関係法令(有害業務以外)60安全衛生管理体制

衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問60:安全衛生管理体制

労働安全衛生法の目的・構造に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 労働安全衛生法の目的(第1条)は、「労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化および自主的活動の促進の措置を講じること等により、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進すること」である。
  • 労働安全衛生法は、労働基準法の特別法として位置づけられており、労働者の安全衛生に関しては安衛法が優先的に適用される。
  • 事業者(使用者)は、法定基準の遵守にとどまらず、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保する努力義務を負う。
  • 安全衛生管理体制(総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医等)に関する規定は、安衛法のみに定められており、労働基準法には事業場の安全衛生管理に関する規定は存在しない。正答
  • 安衛法は、事業者・労働者・機械等の製造者・政府(国および地方公共団体)それぞれの責務・役割を規定しており、事業者だけに義務を課した法律ではない。
正答:安全衛生管理体制(総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医等)に関する規定は、安衛法のみに定められており、労働基準法には事業場の安全衛生管理に関する規定は存在しない。

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誤っているのはエです。「労働基準法には事業場の安全衛生管理に関する規定は存在しない」という記述は誤りです。労働基準法第42条〜第57条は「安全及び衛生」の章として、安全衛生に関する基本的な規定を置いています(具体的な規制の大部分は安衛法で定めているものの、労基法にも安全衛生規定は存在します)。安衛法は「労働基準法と相まって」(安衛法第1条)職場の安全衛生を確保するものであり、労基法と安衛法は補完的な関係にあります。

各正しい選択肢の確認: ア→安衛法第1条の目的条文を正確に述べており正しい。イ→安衛法は労基法の特別法的位置づけであり正しい。ウ→事業者の努力義務(法定基準超えての改善)は安衛法第3条第1項後段に規定されており正しい。オ→安衛法が事業者だけでなく労働者・機械製造者・政府の責務も規定していることは正しい。

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安衛法の目的・構造・各主体の責務(安衛法第1条〜第7条):

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 安衛法第1条の目的条文の正確な引用。「快適な職場環境の形成を促進すること」は第1条に明記されており、「安全と健康を確保すること」だけで終わる誤り選択肢との区別が重要です。
  • イ(正): 安衛法は「労働基準法と相まって」職場安全衛生を確保するものであり(第1条)、安全衛生の具体的規制については安衛法が「特別法」として優先適用されます。
  • ウ(正): 安衛法第3条第1項後段: 「事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するとともに、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない」。法定基準の遵守だけでなく積極的な努力が求められます。
  • エ(誤): 労働基準法第42条〜第57条(「安全及び衛生」の章)に安全衛生に関する規定があります。安衛法が安全衛生の詳細規制の大部分を担っていますが、「労基法に安全衛生規定がない」は誤りです。なお安衛法第116条は「労働基準法の適用」について規定し、両法の関係を整理しています。
  • オ(正): 安衛法は事業者(第3条)・労働者(第4条)・機械等の製造者(第5条)・政府(第6条・第7条)それぞれの責務を規定しています。多主体が協力して職場安全衛生を実現する「協調型」の法体系です。
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【理論的背景】

労働安全衛生法(安衛法)は1972年(昭和47年)に、それまで労働基準法の中に組み込まれていた安全衛生規定を独立・拡充して制定されました。背景として、高度経済成長期の急速な工業化に伴う労働災害の増加(1960年代に年間死亡者数が6,000人超という深刻な状況)があります。

安衛法の重要な特徴の一つは「自主的活動の促進」を法目的に明記した点です(第1条:「自主的活動の促進の措置を講じること等により」)。これは事業者が法定基準を満たすだけでなく、自発的に安全衛生水準を高めていく仕組み(自主的安全衛生活動)を法的に位置づけたものです。

もう一つの特徴は「快適な職場環境の形成」を目的に含めている点です。単なる「災害防止」を超えて、働く人が気持ちよく働ける環境の創出を目標として掲げた先進的な考え方です(1992年改正で追加)。

【実務・条文構造】

安衛法の目的(第1条)の分析:

安衛法第1条を構成要素に分解:

1. 「労働基準法と相まって」: 安衛法は労基法の補完法(労基法の安全衛生規定を基礎に、より詳細・高度な規制を展開)

2. 「労働災害の防止のための危害防止基準の確立」: 機械・設備・化学物質等に関する具体的な安全基準の設定

3. 「責任体制の明確化」: 事業者・管理者・安全担当者等の役割・責任の明確化

4. 「自主的活動の促進の措置」: リスクアセスメント・安全衛生委員会活動・安全衛生目標管理等の自主的取り組みの促進

5. 「職場における労働者の安全と健康を確保すること」: 第一の目標(ネガティブな基準:災害・疾病の防止)

6. 「快適な職場環境の形成を促進すること」: 第二の目標(ポジティブな目標:快適性の追求)

安衛法における各主体の責務:

