登録販売者 第5章 医薬品の適正使用・安全対策 問39:医薬品の適正使用・安全対策(販売時の適正使用支援)
一般用医薬品の販売時における購入者への情報収集・情報提供に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア登録販売者は、購入者から「薬が欲しい」と申し出を受けた場合に、誰が使用するのか(本人か家族か)、どのような症状があるのか、いつ頃からどのくらいの期間続いているのかを確認することが適正使用支援の基本である。
- イ購入者が既に服用している医薬品(処方薬・市販薬・漢方薬・サプリメントを含む)を把握することは、相互作用・重複投与の防止のために重要であり、登録販売者は積極的に確認することが求められる。
- ウ購入者が「以前同じ薬を使ったことがある」と申し出た場合、以前の使用で問題がなかった実績があるため、前回と同一製品であれば追加の確認なく販売してよい。正答
- エ登録販売者は、購入者の症状が一般用医薬品の適応範囲を超えていると判断した場合(重篤な症状・継続する症状等)、医師・歯科医師への受診勧奨を行うことが適切な対応である。
- オ医薬品の適正使用の観点から、購入者が自己申告する症状だけでなく、購入者の外見・様子(顔色・ふらつき等の観察)も参考情報として活用することが、登録販売者の専門的対応として有効である。
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正答(誤っている選択肢)はウです。
「以前同じ薬を使ったことがある」という実績だけでは、追加確認なく販売することはできません。以前の使用後に状況が変化している可能性(新たな基礎疾患・他の薬の追加・妊娠・年齢変化等)があるからです。毎回の販売時に現在の状況(症状・服薬状況・基礎疾患等)を確認することが適正使用支援の原則です。
ア(現在の症状・使用者・期間の確認)、イ(服薬状況の把握)、エ(受診勧奨の判断)、オ(外見観察の活用)はいずれも登録販売者の適正な販売時対応として正しい内容です。
販売時に確認すべき主な情報(適正使用支援のための情報収集項目):
| 確認カテゴリ | 具体的な確認事項 | 確認の目的 |
|---|---|---|
| 使用者の確認 | 本人か家族・知人か。年齢(小児・高齢者か) | 対象年齢・用量の確認 |
| 症状の確認 | 症状の種類・程度・継続期間 | 適応の判断・受診勧奨の判断 |
| 服用中の薬の確認 | 処方薬・市販薬・漢方薬・サプリメント全般 | 相互作用・重複成分の防止 |
| 基礎疾患の確認 | 治療中の病気(高血圧・糖尿病・肝臓病等) | 「相談すること」の該当確認 |
| アレルギー歴の確認 | 薬物・食物・添加物アレルギー | 過敏反応リスクの防止 |
| 妊娠・授乳の確認 | 妊娠中・授乳中かどうか | 妊婦・授乳婦別表の確認 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 購入者が誰のために・どのような症状・いつからかを確認することは、適切な製品選択と用法・用量の案内のために不可欠な基本情報収集です。「本人か家族か」の確認は特に年齢区分の確認に直結します。
- イ(正): 処方薬との相互作用は一般用医薬品と処方薬の間で生じることがあります(例:ワルファリン服用者へのアスピリン販売→出血リスク増大)。サプリメント・漢方薬も成分が重複するリスクがあるため、「お薬手帳」の確認も含めた積極的な情報収集が重要です。
- ウ(誤): リピート購入であっても毎回確認が必要な理由:①体調・基礎疾患の変化(その後に新たな疾患が発症している可能性)、②服薬中の薬の変化(処方薬が変更・追加されている可能性)、③妊娠・授乳状態の変化、④症状の継続(受診勧奨の判断が変わる可能性)。「以前問題なかった実績」は現在の安全性を保証しません。
- エ(正): 一般用医薬品は軽症・自覚症状への対応が前提であり、重篤な症状・長期継続する症状・改善しない症状は医療機関での診察が必要です。受診勧奨は登録販売者の重要な職務の一つです。
- オ(正): 購入者の外見・言動から症状の重さや緊急性を判断することは、経験ある登録販売者の専門的スキルです。「顔色が悪い」「ふらつきがある」「会話が困難」などの観察所見は受診勧奨の判断材料となります。
【販売時コミュニケーションの技術と適正使用支援の体系的理解】
登録販売者の販売時コミュニケーションは、医薬品の適正使用を担保するための最重要の実務スキルです。情報収集・情報提供・受診勧奨の判断という3つのプロセスを体系的に理解することが求められます。
1. 情報収集の構造化アプローチ
効果的な情報収集には、開放型質問(open-ended question)と閉鎖型質問(closed question)を組み合わせることが有効です。
