登録販売者 第5章 医薬品の適正使用・安全対策 問7:医薬品の適正使用・安全対策
一般用医薬品(OTC)に関する安全対策の実例に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- アコデインリン酸塩およびジヒドロコデインリン酸塩を含有する医薬品について、12歳未満の小児への使用が禁忌とされたのは、これらの成分に依存性・乱用リスクがあるためであり、呼吸抑制リスクとは関係がない。
- イH2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)は、もともと処方箋医薬品であったが、一般用医薬品(OTC)として認められるようになったスイッチOTC薬の例である。正答
- ウスイッチOTCとして新たに一般用医薬品に転換された医薬品は、転換後すぐに第2類または第3類に分類され、要指導医薬品として取り扱われることはない。
- エアセトアミノフェンを含有する一般用医薬品は、アルコールとの相互作用(アルコール常用者での肝毒性増大)のリスクがあるが、この事実を添付文書に記載することは現行法では義務付けられていない。
- オ一般用医薬品のリスク区分(第1〜3類)は指定後に変更されることはなく、科学的根拠が新たに示されても区分の見直しは行われない。
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正答はイです。
H2ブロッカー(ファモチジン・シメチジン・ロキサチジン等)はもともと処方箋医薬品(医療用医薬品)でしたが、OTC医薬品(一般用医薬品)として承認されたスイッチOTCの代表例です。現在、薬局・ドラッグストアで処方箋なしに購入できます。
アは誤りで、コデイン12歳未満禁忌の主要な根拠は呼吸抑制リスク(CYP2D6による急速代謝でモルヒネへの過剰変換)です。ウは誤りで、スイッチOTCは転換後一定期間「要指導医薬品」として扱われます。エは誤りで、アルコールとアセトアミノフェンの相互作用は添付文書に記載義務があります。オも誤りで、リスク区分は見直し可能です。
スイッチOTCとリスク区分の関係(頻出):
| 段階 | 区分 | 期間 |
|---|---|---|
| 処方箋医薬品(医療用) | 医師処方のみ | 長期間の使用実績蓄積 |
| OTC転換直後 | 要指導医薬品(スイッチ直後の安全確認期間) | 一定期間(数年程度) |
| 要指導から移行 | 第1類医薬品(高リスク・薬剤師のみ) | リスク評価で継続 |
| さらに安全性確立 | 第2類・第3類へのダウンクラス | 安全実績に基づく |
各選択肢の解説:
- ア(誤): コデインリン酸塩・ジヒドロコデインリン酸塩の12歳未満禁忌(2019年規制強化)の主要な根拠は呼吸抑制リスクです。CYP2D6(薬物代謝酵素)の遺伝的多型により一部の小児でコデインが急速にモルヒネに変換される「超急速代謝者」が存在し、通常用量でも過剰なモルヒネ生成→呼吸抑制・死亡リスクが報告されました。乱用・依存リスクも存在しますが、12歳未満禁忌の主根拠は呼吸抑制です。
- イ(正): H2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬・ファモチジン等)はもともと胃潰瘍・逆流性食道炎の処方薬でしたが、OTC化(スイッチOTC)され、現在は一般用医薬品として薬局で購入できます。胃酸分泌を抑制する作用をもちます。H2ブロッカーのOTC化は日本でも1990年代から段階的に進められた例です。
- ウ(誤): スイッチOTC(処方薬からOTCに転換)された医薬品は、転換後すぐに第2類・第3類になるのではなく、一定期間「要指導医薬品」として扱われます。薬剤師による対面販売・書面情報提供が義務付けられる期間を経て、安全実績が確認された後に第1類以下に移行します。
- エ(誤): アセトアミノフェンとアルコールの相互作用(アルコール常用者での肝毒性増大リスク)は、添付文書の「相談すること」欄等に記載する義務があります。「添付文書への記載義務がない」という記述は誤りです。
- オ(誤): 一般用医薬品のリスク区分(第1〜3類)は固定ではなく、市販後の安全性情報・副作用報告等に基づき厚生労働大臣が見直しを行えます。科学的な新知見があればより高いリスク区分に引き上げる(アップクラス)または引き下げる(ダウンクラス)ことができます。
【OTC医薬品の安全対策の主要な実例(手引き第5章・参考)】
登録販売者試験の第5章では、一般用医薬品の安全対策の具体的な実例として以下のような事例が学習対象となります(手引き令和8年4月版の記述内容は監修確認要)。