  • 事業者(第3条): 最低基準の遵守義務+快適職場実現の努力義務
  • 労働者(第4条): 事業者の講じる措置に協力する義務
  • 機械等の製造者・建設物の注文者(第5条): 設計・製造段階での安全性確保義務
  • 国(第6条): 労働災害防止に関する施策の立案・実施
  • 地方公共団体(第7条): 国の施策への協力・独自の施策実施

労働基準法との関係:

安衛法と労基法の安全衛生規定の関係:

| 規定の種類 | 労基法 | 安衛法 |

|---|---|---|

| 安全衛生に関する基本原則 | 第42条〜第57条(安全及び衛生の章) | 第1条〜第115条 |

| 罰則の適用 | 労基法の罰則(第117条〜第121条) | 安衛法の罰則(第116条〜第123条)+労基法の一部準用 |

| 労働基準監督署の監督 | 両法ともに監督対象 | |

→ 安衛法は「労基法と相まって」機能する補完的な特別法であり、労基法の安全衛生規定(第42条〜)は引き続き有効。安衛法が「労基法に取って代わる」ものではない。

リスクアセスメント(安衛法第28条の2):

1999年の安衛法改正で、事業者のリスクアセスメント実施義務(努力義務)が設けられました(化学物質・機械等については義務化が進んでいます)。リスクアセスメントは「自主的安全衛生活動」の核心的手法であり、安衛法の「自主的活動の促進」という目的を具体化するものです。

「快適職場環境」の法的位置づけ(安衛法第71条の2):

事業者は快適な職場環境の実現のために、①空気環境・温度・換気・照明の整備、②騒音・振動の抑制、③作業の姿勢・動作の改善、④施設・設備の整備(休憩室・洗面所等)等に努める義務(努力義務)が定められています(快適職場指針に基づく)。

【試験での位置づけ】

安衛法の目的・構造の頻出ポイント:

  • 「目的は安全と健康の確保+快適な職場環境の形成の2つ」(安全と健康だけでは不完全)
  • 「労働基準法と相まって」という表現(安衛法が独立して機能するわけではない)
  • 「労基法にも安全衛生規定(第42条〜第57条)がある」
  • 「事業者だけでなく労働者・機械製造者・政府も責務を負う多主体協調型」

「労基法に安全衛生規定はない」という誤りと「目的は安全と健康の確保のみ(快適職場形成を落とす)」という誤りが定番の引っかけです。目的条文(第1条)の「快適な職場環境の形成を促進すること」は特に覚えておく必要があります。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 目的条文(第1条)の中で「危害防止基準の確立・責任体制の明確化・自主的活動の促進」という3手段と「安全と健康の確保・快適な職場環境の形成」という2目的の構造を正確に把握することが重要です。試験では「自主的活動の促進」や「快適な職場環境の形成」を落とした選択肢が誤りとして出題されます。
  • イ: 安衛法が労基法の「特別法」とされる意味は、安全衛生の分野において安衛法の規定が優先して適用されることです。両法が競合する場合は安衛法が適用されますが、労基法の安全衛生規定(第42条〜)は引き続き法的根拠として機能します。
  • ウ: 事業者の「努力義務」(法定基準を超える取り組みへの努力)は、単なる倫理的要請ではなく安衛法第3条に明記された法的な義務です。ただし罰則がある強行義務(必須義務)とは異なり、違反しても直接の行政処分・刑事罰の対象とはなりません(企業の社会的責任・安全文化の形成として位置づけられます)。
  • エ: 労基法第42条は「事業者は、労働者の安全及び衛生を確保するための措置を講じなければならない」という基本原則を定めており、これが安衛法の各種具体的規制の法的基盤の一つです。安衛法は「この労基法の枠組みを前提に、具体的な基準・体制・手続きを詳細に定める特別法」という位置づけです。
  • オ: 安衛法が多主体の責務を規定する意義は、「職場安全は事業者だけが取り組めばよい問題ではなく、労働者・設備の製造者・国・地方公共団体が協調して取り組むべき社会的課題」という理念の表れです。労働者の「安全衛生教育を受け、指示に従い、危険行為をしない」という協力義務も制度の重要な構成要素です。

【根拠法令】労働安全衛生法 第1条(目的:労基法と相まって・安全と健康の確保・快適な職場環境の形成)・第3条(事業者の責務:法定基準遵守義務+快適職場実現の努力義務)・第4条(労働者の責務)・第5条(機械等製造者の責務)・第6条〜第7条(政府の責務)、労働基準法 第42条〜第57条(安全及び衛生の章)

【補足】安衛法の目的は「安全と健康の確保」+「快適な職場環境の形成」の2つ(快適職場形成を落とさないこと)。「労基法と相まって」が基本姿勢。労基法にも安全衛生規定あり(第42条〜)。多主体が責務を負う(事業者・労働者・機械製造者・政府)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第1条(目的)・第3条(事業者等の責務)・第4条(労働者の責務)・第5条(機械等の製造者等の責務)・第6条〜第7条(政府の責務)。労働基準法(労基法)第42条〜第57条(安全衛生に関する規定)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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