開放型質問の例(患者が自由に話す):
- 「今日はどのようなご症状でいらっしゃいますか?」
- 「いつ頃からですか?他にお困りのことはありますか?」
閉鎖型質問の例(Yes/Noで答える):
- 「お子様へのお使いですか?」
- 「現在治療中の病気はありますか?」
- 「妊娠中または授乳中ですか?」
この組み合わせにより、購入者の状況を効率的かつ漏れなく把握できます。
2. 症状の重篤性判断と受診勧奨のタイミング
受診勧奨が必要と判断する具体的なサイン:
| サイン | 内容 | 対応 |
|---|---|---|
| 症状の継続 | 同様の症状で2〜3回以上来店 / 2週間以上改善なし | 医師への受診を強く勧奨 |
| 症状の悪化 | 前回より症状が重い・新たな症状が追加 | 即時の医療機関受診を勧める |
| 重篤なサイン | 高熱(38.5°C以上)・呼吸困難・胸痛・麻痺等 | 即時救急受診を勧告 |
| 薬が効かない | 服用しても改善しない | 受診勧奨(薬の効果判定) |
| 小児・高齢者の重篤症状 | 乳幼児の40°C以上の発熱・老人の意識変容等 | 即時受診を強く勧奨 |
3. 「リピーター顧客」への対応の落とし穴
リピーター顧客(同じ製品を繰り返し購入する購入者)への対応は、コミュニケーション量が減りがちになる危険があります。しかし毎回確認が必要な理由を理解することが重要です。
確認が特に重要な変化の例:
1. 新たな処方薬の開始: 前回の購入後に医師から新たな薬が処方されている可能性→相互作用リスク
2. 基礎疾患の新規発症: 前回は健康だったが、その後に高血圧・腎臓病等が発症している可能性
3. 年齢変化による対象区分の変化: 例:「乳児」が「幼児」になり使用可能になった、または「小児」から「成人」になった
4. 妊娠・授乳の状態変化: 以前は非妊娠だったが現在は妊娠中になっている可能性
5. アレルギー歴の新規発生: 初めてのアレルギー反応(アナフィラキシー等)の経験
「以前問題なかった実績」は、現時点での安全性を保証しません。これがウの選択肢が誤りである根本的な理由です。
4. 情報提供の優先順位(限られた時間での効率的な説明)
販売の現場では情報提供に割ける時間が限られています。優先順位の高い情報から説明します:
最優先(必ず伝える):
- 「してはいけないこと」に該当する事項(特に購入者の状況に関係するもの)
- 正しい用法・用量
- 服用できない理由がある場合の明確な説明
次に優先(時間があれば):
- 「相談すること」に該当する事項
- 主な副作用と対処法
- 保管方法・使用期限
補足(必要に応じて):
- 添付文書の参照方法・QRコード案内
- 受診勧奨の判断基準の説明
5. コミュニケーションの記録と継続的な関係構築
大型ドラッグストア・薬局では、購入者の服薬情報をシステムで管理することが増えています(特にかかりつけ薬局機能)。登録販売者もこうした情報管理の重要性を理解し:
- 購入履歴(リピート製品・使用期間)の確認
- お薬手帳の活用促進
- 「かかりつけ薬局」への誘導
こうした継続的な関係構築が、適正使用支援を長期的に担保するための基盤となります。
6. 登録販売者の専門性の発揮:「外見観察」の実際
購入者の外見・様子から得られる情報の活用(オの選択肢の根拠):
- 顔色の変化: 黄疸(黄色みがかった顔・目の白目)→肝臓・胆嚢疾患の疑い→受診勧奨
- ふらつき・歩行困難: 意識状態・神経症状→救急対応の検討
- 呼吸の異常(喘鳴・頻呼吸): 気管支喘息発作・アレルギー反応→即時受診
- 過度な興奮・混乱: 高齢者のせん妄・薬物過剰使用等→家族への連絡・受診勧奨
「外見観察」は医師の診察ではありませんが、購入者の状態を総合的に把握するための専門的スキルとして登録販売者に求められる能力の一部です。
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): 正答ウ(リピート購入であっても基礎疾患・服薬・妊娠授乳・症状継続の変化があり得るため毎回確認が必要。「前回問題なかった実績だけで追加確認なく販売してよい」は誤り)で一意確定。使用者/症状/期間の確認、服薬状況把握、受診勧奨、外見観察の活用はいずれも手引きの販売時コミュニケーション・適正使用支援と整合。事実誤認なし。出典: 厚労省 手引き第5章(販売時の適正使用支援・コミュニケーション)。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章 第3節「適正使用のための啓発活動」および第1節(販売時の適正使用支援・コミュニケーション) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。