登録販売者 第5章 医薬品の適正使用・安全対策 問29:医薬品の適正使用・安全対策(令和8年4月手引き改訂新論点)
コデインリン酸塩水和物・ジヒドロコデインリン酸塩を含む医薬品の12歳未満の小児への適用制限(令和8年4月版手引き改訂事項)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア令和8年4月版の手引きでは、コデインリン酸塩水和物またはジヒドロコデインリン酸塩を含む一般用医薬品は、12歳未満の小児に使用させないよう添付文書の「してはいけないこと」に記載されることとなった。
- イコデインおよびジヒドロコデインが12歳未満の小児への使用を制限される主な理由は、小児ではこれらの成分の代謝に関わるCYP2D6の活性に個人差が大きく、モルヒネへの過剰変換により呼吸抑制が生じるリスクがあるためである。
- ウ12歳未満の小児に対するコデイン等の使用制限は、EU(欧州医薬品庁)・米国FDAが先行して規制を導入したことを受け、日本においても令和8年4月改訂の手引きに反映されたものである。
- エ令和8年4月の改訂により、コデインリン酸塩水和物を含む鎮咳薬を12歳以上15歳未満の小児(12〜14歳)に使用させることも新たに禁止された。正答
- オコデインリン酸塩水和物を含む製品の添付文書には「してはいけないこと」の冒頭に「次の人は使用(服用)しないこと」として「12歳未満の小児」が追加される形で記載される。
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正答(誤っている選択肢)はエです。
令和8年4月の改訂でコデイン等の使用制限対象は12歳未満の小児(12歳になれば制限の対象外)です。12歳以上15歳未満(12〜14歳)への使用は、この改訂では新たに禁止されていません。エの記述は「12〜14歳にも新たに禁止」としており、これが誤りです。
ア・イ・ウは正しい内容です。アは改訂の事実、イは改訂の理由(CYP2D6の個人差によるモルヒネ過剰変換・呼吸抑制リスク)、ウは改訂の背景(EU・FDA先行)を正確に述べています。オも「してはいけないこと」の記載形式として正確な記述です。
重要: この論点は令和8年4月版の新改訂事項です。試験問題作成の手引きの最新版に基づいて出題されます。
令和8年4月改訂のポイント整理(コデイン類の12歳未満使用制限):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改訂版 | 令和8年4月版「試験問題の作成に関する手引き」 |
| 対象成分 | コデインリン酸塩水和物・ジヒドロコデインリン酸塩 |
| 使用制限対象 | 12歳未満の小児(12歳以上は制限なし) |
| 記載箇所 | 添付文書「してはいけないこと」冒頭「次の人は使用しないこと」 |
| 理由 | CYP2D6個人差→モルヒネ過剰変換→呼吸抑制リスク |
| 国際的背景 | EU(EMA)2013年・米国(FDA)2017年先行規制を受けた対応 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 令和8年4月版の改訂内容として正確です。一般用医薬品に含まれるコデイン・ジヒドロコデイン含有製品(主に鎮咳薬・かぜ薬)の添付文書に「12歳未満の小児は使用しないこと」が追加されました。
- イ(正): コデインはCYP2D6(薬物代謝酵素)でモルヒネに変換されます。このCYP2D6の活性は遺伝的多型(UM型=超高速代謝者)があり、小児では特に予測が困難です。UM型の小児では血中モルヒネ濃度が急上昇し、重篤な呼吸抑制・死亡事例が欧米で報告されています。
- ウ(正): EMAは2013年にコデインの12歳未満使用禁止を通知。FDAは2017年に同様の対応。日本でも2017年に使用制限を決定し、2019年7月に医療用で12歳未満を禁忌化(国際的な先行規制を受けた対応)。登録販売者試験の手引き第5章別表には令和8年4月版で明記されました。「EU・FDA先行→日本が追随」という背景説明は正しい記述です。
- エ(誤): 「12歳以上15歳未満への使用が新たに禁止」は誤りです。改訂の制限対象は12歳未満のみです。15歳未満については従来からアスピリン等の別制限(ライ症候群リスク)がありますが、コデイン類の今回改訂は「12歳未満」が境界線です。
- オ(正): 添付文書「してはいけないこと」の「次の人は使用(服用)しないこと」欄への追記という記載形式として正確です。
【コデイン12歳未満使用制限の背景・機序・試験対策の全体像】
令和8年4月改訂は登録販売者試験にとって最重要の新論点の一つです。「改訂の事実」だけでなく「なぜ」「どのような機序で」「どう記載されるか」まで理解することが合格水準の到達に必要です。
1. 改訂の国際的背景
EMA(欧州医薬品庁)の動向(2013年〜):
コデイン含有鎮咳薬・鎮痛薬について、12歳未満への使用禁止を域内規制として通知(2013年)。背景には、扁桃摘出術後の小児がコデインで死亡した事例の相次ぐ報告があり、CYP2D6超高速代謝者(UM型)における過剰なモルヒネ産生が原因と特定されました。