コデイン系成分の規制強化(2019年):
2019年(令和元年)に、厚生労働省はコデインリン酸塩水和物・ジヒドロコデインリン酸塩を含有するOTC医薬品(鎮咳薬・総合かぜ薬)について、12歳未満の小児への使用を禁忌とする添付文書改訂を行いました。
背景:
- 海外(英国・EU・カナダ等)での小児への使用制限強化
- CYP2D6超急速代謝者(欧州人に多いが日本人にも存在)での呼吸抑制・死亡事例
- 国際的な規制動向を踏まえたPMDA・厚生労働省の評価
この規制強化は「海外の副作用情報→国内添付文書改訂」という市販後安全管理のプロセスを示す典型例であり、PMDAが外国副作用情報を収集・評価して国内安全対策につなげた実例です。
H2ブロッカーのスイッチOTC化のプロセス(参考):
H2ブロッカーのOTC化は段階的に進められました:
1. 医療用として使用実績・安全性データを蓄積
2. OTC化の申請・審査(適応症・用法用量の限定)
3. 要指導医薬品としてOTC化(スイッチ直後の安全確認)
4. 実績確認後に第1類以下に移行(ファモチジン等は現在第1類)
現在の状況: ファモチジン(ガスター10等の成分名)・シメチジン等は第1類として薬剤師のみが販売できます。これは「効果は高いが、適正使用のための薬剤師確認が必要」というリスク評価が続いているためです。
アセトアミノフェンと肝毒性・アルコール問題:
アセトアミノフェンは解熱鎮痛成分として多数のOTC医薬品(かぜ薬・解熱鎮痛薬)に含有されます。安全性が高い成分とされる一方で、以下の状況では重篤な肝障害リスクがあります:
1. 過量服用: 治療用量を大幅に超えた服用(自殺企図等)で肝不全
2. アルコール常用者: 慢性アルコール摂取でCYP2E1が誘導されアセトアミノフェンの有毒代謝産物(NAPQI)が増加 → 肝毒性増大
3. 空腹時・低栄養状態: グルタチオン(NAPQI解毒物質)が枯渇している状態では通常量でも肝障害リスク上昇
添付文書の「相談すること」欄には「肝臓病・アルコールを常用している人」への注意が記載されており、登録販売者はこれを確認して購入者の状況を聴取する必要があります。
【リスク区分の動態的管理】
医薬品のリスク区分(第1〜3類)は「一度決めたら永久固定」ではなく、以下の要因で見直されます:
| 見直しの方向 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| アップクラス(リスク上昇) | 市販後に重篤な副作用が多発し、より厳しい管理が必要と判断 | 第2類→第1類(薬剤師管理強化) |
| ダウンクラス(リスク低下) | 長期の安全使用実績が積まれ、管理緩和が妥当と判断 | 第1類→第2類(登録販売者も販売可) |
| 要指導→第1類 | スイッチOTCの安全確認期間終了 | H2ブロッカー等の事例 |
この動態的なリスク区分管理が「薬は常に最新の知見で評価する」という薬機法の基本思想を体現しています。登録販売者として、自分が扱う医薬品のリスク区分が変更されていないかを定期的に確認することが重要です。
【根拠】厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章第3節・第4章(リスク区分・要指導医薬品・スイッチOTC)、同第3章(コデイン・アセトアミノフェン)
<!-- 監修確定 2026-06-06(legal-reviser): ①コデイン/ジヒドロコデイン12歳未満禁忌の主根拠は呼吸抑制リスク(CYP2D6超急速代謝でモルヒネへ過剰変換)で正確。設問ア「依存性が主根拠・呼吸抑制と関係ない」は誤り。②H2ブロッカー(ファモチジン等)はスイッチOTCの代表例で正確、ファモチジン(ガスター10)は現在第1類医薬品(要指導から移行済)で解説の記述と整合。③スイッチOTCは転換直後は要指導医薬品扱い、リスク区分は事後見直し可、アセトアミノフェン×アルコールの相互作用は添付文書記載義務あり、はいずれも正確。よって設問イが唯一の正で正答イは一意に確定。設問・正答の事実誤りなし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(各都道府県が公表する試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(令和8年4月版)第5章 第3節「医薬品の適正使用のための啓発活動」・第4章(一般用医薬品区分・スイッチOTC)、同第3章(コデイン・アセトアミノフェン) 厚生労働省「試験問題の作成に関する手引き」(2026版相当)に準拠し、章節を明記しています。