イブプロフェン)・重篤な肝腎障害 | ライ症候群・呼吸抑制・胎児への影響・薬物蓄積 |
| 次の症状がある人は使用しないこと | 急性腹痛(瀉下薬)・出血傾向(NSAIDs)・消化性潰瘍(アスピリン等) | 症状悪化・出血助長 |
| 服用後は車の運転・機械の操作をしないこと | 抗ヒスタミン成分・コデイン・ブロムワレリル尿素含有薬 | 眠気・反応遅延による事故 |
| 長期連続して使用しないこと | ステロイド外用薬・刺激性瀉下薬(センナ・ダイオウ)・鼻炎用血管収縮剤 | 皮膚萎縮・腸管依存・耐性形成 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 「次の人は使用しないこと」は年齢(小児・高齢者等)・特定疾患(心臓病・高血圧・糖尿病・肝腎機能障害等)・アレルギー歴(本剤の成分・特定食品)等が列挙されます。
- イ(正): 抗ヒスタミン薬(第1世代:クロルフェニラミン・ジフェンヒドラミン等)はH1受容体遮断に加えて中枢神経への影響(眠気)があり、服用後の乗り物の運転・機械操作が禁止されています。コデインリン酸塩も中枢抑制作用から同様の禁止記載があります。
- ウ(誤・正答): 「長期連続して使用しないこと」は禁忌事項であり、「症状が改善した後も予防目的で継続使用することが推奨される」という記述は完全に誤りです。ステロイド外用薬では長期使用による皮膚萎縮・感染リスク増大があり、刺激性瀉下薬では腸管蠕動の低下・下剤依存(習慣性)が生じます。症状改善後はむしろ使用を止めるか医師に相談することが正しい対応です。
- エ(正): 添付文書内での優先順位は「してはいけないこと(禁忌)」>「相談すること(要注意)」です。「してはいけないこと」は守らないと重篤な副作用等が生じるリスクがある絶対禁忌事項です。
- オ(正): アスピリン(アセチルサリチル酸)はサリチル酸系解熱鎮痛薬であり、15歳未満の小児がウイルス性疾患(インフルエンザ・水痘等)にかかっている際にアスピリンを使用するとライ症候群(急性脳症・肝脂肪変性・死亡リスク)が発生するリスクがあります。これが「15歳未満禁忌」の根拠です。
【「してはいけないこと」の法的性格と医薬品安全の哲学】
添付文書における「してはいけないこと(禁忌:contraindication)」は、医薬品の承認審査の際に確認された「使用してはならない条件」であり、法的には薬機法第52条に基づく承認内容の一部として製造販売業者が記載義務を負うものです。
禁忌が設定される根拠:
1. 臨床試験・市販後調査での副作用確認: 特定の集団(年齢・疾患・薬物相互作用等)で重篤な副作用が実際に確認された
2. 科学的・薬理学的根拠: 成分の薬理作用から特定の集団での危険性が理論的に予測される
3. 外国での規制情報: 外国の規制機関が同成分の特定用途・集団での使用を禁止した実績がある
【年齢制限の禁忌の薬理的背景(頻出・重要)】
| 年齢禁忌 | 成分 | 禁忌の薬理的根拠 |
|---|---|---|
| 15歳未満 | アスピリン(解熱鎮痛) | ライ症候群: ウイルス感染時にアスピリン使用→肝臓・脳への毒性(正確なメカニズムは未解明だがサリチル酸代謝との関連が示唆されている) |
| 15歳未満 | イブプロフェン(解熱鎮痛) | 小児での安全性確立が不十分・胃腸障害リスク(解熱鎮痛薬は原則アセトアミノフェン使用が推奨) |
| 12歳未満 | コデインリン酸塩・ジヒドロコデインリン酸塩 | CYP2D6の遺伝的多様性により一部の小児でコデインが急速にモルヒネに変換される「超急速代謝者」が存在し、通常用量でも呼吸抑制・死亡リスク(2019年規制強化) |
| 15歳未満 | ロペラミド | 中枢神経抑制作用・腸管運動抑制による中毒性巨大結腸症リスク |
【「長期連続使用しないこと」の薬理的背景と依存性】
この禁忌が設定される主要な薬剤カテゴリー:
ステロイド外用薬(副腎皮質ステロイド):
- 長期使用による局所副作用: 皮膚萎縮・毛細血管拡張・ステロイド皮膚(多毛・紫斑)
- 感染に対する防御機能の低下(細菌・真菌感染の増加)
- 顔面への長期使用: 口囲皮膚炎・酒さ様皮膚炎・緑内障(眼周囲使用時)
- 長期使用後の突然中止: リバウンド(皮膚症状の悪化)
刺激性瀉下薬(センナ・ダイオウ・ピコスルファート等):
- 大腸粘膜への直接刺激→慢性的な刺激で腸管蠕動運動の自律性が低下
- 長期使用→自然な蠕動なしに排便不能(下剤依存)
- 腸管メラノーシス(大腸粘膜の色素沈着): 長期使用の指標となる組織変化
鼻炎用血管収縮剤(ナファゾリン・オキシメタゾリン等):
- 使用を止めると鼻粘膜の充血がリバウンド(反応性充血)
- 更なる使用→更なるリバウンド→薬物性鼻炎(rhinitis medicamentosa)の形成
- 連続使用は一般に3〜5日を上限とすることが多い(製品により異なる)
【登録販売者の「してはいけないこと」確認義務】
登録販売者が医薬品を購入者に販売する際は、添付文書の「してはいけないこと」を確認し、当該購入者に該当する禁忌がないかを能動的に確認する責任があります。
確認すべき主要事項:
1. 年齢(小児・妊婦・授乳婦)
2. 特定の疾患(高血圧・心臓病・糖尿病・甲状腺疾患・肝腎機能障害等)の有無
3. 他の薬との併用(薬物相互作用のある禁忌成分の有無)
4. アレルギー歴(本剤成分・類似成分)
これらを確認せず販売した結果、禁忌に該当する購入者が副作用被害を受けた場合、登録販売者の専門家としての義務違反が問われる可能性があります。
【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章第1節「医薬品の適正使用情報」(添付文書の読み方)、同第3章(アスピリン・コデイン・イブプロフェン・ステロイド・瀉下薬の各成分記述)
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 手引き別表(主な使用上の注意の記載と対象成分)・PMDA安全性情報と突合。①アスピリン(アセチルサリチル酸)「15歳未満の小児はウイルス性疾患時のライ症候群リスクで使用しない」は正確。②イブプロフェン「出産予定日12週以内の妊婦は使用しない」「15歳未満は使用しない(原則アセトアミノフェン推奨)」は正確。③コデイン/ジヒドロコデイン「12歳未満禁忌(CYP2D6超急速代謝→呼吸抑制リスク・2019年規制強化)」は正確。④設問ウ「長期連用禁忌の薬を症状改善後も予防目的で継続使用」は明白な誤りで正答ウは一意に確定。⑤ロペラミドの「中毒性巨大結腸症」「鼻炎用血管収縮剤3〜5日上限」は教育的補足で正答判定に影響しない範囲。設問・正答の事実誤りなし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章 第1節「医薬品の適正使用情報」、同第3章(アスピリン・ライ症候群関連) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。