関係法令(有害業務以外)63健康管理

衛生管理者 関係法令(有害業務以外) 問63:健康管理

長時間労働者に対する面接指導(安衛法第66条の8)に関する次の記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 事業者は、時間外・休日労働時間が1か月当たり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる労働者から申出があった場合は、医師による面接指導を行わなければならない。
  • 面接指導の結果は記録し、5年間保存しなければならない。
  • 事業者は、面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について医師の意見を聴かなければならない。
  • 事業者は、医師から意見を聴いた場合において、必要と認めるときは、当該労働者の実情を考慮して就業上の措置を講じなければならない。
  • 管理監督者は労働時間の把握義務の対象外であるため、管理監督者に対する面接指導の対象要件に「時間外・休日労働80時間超」は適用されない。正答
正答:管理監督者は労働時間の把握義務の対象外であるため、管理監督者に対する面接指導の対象要件に「時間外・休日労働80時間超」は適用されない。

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誤りはオです。2019年施行の働き方改革関連法改正により、管理監督者を含むすべての労働者について客観的な労働時間把握義務が課されました(安衛法第66条の8の3)。管理監督者は労基法の労働時間規制の一部から除外されますが、長時間労働による健康障害リスクは管理職も同様に生じるため、面接指導の対象要件(時間外・休日労働月80時間超)は管理監督者にも適用されます。「管理監督者は対象外」という記述が誤りです。

ア(80時間超・申出・面接義務)、イ(記録5年保存)、ウ(医師意見聴取義務)、エ(就業上措置義務)はいずれも正しい記述です。

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長時間労働者への面接指導制度(安衛法第66条の8)の概要:

各選択肢の正誤と根拠:

  • ア(正): 安衛法第66条の8・安衛則第52条の2により、時間外・休日労働が月80時間超で疲労の蓄積が認められる本人からの申出がある場合に面接指導実施義務が生じます。申出が要件であり、全員に義務的に実施するわけではありません(ただし高度プロフェッショナル制度の者には申出不要の特例あり)。
  • イ(正): 安衛則第52条の6により、面接指導の結果は記録し、5年間保存しなければなりません。一般定期健診記録(5年)と同じ保存期間です。
  • ウ(正): 安衛法第66条の8第4項・安衛則第52条の7により、面接指導後、医師の意見を聴かなければなりません(義務)。任意ではありません。
  • エ(正): 安衛法第66条の8第5項により、医師意見を踏まえ、労働者の実情を考慮して就業場所の変更・作業転換・労働時間短縮・深夜業回数低減等の措置を講じなければなりません。
  • オ(誤): 2019年施行の改正により、高度プロフェッショナル制度対象者を除く全ての労働者(管理監督者を含む)に労働時間把握義務・面接指導対象要件が適用されます(安衛法第66条の8の3)。管理監督者であっても月80時間超・申出があれば面接指導が必要です。
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【理論的背景】

過労死・過労自殺の社会問題を受け、2005年に「労働安全衛生法の一部を改正する法律」で面接指導制度が創設されました。当初は月100時間超が対象でしたが、2019年施行の働き方改革関連法で月80時間超に引き下げられ、対象が拡大されました。管理監督者は労基法上の労働時間規制(時間外・休日・深夜割増賃金)から除外される部分がありますが、健康保護の観点では同一リスクにさらされているため、安衛法は「健康確保措置としての面接指導」を管理監督者にも適用することにしました。

【実務・条文構造】

面接指導の要件・手続きの全体像(安衛法第66条の8・安衛則第52条の2〜7):

対象者の要件:

1. 通常の労働者: 時間外・休日労働が1か月80時間超かつ疲労の蓄積が認められ、本人から申出がある者

2. 裁量労働制対象者(専門業務型・企画業務型): みなし労働時間が週40時間超の部分が1か月80時間超相当かつ申出

3. 高度プロフェッショナル制度対象者: 1週間の健康管理時間が40時間超のうち月100時間超は申出なしで実施義務

事業者の時間把握義務(安衛法第66条の8の3・2019年施行):