FDA(米国食品医薬品局)の動向(2017年):
処方箋鎮咳薬のコデイン・トラマドール(同様の機序を持つオピオイド)について、12歳未満への使用を禁止。一般用医薬品も段階的に規制強化。
日本の対応(医療用は2019年に禁忌化済み・OTC試験範囲への明記は令和8年4月版):
厚労省は平成29年(2017年)6月にコデイン類の12歳未満への使用制限を決定し、添付文書改訂の経過措置を経て、2019年(令和元年)7月9日に医療用医薬品で「12歳未満の小児」を「禁忌」へ移行しました(薬生安発0704第2号等)。これに対応して一般用医薬品でもコデイン・ジヒドロコデイン含有製品の添付文書「してはいけないこと」に12歳未満が記載されるようになり、登録販売者試験「試験問題の作成に関する手引き」第5章の「してはいけないこと」別表に令和8年4月版でこの12歳未満使用制限が明記されました(理由=重篤な呼吸抑制があらわれるおそれ)。すなわち「規制そのものは2019年から」「試験出題範囲(手引き第5章別表)への明記が令和8年4月版」という二段階で理解するのが正確です。
2. CYP2D6の遺伝的多型とリスク機序
コデインはプロドラッグ(前駆薬)であり、肝臓のCYP2D6によって約10%がモルヒネ(活性体)に変換されます。CYP2D6遺伝子には多型が存在し、大きく4型に分類されます:
| 型 | 特徴 | 割合(日本人) |
|---|---|---|
| PM(低速代謝) | CYP2D6活性低下・モルヒネ産生少 | 約0〜1% |
| IM(中間代謝) | 活性やや低下 | 約10〜15% |
| EM(通常代謝) | 標準的活性 | 約80〜85% |
| UM(超高速代謝) | 活性増大・モルヒネ過剰産生 | 約1〜2% |
日本人におけるUM型の割合は欧米(白人で5〜10%)より低いですが、予測が事前にできない点がリスクです。UM型の小児がコデイン含有薬を服用した場合、血中モルヒネ濃度が通常の数倍に達し、呼吸抑制(呼吸数の著しい低下)・意識障害・死亡のリスクが生じます。さらに乳児・低年齢児ほど呼吸中枢が未成熟であり、同一のモルヒネ濃度に対する感受性が高いため、影響が深刻になります。
3. 「12歳未満」を境界線とする根拠
コデインの12歳未満制限の根拠は複数あります:
- 12歳以上では肺活量・呼吸予備能が成人に近づき、呼吸抑制への耐性が向上する
- 12歳以上では体重あたりの投与量計算が比較的安定する
- 欧米の規制の多くが「12歳未満」を基準として設定
- 扁桃摘出術後(重要な事例群)は12歳未満に集中
なお、既存のアスピリン・サリチル酸系の「15歳未満禁忌」(ライ症候群リスク)とは別の制限です。コデイン類の制限は「12歳未満」であり、12〜14歳は制限対象外(エが誤りである理由)。両制限を混同しないよう注意が必要です。
4. 添付文書の記載形式(試験で問われる具体的な書き方)
「してはいけないこと」の「次の人は使用(服用)しないこと」欄に以下のように記載:
> 「12歳未満の小児」
理由の記載例(添付文書「相談すること」欄等):
> 「コデインリン酸塩水和物は体内でモルヒネに変換され、体質(代謝の速さ)によっては通常より多くのモルヒネが生成されることがあるため、12歳未満の小児には使用させないこと」
5. 登録販売者の販売現場対応
- 確認事項: 購入者の年齢確認、子への使用(使い回し)の意図確認
- 説明のポイント: 「この薬には咳を抑えるコデインという成分が含まれており、12歳未満のお子様には使用できません。お子様向けには別の製品をご案内します」
- 代替品への誘導: コデイン・ジヒドロコデイン不含の小児用鎮咳薬(デキストロメトルファン等)を提案
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 一次ソース突合済み。①OTC試験「手引き」第5章「してはいけないこと」別表へのコデインリン酸塩水和物・ジヒドロコデインリン酸塩「12歳未満の小児」追加は令和8年4月版手引きの改訂事項(理由=重篤な呼吸抑制があらわれるおそれ)で確定。②ただし医療用医薬品では2017年6月の使用制限決定→経過措置→2019年7月9日に「12歳未満禁忌」へ移行済みであり、令和8年4月改訂は「OTC試験範囲(手引き第5章別表)への明記」である点を本文で明確化済み(旧記述「日本では令和8年4月で初めて反映」の誤認を是正)。③正答エ=制限境界は『12歳未満』であり12〜14歳への新たな禁止はない、で一意確定。出典: 厚労省 令和8年4月版手引き第5章/PMDA「コデインリン酸塩等の12歳未満の小児における使用の禁忌移行について」(2019)/薬生安発0704第2号(平成29年)。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章 第1節「添付文書等への記載事項」(使用上の注意「してはいけないこと」コデイン類の12歳未満使用制限に関する改訂箇所) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。