  • 対象: 高度プロフェッショナル制度対象者を除く全ての労働者(管理監督者を含む)
  • 方法: 客観的な方法(タイムカード・PCログ等)による把握
  • この義務により、管理監督者の長時間労働も事業者が把握し、面接指導につなげることが義務づけられました

手続きフロー:

1. 事業者が労働時間を客観的に把握

2. 80時間超の労働者に超過時間を通知(安衛則第52条の2第3項)

3. 労働者からの申出受付

4. 医師による面接指導実施(申出後おおむね1か月以内・安衛則第52条の4)

5. 面接指導結果の記録(5年保存・安衛則第52条の6)

6. 医師の意見聴取(面接後遅滞なく・安衛則第52条の7)

7. 必要な就業上の措置の実施

記録保存期間の比較(安衛分野):

| 記録の種類 | 保存期間 |

|---------|--------|

| 面接指導の結果 | 5年 |

| 一般定期健康診断の結果 | 5年 |

| ストレスチェック結果(個人) | 5年 |

| 産業医勧告の記録 | 3年 |

| 衛生委員会の議事録 | 3年 |

| 特殊健康診断(特化則等) | 30年(種類による) |

【試験での位置づけ】

面接指導は「健康診断」「ストレスチェック」と並ぶ健康管理の三大制度です。試験では「80時間の閾値」「申出が要件(高プロは例外)」「記録5年保存」「管理監督者も対象」が頻出ポイントです。管理監督者の「労働時間規制の除外」と「健康保護措置の適用」を混同しやすいため、「時間規制は除外されるが健康保護措置は適用される」という原則を押さえることが重要です。

【各選択肢の発展補足】

  • ア: 「申出」が要件である理由は、労働者のプライバシー(過重労働実態の開示に抵抗感がある者への配慮)です。事業者は申出を促進するため、超過時間の通知義務(安衛則第52条の2)が課されています。
  • イ: 5年保存は「個人の健康情報」としての記録性を担保するためです。医師が作成した記録(面接指導の結果・意見書)を含む書面を保存します。記録様式は法定されていませんが、氏名・実施日・面接指導の結果・医師の意見等を含む必要があります。
  • ウ: 医師の意見聴取は任意ではなく義務です(「聴かなければならない」)。意見の内容(就業場所変更・労働時間短縮等)を踏まえて事業者が措置の要否を判断します。
  • エ: 「実情を考慮して」という文言は、措置の内容が一律ではなく個人の状況(業務の性質・本人の希望等)に応じて柔軟に決定されることを示しています。ただし「必要と認めるとき」の判断は事業者に委ねられており、全ケースで必ず措置を講じる義務はありません。
  • オ: 管理監督者は「労働時間・休憩・休日に関する規定(労基法第41条第2号)」から除外されますが、「割増賃金(深夜業)」および安衛法の「健康保護措置(面接指導・健康診断等)」の適用は受けます。「労基法の時間規制除外=全ての法的保護から除外」という誤解を排除することが重要です。

【根拠法令】労働安全衛生法 第66条の8(面接指導の実施義務)・第66条の8の3(労働時間把握義務・管理監督者含む全労働者)、労働安全衛生規則 第52条の2〜第52条の7(要件・通知・実施・記録・意見聴取)

【補足】面接指導の対象は管理監督者を含む。月80時間超・疲労蓄積・申出の3要件。記録は5年保存。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(公表問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法(安衛法)第66条の8・第66条の8の2・第66条の8の4、労働安全衛生規則(安衛則)第52条の2〜第52条の7(面接指導の実施要件・記録保存・意見聴取・措置)。 現行の労働安全衛生法令(2026年基準)に準拠し、根拠法令・規則を明記しています。

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